ジョシュアとオールドキングとジナイーダさんを主人公にした二次創作があったらいいなーって思います。
今回はオールドキングが主人公の話です。
彼はこの世界の何を変えるのか?
では、第1話です。どうぞ!
人類の存続のためにーーー
ーーー人類を殺す。
「よう、首輪付き。クレイドル03を襲撃するーーー付き合わないか?」
その矛盾こそがーーー
ーーー〝彼〟なのだから。
これは、彼の「変革」の物語ーーー
◆ ◆ ◆
彼ーーいや、彼女は生まれた時から「自分」を理解していた。
自分が何者で、何故ここにいるのかを。彼はミッション「アルテリア・カーパルス占領」で敵NEXTに落とされた。彼に思い残すことなどない。
「誰かを殺すということは、誰かに殺されてもおかしくない」というのが、彼の生き様だ。
だが、彼は「彼女」として再び生を受けた。
彼は誰かを殺すことに躊躇いはないが、殺人狂ではない。ORCAと違う方法を選んだ、ただそれだけだ。
………今度こそ……俺は………人類のために…………
彼ーー彼女の名は
ーーーオールドキングという。
◆ ◆ ◆
………今日は鶏肉が安かった…………何を作るか…………
彼女は今日もスーパーで食材を買い終え、家に帰った。
彼女の家は学生寮のような所で、ザ・一人暮らしと言った部屋だった。端的に彼女の状況を説明すると、彼女の親の顔を覚えていないほど幼い頃に事故で死んだ。現在は親戚が保護者という扱いだが、実際は仕送りをしてもらい、一人で暮らしている、と言ったところだ。
鍵穴に鍵を差し込み、家の扉がギィィと音を立てながら開かれる。
彼女は部屋の電気をつけ、基本的に見ないが、なんとなくテレビを点ける。
『ーーーさて、今度我が国で行われる第二回モンド・グロッソですがーーー』
ニュースでは連日【第二回モンド・グロッソ】の話題を取り上げている。これは、ISーーーインフィニット・ストラトスと呼ばれる宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツを用いた大会ーーーいわばスポーツの様なものだ。
これは現在軍用兵器として扱われている。
一体何故か。
ーーー七年前、日本を射程距離内とするすべてのミサイル制御コンピュータが何者かによってハッキングされ、二千発以上のミサイルが日本に向け発射された。
その時現れたのがIS【白騎士】だった。彼女が大半以上のミサイルを迎撃し、それを見た周辺国家が彼女を捕獲ないしは破壊しようと軍を送り込んだが、それをすべて無力化したという事件だ。
後にこれは【白騎士事件】と呼ばれ、世界中にISの強さを知らしめた。
彼女は基本的に、もう関わることのない〝戦場〟には興味がなかった。
だが、このISとやらの映像には興味を惹かれた。
…一週間後か………………
彼女はカレンダーを見やる。
……試しに見てみるとするかな………最強の兵器とやらを………
◆ ◆ ◆
『決まったぁ!
『そうですね。彼女のあの二つの技を避けきれる速さを持つ選手はまずいないでしょう。』
『流石はプリュンヒルデと言ったところですかね!ではーー』
残念なことに、予約がいっぱいで席を取れなかった。が、その雰囲気だけでも味わおうと思い、彼女は会場にやって来た。
………ふむ……中々速いな………
彼女は選手達が思いの外〝動け〟るのをみて感嘆する。スポーツだと思って少々馬鹿にしていたが、これ程までとは思っていなかった。
………私も一度は乗ってみたいものだ…………
彼女は上に設置されたスクリーンから目を離し、ソファから立ち上がる。
………飲み物でも買ってくるか……
自販機の前に立ち、お金を入れて紅茶の下にあるボタンを押す。
ガタンとペットボトルが落ち、そのキャップを開ける。
………つまり紅茶が最強だという事。オールドキングです。
そのペットボトルを小脇に抱え、彼女はまた元の場所に戻ろうとすると、そこには知らない男の子が座っていた。
「すまない、隣を失礼してもいいか?」
彼女が一言断ると、少年はこちらを見上げてくる。黒い髪に黒い目、そこからはアジア系の人間ということがわかった。年も近そうだ。
「ええ、どうぞ。」
許可を得たので隣に座らせてもらう。
「「……………」」
特に話すこともないので、腕を組み直して、スクリーンに目を向ける。
「お、俺の名前は
その空気に耐えきれなくなったのか、彼は突然自己紹介を始める。
………よく分からんが面白い奴だな………
「私の名前は
彼女は自分の昔の名前で自己紹介する。〝俺〟を〝私〟に矯正するのは凄く苦労したのだ。そのため普通に自己紹介をしようとすると、自分の名前を口走りそうになってしま
う。彼女は昔の自分の名を大事にしているのだ。寧ろそっちが本当の名だとさえ思っている。
……それにしてもオリムラか…………考えるに、あの織斑千冬の親族か?
「お、オールドキング??えっと……今日は何を見に来たんだ?」
彼は話題を探すのに必死だ。何か申し訳なくなってきた。
「ISというものを生で見たかったのでな。」
嘘もつく必要がないので素直に答える。確かに生では見られなかったが、これはいい経験だと思う。
「へぇ〜、誰か応援する選手とかいるのか?」
実際にはいない。が、彼女は彼が親族なのかどうなのか気になった。
「織斑千冬だ、彼女は強い。」
そう言うと、彼の顔がパァァと明るくなる。別に元々暗かった訳じゃないぞ。
「で、お前は「トイレ行ってくるから、この席取っといてくれない?」
断る理由もないので、取り敢えず了承し、彼をトイレに行かせた。
それから十分ほど待つが、彼は帰ってこない。
………遅いな………腹でも下したのか?
彼女は少し心配になり、チラチラとトイレの方向を見るが、彼は出てこない。痺れを切らしトイレに侵入すると、そこには誰も居なかった。
………何処に消えた?まさか……
彼女は思い出す。彼は
………恐らく誘拐されたか……だが探しようがないな…………
取り敢えず会場外に出てみると、人集りが多くて何が何だか分からない。こんな状況じゃ見えるものも見えないだろう。ここでどうにか助け出そうとするのがヒーローだ。だが彼女は違う。
………ガキ一人が出しゃばってもどうにかなる問題じゃねえな……諦めるか……
取り敢えず必要じゃない面倒ごとには巻き込まれたくないというのは彼女が常々考えることだ。
よって今回も子供一人くらい諦めても仕方がないと思っていたのだがーーー
……よく考えたら……攫われる→国家間の問題に発展→戦争へ……それは不味いな………
彼女は人混みを抜け、閑散とした路上に飛び出る。
……でもどうすればいい?ガキがわーわー喚いたところで大人は子供の戯言としか思わないだろう……うむぅ………
すると、その黒く深い目にこちらに向かってくる一台の大型トラックが映る。明らかに人目を避けた道を通っているのがわかる。
……トラックが遠回りをするわけがないだろう……確実にあれだな………さて………
彼女は軽く足を曲げ、飛び上がるような体勢を作る。
そこをトラックが通り過ぎてーーー
ガシィ!
今この身体で出せる最大のジャンプをし、トラック背面のアームのような部分を掴む。体重が軽いお陰か、幸い気付かれてないようだ。
………所詮はテロリストだ…刺激的にやろうぜ………
◆ ◆ ◆
十数分後、トラックは廃ビルのような場所に着いた。テールランプが消える。
……手が痛い………………よいしょっと
彼女はトラックからそっと降りて、近くの重機の影に隠れる。
「決勝戦はどうなっている?」
「現在は休憩時間、決勝は三十分後です。」
「…くそっ!やめろ!離してくれ!」
男二人が降りてきて、その一人が先程のオリムライチカとやらを運び出してくる。手足が縛られているようだ。
「それよりあの〝実験機〟はどうする?」
「誰にも使えない〝あれ〟だろ?」
「直ぐに吐き出されちまうからな…ハッハッハッ!それよりこの仕事が終わったらーーー」
どうやら子供以外にも実験機を攫ってきたらしい。だが、聞くところによると誰にも使えないらしい。
……ふむ……一考の価値あり……だな………
彼女は物陰に隠れながら、ビルの周りをくるくると回る。が、その実験機とやらは無い。
……………やはり中か…………
彼女はまた元の重機の場所に戻り、入り口にゆっくりと近づく。
二人の男はすでに中に入っており、外を警戒している姿は〝まだ〟見られない。
中に入ると、壊れた床や壁に、ボロボロの階段しかなかった。しかも、このビルは地下もあるらしい。
……上に行くべきか……下に行くべきか…………
彼女はこの作戦の目的を考える。
……この作戦は織斑一夏を使い、
彼女は下を見る。
……逃げることを考えて地下となるだろう……そうなると……
上に目を移す。
……実験機は囮として上に置いてある可能性がある………賭けになるが……仕方がない………
音を立てぬように、階段を慎重登り、ついに最上階に着いた。
「あ、あれは………」
彼女は息を飲む。その姿は彼女ーー彼にとって記憶に深く残っているものだった。
それは戦場を駆け抜ける最強の殺戮者ーーー
「ーー
彼女の相棒の姿があった。
◆ ◆ ◆
織斑一夏が目覚めた時には体が縄で縛られ、自由が利かなかった。どれだけ抵抗しても、その縄は解けることがなかった。
彼は車で運ばれた後、人気のない建物で降ろされ、そのまま地下へ連れてかれた。そこは地下の割には結構広く、新しかった。
「くそっ!とれない!」
彼は壁際でのたうち回っているが、やはりその縄はとれない。すると、男たちに新たな動きが起こる。
「織斑千冬が決勝戦に出ただと!?どういうことだ!!おい!」
男は電話を投げ捨て、こちらを睨む。
「お前は姉に見捨てられたみたいだなぁ…ヒャヒャヒャッ!!」
嘘だ、千冬姉が自分を見捨てるわけがない。そんなの嘘だ。
「そ……そんな……」
彼の口から絶望の色を込めた声が出る。彼にとってはあんなに自分を大事にしてくれた姉が自分を見捨てるなんてありえなかった。
「チッ!手間かけさせやがって。ストレス発散に死んでもらうぜ。」
男は拳銃を手に取り、撃鉄を起こす。
そのまま彼の額に銃口を当てる。
冷たい金属の感覚が、彼に死の宣告を告げる。
「あばよ、少年。」
その指が引き金に触れてーーー
ドオオオオオオオン!!!!
地下の天井を突き破り、粉塵を撒き散らしながら何かが落ちてくる。
「な、なんだ!?」
男が驚いたように声を出す。やがて煙がゆっくりと晴れ、その全貌が明らかになる。
「ーーゴホッゴホッ……よう、イチカ。助けに来てやったぞ。」
その声の主はーーー
いわゆるプロローグなので、短めに作りました。
さて、ストレイドとはどんなISなのでしょう?お楽しみに!