デュエル・マスターズOverLord(オーバーロード) 作:シグレサメ
夕哉と出会った別世界の少女シイノは、夕哉達の世界をバロムと月の民の支配から救う為に、夕哉を手助けにやってきた。まず2人は飛水の記憶を戻そうとするものの、そこに現れた月の民、流狼(るろう)とのデュエマをシイノが請け負い、水晶マナとゼニス・セレスという異世界のカードで勝利。夕哉を追いかけていくのであった。
深淵の奥地に飛水を連れ込んだ夕哉は、深淵に捨てられていたギターを彼に見せた。
「飛水!なんか思い出さない!?」
「……ギターだな。それが?」
「嘘、ギター見せれば1発だと思ってたのに…」
「まぁ音楽やってるけど別にそれ以上はねぇよ。つーかよく知ってたな、俺が音楽やってるって」
「じゃあこっち!」
夕哉はデュエマのデッキを見せるが、飛水の反応は芳しくない。
「お前、俺の趣味両方知ってるの怖いんだが?話したこともないよな?」
「いや、そうなんだけどそうじゃなくて…」
「それよりも俺はこの摩訶不思議な空間の方が気になるんだが」
「それは、気にしないで」
「……ハァー。どうすれば帰してくれるんだよ」
飛水の記憶を取り戻す作業は、夕哉の想像以上に難航していた。クリーチャー達に関する記憶を失っているせいで音楽系統から攻めてもデュエマ系統から攻めても戦果は無し。
「夕哉よ、これからどうするのだ?」
ジャシンが後ろから口を挟み、飛水が驚く。
「うわぁ化け物!?」
「化け物とはなんだ、余はジャシン、アビスベル=ジャシン帝ぞ!」
「ジャシン!?こいつがこの空間の主人か!?」
「ねぇこれも見たことない?どこかで…」
「これとはなんだこれとは!」
飛水は一度状況に突っ込むのを諦め、夕哉の言うとおりこの化け物への既視感を手繰り寄せようとする。
「…だー!ダメだ、本当に何を思い出せばいいんだよ、もう全部言ってくれよ!」
「…分かった、長いけど、聞いてね」
そう言おうとした夕哉の口をジャシンが手で塞ぐ。
「いぁぃん!?あんえ!?(ジャシン!?なんで!?)」
「昔光文明の瘴気を浴びた余の眷属が記憶喪失になった時、無理に記憶を思い起こさせようとして記憶が混濁し、悪化した事例がある。真名月は動かないだけでなく、余達がこれに一度でも失敗したら勝てると言うことを知って強く手出ししてこないのだろう。月の民が下手に動けないのもあるだろうがな」
「そんな、じゃあどうすれば…」
「決まっているだろう。個々を組み合わせ、自然な形で過去を思い出す方法。今まで使っていた記憶を思い出し、新たな戦い方を生み出し、また新たな記憶とする方法」
「……デュエマ!?」
「その通りだ」
夕哉とジャシンのやりとりを、飛水は見ているしか無かった。間違いなく異常で、逃げ出したい光景なのに、どこかこのやり取りを見ていなければならないと言う気持ちも、確かに存在していた。
「ねぇ飛水、デュエマしよう!」
「まぁ話してた内容的にそんな流れなんだろうな…。1戦だけな。これで何も思い出さなかったら、俺を元の場所に帰してくれ」
「よし、やろう!」
「「デュエマ、スタート!」」
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シイノはデュエマで負かした流狼を捕えようとするが、フミビロムを呼び出した流狼にひらりとかわされてしまう。フミビロムは敗戦で疲れ切っていたが、少女1人の手を振り払うくらいの力は簡単にあった。
「ねぇ君、あのデュエマで契約クリーチャー出してないよね」
「………」
「何で出さないの?黒井夕哉の役に立ちたいんでしょ?そのままじゃ俺たちを倒せたところで捕まえるまではいけないでしょ?」
「貴方には関係ない」
「やぁー。詰めが甘くて俺は助かるけどね」
そう言って流狼はフミビロムに乗って飛んでいった。学校の近くで殆ど人がいなかったことを確認したシイノは、大きなため息をついた。
「分かってる……、分かってる」
シイノはそう言って朝夕哉が買ってくれたあんぱんに手を伸ばす。もぐもぐと餡子の甘さの海に入ろうとするが、先ほど言われた言葉がじんわりとシイノの中に広がっていく。
「契約クリーチャーを…わたしは、使えない」
そう言って夕哉を待とうとしていると、突如闇の扉がシイノの近くに開いて、中から《フォーク=フォック》が現れる。ジャシンと夕哉の古株の仲間であり、夕哉が予めシイノに何かあってもと待機させていたらしい。
「え、何」
「夕哉様からです。『シイノにもデュエマを見てもらいたい』だそうです」
「なんで、わたしはただユウヤの目標が達成できれば…」
「彼はそう言われることも予期していましたよ。貴方のことをただ助けてくれるだけの人にしたくない、そうですよ」
夕哉はシイノを信頼してくれている。それが答えになったような一連のやり取りで、シイノの心はすっと軽くなった気がした。
「分かった、行く」
「はい、すぐ行きましょう」
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夕哉の先行で始まったデュエマ。夕哉は墓地をためながら盤面を広げるいつもの戦法を、飛水は革命チェンジという能力を多用する火水マジックで勝負を始めた。
(記憶が変わっても、使うデッキは同じなんだ)
(しかし契約したと言う記憶が余の記憶の消失によってドミノ倒しに起きている以上、カクメイジン達とは契約していないな)
(だよね。それでも少し安心した)
「俺のターン!2マナで《ブルーム=プルーフ》を召喚!登場時効果で墓地を1枚増やしてターンエンド!」
「俺のターン。《AQ Vibrato》を2マナで召喚。登場時効果で1枚ドローしてターンエンド。何から何まで訳わかんねぇな、黒井」
「あ、アビスのカードって…」
「もういいわ、突っ込むのも、追求するのも」
「それはダメだって!」
夕哉が突然そう言って、飛水は驚く。
「飛水の良いところは、できなかったりわかんなかったりする事を納得するまでやることだと思ってたのに…!」
「買い被りすぎだろ、俺は普通の男子高校生だ」
「そんなことない!飛水は凄い、だから戻ってきて欲しいんだよ!俺のターン!3マナで呪文、《邪侵入(ジャスト・イン・ユー)》!山札の上から4枚を墓地に置いて、墓地から《邪魂の王道(アビス・キング) ジャシン帝》をバトルゾーンに!ターンエンド!」
「さっきのやつか…。俺のターン、2マナで《アシスター・Mogi林檎》を召喚、ターンエンド。ブルームがめんどいな」
「そりゃそうでしょ!飛水対策に積んだんだから!あ…!」
夕哉の失言を飛水は笑って聞き流す。
「もうある程度何言われても変に思わないわ。黒井はどこかで俺のことを細かく知っていて、不思議なデッキを使う。それだけだもんな」
「それだけって…!」
夕哉の言葉にできない歯痒さに、ジャシンが付け加える。
「こやつが使っていた水文明は、知識と探求の文明だ。そのクリーチャー達と出会い、契約しなかった以上、今の変化は妥当かもな」
「そんな…!そうだ、文化祭!覚えてる、飛水?」
「文化祭、あぁ、楽しかったよな。黒井はどこにいたんだ?」
「飛水のライブを外で聴いてたんだよ、あの時の飛水凄くて…!」
「俺は、ライブなんかやってないぞ?」
「……え?」
飛水が音楽の道を諦めずに、人前に立つことを選んだ1つのターニングポイントが彼の記憶からなくなっていた。夕哉は取り乱し、スマホの写真から必死に文化祭の写真を探す。
「嘘、そんなはず…!なんで、無いんだ…!?」
「余が囚われていた時真名月が言っていた。バロムの記憶を奪い取る力はただ記憶を奪うだけでは無い。世界そのものを、変えた記憶に都合がいいように改竄するとな。どのくらいの速度で消えるかを奴は語らなかったが、大方、貴様がこやつと仲良くしていたという記録はほぼ消えているだろうな」
このタイミングでシイノが深淵に到着し、夕哉が項垂れているのを見て、何が起きたのかを察する。
「真名月のやり方は…そう、記憶を残した人間もへし折っていく…。ユウヤ…」
全てを奪い尽くす悪魔神の力を、今一度夕哉は思い知らされていた。しかし夕哉の目から光は消えていない。
「……まだ、まだぁ!真名月に何を改竄されようと、最後の最後まで諦めない!まだ記憶を思い出す方法があるなら、最後の1秒まで諦めない!俺のターン!」
夕哉は強い力でカードを引き抜く。
「ジャシン帝の効果、墓地からアビスをコストを払えば何体も召喚できる!2コストで《ド:ノラテップ》!ノラテップの効果で軽減して、2コストで《ジョーロー=スイーロ》を召喚!ノラテップとジョーローをタップして、ジャシンをOVERハイパー化!ぶち抜け、ジャシン帝!」
ジャシンがハイパーモードに入り、タコのような触手を呼び出し、一気にシールドを叩き割りにかかる。
「ジャシンでシールドを攻撃!山札の上から3枚を墓地に送り、その墓地枚数以下のコストのクリーチャー、Vibratoを破壊!」
「Mogi林檎はジャストダイバー、選ばれねぇよ」
「それでも、攻撃は続いている!」
飛水 シールド2
「Gストライク!《芸魔隠狐(げいまいんこ) カラクリバーシ》!このターンのブルームの攻撃を止める!あのクリーチャーの破壊力、冗談キツいな…!」
「ターンエンド。飛水、全力じゃなきゃ、向き合えないよ」
「……何だって…?」
「覚えてないと思うけど、俺は飛水の前に進む姿勢に後押しされてきた!音楽にも、悪いことをした飛水の叔父さんにも、デュエマにも向き合ってきた飛水に!だから、戻ってきて!思い出して!」
「……俺のターン」
飛水がカードを引き抜く。その引き抜いたカードの軌跡には、少し青い煌めきが描かれていた。
「Mogi林檎の効果でマジックの使用コストを1軽減、カラクリバーシを4マナで召喚、カードを1枚引き、コスト3以下の呪文、《♪オレの歌 聞けよ聞かなきゃ 殴り合い》を詠唱、お前のコスト2以下のエレメント、ノラテップとブルームを破壊!」
「ジョーローの効果、俺のクリーチャーが破壊された時に1枚ドロー、2回使うよ!」
「またOVERハイパー化の種を作られるって訳か、だったらこのターンに終わらせる!」
(飛水はここまでに殆どドローカードを使ってない!それなら…)
「カラクリバーシで攻撃する時、条件:コスト5以上のマジックの攻撃を達成、《芸魔王将(げいまおうしょう)カクメイジン》に革命チェンジ!カラクリバーシとカクメイジンを入れ替える!」
「シールドで受ける!」
将棋の王将が刺さった城から、赤と青の火と水を操るドラゴンが現れる。呪文と数多の戦法を操るドラゴンに、飛水の頭に電流が走る感覚がして、座り込む。それに対して夕哉は、
「ねぇ飛水、何か思い出さない!?」
と口にする。しかし飛水は悲しそうに、
「なんか、前から使い込んでた気はする。それだけだ」
「だったら…!」
「でも、それを思い出したら取り返しがつかないかもしれない。これをただの遊びにしておきたい自分がいる」
「………」
飛水が吐露した感情に夕哉が向き合ってくれているが、飛水はその恐怖を振り切れない。
「ゲームを続ける。カクメイジンの攻撃がシールドに着弾する時、ブレイクする枚数だけマナ枚数以下、コスト4以下の呪文を手札または墓地から唱える。1枚目、《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》。お前の墓地を山札に全部戻して、俺は2枚ドローする。さらに2枚目、《瞬閃と疾駆と双撃の決断(パーフェクト・ファイア)》!コスト3以下のクリーチャーのブロッカー、《イシカワ・ハンドシーカー》をバトルゾーンに出し、カクメイジンを初めての攻撃終了後アンタップする!」
(やっぱり!《単騎連射(ショートショット) マグナム》などを使った封殺コンボまでは辿り着けない!でも、シールドトリガーを引けなかったら次こそやばい…!)
シイノが心配そうに見守る中、夕哉は一度親指を立てる。自身もギリギリの状況なのに、何故こうできるのかと、なぜ人を元気付けられるのかと、シイノは不思議に思うのだった。
夕哉 シールド3
「シールドチェック1枚目!シールドトリガーなし…!」
「ただの、遊びだろ…?」
夕哉の真剣な表情にそう溢した飛水に、夕哉は笑顔で答える。
「遊びだから、飛水とやるデュエマが凄い楽しいからだよ」
「黒井…」
夕哉は真剣な顔に戻り、シールドからカードを引く。
「2枚目!来た、シールドトリガー、《コミック=コロック》!これがブロッカーだから、カクメイジンのブレイクを受け止められる!」
「…Vibratoで攻撃する時カラクリバーシに種族:マジックのクリーチャーから革命チェンジ、呪文、《氷柱と炎弧の決断(パーフェクト・コールドフレイム)》。1枚捨てて2枚ドローを2回行う」
夕哉 シールド2
「よし、シールドトリガー!シビルカウント2、闇文明クリーチャー2体でシールドトリガーを獲得して、邪侵入!山札の上から4枚を墓地に送り、墓地からブルーム=プルーフをバトルゾーンに!これで革命チェンジを止めた!」
「コミック=コロックから風向き変わっちまったな…。あぁ、2枚目のカラクリバーシで盤面展開もできない。残ったカクメイジンで適当にブロッカーを削って…」
「ジョーローの効果で、俺のタップしたクリーチャーは全員スレイヤーを持つ。そんなに雑に相棒を捨てるつもり?」
「相棒…?」
「うん、カクメイジン。飛水がずっと大事にしてたクリーチャー」
「カクメイジン…。俺がそんなに…。最近発売されたから俺は買っただけで…」
「ねぇ飛水。完全にたまたまだけどさ、昔やったデュエマも引き勝負になったんだ。前はハンデスして、《AQ NETWORK(アクア ネットワーク)》を手札から落としてどうにか勝ったんだ。今はコミックコロックか邪侵入を引けなかったら負けだった。俺と飛水のデュエマは、大体紙一重だよ。でも、お互いに相手を認められた。それが俺は、たまらなく嬉しかったんだ」
その言葉をきっかけに、飛水の頭で何かが流れ込んでくる。頭を抑えながらも、その記憶がどこから来たのか必死に手繰り寄せる。もう未来に対する、思い出すことへの漠然とした不安は、もうどこにもなかった。
「……ぶつかり合って、そして、認め合ってか。なぁ“夕哉”、俺は、先に進むことを怖がって、この先を見ようとしなかった。音楽も、デュエマも、全部中途半端に終わらせようとしてた」
「飛水!もしかして記憶が!」
「さぁこっからはアンコールだ、ノーガードで殴り合おうぜ、夕哉」
そう言うと飛水の周りから記憶の欠片が溶け始め、本当の記憶が蘇っていく。
「イシカワ・ハンドシーカーで攻撃する時、カラクリバーシに革命チェンジ!イシカワ・ハンドシーカーのメガ・ラスト・バースト、《♪聞くだけで 才能バレる このチューン》!2枚ドローして1枚捨てる!」
「ブルームの効果でカラクリバーシは破壊される筈…!まさか!」
「あぁ、カラクリバーシの登場時効果で1枚引き、来た、2枚目の聞けよ聞かなきゃ 殴り合いだ!」
「不味い!ブルームの効果で召喚以外の方法で出たカラクリバーシを破壊!」
「好都合だ!アタックキャンセルの形になったぞ、夕哉!」
ブルームとコロックがカラクリバーシから放たれる音波攻撃を受け止めるが、敢えなく破壊されてしまう。しかしブルームは最後の力を振り絞り、カラクリバーシを箒で叩いて相打ちに持っていく。
「カクメイジンでシールドに攻撃!」
「シールドで受ける!」
「1枚目!氷柱と炎弧の決断!2コスト以下のエレメント、Vibratoと《歌舞音愛 ヒメカット》をバトルゾーンに!更に呪文、瞬閃と疾駆と双撃の決断!Vibratoにスピードアタッカーを与え、《単騎連射 マグナム》をバトルゾーンに!Vibratoの効果で1枚ドローし、マグナムの効果で俺のターン中に出る相手クリーチャーが出るのをを止める!カクメイジンの効果でヒメカットもスピードアタッカーだ!」
夕哉 シールド0
「ぐううぅっ!」
「ユウヤ!!」
飛水の手にはいつの間にか《Drache Der'Zen》とカクメイジンの2つの意識、赤い龍のメイと青い龍のジンが戻っており、彼は再度契約の言葉を口にする。
「なぜ離れやカクメイジンのカードになっても、俺がお前らのことを思い出せなくても、ずっとそばにいてくれたんだな、『俺の、俺たちの音が、ずっと皆を守っていけるように』。また頼んだ」
「さぁ、僕たちもライブの続きを始めよう」
「えぇ、私(わたくし)はまた一緒に戦えて光栄です」
「またメイと一緒に飛水の役に立てるのか、楽しみだな」
完全に復活した飛水とDrache達に、夕哉は歓喜の声を上げる。
「ありがとう飛水、やっぱり飛水とのデュエマはこうじゃなくっちゃ!」
「ありがとな夕哉、でもどうするんだ、こっから返せんのか?」
「少しずるいかもだけど、飛水のデッキに刺さるカードは、念の為用意してきたんだ。ここまでの墓地肥やしでほぼ見えてないし、来ると思う」
「じゃあ引いてくれ、夕哉」
「オッケー、シールドチェック1枚目、なし…!」
夕哉は笑顔で最後のシールドを引き抜く。彼にも、この先に、このシールドを見ることに恐怖はなかった。
「来た!シールドトリガー+!《死神XENARCH(ザナーク)・ハンド》!通常効果で相手クリーチャー1体、カクメイジンを破壊!」
「まだVibratoが止まってねぇぞ!」
「勿論分かってる!このターンに2枚以上ブレイクされていたら、追加効果を発動する!このターンに出た相手クリーチャー、飛水のクリーチャーを全て破壊する!」
飛水のクリーチャー達が全て破壊される。しかし飛水の顔は爽やかであった。
「関係ねぇ!次のターンも耐えるだけだ!」
その言葉に、シイノは不思議な気分となっていた。
「デュエマで、なんでこんなに楽しそうに、してるんだろう…。わたしの世界では、そんなこと……」
夕哉もまた笑顔で、その飛水の礼儀に返す。
「俺のターン!手札から《シックル=シーク》とド:ノラテップ、コミック=コロックを合計5マナでバトルゾーンに!シックルとノラテップをタップして、ジャシンをOVERハイパー化!シールドをWブレイク!」
飛水 シールド0
「シールドトリガー無し、完全にやられたわ」
「ジョーロー=スイーロで、ダイレクトアタック!」
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深淵に夕哉、飛水、シイノの3人で座り、情報を共有すると、飛水は意外にもすぐに状況を飲み込んだ。そしてジャシンはここまで働き詰めなことに疲れたのか深淵の奥で少し寝るといって引っ込んでいった。
「飛水、信じてくれる?」
「いやまぁ、現にカクメイジンとDracheのことを忘れるなんてこと起きてる以上な。真名月とやらがやったことにも、ある程度納得が行った。この感じだと光屋達も不味いんだろ?」
「うん、だから御白達を…」
「ちょい待ち。お前がなんも知らない2人にすぐ話しかけたら、警察の厄介になるのが目に見えてる、特に光屋の方は」
「確かに……」
そこを考えていなかったのかと飛水はため息をつくが、気を取り直して助言する。
「あくまで記憶を最優先で戻さなきゃいけないのが俺たちなだけで、地味に必要な人はいるだろ?俺たちの協力者」
「公輝さん!」
「コウキさん?」
正路 公輝(しょうじ こうき)は、クリーチャーの起こす事件の為に動いている刑事であり、真名月とバロムの襲来前は夕哉達のバックについて様々なことを請け負ってくれていた頼れる人間である。夕哉も思い出していたものの、シイノの言うとおりだと思い飛水の救出を優先していたのだ。
「いや、御白達を優先しなきゃと思ってたけど…」
「実際鍵はそうなんだろうが、人に会うにも順序があるだろ?それに……痛っつ!?」
飛水は急に頭を抑え、頭痛に耐える。
「飛水!?大丈夫!?」
「多分、急激に色んな記憶が戻ったから混乱してるんだと思う。家に帰って、休むべき」
「……まじかぁ。分かった、シイノ、だっけか?こいつ、まともに見えてすぐ無茶するからちゃんと見ててやってくれないか?」
「……?分かった」
「ありがとう飛水。元の場所に帰すよ」
「あぁ、ありがとうな」
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夕哉とシイノを見送った後、飛水は早退の連絡を学校に出し、家に向かっていた。
(多分、月の民ってやつらのあの感じだとこの後も記憶が戻った風に動いちゃいけないんだろうな、夕哉達しか表立って動けねぇ)
飛水はため息をつきながら、デッキケースを見る。カクメイジンとDracheが帰ってきたと言うのに、自分が何もできない無力を痛感する。
(シイノってやつ、どこまで信用していいんだ?夕哉を助けたって言ってたけど、正直信じるしか他に手がないからっていう感じだ。あいつの真意はなんなんだ…?)
そして飛水はスマートフォンでクラスの名簿を出す。夕哉が公輝に会うように助言した理由であり、確認してほしいと伝えたもの。
(何より、緑はどこに行ったんだ?記憶を取り戻す前は緑髪で昼休みを飯食った後日向ぼっこに時間を使うとかいう目立つ特徴であっても、記憶を無くした俺の印象になかった。家で確認するが、多分名簿にも乗ってない。本当に、どこに…?)
「…できることをやるだけだな」
そう不安を膨らませながらも、飛水は夕哉とシイノを信じることにするのだった。
飛水の、今日のカード紹介!
今日のカードは…《芸魔王将 カクメイジン》!
コスト5以上のマジックから革命チェンジできる大型クリーチャーで、攻撃がシールドにたどり着けばマナ枚数以下の好きな呪文を手札か墓地から唱えられる。圧倒的なアドバンテージを取って、一気にゲームを決められる、俺の切り札だな。
次回、『消えたもの、消えないもの』
夕哉、怪しまれないで会えるといいんだけどな…。