双六で人生を変えられた男   作:晃甫

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#17 過去と邂逅

「更識先生の、未来のお嫁さんです」

 

 フランスからの転校生、シャルロット・デュノアのこの言葉に、一年一組全員の表情が固まる。皆の耳がきちんと正常に働いていたなら、教壇の前に立つ金髪の少女は確かに言った。未来のお嫁さんだと。

 お嫁さん。婚約者、フィアンセ。彼女がしっかりと意味を理解した上でこの発言をしたというのなら、それはつまりそういう意味なのだろう。

 未来の、と前につけるあたりかなり先の将来のことまで考えているのかもしれない。それとも学生という身分のうちはそういった関係にはならないという意思表示だろうか。

 満面の笑みを浮かべてそう言うシャルロットの発言に対して、一瞬の沈黙。

 

 そして、教室内を割れんばかりの歓声が埋め尽くした。

 

「ッきゃー! 聞いた!? 今の聞いた!?」

「嫁宣言キター!!」

「更識先生と金髪美少女……じゅるり」

 

 最近オヤジ化してきた一組の少女たちの反応も今回に限っては仕方ないのかもしれない。まさか公衆の面前で嫁宣言するなど思いもしない。教室内が黄色い歓声で満たされてしまうのも無理からぬことだった。

 そんな教室の中でしかし、一夏は片肘ついて件の少女をジッと見つめていた。

 惚れた、などということでは間違ってもない。彼にはもう何年も片思い中の少女がいるのである。気になるのは、自身の師匠である楯無との関係性だった。

 ラウラの場合はどういった経緯で知り合ったのかは一夏も聞いている。しかし、シャルロットという名前はこれまでの楯無との会話で全く出てきたことがなかったのだ。

 基本的に自分自身のことは余り話さない楯無だが、必要最低限のことは教えてくれていた。ラウラのことも、ISのことも。

 

(俺に言わなかったってことは、必要ないって判断したのか……?)

 

 一夏にとって関連性のないことは教えない。そういう風に判断してのことなのだろうか。

 疑念というよりは疑問を抱く一夏だったが、なんとはなしに視線を移動させた先にあったものを見て思わず頬がヒクついた。

 

 未だ騒ぎ立てているクラスメイトたちは気づいていないが、箒やセシリア、前に立つラウラも気がついているようだ。

 シャルロットのすぐ横に立つ、担任教師の雰囲気が豹変していることに。

 

 より具体的に言うのであれば、一年一組の担任である一夏の姉、織斑千冬の纏う空気がこの世のものとは思えない程にどす黒く染まっていた。

 

「…………」

 

 さーっと、自分でもハッキリと分かるくらいに血の気が引いていく一夏。

 このままでは非常にまずい。何とかしなければ、と一夏は一縷の望みをかけ、幼馴染であり千冬との親交も深かった箒へと視線を向ける。

 

「…………」

 

 箒も一夏と全く同じ表情をしていた。

 多分、彼女も同じ事を考えて一夏へと視線を向けたのだろう。

 ばっちり合った眼で、二人はこれまでにないくらいにシンクロする。

 

 ――――箒、助けてくれ。

 

 ――――嫌だ。まだ私は死にたくない。一夏がなんとかしてくれ。

 

 ――――俺にあの修羅をどうにかしろってのか!?

 

 ――――たった一人の家族だろう。弟として姉のことをちゃんと支えろ。

 

 ――――支えるってなんだ!? それ遠まわしに俺に犠牲になれって言ってないか!?

 

 ――――…………。

 

 ――――おいコッチ向けよ。

 

 顔を一夏から背け青空を眺める箒に抗議の視線を向けるも当然のように反応はない。この時点で箒の協力、もしくはサポートは全く期待できなくなってしまった。

 箒がダメならば、と一夏はちらりと教室の後方へと視線を向ける。決して首を回したりはぜず、人間がギリギリ視界に入れられる範囲でだ。余所見をしていると何が飛んでくるか分かったものではない。

 頼むセシリア、この絶望的にヤバイ雰囲気をどうにかしてくれ! との期待を込めて視線を向けた先では。

 

「…………」

 

 セシリア・オルコットである筈の少女が、自身の縦ロールにくるまって活動休止状態に入っていた。

 わー、あの髪の毛ってあんな風にもなるんだーと一夏の現実逃避が加速度的に進行する。

 いやいやちょっと待ってくれよ、このままじゃ本当に教室内で惨劇が起こりかねない。冷や汗が滝のように流れる一夏はいよいよ以てして我が身を犠牲にするしか、と最悪の自己犠牲を頭の中で思い描くが、そこでガラッと何の脈絡もなく教室のドアが開いた。

 

 神の天啓かとばかりにドアが開いた先へと顔を向ける一夏。

 彼の視線の先、ドアを開いて廊下から顔を出していたのは。

 

「……え、何この雰囲気」

 

 IS学園一学年主任、更識楯無その人だった。

 

 一瞬にして、教室の空気が凍りつき。

 

「いやアンタ今一番来ちゃいけない人だろッ!!」

 

 一夏の全力の咆哮が轟いた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「で、だ。きちんと話はしてくれるのだろうな?」

「いやあのな? 俺とシャルロットの間にやましいことはなにも……」

「確かに今私とお前の間に関係性はない。付き合っていたのは何年も前のことだ。だがな、あれはお前から言い出したことで、私はそれに納得しただけだ」

 

 昼休み。

 学生諸君は食堂で思い思いの食事を楽しんでいるであろう時間、俺は学年主任室で千冬と二人で向き合っていた。応接用にと置かれたソファに腰を下ろして、千冬は先程から腕組みしたまま俺から視線を逸らさない。

 今日の朝、何やら不穏な空気を感じてなんとはなしに一組の教室へと足を運んでみれば、そこにはチワワのようにぶるぶる震える一夏たちと満面の笑みを浮かべたシャルロット、そして異形の鬼を背後に具現化させた千冬が居た。

 

 うん、これなんて地獄絵図? 状態である。

 

 呆気に取られていた俺に次の瞬間襲いかかって来たのは、クラスの女子たちからの質問責めだった。

 朝のHRの時間であることも忘れて雪崩込むようにして俺の元へと押し寄せる女子生徒たちの目は、皆一様にやけに輝いていた。

 

「更識先生! シャルロットさんと何があったんですかッ!?」

「まさか教師と生徒の禁断の恋なんですか!?」

「嘘ですよね!? だって楯無×一夏なんですから!!」

 

 わいわいきゃーきゃーと騒ぎ立てる女子生徒たち。これ以上は他のクラスにも聞こえて迷惑になってしまう可能性が高い。

 そう判断して俺は千冬へなんとかしてくれとの意味を込めて視線を向けた。

 

 が。

 

 返ってきたのは温度を全く感じさせない絶対零度の視線だった。

 えー、と内心で思わずにはいられない。シャルロットが今しがた何を言ったのか大体の予想はついているが、まさかそんな戯言を真に受けたというわけではないだろうに。

 

 取り敢えずはこの事態を収束させねばなるまい。千冬がああいう状態の今、教師である俺か真耶が動くしかない。本来ならば副担任である真耶に任せればいいのだが、どういうわけか先程から石化したように硬直してしまっていてまったく動く様子がないのだ。

 

「あー、取り敢えず席につきなさい。それとシャルロット、皆が誤解を招くような発言は控えるように」

「えへへ、すみません」

 

 俺の前にまでやって来ていた生徒たちを自分の席に着かせ、シャルロットへと言いつける。言われた彼女は別段悪びれる様子もなく、少しだけ眉根を下げてそう謝罪した。

 こうしてようやく事態が収束へと向かおうとしている所に、しかし新たな火種が投下されることになる。

 それは意図したものではなく、恐らくは無意識のうちに溢れてしまった言葉だった。

 

「あ、お父さんだ」

 

 これまで窓の外へと視線を向けていてこちらの存在に気づいていなかったラウラが、俺を見た途端にそう口走ってしまったのだ。

 

「…………」

「あ、……さ、更識先生」

 

 自分でも言葉にしてから気付いたのだろう。見る見るうちに顔を赤くするラウラに、俺は何も言えなかった。

 しかし、そんな事はお構いなしに、少女たちは再び瞳を輝かせ始める。

 

「お、お父さん!?」

「更識先生いつのまに!?」

「ていうか誰との子なんですか!!」

「ちょっと待って計算が合わないんだけど!?」

 

 収束しようとしていた彼女たちの好奇心は、ここで再び爆発することとなってしまった。

 まさかこんなところで数年前の父性が仇になるとは。というかラウラもラウラで会うたびお父さんとか呼んでるから完全にその呼び名で定着してしまっているじゃないか。

 

「静かにしろ」

 

 また教室内が騒がしくなり始めたところで、遂にこのクラスの担任である千冬が動いた。

 いや、実際にはたった一言声を発しただけだったが、それだけで一瞬にして教室内に静寂が訪れる。

 腕を組んで瞼を伏せたまま、千冬は続ける。

 

「今はHR中だ。転入生の自己紹介が終わったのなら、さっさとその口を閉じろ」

 

 ギロリ、と擬音が聞こえてきそうな程に迫力のある眼光が俺と教室中の生徒たちへと向けられる。え、何で俺まで。

 

「デュノアとボーデヴィッヒは割り振られた席へ付け。必要事項だけ伝えたら、一時限目の授業に移る」

 

 言われてそそくさと席へ向かう転校生二人組を横目に見ながら、俺はこの機に乗じてこの場を退散することにする。これ以上この場に留まっていては授業の邪魔にしかならないだろうし、何よりも自身の安全を確保したいのである。誰だって命は惜しい。

 しかし。

 

「……それと更識先生」

 

 それを千冬は許してはくれなかった。

 

「昼休みに少し話したいことがあるんだが」

 

 有無を言わせぬ眼光。

 これ人殺せるんじゃないかと思わせるほどのソレを向けられては、俺も首を横に振ることは出来なかった。

 

 そういう訳で現在。俺と千冬はこうして顔を付き合わせているわけなのであった。

 

 昼食をまだ済ませていない俺は先程購買で入手したおにぎりをテーブルの上に置いて、正面に座る千冬へと顔を向ける。

 腕組みをしたまま微動だにしない彼女の姿からは、言外に『洗い浚い話せ、全てだ』と某第一位の言葉を借りて語っているようにも見える。

 正直シャルロットの事を黙っていたことに多少の罪悪感を感じている俺だが、これにはきちんとした理由があるのだ。話さなかったのではなく、話せなかった。

 口外することの出来ない事情があったのだ。それを、今から話すことにしよう。こうしてシャルロットがIS学園に来た以上、もう隠す意味もない。

 

「シャルロットとの事を黙っていたのは悪かった。話せない理由ってのがあったんだよ」

 

 おにぎりの封を開けながら、俺は口を開く。

 

「……その事情と言うのは、IS学園の教師であっても話せないことだったのか?」

「ああ」

 

 千冬の質問に、俺は間髪入れずに答える。

 その返答に多少の気が削がれたのか、千冬から威圧的な雰囲気は霧散した。

 

「……それをこの場で言うということは、事情とやらを話してくれるんだろうな」

「当然だ。千冬にまで黙っていたのは悪かったと思っているし、何よりもシャルロットがこうしてこの学園に来れた時点で話はもう終わってる」

「? どういうことだ」

 

 言葉の意味が上手く飲み込めなかったのだろう。千冬が訝しげに眉を顰める。

 確かに今の俺の言葉だけで全てを理解することは難しいだろう。というかほぼ不可能だ。

 一つ目のおにぎりを胃袋に収めてから、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

 俺とシャルロットが、どうやって出会ったのかを。

 

「――――事の起こりは、今から五年前。第一回モンド・グロッソが行われる前年だ」

 

 

 

 ◆◆

 

 

 

 五年前。俺がまだ二十を迎える前の話だ。

 IS学園を卒業して更識の当主として日々を過ごしていた俺の元に、一通の手紙が届いた。

 それは知り合いからのものではなく、日本政府からというなんともきな臭いものだ。内容は詳しいことは記載されておらず、ただ指定された日時に成田空港まで来てくれという理不尽なものだった。

 気に食わなければ見なかったことにすることも出来たが、流石にそこまでのことでもないと空港に足を運んでみれば、そこに居たのは見たことのないような黒服の大柄なエージェントと白髪混じりの壮年の男性。何処かで見たことのあるような顔だな、と思っていたところで、向こうからこちらへと近づいてきた。

 

「初めまして、更識楯無殿。この度は無礼な方法で呼び出して済まなかったね。私は防衛省の樹という」

 

 差し出された多く皺が刻まれたその手を、俺は握り返す。

 

「初めまして。更識楯無です」

 

 自己紹介を受けて、目の前の人物が防衛省の役人だったことを思い出す。確か何度もテレビに出ていた、どんな内容だったかまでは覚えていないが。

 

「それで? 手紙には書かれていませんでしたが、ご用件は?」

「うむ。それなんだが、少し場所を変えよう」

 

 その言葉に、俺は疑問を抱く。

 それはつまり、こんな人が雑多なロビーでするような話ではないということなのだろうか。そもそも、防衛省役人である人間がわざわざこんな所にまで出向いてくること自体がよくよく思えばおかしな話である。

 

「そうだな、そこの喫茶店にでも入ろう」

 

 彼が指を指した先にあったのは、一軒の喫茶店だ。空港内にあるにも関わらず、どういう訳か人が極端に少ないその店に、俺を含めた三人は入っていく。

 店内にやはり他の客はおらず、店員に誘導されるがままに四人がけのテーブル席に着いた。

 俺はブレンドを、他の二人はブラックをそれぞれ頼み、しばし沈黙が流れる。

 

 少しして、注文の品がテーブルに置かれた。

 そのことを皮切りにして、俺はこれまで閉じていた口を開く。

 

「……で、俺をこんなところに呼び出したのは、一体どんな理由があるんです?」

 

 その問いに、樹は一口コーヒーを含んでから。

 

「この件はまだ公にはなっていないことなのだがね、発見されたそうだ」

「発見?」

「三人目、と言えば解るだろう?」

 

 その言葉に、僅かに目を見開く。

 三人目、この言葉の意味するところが理解できないほど俺は馬鹿ではない。

 

「……男性ながらに、IS適性を持つ人間ですか」

「いかにもそうだ」

「どうして、それを俺に?」

「君の父上とは私も面識があってね。君のことも聞いていたんだ。……単刀直入に言えば、君に面会したいと言ってきているんだよ」

 

 誰が、とは聞かなかった。分かりきっているからだ。話の流れからすれば、それは間違いなく。

 

「三人目が、ですか」

「そうだ。急で済まないが、フランスへ行って欲しい。勿論費用はこちらが全額負担するし、日程の都合もそちらに合わせる」

 

 それはまた随分と急な話だ、と思った。口には出さなかったが。

 

「織村のほうには?」

「いや、彼には話していない。彼はアメリカに居るしね」

 

 ふむ。つまりは三人目が同じIS適性を持つ人間に会いたいと言ってきたために俺に白羽の矢が立ったという訳か。まぁ織村はアメリカで遠いし、何よりナタルが離れないだろう。

 それに比べて俺はこの通り日本にいるし、こうした政府との繋がりもあって接触しやすかった為に呼び出されたと。全く以てして勝手な話だが、俺もその三人目とやらには少し興味がある。原作では存在しなかった三人目が発見されたというのだ、どういう人物なのか知りたいと思うのも仕方ない事だ。

 

「……いいですよ。引き受けます」

「そうか! いやありがとう! 私としても君に行ってもらえるなら安心だよ!」

「それで、何処に向かえばいいんです?」

 

 コーヒーを飲み干してカップを置いた俺の質問に、樹は答えた。

 

「場所はフランス。デュノア社という企業は知っているかな?」

「――――え?」

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 そういった経緯でやって来たフランス、デュノア社。

 いやいやまさかね、と内心でぼやく俺だったが、ついさっき聞かされた名を聞いて俺の予想が的中していたと確信してしまった。

 彼、三人目の名前はシャルル・デュノアというらしいのだ。

 

 ……いやいや。いやいやいや。

 

 一体全体何がどうなればこんな事になってしまうのか。

 原作崩壊という訳ではないが、時間軸がめちゃくちゃである。とは言え、全くの突然かと言われればそうでもないのだろう。原作では一夏の出現に合わせるようにして二人目が現れたわけだが、今回は俺や織村に続くように三人目が現れたというだけの話で。それが本当に男なのかはまた別の話であるが。

 

 黒人のやけにガタイの良い護衛を後ろに付けて、俺はデュノア社の敷地内へと入っていく。来客用のゲートを抜けて、大きな吹き抜けのエントランスへと入る。ISの世界シェア第三位となるラファール・リヴァイヴを発表する企業だけあって、やはりその本社も豪勢な造りになっていた。白を基調としたタイルが壁面に貼られ、円形の建物は三十もの階層に分けられている。

 受付へと向かうと、そこには既に一人の男が待っていた。

 他の社員たちとは明らかに違う高級そうなスーツを纏い、柔和な笑を浮かべてこちらを見てくる男性。

 

「初めまして、ようこそデュノア社へ。私が社長のシャーロック・デュノアです」

 

 社員数千を超えるデュノア社の社長が自らお出迎えとは、とんだVIP待遇である。

 

「初めまして。更識楯無です」

「いやはや、かの有名な黒執事に直接お会いできるとは光栄です」

 

 笑みを絶やさないまま、シャーロックは俺の手を握る。

 その笑みに、一見どこにも違和感を感じない笑みに、俺はピクリと蟀谷が動く。

 

(コイツ、笑ってないな)

 

 握手をしたまま、俺はシャーロックを見る。彼の瞳は、全く笑っていなかった。

 この時点で、俺はなにやら不穏な空気を感じ始めていた。何を企んでいるのかまでは定かではないが、碌でもないことを考えていても不思議ではなさそうだ。

 

「ささ、こちらへどうぞ。息子が最上階で貴方を待っています」

 

 言われるままにエレベーターへと乗り込み、最上階へと向かう。

 全く浮遊感を感じさせないエレベーターに内心で少し関心していると、小気味の良い音と共に扉が開いた。

 この階に社員の立ち入りは禁じられているのか、他の人間の姿はない。床一面に敷かれた高級そうなカーペットの上を歩き、一つのドアの前でシャーロックは立ち止まった。

 どうやら、面会場所はこの部屋みたいだ。

 

 社長自らそのドアを開き、促されるままに室内へと足を踏み入れる。

 普段は重役会議にでも使用されているのか、内部にはコの字型の長机が設置されており、その一角に、一人の子供の姿があった。

 俺が入ってきたことで立ち上がったその子供は、外見に見合わない見事な作法で俺に頭を下げる。

 

「は、初めまして」

 

 肩まで伸びた絹のように滑らかな金髪。男子にしては声が高いと感じるのは、まだ声変わりをしていないからなのだろうか。着用しているグレーのスーツも着こなしているというよりはまだ着られているという印象を受けてしまうのも無理はないことだ。まだ十歳にも満たない子供なのだから。

 緊張した面持ちで俺を見るその少年は、たどたどしくも自己紹介を述べる。

 

「シャルル・デュノアです」

「更識楯無だ。よろしくな、デュノア君」

 

 それが後のシャルロット・デュノアとの、初めての邂逅だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




混乱されてる方もいると思うので感嘆な時系列補足。

楯無IS学園卒業
シャル対面 ←今ここ
第一回モンド・グロッソ
ココ、ラウラ対面
第二回モンド・グロッソ
原作

◆SHR後の一幕

千冬「ラウラ、ちょっとこい」
ラウラ「ハッ、何でありますか教官」
千冬「さっきのお父さんとはどういうことだ?」
ラウラ「い、いやっ……、あれはその」
千冬「お母さん」
ラウラ「……はい?」
千冬「私のことを、お母さんと呼んでみろ(ママでも可)」
ラウラ「……お、お母さん」
千冬「……(アリだな)」

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