繋ぎの話です。今回は真面目にやりました!
現在、一夏の部屋である。
「ぶっはっはっはっはっ!!何だその格好!はっはっ「黙れ。」
オールドキングは予定より早く帰国した。それには色々な事情があるのだが、その一つに篠ノ之箒が「クロエが心配ばかりして、げっそりしている。」と聞いたので、仕方なく帰ってきたのだ。
そして、今の彼女の格好。それは、長い髪を二つに結ってあり、メガネをかけていた。所謂ツインテールである。それに、服装もジャージではなく、薄い水色のワンピースだ。
(まあ、フランティスカさんのお願いだから仕方がありませんね。)
……何でOK出しちゃったんだろ………似合わねえだろ………
そのメガネは随分前にフランティスカに買って貰った映像投影用のメガネであり、そのツインテールも彼女の仕業だった。一昨日の夜、部隊内のポーカーで負け、罰ゲームとしてこの格好をやらされているのだ。
(律儀ですねーオールドキングさん?)
………うるせえ潰すぞ。
「でも、それ似合うな。」
「う、うるさい。」
困惑した表情をする。オールドキングにとって、「女の子らしい」と言うのは複雑なものなのだ。胸こそないが、身体は女性のものだ。しかし、心は男性なので、中々複雑な心境になるのだ。
そこに、彼と相室の元ポニテの少女が扉を開く。
「一夏、新しいお茶を……ど、どちら様ですか?」
どうやら、彼女は気付かれていないようだ。少しがっかりとした顔をしたあと、首輪の音声機能を起動する。
「初めまして、篠ノ之箒さんですね?」
「ぶっ!古おーーーごぼぁ!」
パワーアシストを起動し、手加減しながら一夏を殴り飛ばす。その威力に地面にめり込むが、気にせずに話を続ける。ちなみに声は、アンビエントーーーリリウム仕様である。
「リリウム・ウォルコットです。以後お見知り置きを。」
「オ、オルコット?」
「〝ウォ〟です。」
ちなみに、何故この声かと言うと、全て首輪付きの趣味である。あの世界のリンクスの声なら大体は真似できるらしい。つまり、ただの変態である。
「り、リリウムさんは何処で一夏と?」
………どうする首輪付き?
(お任せ下さい。)
「一夏さんに、昔たすけてもらったんです(大嘘)」
「そ、そうなのか………」
見るからにしょんぼりする箒。以外と弄りがいがあるかもしれないという事に気がついてしまったオールドキングだった。
「では、私は失礼します。」
「う、うむ。」
部屋を出て、隣の部屋に行く。すると、クロエが足をぺたんと床につけて座っていた。
「お、お母様?」
「おう、帰ってきたぞ。」
腕を広げてくるので、そのまま抱き着き、持ち上げて立たせる。
「感謝。」
「はいはい、早く着替えろ。」
声を戻し、服を脱がせる。彼女は何故かオールドキングの予備ジャージを着ており、よれよれだった為に、既に数日間着ていることが分かった。
………私のジャージを着るのが流行ってるのか?ラウラといい、クロエといい……全く…………
彼女専用のジャージを取り出し、着替えさせる。下着の上にジャージを着ている為、脱がせるのも着させるのも楽だ。
「取り敢えず今日は、絶対に風呂入れよ?」
「……うん。」
クロエは風呂が嫌いだ。正確には、湯船に浸かるのは嫌いじゃないが、シャワーが嫌いだ。この歳で既に干物である。
「じゃ、私は少し用事があるから。留守番頼むぞ。」
「了解したー。」
安定の棒読みである。しっかりやらない時は、何時も棒読みだ。
…………全くこいつは……………
一瞬だけ彼女の顔に優しい笑みが浮かぶが、直ぐに何時もの顔に戻る。部屋を出て、職員室の扉を開ける。
「帰りました、オールドキングです。」
すると、教員のほぼ全員がこちらを向き、思わずビクッとなる。彼女が今の行動に何の問題があったのかを考えていると、目の前に人影が現れる。
「古王なのか?」
「ええ、一応。書類を纏めに来たんですけど…………」
真面目な対応をすると、織斑先生が笑いをこらえているような顔をする。
「ぷっ………何だその格好は?」
「弟と同じ事を言うんですね。そう言えば、部屋に弟が埋まってましたよ。」
「な、何だと!?」
織斑先生は走り去ってしまった。まあ、埋めたのは他ならぬ彼女なのだが。
彼女は自分の仕事用デスクに向かい、全てのウィンドウを起動する。首輪、メガネのウィンドウも起動し、首輪付きに仕事を依頼する。
様々なデータを凄まじい速度で纏めてゆく。外から見れば、オールドキング一人でやっている様にしか見えない。実際は、オールドキングがデータを送信、それを首輪付きが纏めて、メインコンピュータに送信している。その上、今回は眼鏡がある為に、処理速度が向上している。しかし、首輪付き曰く、「スペックが私に追いついていない、マジワンダフルボディ」だそうで、まだまだ処理速度は上がるそうだ。
しかし、水色のワンピースに、ツインテールの眼鏡をかけた女の子が多量のウィンドウを展開しているのは、何時もの彼女と大きく違って、周りにちぐはぐさを感じさせた。
………今度から眼鏡かけてやろうかな………
などと、仕事の効率について考えていると、隣の席の教員が話しかけてきた。時計を見ると、時間的に授業中の様で、職員室には、二人以外の
「オールドキング………だっけ?」
「はい、そうですけど。どうしました?」
手を止め、返事をする。話しかけてきた教師は特にパッとした印象は無かったが、その目の奥には何か、自分に通じたものを感じた。
「私は
「ああ、それは………」
彼女が取り出した資料は、前にオールドキングが学園ーーー轡木十蔵に提出した、教育課程の改善点を纏めたものだった。
「これ、却下されたんだってねぇ?」
「ええ、まあ。」
……正確には、私個人の授業時間の申請以外、全てが却下されたんだけどな…………
現在、彼女は毎週一時間のみ、一年一組にて、個人の授業を持っている。それ以外の時間は同じく一組にて、授業の手伝いをしている。
……名目上一組の副担任だからな…………
「………この学園に、不満でもあるのか?」
「……どういう意味で?」
彼女の口から飛び出た直球の言葉を、正面から受け止めず、流すように返す。
「そのままの意味だ……私はある。専用機持ちが優遇される現状を打開したい。」
彼女はその心意気に少なからず感心した。実際のところ、何かを変えることは相当なエネルギーが必要で、成功確率も低い。その上、成功した結果が望み通りの結果になるかはわからない。
彼女は毎目の前の人物の目を真っ直ぐと見据える。
……この目……それも分かった上か…………なら………
「分かりました。では、トーナメントの後……一組と二組の合同授業がありましたよね?あの時に、驚く様な光景をお見せしましょう。」
「………ちなみに、何をするんだ?」
彼女は人差し指を唇に当てる。何時もの彼女の格好ではないので、それはとても女の子らしい姿に見えた。
「それは秘密です、楽しみにしていて下さい。」
「………分かった。」
二人は、話を止めて作業に戻った。
◆ ◆ ◆
「んで、転校生と喧嘩したと?」
「何で怒ってるのか分かんないんだって。」
放課後のアリーナにて、彼女は一夏に彼の専用ISーーー
横の女性とは
「まーたフラグ建てたのか。仕事早過ぎだろ。」
「何の話だよ。」
どうやら、一夏は中国から来た転校生と喧嘩をしているらしい。彼の説明の所為で、彼女は知り得ない事だが、一夏と
しかし、一夏は「料理が上達したら、毎日酢豚を奢ってくれる。」と勘違いをしており、それが転校生激おこぷんぷん丸の原因だ。
「で、この二人は?」
「あ、相川清香です!」
「布仏本音だよ〜。」
自己紹介されても知っているから困ると思ったが、今は知らないふりをしておいた。
因みに、まだツインテールである。
「そういうことじゃなくて、どうしてここに?」
「えっと………本音頼んだ!」
「ええ〜。……おりむーといのりんを見に来たんだよ〜。」
「………何処でその名前を?」
「お姉ちゃんが話してるのを聞いたんだよ〜。」
よく名前を聞いてみると、〝布仏〟というのは、転校生と生徒会長タッグで模擬戦をした時、更織の方が腕に抱えてた女生徒も、〝布仏〟という名字だった。警戒されていて、自己紹介しかしていないが、印象が強いために覚えていた。
(まあ、知られていても問題ないでしょう?)
………ま、そりゃそうだわな。
「いやいや、何で見に来たんだよ。」
「オールドキング先生すっごく強いじゃないですか!そ、それで……」
彼女は少し考える。この学校で模擬戦をしたのは二回しかない。前述のおふざけタッグマッチか、会長との一騎打ちか、その二つだ。
「まさか、生徒会長との試合でも見てたのか?」
「は、はい。織斑先生が一組の生徒に見せてくれました。」
そういえば、そこらへんから周りの目線が多くなった気がしなくもなかった。つまりそれはーーー
………リザの姿が割れたか……まあ、リザを使ったのは一夏を助ける時ぐらいだったからな………問題ないか…………
彼女は、セシリアとの模擬戦で、Scorcherーーーつまりコピー能力を使った。勿論これにも理由があるのだがーーー
……つまり、リザの第三世代兵器がコピー能力だと思われてるというわけか……問題ないな………
問題はない。彼女はそう判断して、話を進める。
「じゃ、仕方ないな。お前ら離れてろ。」
二人に離れるように指示して、Thinkerと呟く。一瞬光に包まれ、緑色の装甲を持つ逆関節の機体が姿を現す。
「そ、その脚部どうなってるの……」
「ああ、関節から下は足が入っていない。入ってるのはここまでだ。」
ハイパーセンサーがその呟きを捉えたため、すかさず答える。太ももはコアに入っており、中の彼女は、所謂前屈みの様な状態であった。
「じゃ、一夏「い、織斑君とオールドキングさんってどんな関係なんですか!?」
「うーん、家z「ふん!」
「あべし!」
今にも爆弾発言をする感じしかしなかったので、逆関節のまま蹴り飛ばす。そういえば、〝織斑一夏君クラス代表おめでとう会〟なるものがあった時、オールドキングが自分の家に住んでいる事を危うく暴露しそうになり、箒が止めたらしい。
………うるさくて敵わんからな……全く………
因みに、この事を知っているのは生徒会長、織斑姉弟、篠ノ之箒くらいだろう。
話を戻す。
「じゃ、一夏。【
彼の機体の武装はただ一つ。
この刀剣は、
「一夏、
「えっと………シールドエネルギーを攻撃変換し、エネルギーを全て消滅させる?」
「おう、正解。」
そう、
「高機動型でしかも一撃必殺の威力を持つ武器。つまり、使いこなしゃあ最強だな。」
実際に、彼の姉の織斑千冬も、
「じゃ、それをどうやって当てる?」
「ええっと……近づく?」
簡単に言えば〝寄って斬る〟のみだが、それは言葉とは裏腹にとても難しい。
「近づいてる間に射撃されたらどうする?しかも、近づいたからって斬れるとはかぎらないぞ?」
「…じゃあどうすればいいんだよ。」
「簡単な事さ、その剣でプレッシャーを与えろ。近寄るだけでも相手を揺さぶる事が出来る。」
もし、強い近距離武器を持って近づいて来るのなら、それを迎撃しながら逃げればいいーーーというのは所詮理想論でしかない。
人間には、感情がある。機械ではない。どんなにそれを隠そうとしても、〝恐怖〟の前ではそれを露わにしてしまうものだ。
「その武器は一撃必殺だ。そんなのが近づいたら怖いだろ?」
「まあ……そうかも知らないけど………近づいても避けられるかもしれないだろ?」
ため息をつくオールドキング。
「はぁ……要約するとだな、どんなに速い弾でも、軌道が分かってれば避けられる。つまりそういうことだ。相手の感情を読み取れ。そして、そこに自分の〝殺し〟を入れ込め。」
「えっ……どゆこと?」
教えても効果が無いことがわかったオールドキングは両手の武器を構え、前屈みになる。
「なら、体に教え込んでやろう。」
「やっぱりかああああああ!!!」
最後はカニス先輩ですおっすおっす
次は、あいつが乱入してきますよ!
???「乱入してくるとは、とんでもないやつだ。」