タイトルはそのままです。内容と関係ないんじゃ?と思うかもしれませんが、一応関係あります。
………あるよね?
『誤って土下座しても、許さないわよ!?』
『それはこっちのセリフだ!』
織斑一夏と、中国の代表候補生ーーー彼が
今から、トーナメントの第一試合が始まるところだ。一回戦目は一組対二組で、丁度専用機持ち同士の戦いで、尚且つ一夏が出るとあって会場は大賑わいだった。
オールドキングは会場外にて、警備をしていた。それもこれも、全部はーーー
昨日
「クロエ、この地図は誰が捨てた?」
「高坂凪子。」
オールドキングは暫くこの部屋にもいなかったため、ゴミの片付けをしていた。大きなゴミ袋に纏めていると、くしゃくしゃに丸められた地図を見つけた。開いてよく伸ばすと、IS学園を上から見たもので、丸マークと、そこに「最重要ポイント」と書かれていた。裏には、「トーナメントは警備が手薄になるためほーにゃにゃにゃー」と書かれていた。因みに、〝ほーにゃにゃにゃー〟の部分は字が下手で読めなかった。
……ああ?何か来るのかよ?いや……妄言という可能性が「お母様。」
「何だ?」
「ゴミをだすと、お小遣い貰える。」
クロエが自分からお小遣いが欲しいと言ったことは、今までに無かったため、少し感動を覚えた。財布を取り出し、五百円玉をクロエの小さな手に乗せる。
「ほらよ。んじゃ、ゴミをよろしく。」
「違う。今の、駄洒落。」
「…………」
正直、何処が駄洒落なのかわからないが、一生懸命考えた可能性がある為、彼女の頭にポンと手を置く。
「なかなか面白いな。」
「やっぱり、一夏、天才。」
「よし、ちょっと隣人殺ってくる。」
みたいな事があったのだ。その為、オールドキングは打鉄を借りて来たのだ。その打鉄は隣に鎮座しており、コピーされたブレードのみを手にしていた。
「流石に重いな。」
『まあ、どうせ対人ですよね?』
「まあな、人間が来たらこれで対処しようと思う。」
首輪付きの音声がONにしてあるため、イヤホンに彼の声が流れ込み、彼女の耳に伝う。そろそろトーナメントが開始されたのか、会場から歓声が聞こえる。
「うわぁ、だる。何でここに来ちゃったんだろ。」
『まあ、良いじゃないですかどうせ暇ーーー熱源反応を感知、後ろです。』
後ろを振り向くと、噂の高坂凪子がいた。走ってきたのか、息を切らしている。
「ど、どうしてここに?」
「それはこっちのセリフだ。」
一夏とタイミングが一致しているのも知らず、オールドキングは彼と同じ言葉を吐く。
「いや、せめてここに立っておくべきだと思ってな。」
「何だ、お前も仕事が無いのか。」
「お前もか。」
どちらもニートだった。
「その打鉄を使え。」
「おう、分かった。」
打鉄を使うように言って、彼女はウィンドウを展開する。クロエからの連絡を見ると、試合は始まったばかりだが、現在は一夏優勢で進んでいるらしい。
………実践の方がやるな………こいつは…………
『頭上、熱源反応を感知しました………数七!』
言われて真上を見上げると、そこには普通の空が広がっていた。しかしーーー
「で、でかい!?」
「ちぃ!光学迷彩か!」
空が突然割れ、空中に大きな船が現れる。船を逆さにしたような形のそれは、
底面が開き、続々とISが落ちてくる。その数七。全て同じISで、彼女が見た事のないものだった。
「ありゃ……無人機かな?」
「無人機?そんな……あり得るのか?というよりあんな数のISを……」
ISは、女性にしか使えない。それは、教科書に載るレベルで基本のことだ。この〝しか〟というのは、人間の女性以外は含まない。つまり、無人機などあり得る筈がない。
ISを製作した篠ノ之束本人が言うのだから、その通りだろう。逆を取れば、その天災が〝可能〟と言うなら、それは可能になるのだ。
「じゃ、私はあれを片付ける。逸れた奴でも倒しといてくれ。」
「え?一人で無茶なーーー」
Thinkerと呟き、彼女の声をかき消しながら、直ぐに前方に跳ね飛ぶ。チェインガンを連射しながら、
黒いISは両腕が異常に大きく、何かの噴射口の様なものが取り付けられている。近接武器は特に見当たらないが、あの大きな腕で殴られたら只事じゃないと感じた。
『あの腕、色々とヤバイぞ!気をつけろ!』
『え、う、うおっ!』
腕から熱線が発せられ、学園外の地面を大きくえぐる。何本もの赤い光が空を縦横無尽に駆け回り、地面を走り、破壊の限りを続ける。
オールドキングは、群れており判断の悪いAIに対して頭上から弾を降らし続ける。
『一機そちらへ向かった!』
『任せーーーろ!』
ブレードの金属音が後ろから聞こえる。教員だとしても、使っている機体は訓練機だ。長くは持たないと考えたので、オラクルを展開、後方に移動しながらリニアガンを連射、月光を展開して
『次ぃ!』
『おうよ!』
彼女は再びリザに切り替え、近距離でショットガンを撃ち、チェインガンで引き撃つ作戦に出た。無人機のAIはそれ程良くないのか、回避はするものの下手で、危うくフレンドリーファイアしかけている。
………首輪付きぃ!回線はどうなっている!?
(こちらの回線は無事ですが、IS学園の回線はダメですね。)
やられたと思いながらも、彼女は回避と攻撃を続ける。戦況はこちらの方が有利だ。しかし、それと同時にこの無人機からは違和感を感じさせた。
………こちらを倒すつもりなのか?…………まさか……………
一瞬だけ、別の可能性が頭を過ぎったが、直ぐにそんな思考を振り払い、目の前の敵に集中する。ミサイルを放ち、ライフルとショットガンで着々と削ってゆく。
(残り五機。)
………仕方無い、
(チャージ完了、何時でもいけます。)
『残りは手負いが一機だけだ。こちらのシールドエネルギーは残り少ない。こいつをやれるか?』
『……何処に行くつもりだ?』
『ちょっくらアリーナにな。』
回線を切断し、くるりと後ろを向いて加速してゆく。
………予感が的中してくれなければ良いのだが……………
◆ ◆ ◆
一夏と
空間を撃ち出すのだ。それが視認できる訳もない。接近ができないため、一夏は
『やるじゃない!』
『そっちこそ!』
そんなセリフを吐くが、内心は焦っていた。当たり前の事だが、弾というものは近ければ近づく程当たりやすいものだ。衝撃砲は、名の通りに衝撃力が高い。近くに寄ってくる一夏を吹き飛ばす事など、容易いのだ。
そのため、彼は彼女の懐には入れず、攻めきれずにいた。彼女の方も、甲龍は格闘機体なので、龍砲の使い方が悩まれるのだ。近づけばやられる、近づかなければ攻撃できない。
最初に一夏が、オールドキングに言われた通りに
……考えろ……考えろ……
一夏は、オールドキングの考え方に影響されていた。彼の相手が格上という話が出るたびに、彼女は「所詮は候補でしかない。完璧じゃない。」というような事を口に出していたからだ。
………古王は感情を読み取れみたいな事言ってたな………そんなの分かる訳………はっ!?
彼は、攻撃を回避しながら彼女を凝視する。接近しようとしたその時、一瞬だけ彼女の目線がずれた。その先に、衝撃砲が着弾した。
………見えたぞ!あいつは龍砲を撃つ時に目線の方向に撃つ!
右手に力が入り、唾をゴクリと飲む。
『これが
宣言と共に、刀剣が変形しエネルギー刃が噴出される。
………千冬姉、古王……俺は!
姉から伝授された
「なっ!」
『もらったぁぁぁぁ!!』
その隙を逃さず、既に構えていた雪片の名を継ぐその名刀を大きく振り被る。
彼は勝ちを確信したーーー
ドオオオオオオオン!!
しかし、それも一瞬だった。
圧倒的な蹂躙が、今始まる。
◆ ◆ ◆
もう既に知っているとは思うが、高坂凪子は元代表候補生だ。しかし、山田真耶、織斑千冬の様な実力者ではなく、所謂「補欠」でしかないのだ。
「 ちぃ、強い!こんなものでよく教師を名乗ってるもんだな!ったくよぉ!」
ブレードを振り上げ、敵の腕を弾き飛ばす。が、体当たりを食らって吹き飛ばされる。彼女の実力では、例え馬鹿なAIとはいえ、スペックが負けている分、大きく不利なのだ。
「あああ!!私ゃ戦闘は苦手なんだーーーーよぉ!!」
喋っていないとやってられないのか、誰もいないのによく喋る。いや、誰もいないからこそよく喋るのかもしれない。
グレネードを展開し、撃ち捨てる。爆発が起き、煙の中にマシンガンを連射しながら突っ込む。
「うおおお!あ?おおっ!」
敵は既に上に飛んでおり、赤い光がマシンガンを貫く。直ぐにそれを捨てて、アサルトライフルを展開、近づきながら連射する。
しかし、敵の装甲が硬いのかカラクリがあるのか分からないが、弾は装甲に当たった瞬間跳弾してしまい、まともなダメージが入ってるようには思えない。
「反則だろあれは!ああん!?おらっ!」
相手に向かってブレードを
距離を確認したのか、敵の両腕に光が集まる。
「おおおおおお!!喰らえええあああああ!!」
後方で爆発音が聞こえ、振り向くと相手の両腕がもげており、その場に倒れていた。
「勝った……オールドキング程じゃねえがアッハッハッハッ………ゴホッゴホッ!」
胸から大きく打ちつけた為、呼吸が苦しくなる。機体はどちらも動かなくなった。
「ざまあみやがれ……だ………」
そのまま彼女は気絶した。
その言葉は、誰にも届く事は無かった。
◆ ◆ ◆
その轟音で彼は剣を止めた。あと数センチで当たるというギリギリの場所であった。
音の方向を向くと、
ハイパーセンサーが、その中心に立つ何かを捉える。それは、完璧な〝白〟を持つ
『あ、IS!?』
『似ている……白式に………』
右手に日本刀を持ち、クレーターの中心に少しだけ浮遊するそれは、何処と無く白式に似ていた。しかも、その日本刀は
『雪片!?
その言葉を彼女が理解する前に、〝白〟は彼女を切り裂いていた。この場の誰もが、その機体の動きを認識する事は出来なかった。
甲龍が解除され、
「りいいいいいん!!」
一目散にそこへ向かい、彼女を抱き抱える。気絶しているのか、目を瞑ったまま反応がない。
『一夏ぁ!撤退しろ!そいつは『
『そうだ、だからそいつを連れて退避しろ!』
『観客はどうするんだ!?』
遠くに鎮座する白いISが刀を構える。
死を覚悟したその瞬間、白いISは横を通り過ぎていた。自分の体を見ても、シールドエネルギーの値を見ても、変化は無い。
……何だ今のは?当てなかった?相手がミスしたのか?いや……違うぞ………俺はーーー
ーーー無意識に回避した。彼はそう判断出来た。
……さっきと立っている位置が違う………しかもあの構えは………
白いISの動きは、
……あれは千冬姉の!?くそっ!
それは間違いなく彼の姉ーーー織斑千冬の剣筋だった。一瞬にして全てを斬りさくそれは、一朝一夕で誰かが真似を出来る様なものではないのだ。
それを見て、
『……学園の防衛システムがハッキングされている、生徒は避難できない。』
『なら、俺がやる。』
『一夏、ダメだ!それは』
通信を遮断し、一夏は雪片弐型を構え、相手の方を向く。それを察したのか、敵も雪片に似た何かを構える。
二つの白が対峙し、瞬間、交差する。
彼の唯一の武器は弾き飛ばされ、アリーナの端に突き刺さる。
……くそっ!早く回収しないと………なっ!?動かねぇ!
「動け、動けよ!」
何時もは自分の体の様に感じるそれは、今は彼を縛る枷の様に感じた。
目の前の敵が刀を構える。
今度こそ、死を覚悟する。
視界が揺らぐ。目の前の敵がゆっくりと動き出す。
相手がゆっくりと動いてるのか、ゆっくりと見えるだけなのかさえも分からない。
〝白〟が近づいてくる。
それは無機質で、冷たい。表情を読み取る事は出来ない。
〝白〟は更に近づいてくる。
それの殺意は感じれない。だが、その手に持つ刀は確かに確かにこちらを向いている。
〝白〟はもう目の前だ。
金属で出来た手に、力が込められるのが分かる。
〝白〟はゆっくりと刀を振ってーーー
ダアアアアアアアン!!!
目の前に爆発が起き、爆風が鼻を掠める。思わず上を見上げるとそこにはーーー
『よう、一夏ぁ。ベルリオーズだ。これから白椿を殺る。付き合わないか?』
そこには、黒い悪魔の姿があった。
似ている……私に……
これを聞いて、えっ?と思ったのはいい思い出です。
さて、今年はどうしよう……