どうもまつたけマンです。
再び明けましておめでとうございます。
今回は頑張った!よくやった俺!
「全員、集合!」
ラウラの掛け声と共に、部隊の全員が集まってくる。何時もの訓練前とは違い、それぞれが緊張した面持ちをしていた。
現在ドイツの一部官僚は、IS学園のトーナメントに観客として出ている筈だ。他国のISを視察するのが基本的な目的だが、今回は違う。
織斑一夏ーーー唯一の男性IS搭乗者であり、専用機【
「そういう訳で、今は軍本部が手薄だ。曲がりなりにも、そこそこの地位の官僚だからな。」
IS学園というのは、少々特殊な場所だ。あれは日本にあるが、日本じゃない。あの国でもあそこだけは特別な区域で、ある種〝国家〟と言っても過言ではない。何せ、世界の各所から集められた自慢の代表候補生や、実力者が集うのだ。倍率は異常な程に高く、入学出来る人間は一握りだ。その一握りも、結局は実力で決まるため、自然と様々な人種が集う事になる。
その為、〝生徒〟で構成された〝学園〟は、そこのルールに則った自治をしており、それは国と同じなのだ。
そんな場所に、下っ端の官僚を送る訳にはいかない。必然的に、ある程度の階級を持つ人間が行く必要性が出てくる。
そんな人間に、護衛が付かない訳がないのだ。ドイツとフランスは、量産機を待機状態にするという先進技術を持っている。その為、ラファール・リヴァイヴ一機位は、余裕で護衛に着くだろう。
つまり、軍本部に配備されてるISが少ない上に、閣僚も少ないのだ。
「今日を待ち望んていた。では行こうか。軍本部へ。」
黒ウサギの反逆が始まる。
◆ ◆ ◆
彼の目に黒く先鋭的なフォルムの
それはゆっくりと降下し、こちらへ向かってくる。
『一夏ぁ!逃げるんだ今すぐに!』
彼には、それが
「あれは………」
「
「何でここに!?早く逃げないと!」
ハイパーセンサーは正常に稼動しているようで、観客席からは様々な声が聞こえる。
『織斑一夏、その小娘を連れて早く逃げろ。死ぬぞ?』
『び、
チッ、と舌打ちをした後、黒いISは両手の銃を構え、前衛的な体制をとる。
『だったら狙われない様に祈る事だな。』
そう言って、
黒と白が、激戦を始める。
まず、最初に攻めたのは黒だった。肩部のキャノンの様なものを展開し、グレネードを放つ。既に予想済みだったのか、白の回避に黒が追いつき、グレネードを発射、白が地面に叩きつけられる。両手が光り、再び二丁の銃が姿を見せる。
黒は地面で、白は空中に位置し、互いにそれを譲らない。黒は白
思わず歯軋りをし、目線を腕の中の少女に移す。ぐったりとしており、力が入っていない。
白いISに目を戻す。そのISが持つ刀は確かに雪片ーーー彼の姉の刀だ。
……俺はまた………何も出来ないかよ!くそっ!
彼は嘆く。己の無力さを。
彼は悔やむ。
彼は願う。己の強さを。
その瞬間、
『
◆ ◆ ◆
オールドキングは時間稼ぎをしていた。どうやら
その上、機体はシュープリスだ。何故これを選んだのかというと、他国からの来客に〝絶対的な強さ〟を植え付けるために、無人機に乗じてトーナメントの二人を完封してやろうと思ったのだが、先客がいた。
白椿ーーー篠ノ之束が作ったと思われる無人機で、その装甲は白く、武装は日本刀のみというのが特徴だ。前回見かけた時とは姿が大きく変わっており、日本刀は一本、体型もスリムになっており、ISを制御していると思われる黒い人形は装甲によって隠されていた。
……何故一夏は動かん?それと教員は何をしている?
色々と疑念は残るが、今は目の前の敵に集中しなければならない。
……取り敢えず………………
肩のグレネードキャノンを展開、膝から地面に衝撃を逃がしながらそれを撃ち出す。逃げ道を潰し、先読みした場所に
そこから、白椿が飛び出る。装甲に目立った傷は付いておらず、ダメージを受けてる様には見えなかった。
(……ダメージが入っていませんね。)
……チッ、硬いな………早くしろよ、バカが。
一夏からロックを外す様に動いてる為、彼女が使えるのはアリーナの四分の一程だ。シュープリスはEN管理の問題より、基本的に接地して戦っている。その為、彼女の
白椿が刀を構え
夜間装備に変換し、レーザーブレードでガードしようとするがーーー
『
青い光が消え、
その時、
『一夏ぁ!?一夏しっかりしろ!』
織斑千冬の声だ。その心配そうな声を聞き、後ろを見ると、
「ああああああああぁぁぁ!!」
彼の絶叫と共に、雷が収縮し、完全に彼を包み込み、眩い光を放つ。
目を瞑り、光から目を守る。
光が止み、ゆっくりと目を開けると、そこにはーーー
(………あれは……
そこには、〝黒〟を纏う〝白〟が鎮座していた。
それは、最早
しかし、それよりも目を引くものがあった。それは、ヘッドパーツだ。頭の前方が相当余る程の先鋭的なデザインをしており、
その〝黒〟は、確実に白椿を捉えていた。
『ヴルゥア!?ガ……ガァアアアアアアア!!!!』
離れていても分かるほどに、その両手に力が篭る。地面で気絶している中国の代表候補生を避け、予備動作もなく
『一夏ぁ!応答しろ!一夏!』
織斑千冬が必死な声色で叫ぶが、それは彼の耳には届かない。
………暴走……所詮は獣か、人の言葉も解さんな。
(はっ、貴方の言える言葉ですか?)
首輪付きがクツクツと笑う。白椿の意識は完全に
『首輪付き、あれが何だか分かるか?』
(いえ、回線をつないで見れば分かりますが。)
右腕から接続用のコードが出てくる。右腕の武器を格納し、左腕のアサルトライフルーーーMARVEと呼ばれていたそれを構える。
一夏が乗っているはずのそれは、
『ガルァッ!!ガァアアァォアアアア!!!』
両手の刀を白椿の刀に叩きつけ、それを圧し折る。その異常さに驚いたのか、白椿が硬直する。
『ガルォ!!』
彼の目の前に突っ立ったままの白椿が十文字に切り裂かれ、ヘッドパーツが吹き飛び、装甲に「一」の文字が切り刻まれる。
『ガルオオオオオ!!』
彼の最後の一撃が、その機体に打ち込まれてーーー
グシャァ!
『悪いが思い通りにはさせんぞ、篠ノ之束。』
◆ ◆ ◆
………ここは……何処だ?
織斑一夏は、白い世界にいた。
そこには、何もない。
そこには、何もない。
そこにはーーー
「何も………ない?」
ーーー何も無かった。
周りをどれだけ見回しても、一面の〝白〟以外は何も見えない。自分がそこに立っている。それ以外何か分かることはない。その事に恐怖し、逃げる様に走り出す。しかし、走っても走っても、自分が動いている気がしない。
「う…うぅ…うわぁあああああ!!」
跪き、泣き叫ぶ。しかし、彼が叫ぼうと、それが誰かに届く事はない。
………思い出せ、何故俺はここに!?俺は……………
彼は思考する。
俺は……確か………
思考を加速させる。
俺は………俺は…………
………俺は………誰だ?
◆ ◆ ◆
『グルゥァ!グギャァアア!!』
不意打ちに効果があったのか分からないが、頭部のパーツが破損し、一夏の顔が姿を現す。目はパッチリと開いていたが、それも虚ろで、まるで意識がない様にも見えた。
両手のブレードを横に薙ぎ払う。ジャンプして回避し、グレネードを放つ。が、それは凄まじい速度で切り落とされ、両者の間で爆発する。
シュープリスは受け身を取れず、そのまま吹き飛ぶ。
「………キャハ……キャハハハハッ!!」
オールドキングが壊れた笑みを顔に浮かべる。それは、誰にも見える事は無かったが、その溢れ出る殺気は、止まることを知らなかった。それは、まるで病の様に観客達を蝕んでいった。
この時点で、彼女の目標はクリア出来たと言ってもいいだろう。だが、彼女は目の前の獲物を諦める事など出来ない。
ゆっくりと立ち上がる。
「キャヒャヒャヒャハッ八ッ………殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すぁっハッハッハッ!!!」
(……殺していいのは機体だけですよ?)
首輪付きの忠告を聞き流し、
予想通りそれはガードされるが、速度が乗っているためにこちらが有利だ。そのまま弾き飛ばしーーー
上に飛んだ。グレネードが敵に着弾し、通常装備に変更、アサルトライフルを連射する。
……殺し合いは楽しいなぁ……だろう?首輪付きぃ?
(だから、織斑一夏は殺しちゃダメですよ?)
何故彼女が悦んでいるのか。それは、相手が〝人間〟であり、面白い〝殺し合い〟だからだ。
彼女は殺人狂ではない。だが、戦闘狂ではある。つまり、手加減無しの勝負が大が付くほどに好きなのだ。
しかも、ボイスはオールドキングに設定されているため、リンクスだった時を思い出し、更に笑みが深くなる。
ゆっくりと後方に着地する。しかし、アサルトライフルを撃つ手を止める事は無い。
煙の中から、
………時間が無いな、まあいい。終わらせる!
(了解しました。)
右腕から出たコードを手で掴み、夜間装備にに切り替える。レーザーブレードを展開し、
「…………キャハ☆」
ケーブルを伸ばし、内部に侵入される。コード接続部を目指し、それが伸びてゆく。
(接続完了、ISを強制解除させてーーーなっ!?これはまずーーー)
突然、首輪付きの声が聞こえなくなりーーー
ーーー彼女の意識が暗転した。
◆ ◆ ◆
彼女が次に意識を取り戻した時、そこは一面が真っ白な世界だった。誰もいない。何もない場所に、彼女は一人ぽつんと立っていた。
しかし、人の気配を感じる事ができる。それは彼女がよく知っている人物だった。
「………一夏。」
彼の名を口にした瞬間、彼の姿が見える。丸まって倒れており、その目は死んでいる様であった。
「…………一夏、帰るぞ。」
しかし、反応が無い。身体に触れるが、体温は無い。そのまま彼を抱き上げ、身体を起こさせる。
「………一夏。」
「………俺は……………」
「…………」
「………俺は………誰だ?」
どうやら、あの暴走の原因が分かったかもしれない。彼は、彼という個人を飲み込まれそうになっているのだ。存在を、記憶を、全てを。
……全く手のかかる……………
「分からないのなら、これから一緒に作ろうか。」
彼女は優しい笑みを浮かべ、彼の頬に手を当てる。
「……俺……が?」
「ああ、お前の名前は織斑一夏だ。」
「俺は………おりむらいちか?」
彼女はもう片方の手も、彼の頬に充てる。
「………生きたいだろ?」
「…………」
「………生きていくんだ、これから。いくぞ!一夏!!」
「俺は………ーーーー!!!」
世界が光に包まれーーー
(ーーーさん!ーーーさん!オールドキングさん!!)
再び意識を取り戻した時、そこは現実の世界だった。シュープリスに乗っており、右腕からはコードが伸びていた。すぐに意識が覚醒し、コードを格納、
………戻ったぞ。時間はどれほど経った?
(1分程ですね。あと少しで教員が乱入してくる所でしたよ。)
目の前を見据える。突然もがく様に
「………行くぞ。」
夜間装備に変更し、ブレードを展開する。すると、敵も突然もがくのを止め、両手の刀剣を構える。
「うおおおお!!」
『グルァアアア!!!』
剣と剣の間に滑り込ませる様に、青い光が軌跡を描く。それが白い装甲を貫く。
絶対防御が発動し、シールドエネルギーが枯渇、
『ーーか!一夏!!一夏ぁぁぁ!!貴様ぁぁぁぁ!!!』
織斑千冬の声が聞こえるが、それを聞き流して、ブースターを点火、
………取り敢えず、高坂凪子とやらを見に行ってみるか………
Thinkerと呟き、黒い無人機の方へと加速していった。
◆ ◆ ◆
「あー!もう!何なのあのゴミムシ!?」
とある移動式のラボで、紫髪のドレスを着た女性は、機械のウサ耳をピョコピョコと動かしながら、頭を掻きむしっていた。
隣には、くーちゃんと呼ばれた少女が立っている。
「折角の
そもそも、
しかし、逆に考えると、〝経験〟さえあれば、直ぐにでも
つまりーーー
「でも、
ーーー経験が足りないのなら、外から集めればいい。それだけの事だ。篠ノ之束はそんな卓論上の理論を現実にて完成させたのだ。
普通では考えつかないようなやり方だった。
「それにしたって、あのゴミムシの
「
ISコアの解析は不可能ーーーこれは、世界の決まり事と言っても過言ではない。しかし、誰もがそれにアクセスする事は出来る。
つまり、上位アクセス権とは、他のアクセスを捻じ曲げる事が可能で、唯一篠ノ之束の開発者権限を回避できるものなのだ。
開発者権限とは、その名の通り篠ノ之束のみが扱える権限だ。通常のアクセスよりも最優先されるそれは、そう、例えば無人でISを動かせる様に設定出来るのだ。
そう、この事件は全て彼女の予定内の事案だったのだ。
オールドキングと教員が無人機が戦う事も。
白椿が中国の代表候補生を退場させる事も。
そこにオールドキングが乱入してくる事も。
ただ一つ、彼女の予定からずれてしまったもの。それはーーー
「
オールドキングの
「くーちゃんが殺し損ねたあいつも生きてるんでしょ?やだなー!」
「申し訳ありません束様。」
「くーちゃんは悪くないよー!」
頭をゴシゴシと撫でる。
「ま、簡単な事だよね。」
「
世界は、誰かの思惑で動き続ける。
7656文字ですよ、いつも5000位なんですけどね!
今回は原作と大きく変えてみました。
acネタ………伝わってるかな?