死柄木弔の普通(?)な新入社員生活   作:ヘビーなしっぽ

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続くと思います。

なんでこんなの書こうと思ったかだって?
そんなの…もう、言わせないでよ。
シュレッダー代わりに乱用される弔くんを書きたかったからに決まってるじゃない…//




お茶でもしようか 白上フブキ

「あ”〜、暇だねえ」

「暇だな! クソ忙しいぜ!」

「ですねえ」

 

ヴィラン連合のアジトにて。ミスター、トゥワイス、トガが順々にそう言った。

 

「…ッチ、うるせェな…静かにしとけ」

「暇なのは分かるけどよぉ…」

 

荼毘とスピナーが暇組の3人に向かって言った。

 

「えぇ〜、君らこういうの大丈夫な感じ?おじさん職業病なのかなぁ、スリルがあった方がいいって言うか…」

 

”圧縮“した球をお手玉でもするかの様にひょいひょいっと扱いながら、ミスターは言う。

それをうざそうに見ながら荼毘が言う。

 

「そんで?リーダーはどこ行ったんだ?」

 

その言葉に全員が押し黙る。

知らない、というのを示していた。

 

「はぁ?今が大事な時期だろ、何してんだよ」

 

荼毘が首筋をガリガリと掻きながら言う。そのまま、どかっとソファに座り込んだ。

 

「でも確かにここ最近見ないですよねえ。どこ行ったんでしょう」

 

トガがどうでもよさそうながらに言う。

ぴかりん。トガに電流走る。

 

「もしかして暇すぎて一人だけでどこかに行ってるんじゃ?!」

「おいおい! 流石にありえないぜ! あるかもな!」

「どうだろうなあ…流石の死柄木でもそんな事しないと思うけど…」

 

暇組にきゃいきゃいと喧騒が満ちる。横目で見ていた荼毘が舌打ちをした。

だが、心の奥底では全員少なからず心配していた。

自分達のリーダーはどこに行ったのだろう。と。

 

 

____________________________________________________________________________________________________________________________________________

 

 

どこだここ。

死柄木はそう考えながら左右を見渡した。

だが、右を向けども左を向けども、映る景色はやはり知らないものだった。

死柄木は、断片的な直前の記憶を思い出す。

 

アジトから出て、路地に入ると、たまたま巡回をしていたヒーローに見つかった。

戦闘になった。

ヒーローの個性で体が光った。

気づいたら知らないところにいた。(←いまココ)

 

うん。分からん。

ついでに携帯もないのだから始末が悪いったらありゃしない。

というかまず、手を付けているんだから周りの視線が痛すぎるのも問題だ。

死柄木は一旦路地裏に移動することにした。

ヒーローに見つかる可能性が減るからだ。

適当に歩いて、適当に見つけた路地裏に入った。

奥の方まで進む。ズンズン進む。

 

「…は?」

 

ドスの効いた声を思わず漏らす。

路地裏では、絶賛お取り込み中だった。

白髪にネコ(?)ミミを生やした少女が、死柄木の身長(175cm)の1.5倍はあるかもしれない身長の男とその一団に絡まれているのだ。

少女は明らかに嫌がっているが、デカすぎる男に萎縮しているのかほとんどされるがままだ。

しかもデカい男は筋骨隆々。周りの男達だって、身長は平均ほどだが、筋肉が常軌を逸している。

 

「ねえ、別によくない?」

「そうそうw悪い様にはしないからさあ」

 

あからさまだな。死柄木はうざそうに、べーっと舌を出した。

その時、少女のネコ(?)ミミがピクンと動いた。

死柄木はまさかと思い、立ち去ろうとしたが、既に後の祭りだ。少女が死柄木を見た。

じーっと。それはもうじーっと。

死柄木はここでも視線の痛さを痛感した。

計14つの手をつけて、黒いロングコートの死柄木は、誰がどう見ても厨二病重患者のそれだ。

死柄木は路地裏から去ろうと背を向けた。ここでイキって出て行ってボコボコにされたら元も子もないし、相手を殺してしまっても警察を通ってヒーロー沙汰だろう。

厄介の種に関わるつもりは毛頭なかった。

だが、少女の視線を訝しみ、その先を辿ったデカい男にバレてしまった。

 

「おいお前。何見てんだよ見せもんじゃねえぞ」

 

テンプレなセリフに死柄木は、ぅげっとなった。

面倒だが、助けてやらんこともない。壊すだけなら簡単だ。五指で触れる。それだけでアイツはゲームオーバーだ。

だが、流石に個性を使うわけにはいかない。

どうするか…と死柄木が悩んでいると、デカい男が近寄って来た。

近くで見ると、余計にデカい。山かと凝視するほどだ。ルックスだって死柄木からしたら十分イケメンの部類に入る。何故こんなところで悪質なナンパなんかしているのか気になりはしたが、それを言うのはやめておいた。

 

「なんでもないですよお兄さん。ただちょっと道に迷っちゃって」

 

死柄木は手で覆い隠された下でにへらーと笑みを浮かべながら、ポケットから地図を取り出した。いつも念の為に持ち歩いているのだ。

 

「あぁ? 道だぁ?」

 

男は訝しげな顔をしながら死柄木も持つ地図をの覗き込んだ。

 

「そうなんですよ〜○○ってとこなんですけど…」

 

死柄木は、この路地に入る前にチラッと見えた店の名前を暗記していたため、その店の名前を言う。

 

「チッ、道だな、○○なら…」

 

律儀だな。一瞬真顔になった死柄木はそう思った。

男は、身長と同じくデカい手で死柄木が持つ地図を指し示した。

とは言うものの、死柄木が持っている地図は、ここら周辺の地図ではないだろうから、見当違いの場所に違いない。

 

「(…今)」

 

死柄木は、男の死角からこっそり腕を通らせ、男の右腕に触れた。

途端に触れた部位から崩壊が始まる。

 

「あ?なんだ急に…っ?! い“っ”いでえ“っ”!?

 

触られたことについて文句を言おうとした次の瞬間。パキパキパキ…と音を立てながら男の右腕が壊れていく。

皮膚が剥がれ落ち、筋肉、骨の順に崩壊が進行する。

男は痛みに耐えきれず、膝をついて地面に蹲った。

 

「…チッ、正義のヒーロー面なんかするつもりなかったんだがなァ…」

 

死柄木は言いながら、少女を囲んでいる男3人に近寄ると言った。

 

「そこで蹲ってる木偶の坊なら、崩壊してるところを切り落とせば助かるぜ…。”今なら“だがな」

 

と言って男達を脅す。

状況理解ができていないながらにイレギュラーに遭遇した男達は、ポカンとしている。

 

「…はあ…判断は迅速にしろ。壊すぞ

 

壊すぞ、の時に圧を込めると、ようやく状況が理解できたのか、蹲るデカい男を3人で背負って路地裏から出て行った。

叫び声やら涙やら鼻水やらで汚かったことは割愛しよう。

 

「おい、お前」

 

死柄木は、呆然として地面に座り込む少女を見下ろしながら話す。

 

「二度とこんなトコ入んじゃねえぞ。次は知らん」

 

言い終わってから踵を返し、手をヒラヒラと振りながら路地裏から出て行こうとした時だった。

 

「あ、あの!」

 

少女だ。座り込んでいた筈の少女は、産まれたての子鹿の様に足をプルプルさせながら立ち上がって死柄木を見ていた。

 

「…ンだよ」

 

うざそうに言いながら、死柄木は少女に向き直った。

 

「礼なんか要らんぞ。先を急ぎたいんだが?」

 

死柄木の言葉に気圧されたのか、少女は口をパクパクさせるだけだ。

死柄木は、あ“ー、と言いながら後頭部をガリガリと掻くと少女の顔を見つめた。

 

「…さっさと話せ」

 

その言葉に、少女は顔を明るくする。

 

「え、えっと。まずは助けてくれてありがとうございます」

「ありがとう…ねえ」

 

(ヴィラン)の死柄木に礼を言う人物は極端に少ない。連合メンバーくらいなものだ。

別に照れくさくなどなりはしないが、これでいいのか?という感情が少なからず湧き上がる。

 

「そ、それでなんですけど!」

 

話にはまだ続きがあるらしい。

死柄木は視線で、早く話せ。と訴える。

 

「ウチの事務所で働いてくれませんか?!」

「…は? 事務所? 働く?」

 

不機嫌そうだった死柄木は、驚愕に少し目を見開いた。

何に驚いているかって、そりゃあ助けてくれた=事務所にスカウトする、がなんの繋がりもないからだ。

 

「なんで俺が…。俺にはやることが…」

 

と、そこまで言って気づいた。そういや俺無一文じゃん。と。

携帯も持っていないし、唯一持っているものとしたら今着ている服と地図くらいしかない。

そんな状態で、さらにここがどこかすらも分からないという致命的な事を今更思い出したのだ。

だが、この少女はなんと言ったか。事務所。事務所だと?つまりは芸人だったりアイドルだったりという訳か?

そんな大して稼げるかどうかも分からないところにホイホイ着いて行っていいのか?という少しの迷いも生じた。

しかしそうも言っていられない。無一文よりも多少は金があったほうがいいだろう。

そう思い、死柄木は声を発する、

 

「……分かった。お前の事務所とやらで働かせてくれ」

「やった!」

 

やった? 何故やったなのか。自分は敵だぞ? それも、顔だって大っぴらになっている。この少女だって、敵である死柄木弔を知っている筈だろう? 何故怖がらない?

疑問も浮かぶが、まあ一旦置いておくことにした。

 

「それじゃあ早速着いて来てください!」

「…ンとに早速だな…。わーったよ」

 

先ほどまで怯えていた筈の少女が、上機嫌で歩き始めたのを見て、死柄木はこっそりと、切り替え早えな。と思う。

 

「…そういや、お前名前なんて言うんだ?」

 

本当に今更だな。と死柄木が思うのも束の間。少女は、あ! という言葉と共に声を発する。

 

「そういえば言ってませんでしたね! 私は白上フブキです! 白いに上で白上ですよ」

「へえ、白上ね…。俺は死柄木弔だ」

「死柄木さん…? 聞かない苗字ですねえ」

「まーな。全国探しても俺だけだと思うぜ?」

「えぇっ! こんなところで運使っちゃいまいしたあ…白上のコイキング…」

 

少女…白上は、とほほ…と肩を落とした。

なぜコイキング?と死柄木は疑問に思ったがスルーすることにした。

 

 

こんな会話から、敵のはずの死柄木の面白(?)おかしい(?)普通(?)な日常が始まったのだった。




死柄木にかけられた個性
██████
概要
対象者を???へと送る個性。対象者が???で死亡した場合のみ現代に帰ってくることができる。対象者が???にいる間、???内と現代の時間の流れが違うため、現代に戻ってくるときに時差が発生する場合がある。だが、経過時間が大きくズレることは、あまりない。
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