弟がお姉ちゃんと呼んでくれない   作:狂骨

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3年B組のある生徒

目を瞑ると、いつもいつも、あの光景が頭の中に流れ込んでくる。

 

___大丈夫だよ○○○。お姉ちゃんがついてるから!

 

テストの日にも関わらず、看病する姉。その結果が今の状況だ。

 

 

あれが、あの時、俺が発病しなければ、こんな事にはならなかった筈なのに___。

 

○◇○◇○◇

 

都内に位置する進学校【椚ヶ丘中学・高等学校】偏差値が高い私立の中高一貫校であり、中学から既に競争が絶えず、東京中から集まった猛者達が火花を散らしていた。

 

 

そんなある日の朝

 

誰もまだ登校していない、当直しかいない校舎へと続く道を、1人の少年が歩いていた。

 

髪は長く、毛量が多いためかボサボサとしたハネつきが目立つ。またあまり眠れていないのか、目元には大きな隈もあった。その割には身体は筋肉質であり、捲った袖の下からは鍛え上げられた腕が顔を見せていた。

 

「…」

そんな少年は誰もいない昇降口を通り、教室へ入り、席に着くと、参考書を広げて勉強を始めた。

 

並べられているのは中学生が扱うような教科書ではない。チャートや問題集、講義本、全てが高校生ましてや受験生が扱うような参考書ばかりであった。

やはり中高一貫校。既に高校の範囲を進めており、更にその少年は自主性と理系知識への探究心があるのか、既に高校3年生の範囲へと取り掛かろうとしていた。

 

それから時間が経過すると、校門あたりが賑やかになり、次々と生徒達が教室へと入ってきた。

 

それと同時に、少年の顔は何故か段々と“笑顔”に染まっていく。

 

 

教室へと入ってくる人数が増えるたびに笑顔の明るさは増していき、やがて全員が揃う頃には、目を細めた笑みを浮かべていた。

 

 

朝日の昇るまだ誰も登校していない校舎へ入り、物静かな環境で1人、黙々と勉学に勤しみながら授業を受けて放課後を迎える。

 

それが、その少年の日課だった。

 

 

______あの日から。

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

その後、授業を終えた少年は、部活などへは参加する様子は見せず、そのまま図書館へと向かい、閉館時間まで再び勉学へと没頭した。

 

いくら進学校の生徒だとしても、朝早くから登校して授業さらに休む暇なく放課後は図書館で勉強となれば、ストレスが溜まり続かなくなるはずだ。

だが、少年はそんな様子を見せることなく黙々と勉学に勤しんでおり、それどころか、ほぼ毎日、この日課であり、図書館のスタッフには顔を覚えられてしまうほどだ。

 

 

これほどの厳しい日課を毎日繰り返しているにもかかわらず、少年は欠伸どころか、止まる様子も見せなかった。

 

 

そして、閉館時間が訪れるとそのまま家へと帰るのだ。

 

 

○◇○◇○◇

 

その後、図書館が閉館し、家へと到着した少年は扉を開ける。

 

「ただいま帰りました」

 

他所他所しい言葉遣いをしながら玄関の扉を開き、中へと入る。

 

 

すると

 

「あ、おかえり桃矢」

 

横の部屋から出てきた1人の少女が出迎えた。同じ年代に比べるとやや高めの身長とやや大人びた容姿。

 

その少女の名は『矢田桃花』

 

少年が通う中学校に在籍している生徒であり、

 

この少年『矢田桃矢』のたった1人の姉である。

 

 

そんな彼女に対して少年は笑みを浮かべながら返す。

 

「ただいま帰りました。“桃花さん”」

 

そう呼ばれた瞬間 彼女 桃花の顔からは笑顔が消えた。

 

「いつまで…そんな呼び方する気…?」

 

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