デュエル・マスターズOverLord(オーバーロード)   作:シグレサメ

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御白の不調を知った夕哉は、彼女の意思を確認するために直接彼女に会いに行く。御白の気持ちを、再度向き合いたい気持ちを汲んだ夕哉は、光屋家の部下達に引き離されてしまうのであった。


そして風になる・前

 

御白が連れ去られる前の日、夕哉が御白に取ってもらった部屋の中で…。

 

「何をしている、夕哉」

「……。家じゃないところで寝るってなったら、シイノを思い出しちゃって」

「あの異世界の娘か。確かに野宿をしていたからな。お前自身が今はできることがないと言っていたが?」

「そりゃそうなんだけど。何かあった時のために相棒達は最善の状態にしておかないと」

 

ジャシンが夕哉のデッキを覗くと、様々な文明のカードが整頓されて置かれている。

「貴様もかなり春に比べてカードが増えたな」

「時々行ってたからね、DM station。御白に良いって言われたカードばかり買ってたけど、今はある程度自分で組めるようになってきた気がするよ」

「……どうだか」

「前に自然文明を使ったじゃん」

「あぁ、マクア達はまだ戻らぬ。何処にいるのやら……」

「アビスに拘らなくても良いんじゃないかって思って」

「……余の能力はアビスしか呼び出せぬぞ」

「そうじゃん!ジャシン、アビス関係ない姿になって!」

「無茶を言うな!…しかし、心当たりが無いわけではない。ボウダン=ロウのように力を集める方法を取れば、できなくはない」

「じゃあそれになっといて!」

「貴様、余をなんだと……」

「ボウダンロウを予告なしでデッキに入れてきたりするお返し。何より、真名月と直接当たる前に、新しい戦法を試しておきたいんだ」

「ほう?」

 

ジャシンは改めて思案する。真名月が月の民最強と言われていたかぐらを切り捨てるような判断をしたと言うことは、切り捨てても大丈夫な何かを準備していると言うこと。そう思うと、夕哉のアビスだけに頼らない戦い方と言うのは、かなり理にかなっているように感じた。

 

「真名月にアビスで挑んだ時、デーモン・コマンド以外を破壊するバロム・クエイクを出してきたあたり、ある程度の対策はしてくると思うんだ。だから……」

「貴様にしては面白いではないか。裏をかかれてばかりでは面白くないからな。余もかけあってくるとしよう」

「お願いね」

 

ジャシンの声が聞こえなくなると、夕哉は深呼吸してカードに再度目を通す。

「とにかく、できることしなきゃね」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

御白は手持ちのカードを没収され、光屋コーポレーションの本社屋へと呼ばれていた。本社屋は御白の家とはまた別の皇龍市の一角に建てられており、ガラス張りの10階建ての建物が、なぜか荘厳な雰囲気すら漂わせる。

 

最上階、天井の高さが5mはあるほどの高さである社長室に向かうと、白都が代理で座っていた場所に黒い和服に身を包んだ父の灰理(かいり)が座り、その横に同じく和の貴婦人と言えるような朱色の和装に身を包んだ母の莉穂(りほ)が立っている。スーツ姿の白都は灰理の前に直立しており、御白を見つけると、早く来いと言わんばかりに顔で指示を出した。

 

「仕事で中々来れなかったが、まぁ、悪くはないのだろう」

「白都はよく頑張ってくれています。これも教育の賜物ですね」

「……ありがとうございます、お父様達がいなかったら、自分はここにいないので」

 

実の家族とは思えない重苦しい空気が、場を支配する。「兄を褒めにきただけ、自分を注意しにきただけで済んでくれるのなら…。」と感じた御白の淡い期待も、すぐに打ち砕かれる。

「だが、全てが良かったかと言うとそうではない。エンターテイメント、デジタル機器、デジタルサービス部門は上手くいっているが、旅行部門で赤字を垂れ流している」

「……はい」

「何かあったのか?」

「……責任者が必ず赤字を解消するからと、直談判されました」

「今の状態、このデータから、改善の見込みがないことは想像がつくだろう。規模を縮小し、私の部下を海外から呼び、助けを求めることもしなかった」

「……お手を煩わせる程の案件でないと判断しました」

「白都はまだ甘い。小さな傷口も、対処を誤れば大きな傷口となり、やがては致命傷となる。デジタルサービス部門のような大きなところでそれが起きたらどうするつもりだ」

「申し訳ありません……」

 

自分より数倍はできると思っていた白都でさえ、親2人の眼鏡には敵わない。幼少期からまともに親とは話せなくて、未だに底が、本音が読めない。それが御白の心拍数を上げる。

「御白」

「はい……」

「信じられない成績だ。中学の時はこんなに酷くなかっただろう」

「すいません……」

「何故こうなった?」

「勉強を……怠ったせいだと、思います……」

「何故やらなかった?」

 

有無を言わさない凄まじい重圧感が、御白を叩き潰そうとする。灰理がそのつもりがなかろうと、そういうものとなってしまっている。莉穂はそれを当然のものと見ているし、白都も普段の関係性を考えるに、助け舟を出してくれるとは思えない。

「……趣味を、していました」

「趣味?なんだそれは?」

「恐らく、デュエル・マスターズのことかと」

 

莉穂が口を挟む。灰理は少し考えた後、こう続ける。

「デュエル・マスターズは、海外の会社と協力して我が社がデジタルサービスを出している商品だ。それで遊ぶことがあっても良いだろう。しかしそれに現を抜かし、成績を落としていたなど……。いつになったらお前を会社のために使えるのか分からぬな……」

「ごめんなさい……」

「あの男は誰?」

 

今度は莉穂から質問が入る。

「黒井くんです。家庭教師をやってもらっています」

「家庭教師を?聞く限り高校生だろう?プロでない人間が教えられることなんてタカが知れている。大方高校生同士の一時の間違いだ。そいつに『厳重注意』をする。これを黙認していた使用人は、全て解雇する」

「そ!それだけは……!」

「なんだ?」

「ーーー!!」

「黙認した使用人はともかく、黒井にそれはやりすぎです」

 

御白は厳重注意の意味を知らないが、直感で自分が夕哉と一生会えなくなるのを直感する。どんどん立場の悪くなる御白に助け舟を出したのは、なんと白都だった。

「御白とそいつがどうやって知り合ったかまでは知りませんが、彼の成績は悪くないどころか寧ろ昔の俺くらいにはいい方であるし、御白の成績自体もそいつを雇ってから上がっています。父さんが求めるラインに到達しないのは分かっていますが、そんな奴を『厳重注意』に納めるのもかなりのリスクかと」

 

2人が話し合っている間に、白都が御白に耳打ちする。

「これが限界だ。時々流れてくるデータとかを見てると、少なくともお前よりは将来有望だ」

「ありがとうございます、お兄様……」

 

2人が相談を終えて、夕哉について厳重注意は行わないが、御白からは引き離し、別のもっと有能な家庭教師を充てると判断が決まる。誰もそれに口を挟めない重たい沈黙が続く中、部屋の中に一人の使用人が入ってきた。

「どうした?後にしてくれ」

「いえ、大事な取引先の方からの差し入れのケーキなので、折角なら家族皆様で食べてくださいと……」

「毒見はしたのか」

「はい、使用人が食べて確認しています。私も食べてから20分ほど経ってからお伺いしました」

「……その社名、その住所…。あのクセモノ社長の特徴的な筆跡。本物のようだな。話は後にしよう。あちらの顔も立てなければならない」

「私が切り分けさせていただきます」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ごめんなさい、今ちょっと食欲が出なくて」

「御白、体調が悪いなら別の部屋で休んでいなさい」

「大丈夫です、すぐ治ると思うので……」

 

4人が部屋を移し、食卓を囲む。荘厳な灰理と、優しく微笑んではいるものの、冷たさのある莉穂の威圧感で、御白は未だにまともに口を開けることができない。そう言って3人がケーキを食べる。

 

「美味しいですね」

「あぁ、アイツの選ぶ土産は間違えないからな……」

「………」

 

そう言った瞬間御白以外の3人に激痛が走る。

「どうしたんですかお父様!お母様!?」

「な、なんだ……!?」

「御白、とりあえず使用人達に知らせろ!」

「簡単なトリックですよ。そのものが無毒でも、包丁に毒を忍ばせればいいんですから」

 

そう言って使用人が御白の前に立ち塞がる。その声はいつの間にか使用人のものではなくなっており、御白が何度も聞いたことある声へと変わっていく。

「月宮……かぐら!!」

「ひっさしぶりですの、良い気分ですわぁ。ずっと会いたかったんですもの!」

「夕哉くんか私か、どっちでもいいから復讐したかったんですね……」

「御白、何を言ってるんだ…!?うぅっ」

 

そう言って灰理と莉穂は意識が切れる。

「あぁ?復讐?どうでもいいですのそんなこと。だって復讐なんてしなくても、弱くてもそいつの大事なものを踏みつければ、そいつは悔しがるでしょう?」

 

そう言って使用人は先程の毒を仕込んだ包丁をこちらに向ける。

(……ドランさん!!)

「クリーチャーを使わないですの?まぁいいですの、今日の目的は貴方の家族」

(操っているであろうかぐらさんを止めれば、すぐに……!)

「これ以上動くと、家族を1人1人刺して行きますわよ?」

「………これで、いいですか」

 

御白は両手を挙げる。

「御白、そいつは何者だ、何故そんなに……!何があった!」

「お父様、今は……!」

「気が変わりましたの。皆殺しが一番喜ばしいですわね」

 

そう言って御白の元にナイフを突き立てる。その時、部屋の扉が開け放たれ、御白と使用人の間にエン・ゲルスが割り込み、その攻撃を代わりに受けた。

「御白!エン・ゲルス!!」

「黒井夕哉!御白をお願いします!!」

「ーーー!わかりました!」

エン・ゲルスの絶叫に、夕哉は否応なく御白へと向かわされる。

「ゆ、夕哉く……!」

「色々ギリギリアウトなことをやって、ドラン達を持ってきたんだ!良いから、早くお兄さん達を!」

 

かぐらは使用人を操り御白に再度包丁を突き立てようとするが、エン・ゲルスがそれを掴んで離さない。

「離せ、一度は死んだ亡霊め!!」

「そう、私は一度死んだ亡霊。長いことこの世にはいてはいけない定め。そしてそれは異世界を渡り歩き、渡った世界を食い荒らす貴方達も同じ!」

「エルボロム!」

 

部屋の上からエルボロムがバリバリと天井を破りながら現れる。エルボロムが身体をエン・ゲルスに絡ませ、ガリガリと様々なパーツを破壊していく。

「建物の屋上にいたのか…!かぐらを止めてくる!ジャブラッド、御白とその家族をお願い!」

「ジャブラァ!!」

「エン・ゲルスさん!何を!!」

「良いから、早く家族を救いなさい!貴方の家族に代えなんてない!」

 

その言葉を受け、今度はカードから出てきたドランがエン・ゲルスの元に向かおうとするが、カオスマントラが止める。

「エン・ゲルス様こそ何を!!私達の家族なんですよ!?」

「言ったでしょう!私は一度死んだ身!今ここにいることも奇跡のようなもの!」

「そんなこと!!……まさか、自分がいなくなっても良いように!?」

「いずれこうなることはわかっていました、あの手合いは手段を選ばないのに出ることも厭わないと、なんとなく予感していたのです!」

「これ以上御白の家族も、御白の大事な場所も壊させはしません!」

 

そう言ってエン・ゲルスは雄叫びを上げながら、全身の車輪を駆動させて自分の身体をエルボロムごと跳ね上げる。そのまま社屋の近くの誰もいない道路へと、エルボロムを下にして身体を叩きつけた。

「エン・ゲルスさん!!!」

 

気絶した3人を寝かせて、御白が外に出ようとすると、白都がそれを止める。

「御白。お前……」

「起きていたんですか?お兄様……」

「何をしていたんだ。本当に……」

「怒るなら後にしてください。怒られるのは、慣れてますから」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

御白が社屋から出ると、エン・ゲルスは、もう白紙のカードへと戻っていた。それを拾った御白は、暴れるエルボロムをジャビビルブラッドに任せ、ドランをカードから呼び出し直す。

「なんでなんでしょうか。なんで……」

「私にもわかりません。カイザーも、エン・ゲルス様も。なんで……」

 

ドランは、手元からデッキを取り出す。

「このカード、このデッキは、エン・ゲルス様が私が強くなると言った際にくださったデッキだ。いわば遺作となるのだろうか。もう、こうなることはわかっていたのでしょうね」

「………あの人が、本当に手段を選ばなくなるのを」

「そうです。そして御白さんの本当に大事なもの、家族を守るために。恐らくあの方は……」

「エン・ゲルスさんは、なんて言っていましたか」

「あの人は、態々『月宮かぐら』を倒せると言っていました。真名月には届かなくても、彼女と決着をつける、その準備はしてくれたと思います」

「………」

 

「喜ィイイイーーーーーッッッ!」

エルボロムが雄叫びを上げて、ジャビビルブラッドに反撃する。その隙をついてジャビビルブラッドはもう片方の口でエルボロムに噛み付く。その衝撃でエルボロムが倒れ、別の建物に倒れる。中にいた人々が避難していく中に、1人そこから動こうとしない人間が目についた。

 

「夕哉くん」

建物の中で操られていた使用人を介抱する夕哉に、御白が声をかける。

「また、助けられちゃいましたね」

「そんなことない。エン・ゲルスを守れなかった」

「そうですね。でも、悲しんでばかりじゃいられないじゃないですか。無くしても、進んでいくしかない。残された中に、きっと残ってるものがありますから。行きましょう、ドランさん」

 

御白がエルボロムが倒れた建物の中に入ると、そこにはいつものフリルがついたお姫様のような洋服が、真っ黒に染め上げられたかぐらがそこにいた。

「もう、デュエマすらもしなくなったんですね」

「クリーチャーの力を使わずとも、それで喜びがあるなら私はやりますの」

「そうなんですね。見損ないました。貴方は色んなことをしても、最低限のルールは、デュエマというルールは守ってくれていると思ってましたから」

「ふふ、もう物理的で止めても良いんですのよ?」

「そんなわけないじゃないですか」

 

御白は、こう続ける。

「デュエマを悪用するのは許せません。でも、貴方のやってることよりは、よほどマシに思います。デュエマが手段であろうとなかろうと、そこには相棒を生かすためのデッキ作りがあり、相棒とその仲間たちを100%使いこなすためのプレイングがあり、そしてそれらを前提として乗り越えた先の運の勝負がある。だからデュエマは、どうしようもなく人を夢中にさせるんだと思います」

「へぇ?本当にデュエマが好きなんだね……」

「今の貴方は、エルボロムをただの人を害する手段としか見ていない。クリーチャーと一緒にいる資格なんてありません」

 

その言葉に、かぐらは逆上する。

「はぁ!?私には『エルボロムしか』いませんの!喜びを集めるように言われて、滅ぼす世界の人々の一部だけを助ける、そのナビゲーターを務めることで集める優越感、全能感、大きな喜び!これを集めてきたのは他でもない私ですわよ!!」

「そんな喜ばせ方しかできないんですね。もう一度言います、今の貴方にクリーチャーを扱う資格はありません」

「消えろ!消えろ!光屋御白なんか!デュエマなんか!私のことを汚した汚点なんか!!」

「そう見えてるんですね。じゃあもう言葉はいりません。カオスマントラさん、周りの警護を頼みます。よろしくお願いします、ドランさん」

「行きましょう、御白さん」

 

「………」

「デュエマ、スタート」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

白都が、父親達を救急車に乗せようとするが中々やってこない。突然化け物によって道路が壊れたと言っている。何を言っているかわからないと一蹴したいが、どうにも今は否定できない。近くの誰もどうしようもない中、使用人の看病をする夕哉の姿が目についた。

 

「黒井、夕哉。で合っているか?」

「はい、どちら様で……」

「光屋白都。御白の兄だ」

「御白のお兄さん…!?」

「あぁ、そいつの体調は大丈夫か」

「無理に体を動かされて疲れているだけだと思います、近くの休めるところに運ぶつもりだったんですけど…」

「それは俺の部下にさせる。お前はこちらに来てくれ」

 

そう言って白都は夕哉を連れていく。早歩きでエレベーターに向かうが、どうしてもそれが長く感じる。

「操られた使用人。あれは、なんだ」

「クリーチャーの力で操られていたと思います」

「クリーチャー?デュエル・マスターズのか?本当に存在すると?」

「俺も架空の存在だと思ってました。でも俺もジャシンっていうクリーチャーと出会って、信じざるを得なくなったというか」

 

白都は、時々あった御白の不可解な言動や行動を思い出す。

「まぁ、親父は信じてくれないだろうな。……御白は今、それと戦っているのか」

「正確にはクリーチャーを使うデュエリストと。大丈夫です、頼れる相棒がいるので」

「……そうか」

 

灰理と莉穂のところに辿り着くと、夕哉はジャシンをカードから顔だけ出させ、状態を診る。

「貴様、流れるように余を出したがやるとは一言も……」

「ジャブラッドは戻ってきてる最中だから君しかいない。ウィンナー30本で!」

「フン、後から減らすなよ?」

 

夕哉とジャシンのやり取りを、白都は不思議そうに覗いている。

「いつもこんな感じなのか?あんな人を操るクリーチャーというものと」

「ジャシンは考え方は危ないですけど、無計画に暴れる奴じゃないので」

「夕哉、聞こえているぞ」

「ごめん。ねぇどうだった?」

 

ジャシンがこちらに顔を向けてこう話す。

「光のマナの取り過ぎだな」

「それって、前にアビスのクリーチャーが記憶がぐちゃぐちゃになっちゃったあれ?」

「に近いな。よく覚えているな」

「まぁね。何事も過剰に取りすぎは良くない、本来こっちの世界に無いものなら余計にってことだね。対処法は?」

「闇のマナで相殺する」

「分かった、お願いできる?」

「余がこいつらを害することをしないという根拠は」

「ないね。でも人間の病院じゃ治せないし、一番手っ取り早くて確実性の高い方法なら、やらない理由はないでしょ」

「貴様、本当に減らず口を叩くようになったな」

 

ジャシンが闇のマナを少量与えると、エルボロムが撒き散らした光のマナと相殺し、少しずつ顔色が良くなっていった。

「これで少し寝ればよくなるだろう」

「ありがとうジャシン。結局ちゃんとやってくれたじゃん」

「……気まぐれだ」

「まぁ、こんなところで俺を乗っ取っても意味ないもんね」

「余の言葉を予想して先に言うな!」

 

ジャシンをカードに戻し、莉穂を白都に任せ、灰理を寝かせる。

「じゃあ、俺はここで……」

「待ってくれ」

「なんですか、まだ……」

「御白は、いつからこれをやっていた。いつから、相棒のクリーチャーと心を通わせていた」

「4月です。御白が相棒と会ったのは5月前くらいですけどね」

「今日までの間、ずっと秘密にしていたのか。こんな危険なことを」

「危険ですよね……」

「あぁ、君が相棒と言っているクリーチャーも危険そうだった。途中で止めることすら考えた。君たちは、クリーチャーに脅されてその関係にいるのか」

 

夕哉は少し考えた後、こう答えた。

「確かに、意見が合わなかったり、いざこざがあったり、酷い目にあったりもしますけど。それ以上に一緒にいるのが、相棒がいる世界が、どうしようもなく最高なんですよね。友達達と一緒に、そんな相棒と一緒に遊べるデュエマがあるんだから、俺たちは手放せない、手放さないんです」

「………」

 

夕哉はそう言って、エレベーターに向かっていった。




御白の!今日のカード紹介!
今日のカードは…《ドラン・ゴル・ゲルス》!
革命チェンジでメカの攻撃時に呼び出せるクリーチャーで、出た時シールドを1枚ブレイクしてコスト3以下のメカを呼び出せます。何から何まで強力な、私の相棒です!
次回、『そして風になる・後』
エン・ゲルスさん。決着をつけてきます。
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