イナリポータルを使い、4人はミヤコに着いた。
フブキはミヤコに着くや否や、近くの団子屋さんにふら~と誘われている。
「さて、ミヤコにも着いたし、とっととイナリ神社に向かおう。……フブキ、買い食いは事件が終わってからな」
「フブキ……」
「久しぶりのミヤコだったから、つい……」
と、フブミオは近況やキュウビについて話ながら、終夜とアベンチュリンはそんな2人を見て微笑みながらイナリ神社へ向かう。
イナリ神社はバタバタしているようで、他のイナリ一門の子らがどたどたわたわたしながら外に出て行った。
「キュ、キュウビさまっ!失礼します白上ですただいま参上いたしましたーー!!」
「フブキ、落ち着け。テンパりすぎて一言で全部言っているぞ。……キュウビ、来たぞ」
そう言いながら、4人は部屋に入る。部屋の中には九つの尻尾を持ち、目元を仮面で隠している者――イナリ神社の大宮司である、キュウビがいた。
「来たか。大神ミオ、アベンチュリン。助かった。白上、九条殿、よく来てくれた」
そう言いながらキュウビは懐から飴を取り出して食べる。
ヤマト霊慈菴特性、まんまる飴だ。
すんごく甘く、レイリョクの回復にも効果がある飴で、イナリ神社の名物だ。
イナリ神社授与所で6個入りのものが600信用ポイントで売られている。
「…と、すまんな。昨日から事件の対応に追われて殆ど休めていなくてな。……本題に入ろう。キョウノミヤコから子供が10人行方不明になっていることは聞いたか?」
「ああ。来る前にアベンチュリンから聞いた。痕跡が少ないことからケガレの可能性が高いということもな」
「話が早くて助かる。4人には我々の管轄のミヤコの外の捜査に参加してもらいたい。大神ミオもオオカミ神社からの助っ人として参加を願う」
「はいっ!」
「仔細は私から皆に送っておく。…と言っても、今分かっているのは子供らの家族や、いなくなった大まかな時間くらいしかない。」
「……情報が少ないな。家族からの情報はないのか?」
「……すまない、ミマワリ組に追い返されたらしい」
キュウビは呆れたように、申し訳なさそうに言った。
ミマワリ組は
それを考えれば分からないことはない、が……
「はぁ…子供がどうなったかも分かっていない状態だというのに……」
「ぅぐっ、ゴメンナサイ…」
「まあ、ミオのせいでもないから言っても仕方がないんだが…。足で情報を得るしかない、か。行くぞ」
終夜が捜査のために部屋を出ようかと促した時、部屋にある御帳が光った。
透けた御帳からは、1つの大きな尻尾を持っているであろう、狐耳のシルエットが見えた。
彼女は威厳のある声で言った。
「白上フブキ、大神ミオ。そして、協力者の九条終夜にアベンチュリン」
「……!えっ、イナリ様…!」
フブキが驚いた声で言う。
そう、御帳にいる、このモノこそがイナリ一門で最も偉いカミさま……イナリだった。
「このヤマトに住まう大切な子らを、一刻も早く助け出してほしい。頼めるか?」
「はい!お任せください!」
「それがうちたちのオツトメですから!」
と、フブキとミオが元気よく言う。
一方、終夜とアベンチュリンは…
「既に取引はダイヤモンドとの間で成立しているからね、問題ないよ」
「バイト代出してくれるなら働くさ」
と、何とも業の深いことを言っていた。
それに対してキュウビは手を顔に当てているが、イナリは笑いながら「お主らはそれでよい。頼りにしておるぞ」と言って消えていった。
「まったく、お前たちは…まあいい。よろしく頼むぞ」
「ああ、分かっている。……んじゃあ、行くぞお前ら」
今度こそ、4人はイナリ神社の外に向かった。
「さて、ケガレが原因という前提で考えるか。ミオ、どう思う?」
「ん-、子供たちはみんなミヤコの中でいなくなっているなら、ミヤコの中にいる可能性が高いと思うんですよね」
「やっぱりミマワリ組に聞くのが一番手っ取り早くはあるな。問題は…」
「ミマワリ組が僕らに協力してくれるか、ってところだね。無理じゃないかな?彼女らはイナリ一門もだけど、それ以上にカンパニーを敵視しているし。何より…」
「……俺が問題だな。理由は知らないが毛嫌いされているし。…フブキ?何してるんだ?」
3人が今後の動き方について話し合っている中、フブキは耳を立てて何かやっていた。
「ミヤコの話題に聞き耳を立てています。……むむむっ!ヒトビトの助けを求める声が!白上が今行くぞーー!!」
と、急に走っていった。
残された3人は目を点にしてそれを見ていた。
「フブキー!?」
「あのバカ…」
「情報は耳で稼ぐ、彼女らしいと言えばらしいけどね」
「取り敢えず、追いかけるか。なーんでこういう時だけ足が速いんだアイツは…」
とぼやきながら3人はフブキを追いかけて行った。
◇◇◇
3人がフブキを見つけた時、フブキは刀を持っている誰かに怒鳴られていたのが聞こえた。
「何のつもりだイナリのとこの白いの!また我々の活動の邪魔をするつもりか!!」
「うーわ、ミマワリ組だぞあいつら。噂をすればなんとやらだ」
「もう!ホントにもう!」
「あははは!神秘ちゃんも大変だね」
3人が嫌そうに(1人は楽しそうにしているが)していると、ミマワリ組がフブキに詰め寄って「
そのタイミングで、3人はミマワリ組とフブキの近くに着いた。
「あらら…言っちゃったー」
「犯人、という証拠も無いと思うんだけどね。相変わらず見たいものしか見ないんだね、彼女らは」
「もう怒った!フブキにあんなこと言って!うちの親友に何てこと言うの!」
終夜とアベンチュリンはどうでもよさそうにしている中、ミオが激怒した。
その激怒を聞いて、ミマワリ組は酷く驚いた表情で、「ミ、ミミミミオさま……!!いえ、その……これは……」とかなり狼狽えていた。
そんな中終夜とアベンチュリンは……
「見てよマイフレンド。酷く狼狽しているじゃないか」
「天下のミマワリ組もミオには勝てんな。一瞬だったぞ」
「ほら、あまりにも気まずくて目をそらしちゃったよ」
「あ、捜査資料の写しくれた。ちょろい」
「それでも最後までイナリ一門には喧嘩腰なんだね。神秘ちゃんに甘いのかよくわからないよ」
と、我関せず。好き勝手言っていた。
フブキとミオはそれに気づいていなかったのは幸いだったのかもしれない。
「まったくもう……ごめんねフブキ。嫌な思いさせちゃって…。ちゃんと後で注意しておくから!」
「大丈夫、気にしてないから…ありがとね」
「あの子たち、
「まぁ、でもこれで一歩前進ですよ!おにいちゃーんそんなところで話してないで一緒にみましょー!」
◇◇◇
ミマワリ組の調査結果を確認したとこ4人は、それを元に調査を進めた。のだが…
「ショウちゃんが言った通り、ミマワリ組でもあんまり進展がないみたい」
「いなくなった子供の家族の証言はあるけど、付近のケガレと怪しい人は全然見つかっていないみたいですね」
「家族の証言も曖昧だな。気づいたらいなかったとか、そういうのばかりだ」
進展が殆どなかったのだ。
ふと、調査結果を見て終夜が口をこぼす。
「……おかしいな」
「マイフレンドもそう思うかい?」
「? おかしいって、なにが?」
フブキが尋ねると、終夜とアベンチュリンが違和感を伝えた。
「目撃者が少なすぎる。この証言を見る限り、夜みたいに人気がない場所じゃなく、大通りでも子供がいなくなっている」
「その割に、子供がいなくなるまで誰も気づかない。気づくのが遅すぎるんだよ。普通に誘拐したんじゃ、もっと周りが騒ぐハズさ」
その言葉に、ミオは納得したように頷いた。
「確かに、ケガレが原因と言っても、ここまで誰にも気づかれずに攫うなんて…」
「とすると、それだけ強力なケガレか、はたまたそんな能力か…。アベンチュリン、カンパニーで設置している監視カメラは?」
「本部に確認をしたよ。その時間帯のカメラを見ても、急に子供が消えた、としか報告が来ていないね。残念ながら、カンパニーの監視カメラじゃケガレの影響は見られない事が多いからあんまり役に立たないね」
「空間ごと切り取ったか、カメラでも追えない速度で攫ったか、ってとこか?」
「空間ごと攫うなんて、どれだけ強力なケガレなんだい?少なくとも僕は聞いたことがないよ」
「空間って、そんなの白上も聞いたことないよ!?ミオもないよね?」
「うん。そんな芸当できるなんて、うちらよりもっと上位のカミサマでも難しいと思う」
と、4人で推理していると、イナリ一門の子らが走ってきた。
「フブキさん、ミオさん!それに九条様とアベンチュリン様!」
「お?どしたの?」
「ミオさん、ありがとうございます!」
「え?」
「ミマワリ組からイナリ一門へ正式な協力依頼があったんです!これで
「ほう、ただの頭でっかちじゃなかったんだな」
「ミオさんからのお達しがあったと聞いています!」
「あぁ、違うわコレ。ミオに弱いだけだわ」
「それでそれでですね!お四方に調査をお願いしたい場所がありまして!」
「ほう」
「本日のお昼ごろ、あるお屋敷に
「本部に相談したところ、どうやらそこは『イワクつき』のお屋敷らしく。何やら
4人が調査に行き詰っていたところ、有力な情報が入った。
犯人か、行方不明の子供に繋がるかもしれない情報だ。
「……どう思う?」
「匂うね。女の子たち、という事は犯人はその女の子か、子供を操って招いたという事になる」
「後者はないな。それができるなら、被害が少なすぎる。だが、前者だとしても、犯人も慌てた様子で入っていったというのは考えにくい。誰かに見つかったとかならすでに包囲網が引かれている筈だし」
「…と言っても、行かない選択肢はないね。……どこの屋敷か教えてくれるかい?」
「はい!もちろんです!」
そして終夜たちはイナリ一門の子らについて行き、お屋敷へ向かった。