デュエル・マスターズOverLord(オーバーロード)   作:シグレサメ

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ボルシャック・カイザーに残された時間は、長くない。帆鳥にそう伝えられた火奈はひどく動揺し、火文明で必死にそれを解決する方法を探し始める。その頃夕哉達も帆鳥の友人達を探し回っていた。


その決意は誰のもの

火奈きっての願いで、カイザーを助ける方法に関しては夕哉達は手伝わないようにする、負担をかけないようにするという話となった。夕哉達は首を縦に振らなかったものの、飛水が空気を読み、「いつ真名月達がくるかわからないから」と言って、夕哉達も一度は納得したのだった。そして、火文明では火奈と火文明のクリーチャー達が、今残っていた記録をひっくり返して探していたのだった。

 

「コッピ達、そっちはどう?」

「いやー…めぼしいものはないッピね」

「ごめんなさいッピ」

「大丈夫。…まだ諦めないよ」

「正直予言というかその帆鳥って人が見たものって、本当なんッピ?」

「夕哉達と話し合ったけど、出来ないわけないって結論になったよ。カイザーがあの状態なのは否定できないし、実際あたし達は一回記憶を消されてる。もし真名月がもう一回仕掛けてくるなら、記憶以外を消すんじゃないかってシイノちゃんも言ってたし」

「……怖くないッピか?」

「怖いよ。カイザーのことも、真名月のことも。もしカイザーをどうにかする方法が見つからなかったら、あたし達は彼らに太刀打ちできなくなる」

 

火奈の隣で本を漁っていた《パロッタ・夜(ナイト)・ミエッピ》が、突然本を捲る手を止める。

「正直、カイザー様には最後になるかもしれないんだから、ゆっくり過ごしてほしかったッピ…。こんなこと言うのもなんだけど、戦えるクリーチャーはドラン・ゴルギーニにゴルファンタジスタ、カクメイジンにDracheまでいるッピ、でも、僕たちにとってカイザー様はカイザー様一人だけッピ」

「ミエッピ…」

「カイザー様はバクテラスになる前から太陽のような存在ッピ。火文明の皆の希望、そう言ってもいいッピ、それがもし無くなったら、僕たちは何を支えに生きていけばいいッピ…?」

「……ごめん、あたしが簡単に強くなろうって言ったから…」

「責めてるわけじゃないッピ!他に選択肢がなかったことも、太陽の力を使わなきゃいけないことが多かったこともボクたちは分かってるつもりッピ。ただ。ただ、少し、やるせないなぁって…」

 

ミエッピ達が見せた本音に、火奈もページを捲る手を止める。苦手な活字を読みながら、アーマードのクリーチャー達に渡された日本語と火文明の言語の対応表を元に必死に読み解き、考えないようにと抑えていたものが、溢れ出そうになる。

「ごめん、皆、ごめん……」

「火奈、俺は後悔していない。お前と共に戦えていることも、とってきた選択も、全部だ」

 

そんな重たい空気を跳ね除けるように、カイザー本人が現れる。

「カイザー…?」

「俺の為に火奈が苦手なことに必死でやってくれた事も、分かっている。コッピ達が沢山力を貸してくれている事も。かと言って、最後になるようなら余計に、俺はそのままでいられない」

「カイザー様、聞こえてたッピか…?」

「すまないが、聞こえてしまっていた。そしてお前達の気持ちに添えない事も、申し訳ないと思っている。だが俺は火文明のリーダーであり、守る責務がある。俺のわがままを聞くと思ってくれないか」

「こちらこそごめんなさいッピ、弱気になって。そうさせない為に今探し物をしているのにッピよね」

 

アーマード・ファイアー・バード達を元気づけ、カイザーは火奈の肩に優しく触れる。

「火奈も、大丈夫だ。これは《終炎の竜皇 ボルシャック・ハイパードラゴン》のカード。これがあれば、俺の力を低コストで使うことができる。

「…ありがと、カイザー」

「お前が負い目を感じる必要はない、それだけは分かっていてくれ」

「……うん」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夕哉はその頃、御白との家庭教師のアルバイトを終えて、家への道を歩いていた。疲れを感じた夕哉は近くの公園のベンチに座り、デッキケースからジャシン帝のカードを出す。

 

「どうした?妹と異世界人の元に帰らぬのか?」

「そうなんだけどさ、少し話さない?」

「どうせボルシャック・カイザーのことだろう。貴様に何ができる、ボルシャックの選んだ選択を、余達は決して干渉することはできない。そんなことはもう分かっているだろう」

「まぁ、ね」

「貴様はその上で何を望む?早いところ真名月を討ち取ることが、全てであるだろうに」

「ジャシンの言葉は正しいよ。でもさ。火奈とカイザーのことを心配するのはダメなのかな」

 

ジャシンが夕哉のその言葉に、軽蔑するように笑う。

「あらゆる意味で、貴様がそれを言うのか?」

「え?」

「……光屋御白をはじめとして、貴様は沢山の人間に心配されている。余の契約者とは思えないものだ。それが一丁前に人を心配するだと?お前は真名月を倒す方法を考えていれば良いのだ」

「でも…!」

「でもも何もあるか、散々人に迷惑をかけておいて、それをする資格なんてないと言うことだ」

「資格があるないじゃ…!」

 

夕哉はそこまで言って気づいた。自分のことを心配してくれる人達も、こんな風な気持ちだったのではないかと。頭では分かっていたものの、ようやく心の奥底から気づいたのだった。

「貴様と赤坂火奈はよく似ている。人を助けるのが先行して、自分を押し潰していることに気づかない。それに自分で気づけただけ、まだ幾らか救いようはありそうだが」

「自分から何もできない立場になってようやくわかるなんて…。待つ側の気持ち、信じる側の人たちの気持ち」

「フン」

 

夕哉は胸に手を当てて、振り返る。初めてジャシンを仲間にした時、虹村と戦った時、Prayersや、須谷風音達と戦った時。自分はずっと矢面に立っていた。そうやって守ることに必死で、守られる側のことに気づけていなかった。

「………ごめんを、伝えなきゃ」

「赤坂とはそこが違った、お前はかなり自分勝手だからな」

「御白達に、甘えてたんだ」

「夕哉よ、何かが来るぞ」

 

夕哉とジャシンが振り返ると、後ろにはコートを厚く着た少女が立っていた。

「愛澤先輩の、友達…!?」

「まぁ、余達は真っ先に狙われるだろうと思っていた。記憶を消して、前と同じ方法で世界を手に入れるパターンだろう」

「生形 人彩(いがた とあ)。よろしくね」

「そうなんだ、先輩ですよね、よろしくお願いします」

 

夕哉が喋りながら、後ろ手に家に電話をかけようとする。それを見た唯人は、自分のクリーチャーに命じて糸で夕哉のスマホを吊り上げた。

「な…!?」

「ここからは真剣勝負、私と、あなただけの」

「……絶対に勝ちますよ、俺は、人のためにでもあるし、自分を心配してくれる人のためにも!」

 

「「デュエマ、スタート!」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夕哉と唯人のデュエマは、人彩の先行で幕を開けた。闇と水を操る唯人に、夕哉はジャビビルブラッド以外にも新戦力の加わったアビスで迎え撃つ。

 

「1マナで《霊淵 アガルーム=プルーフ》を召喚、ターンエンド」

「2マナで《麗迭人形ジェニー》を召喚、相手は手札を1枚選んで捨てる」

「《邪魂の王道 ジャシン帝》を捨てる!」

「ターンエンド、どうぞ?」

 

無害そうに、礼儀正しくカードを使用する人彩に、夕哉は思わず疑問を口にする。

「えっと、なんでこんなことを…。前に愛澤先輩が言ってた、バロムの本当の力に関係あるんですか?」

「タメでいいよ。私達も、敬意を払ってもらえるようなことをしてると思ってないから。別の世界から来たってことしか月宮さんは教えてくれなかったけど、それが実際に世界を滅ぼすところを、私たちは見せられたの」

「実際に、滅ぼすところ…!?」

「うん。まず、繋がりの記憶が絶たれて、人々は協力をすることができなくなる。場合によっては、その世界にある文明同士が戦争を始めて、バロムが手を下す前に終わらせることもあったみたい」

「バロムは、シイノの言ってた通り色んな世界を食い物にして…」

「うん、そして世界を喰らって、次の世界へと渡っていく。それが私たちが教えてもらったバロムの力。もう少し詳しく聞く?それを聞いたら、黒井くん達も反抗する気が無くなるんじゃないかと、思ってるんだけど…」

「記憶を失った時から、絶対に折れない。そう決めてるんで。でも、その話は聞きたいです」

「そうなんだ。じゃあ私にデュエマで勝ったら、教えてあげる」

 

人彩から思いがけない条件を提示され、夕哉はドローに力が入る。

「俺のターン!《シックル=シーク》を2マナで召喚!シックルをタップして、アガルームをハイパーモードに!更にシックルがタップした時山札の上から3枚を墓地に!ターンエンド時、アガルームのハイパーモード時効果でタップしているクリーチャーの数、1枚を墓地に!」

 

「私のターン。《冥土人形ヴァミリア・バレル》を召喚。シックルを手札に戻して、手札を1枚見ないで捨てる」

「ぐぅっ!?」

「落ちたのは《深淵の噴髄 ファウン=テイン》か。ターンエンド」

 

夕哉はその落ちたカード達を見ながら悔しそうな顔を浮かべる。

(ファウンテインがあれば、一気に墓地から展開できたけど、仕方ない…!)

「俺のターン!《カリッキ=リッキ》を召喚!効果で山札の上から3枚を墓地に送り、カリッキをタップしてアガルームをハイパーモードに!カリッキのタップ時効果でファウンテインを手札に戻す!更にアガルームは墓地が5枚以上あれば攻撃できるようになる、アガルームでシールドを攻撃!」

 

人彩 シールド4

「トリガーなしだよ」

「ターンエンド、タップしているクリーチャー(2体)分、墓地を増やす!」

 

「私のターン、《解体人形ジェニー》を召喚、相手の手札を見て、ファウンテインを墓地に」

(的確に展開の要を潰してくる…!)

「解体人形をタップして、ヴァミリアバレルをハイパーモードに。パワー6000のブロッカーになって、相手は2枚目以降のドローをした時、手札を選んで墓地に置かなきゃいけなくなるよ、ヴァミリアでカリッキを攻撃して破壊、ターンエンド」

 

夕哉は完全に攻め手を失っており、じわじわと追い詰められていた。

「俺の、ターン!来た!《邪侵入》!山札の上から4枚を墓地に置いて、《邪魂龍 ジャビビルブラッド》をバトルゾーンに!更に1マナで《コミック=コロック》を手札からバトルゾーンに!」

「手札をほぼ使い切る形。良いの?」

「行くよ、ジャビビル!初めての攻撃時山札の上から2枚を墓地に置いて、墓地からコスト3以下のアビス、《邪魂の王道 ジャシン帝》をバトルゾーンに!更に!」

 

突然墓地からハサミを持ったアビスが飛び出して、ジェニー2体を切り刻む。

「ハイパーモード状態のクリーチャーが攻撃する時、《シザー=ゾー》はタダで墓地からバトルゾーンに出る!登場時効果で相手1体のパワーをマイナス4000して、ジャビビルの効果ですぐにプレイヤーを攻撃できるようにする!」

「そんな急激に打点を…!」

 

ジャビビルとジャシンが一気に場に揃い、その雰囲気に圧倒される人彩。しかし彼女の目は、まだ諦めていない。

「愛澤先輩達とは、どんな関係なんですか!?バロムの恐ろしさを見せられたからと言って、なんで月宮かぐらなんかに…!」

「月宮かぐら、なんかに…?」

 

人彩 シールド2

「それは違うよ、黒井くん。私達はバロムの恐ろしさもあるけど、月宮かぐらに着いて行きたいと思ったんだよ」

「え……!?」

「シールドトリガー、《ブレイン・スラッシュ》。3枚ドロー1枚捨てと、コスト8以下を墓地から呼び出す効果を選ぶけど、場に水と闇のクリーチャーがあるから両方使える、ヴァミリアを除去しなかったのが仇になったね」

 

人彩の後ろから一際豪華な衣装に身を包んだ人形のクリーチャーが、バトルゾーンに現れる。

「ブレインスラッシュの効果を両方使って墓地からバトルゾーンに。来て、《龍后人形メアリー・ジェニー》。登場時効果で山札の上から2枚を墓地に送って、コスト4以下のデスパペット、《冥土人形ウォカンナ・ピエール》を墓地からバトルゾーンに。ウォカンナの効果で黒井くんの山札を上から1枚墓地に送って、そのコスト(シザー=ゾーの4コスト)以下のジャビビルを手札に戻すよ」

「攻撃が止められた…!ターンエンド」

 

ジャビビルの攻撃をかわされて勢いが落ちた夕哉に、人彩が畳みかける。

「私達は夢見がちな逸れもの。正直、帆鳥から話を聞くまで私たちのことなんて知らなかったでしょ?」

「それは……!」

「余計なお世話なんだよね、こういうの。私たちがそうやって少しずつ生きづらいと感じたものを、かぐらの力になろうとしたものを、後から正義みたいな顔をして止めようとしてくる。帆鳥はそうは思わないみたいだけど、私はそう思う。それが嫌だから、貴方達を倒すの」

 

「私のターン、5マナで呪文、《メアリー・ジェニーのお茶会》。3枚引いて3枚捨てて、コスト3以下のデスパペット、ウォカンナ・ピエール、ヴァミリア・バレル、《冥土人形ロッカ・マグナム》をバトルゾーンに。ヴァミリアの効果でシザーゾーを手札に戻して、1枚を墓地に」

「ジャビビル!!」

「ウォカンナの効果でさっきと同様に山札を墓地に送り、捲れたジャビビル以下のコストのジャシンを手札に戻す、さらにロッカマグナムの効果で召喚でない行動は封じ、メアリージェニーの能力で全てのデスパペットはブロッカーを得てる。これで私はターンエンド」

 

どうにか猛攻を耐え切った夕哉だが、場にはシザー=ゾーとアガルーム=プルーフそしてコミック=コロックのみ。シールドを削り切るにはブロッカーが多く、手札も少ない。次のターンに勝ちきれないこと、次のターンの人彩の総攻撃を受け切るのが難しいことは明らかであった。

「だから私は貴方を倒す、貴方達デュエマ部は色々な人を助けてきたのかもしれないけど、そうやってあぶれた人間はいる、帆鳥みたいに戦う道を選んだ人もいる!私はそれを助けるためにここにいるの!」

 

人彩の言葉に、夕哉は大きく深呼吸して…。

「それで、どうしろって言うんですか」

「……え?」

「だって、俺は俺の考えでしか動けないのに、なんで怒られてるのかわからなくなってきたから。なんで俺たち全員が、神様みたいに全部の困ってる人を助ける人になってるのか、よく分からなくて」

「そんなの、そんなの…!開き直りじゃない!」

「ついさっき、ジャシンと話して友達の本当の気持ちにようやく気付いたところなんですよ、自分がそう言うのを一切見逃さない存在だなんて、絶対に思えない!だから、だから…!」

 

夕哉はもう一度深呼吸して、自分自身に宣言した。

「自分の目に映るものは、可能な範囲で手を伸ばし続ける!それが俺の変わらない気持ち!心配させるかもしれないけど、それを知って、どうやって変われば良いのか考えながら、今はかぐらや真名月を倒すために走るだけ!それだけなんですよ!」

「………」

「もう目に映った以上、先輩達も助けます、それだけ」

「ようやく闇文明らしい利己的な思考になってきたじゃないか」

 

ジャシンの言葉を聞き流しながら、夕哉はカードを引き抜く。

「俺のターン、ドロー!5マナでアビスラッシュ!《スパトー:ド:スパトゥー》!」

「な、いつのまに墓地から使えるカードを!?」

 

火文明の探索の結果、スパトーも夕哉の元に戻ってきていたのだった。

「スパトーか、確かに今なら有効打になるだろうな」

「戻ってきてくれてありがとう、スパトー。まずはスパトーでシールドを攻撃!」

「マグナムでブロック!」

「ターン終了時、スパトーはアビスラッシュの効果で山札の下に帰る。そして場から離れたために、アビス・メクレイド8を行う!」

「そんな運任せ…!」

「運任せじゃない、アガルーム達の墓地肥やしでデッキは殆ど判明してる!来い!《深淵の諦園 ガーデン=ガーチー》!登場時効果で墓地からクリーチャーを5枚まで手札に!ターンエンド!」

 

「ハンデスを無かったことにされた…!?しかも8コストのパワー12000…!除去できるヴァミリアはさっき使ってしまったし、完全に見落としていた…!」

「どうしても一人じゃ視野が狭くなる、だから教えてもらって、少しずつ強くなる、そうやって俺はここまで来ました。間違っても、俺一人の、ジャシンだけの力じゃない」

「ロッカマグナムと解体人形ジェニーをバトルゾーンに!手札からジャビビルを捨てさせる!これで防御しきるだけ!ターンエンド!」

 

「俺のターン、ジャシン達を場に出して、ガーデン=ガーチーでシールドを攻撃、その時、俺の手札を3枚捨てる」

 

防御体制に入っていたデスパペット達の下に悍ましい庭園が現れ、次々とその地面の中に沈み込んでいく。

「な、なにこれ…!?」

「ガーデン=ガーチーは攻撃時捨てたカードの数だけ相手全体のパワーをマイナス3000します、3枚捨てたのでマイナス9000が、相手の場全てに降りかかる」

「メアリージェニーの離れた時効果!1枚引いて、1枚捨てさせる!」

「俺は、全部忘れないようにしながら進んでいきます、かぐらにまた会った時、それを聞けるようにしてみますから」

「フン、こやつが嘘をついていたらどうするのだ」

「ジャシン。まぁ、それはその時考えるかな」

 

人彩 シールド0

(利己的で、独善的な考え…。でも、彼の言動に、人を助けるって言う行動に、嘘は無いんだろうな……)

「いつから忘れちゃってたんだろ、こんな風な素直さ。……シールドトリガー、無しだよ」

「アガルームで、ダイレクトアタック!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夕哉がデュエマを終わらせると、シイノがすぐそこまで迎えに来ていた。

「夕哉、お疲れ様」

「うん、あとは公輝さんに引き取ってもらわないと」

 

シイノはそれなりに喋り方を勉強したおかげか、夕哉と夕花に関しては正しいイントネーションで喋れるようになっていた。

「………」

「どうしたんですか、生形先輩」

「いや、なんでも無いんだけど」

 

そう言いつつも人彩の挙動不審が夕哉は気になった。そうは言うがやはりもう夜だ、とりあえず公輝、警察に引き取ってもらってから考えようとするのだった。そうしようとした時、人彩が一言、ボソリと呟いた。

「あの記憶の中にいた人間に、似てる…」

 

夕哉が振り向いた時には、パトカーが到着していて、人彩に話を聞ける状態では無かった。

「ちょ、待って、それって……!」

(シイノが、あの記憶の中にいたってこと?信じられない。確かに俺達はシイノの全部を見たわけじゃ無いけど、それでもシイノは俺たちの味方だと思ってる、仲間割れ狙い?にしたって今更…?)

「どうしたの、夕哉」

「いや、なんでも無いよ」

 

夕哉はそう言いながらも、ジャシンのカードが入ったデッキケースに、思わず力が入るのだった。




夕哉の!今日のカード紹介!
今日のカードは…《龍后人形 メアリー・ジェニー》!
出た時に2枚墓地を増やして、墓地からコスト4以下のデスパペットをバトルゾーンに出して、デスパペット全てにブロッカーを与えることができる強力な切り札。離れた時に1ドローと1ハンデスがあるから、このクリーチャーがいると相手はまともに手札を準備できなくなるんだ。
次回、『夢の奔流』
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