ワケアリ少女の進む道   作:猫耳の人

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次元が違う





第七話 圧倒的な実力差

 

障害物競走が始まってから大体二時間が経過した頃。スタート地点で凍らされた人達以外の全員ゴールした。

その様子をモニターで眺めていた私は、ゆっくり立ち上がって控室を出る。

 

「予選通過者は上位四十二名!!残念ながら落ちちゃった人も安心なさい!!まだ見せ場は残ってるわ!!そして次からいよいよ本番よ!!ここからは取材陣も白熱してくるよ!!気張りなさい!!」

 

私が会場に到着したのと同じタイミングで、ミッドナイト先生の声が会場に響いた。

私はその声を聞きながら集団の最後尾に向かって歩く。

最後尾に到着すると同時に、ミッドナイト先生の後ろに設置されたモニターが点き、映し出されている文字が回転を始めた。

 

「さーて第二種目よ!!私はもう知ってるけど......何かしら!?言ってるそばから......コレよ!!」

 

ミッドナイト先生が声を上げると同時に、モニターに次の種目が映し出される。次の種目は......

 

「騎馬戦!!」

「......」

 

第二種目、私は突破できないかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

騎馬戦、二人から三人で騎馬を組み、その上に騎手が立ってポイントを奪い合う......文字通りのチーム競技。

さっきミッドナイト先生からルールの説明を受け、今回の騎馬戦のルールは理解した。

この騎馬戦では、第一種目の順位で振り分けられるポイントが決まる。四十二位から5ポイントずつ増えていき、一位......つまり、私に与えられるポイントは、なぜか一千万ポイント。必然的に一番狙われる立場になる。

 

ポイントが発表された時、集団全体から私に敵意が向くのを感じた。個性が反応するのを抑え込みながら、私は思わず頭を抱えそうになった。なんでこんなバカげた配点にしたのかを校長に問いただしたい。

だけど問題はそこじゃない。一番の問題はこの騎馬戦が「チーム競技」だってこと。

 

誰かとチームを組まなければならない。普通の人間なら大して難しい事じゃないだろうけど......これまで人を遠ざけるように過ごしてきた私にとっては何よりも難しい事だ。

 

「......どうしよう」

 

小さく呟きながら、チラリと辺りに視線を向けてみる。するとほぼ全ての生徒が既にチームを組んでおり、作戦会議を行っているのが見えた。

 

「......仕方ないか」

 

別にこの状況に不満や文句があるわけじゃない。そうなるように動いたのは他でもない私自身なんだし。問題はどうやってこの騎馬戦に参加するか。

チームを組まなきゃ参加できない競技である以上、嫌でもチームを組まなきゃならない。

でも、チームを組んで足を引っ張られるのは御免だ。ならどうするか......簡単な話だ。

 

「......一人で参加できるように交渉する」

 

私は小さくそう呟き、ミッドナイト先生の元へ歩き出す。それに気が付いたミッドナイト先生が壇上から降り、私の前まで歩いてきた。

 

「魔嚙さん?どうしたのかしたの?」

 

不思議そうな顔で私を見上げるミッドナイト先生。時間ももう無いので早速本題に入る。

 

「次の騎馬戦、私は一人で戦います。なのでその許可をもらいに来ました」

 

私が淡々とした口調でそう告げると、少し困ったような表情を見せて唸り始めた。

 

「うーん......流石にそれはねぇ......貴女も不利になるでしょうし......」

「一人になった程度で不利になる程弱くはありませんし、足手纏いを抱えて戦うよりずっとマシです。それに......」

 

私は渋るミッドナイト先生の目を見据え、見下ろしながら言葉を続ける。

 

「「雄英は自由な校風が売り文句」なんでしょう。それなら、私が一人で騎馬戦に参加するのも自由ですよね?」

 

屁理屈じみた理論を述べ、少しだけ殺気を出しながらミッドナイト先生に詰め寄る。

するとミッドナイト先生の顔が一瞬気圧されたような表情になり、次いで取り繕うように笑顔を浮かべ......

 

「そ......そうね!!分かったわ!魔嚙さんの単独参加を許可します!」

 

許可を下してくれた。これで何も問題は無い。あとは......

 

(勝つだけ)

 

作戦会議をしている他のチームを眺めながら、私は心の中でそう呟いた。ほとんどの生徒が私に向けて隠そうともしない敵意をぶつけてくる。

 

「......」

 

向けられた敵意に対して個性が反応する。

敵意を排除せよと、個性が私に訴え掛けてくる。私はそれを抑えつけ、ミッドナイト先生の元を後にした。

......そろそろ時間だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『十五分のチーム決め兼作戦タイムを経て!フィールドに十三組の騎馬が並び立った!!......んだが......魔嚙!お前一人かよ!!一位故の余裕って奴かぁ!?』

 

マイク先生のアナウンスが会場全体に響き渡る。瞬間、会場全体の視線が私に集まるのを感じた。

 

「あの子......一人か?」

「騎馬戦のルールを知らないのかな?これだからA組は......」

 

観客席やフィールドの片隅から、嫌味の様な疑問が多々聞こえてくる。敵意は感じないけど、聞いていてあまり気分のいい物じゃない。

......好きに言えばいい。最後に勝つのは私なんだから。

 

『さぁ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!準備は良いかなんて聞かねえぞ!!いくぜ!!残虐バトルロイヤル!!カウントダウン!!』

 

カウントダウンの開始と共に、私は大きく息を吸い、深く息を吐いた。

 

「......よし」

 

気合を入れ、私を狙う騎馬を見据える。

 

「狙いは......!」

「一つ......!」

 

敵意が集まるのを感じる。体を低く落とし、開始の合図に備えた。

そして......

 

『START!!』

 

騎馬戦が始まった。

開始の合図とほぼ同時に、ほとんどの騎馬が敵意剥き出しで私に向かってくる。

......まあそうだよね。私(一千万)を落とせば一気に一位になれるんだから。

 

「実質一千万の争奪戦だ!!」

 

銀髪の生徒の騎馬が先行して私の騎馬を奪いに来る。迎え撃とうと姿勢を整えた。

瞬間、足場が揺らぎ、脚が地面に沈んでいく。見れば、前騎馬の骸骨のような口をした生徒の足元から地面が揺らいでいた。

......あの人の個性かな、触ったものを柔らかくする的な個性なのかな。

私が体勢を崩したのを見て勝機だと感じたのか、速度を上げて私に迫ってくる。

騎手の銀髪の男子の手が私の鉢巻きに伸び、奪われそうになる。

でも......

 

「残念でした」

「なにぃ!?」

 

揺らいだ地面を踏み切り、銀髪の生徒の頭を足場に跳びあがる。

壮観な光景だ。皆馬鹿みたいに私を見上げてる。私を見上げる騎馬たちを見下ろしながら着地するための場所を探していると、突如背後から爆発音が聞こえてきた。音がした方に視線を向けると、爆豪君が私に向かって飛んできているのが見えた。

 

「調子乗ってんじゃねぇぞデカ女ァ!!」

 

爆風に乗り、勢いをつけて突進してくる爆豪君。私は空中で体勢を変え、爆豪君の方を向きながら臨戦体勢に入る。

 

「死ねぇぇぇ!!」

 

私に向かって殺意の籠った爆破が放たれる。けど、爆破の寸前に空を蹴り爆破を回避。私のありえない挙動に驚き、一瞬固まる爆豪君。その隙を見逃さなかった私は、顔面に思い切り蹴りを入れた。怒りに満ちた声を上げながら落ちていく爆豪君を尻目に着地する。

着地した私は襲い掛かってきた騎馬の方を向き......

 

「奪ってみなよ。奪えるものなら」

 

小さく、けれどハッキリと言い放ったその言葉。その言葉は他のチームをキレさせるには十分だったらしく、怒りの声を上げながら私に向かってくる。

安い挑発だったけど、乗ってくれて助かった。これでもっと動きやすくなる。

 

私に向かってくる騎馬を誘導するように轟君の騎馬の元へ走る。ギリギリまで騎馬を引き付け、騎手の手が私の鉢巻きに届くギリギリの瞬間に跳びあがって回避する。すると怒りで前が見えなくなった騎馬が轟君の騎馬に後ろから衝突。背後からの衝撃を受けた轟君のチームと、騎馬に衝突したチームの騎馬が崩れた。

 

「前方不注意」

 

それだけ言い残して私はその場を走り去る。今のでだいぶ時間が稼げた。この調子で時間ギリギリまで逃げ続けてやる。

そう考えたその時

 

「っ......!」

 

突如、背後から紫色の球体が飛んできた。音と臭いを頼りに体を右に逸らして回避。そのまま背後を振り返ると、そこには背中を覆うように腕を展開した障子君が居た。

 

「頂くぞ、一千万!」

「......」

 

見てくれは一人に見えるけど、臭いは三人分......背中にからブドウ頭の男子生徒と蛙吹さんの臭いがする。小柄な二人を背中と腕で守ってるのか......面倒だな。

 

「......ここで潰しておこう」

 

その呟きと同時に、私は地面を踏み切って障子君の元へ走る。その私を狙って紫色の球体と蛙吹さんの舌が飛んできた。私は球体の隙間を縫うように回避し、蛙吹さんの舌を掴んだ。

そのまま障子君に肉薄し組み合う。右手で障子君の左腕を掴み、舌を掴んでいる左腕で右腕の動きを妨害する。

 

「この一瞬で両腕を......だが甘い!」

 

私の動きに驚きつつも、そう言葉を発して次の行動に移る障子君。

背中を覆っていた腕が開かれ、背中に隠れていた二人の騎手が姿を現した。

 

「はーはっはっは!!魔嚙の動きを止めてやったぜ!!このまま一千万奪っちまうぞ!!」

 

下卑た笑い声を上げながら背中から手を伸ばすブドウ頭の男子生徒。同時にフリーになった障子君の腕も、私の鉢巻きを奪おうと動き出す。普通なら、この状況に絶望して鉢巻きを奪われるだろう。でも、私にとって今の状況はむしろチャンスだ。

 

「うぐっ......!?」

 

障子君の腕が開かれるのと同時に、私は障子君の腹部に膝蹴りを入れて動きを止める。

そのまま障子君の背中に跳び乗り、ブドウ頭の生徒の頭に巻かれた鉢巻きを奪い、背中から

跳び降りて逃走する。

 

「その程度で私から奪えるわけないでしょ」

 

私は至極冷めた声色でそう吐き捨て、奪った鉢巻きを首に巻きながらその場から離れた。

まだ序盤も序盤、こんなところで余計な労力は使ってられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騎馬戦が始まってから十分が経過した。

ここまでポイントはあまり激しい動きを見せず、下位のチームが奪って奪われてを繰り返しているだけだった。上位チームは激しい奪い合いが続いている物の、ポイント自体は一切変動していない。時間もあと五分を切った。そろそろ私も動き始めよう。

そう考えて動き出した時だった。

 

私の進行方向を塞ぐように大きな氷が出現。私は咄嗟に跳び退き、逆方向に走ろうとする。けれど、その方向も大きな氷で塞がれてしまっていた。

 

「これは......」

 

出現した氷を視線で追っていくと、そこには......

 

「そろそろ奪るぞ。一千万」

「......」

 

轟君のチームが居た。見れば、轟君達の後ろにも氷の壁が見える。自分たち諸共氷の折に閉じ込めたのか......つまり、この狭い檻の中で私からポイントを奪ってかつ、奪ったポイントを守り切るつもりらしい。

......舐められたものだ。

 

「やってみなよ。できる物なら」

「余裕ぶってられるのも今の内だ」

 

その言葉を合図に、私に向かって氷結が迫ってくる。それを最小限の動きで回避し、轟君の騎馬目掛けて走る。

 

「八百万!上鳴!」

「はい!!」

「りょーかい!!」

 

轟君の指示を聞き、八百万さんが分厚いシートを生み出し、上鳴君が発電を始めた。放電が来る。

 

「しっかり防げよ!!無差別放電!!130万ボルト!!」

 

全方位に放たれた電撃。範囲はこの狭いフィールド全体。もちろん逃げ場は無い。放電で動きを止めてから確実にポイントを奪うつもりなんだろう。

放電に合わせ、私は腕を前方でクロスさせ、防御態勢を取りながら大きく踏み込んだ。

両腕から痺れが伝わってくる。でもこの程度......「あの時」に比べたらなんてことない。

放電が止むと同時に跳び、轟君目掛けて左から横薙ぎに脚を振るう。

 

「轟君!!」

「っ......!!」

 

咄嗟に腕を間に挟んで蹴りを防御する轟君。だけど踏ん張りが利かなかったのか、腕が弾かれた。

 

「クソッ......!!」

 

無茶な体勢のまま、わざわざ右腕を伸ばしてくる轟君。私は空中で身を翻し、伸ばされた右腕を蹴り飛ばす。そのまま飯田君の肩を足場にして轟君の鉢巻きに腕を伸ばした。

けれど......

 

「甘いですわ!!」

 

八百万さんが創造で生み出したクッションで腕が弾かれた。

面倒なことを......今の一瞬で轟君も体勢を立て直したようで、私をその鋭い目で睨みつけている。

私はその場から飛び退いて距離を取った。場は再び膠着状態に戻る。

状況的に見れば、有利なのはあっち。でも、実際に有利なのは私の方だ。放電は効かないし、動き方次第で氷結も封じれる。機動力は私の方が上だし、八百万さんに至ってはこの距離で何もできない以上ほぼ置物だ。

攻めのタイミングは私が握ってる。残り一分弱......このまま時間ギリギリまで粘ってやる。

 

そう考えたその時だった。

 

「皆、残り一分弱、この後俺は使えなくなる。頼んだぞ」

「飯田?」

 

轟君と飯田君の会話が聞こえてくると同時に、前騎馬......飯田君の脚からドルドルというアイドリングの様な音が聞こえてくる。

何かしてくる。そう判断した私は警戒態勢を取った。それに合わせて五感が鋭くなっていくのを感じる。

......個性の抑えが利かなくなってきた。早々にケリをつけないと......

脚に力を込めて攻撃に備える。すると、あちらも準備が出来たようで......

 

「しっかり掴まっていろ......奪れよ!!轟君!!」

 

飯田君のマフラーから青い炎がバーナーのように噴き出す。私がより一層警戒を強めたその瞬間

 

「トルクオーバー!!レシプロバースト!!」

 

凄まじい音と共に、轟君チームと私の位置が入れ替わる。私と飯田君以外は何が起きたのか理解できていない様子だった。

この一瞬で何が起きたのか、レシプロバースト......だったかな。多分、アレが飯田君の現状の最高速度。アレを使って、反応できない速度で私から鉢巻きを奪うつもりだったんだろう。

 

確かに凄い速度だった。五感が上がってなきゃ反応が一瞬遅れていたかもしれない。

だとしても、私には何が来ても対応できる自信はあったし、油断も慢心も無かった。だから、私は飯田君が動き出すと同時に、回避じゃなく踏み込むことを選んだ。その結果として......

 

「マジかよ......」

 

私の手には、複数の鉢巻き......先程まで轟君が所持していた鉢巻きが全て握られていた。

上鳴君が驚愕の声を漏らしたのが聞こえてきた。それに合わせて振り返れば、轟君チーム全員が、私の方を向いて驚いたような表情を浮かべている。

「これを使えば確実に勝てる」って確信した技を、真正面から対応した上で、鉢巻きを逆に奪ってやったのだから。まあ当然と言えば当然だろう。いい気味だ。

 

「......一つ、良い事を教えてあげる」

 

私は踵を返し、外から聞こえる爆発音に耳を傾けながら言葉を放つ。

 

「余裕ぶってるんじゃない、余裕なんだよ」

 

私のその言葉と同時に、前方の氷が砕け散り、爆煙の中から爆豪君が飛び出してきた。

 

「デカ女ァァァ!!一千万寄越せぇぇぇ!!」

 

私に向かってくる爆豪君、良いカモだ。

私は地面を蹴り、一瞬で爆豪君の懐に入る。間髪入れず爆豪君の頭を掴み、爆豪君の顎目掛けて思い切り膝蹴りを入れた。

 

「かっ......!?」

 

意識は飛ばずとも、脳震盪で体の自由は効かなくなる。私はその一瞬の隙を突き、爆豪君が所持する鉢巻きをすべて強奪。そのまま爆豪君を足場に、氷の壁を飛び越え、奪った鉢巻きを首に巻きながら着地する。

 

『そろそろ時間だ!カウントダウン行くぜ!!エヴィバディセイヘイ!!』

 

着地と同時にカウントダウンが始まる。私は瞬時にフィールドに散らばっている騎馬の位置を把握し、走り出した。

このフィールドの広さと散らばり具合なら、十秒もいらない。

 

「なに!?」

「うわっ!?」

「きゃあ!?」

 

フィールドに居る騎手から、次々と驚いたような声が上がる。そんな光景が、僅か六秒間だけ続いた。私以外の全員が、その六秒間で何が起きたのか理解できていない。ちらほらと何が起きたのか理解し始めた騎馬も居るけど、気付いた頃には、既にタイムアップのブザーがフィールド全体に鳴り響いている頃だった。

 

『......オイオイ......今の十秒で何が起きたんだぁ!?』

 

タイムアップのアナウンスも忘れ、驚愕の声を上げるマイク先生。それもそうだろう、だって......

 

『魔嚙以外全員ゼロポイント!!全ポイントが魔嚙に集まってやがる!!あの一瞬で全員から根こそぎポイント奪ったって事か!?ヤバすぎんだろ!?』

 

マイク先生の言う通り、騎馬戦に参加していた全員のポイントが私に集まっている。

チラリと観客席を見てみれば、何の冗談かと目を擦っているプロヒーローが多数見えた。けれど、それが冗談ではないことを、私の手に握られた大量の鉢巻きが物語っている。

 

「......」

 

私は無言のまま後ろに冷たい視線をやり、私を睨みつけてくる敵チームを見た。

数秒睨みあった後、私は所持している鉢巻きをミッドナイト先生に返却し、控室に向かうべくその場を後にした。

 

「っ......」

 

通路を歩いている途中、心臓が大きく脈動する。今になって個性が活性化し始めたのか......予選以上に無茶をしすぎたみたいだ。大衆の面前でこの発作が起こらなかったのは不幸中の幸いだろう。

 

「急がないと......」

 

心臓部分を押え、急いで控室に向かう。道中誰かに会う事は無く、無事控室に到着。自分の荷物を漁って薬と水を取り出し、口に含んでそのまま流し込んだ。

 

「ケホッ......」

 

USJでの事件を経て、衝動と力がまた強くなった。それに合わせて、薬を飲む量と頻度が多くなった気がする。

過去にも似たようなことがあった。このままじゃ......なんて、最悪の可能性が脳裏にチラつく。そうはなりたくないと願いつつも、日に日に自分が「願い」から遠のいていくのがわかる。

自分には、あとどれくらい時間が残されているだろう。案外余裕があるかもしれないし、もうあまり残されていないかもしれない。いずれにせよ......

 

「悠長にはしてる暇は無い......か」

 

そう呟きながら立ち上がる。すると、控室のモニターに最終種目に進出するメンバーが映し出された。

どうやら、私がポイントを全て奪う直前の順位を参照したらしく、私を含めた上位五チームのメンバーが選ばれていた。ご丁寧なことに、私の道の邪魔になる三人が全員いる。

面倒だな......まあいい、誰が来ようと、私は私の「願い」の為に進み続けるだけだ。

そう考えながら、私は控室を後にした。いよいよ最終種目が始まる。気を引き締めていこう。




皆さんどうもこんにちは、猫耳の人です
今回、活動報告にて本作の主人公のプロフィールを投稿いたしました。
良ければ以下のリンクから飛んで見てやってください。
次回もお楽しみに。
次の更新は「無敵のヒーロー(自称)」となります。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=332919&uid=486148
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