ARIA星人イアちゃんと出会った結月ゆかりの青春模様   作:へるしぃーぼでぃ

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途中、とばっちりを受ける初音ミクちゃんさん…



イアオネゆづきずの仁義なきエッチポイントバトル

 

 

 

ある日の午後。

それぞれの仕事が午前中に終わり、結月ゆかりの部屋にイア、オネ、紲星あかりが集合し、みんながほとんど昼食を食べ終わった頃。

それは、あかりのふとした感想から始まった。

 

「ふー、食べた食べた!ごちそーさまでした!……オネちゃんって、よくよく考えなくてもエッチな格好してますよね!」

 

「は?エッチじゃないし。なに、藪から棒に」

 

突然の物言いにジトッと睨めつけるオネ。

友人からなんの脈絡もなくエッチと言われ、彼女はその細い体をキュッと縮こまらせた。身の危険を感じたのである。

あかりはそんな(オネ)に、さらに棒をツッコむ。

 

「じゃあちょっとそこに立ってみてよ。解説するから」

 

「解説って……」

 

あかりの謎の迫力にたじろぐオネ。そこにゆかりからも追撃が入った。

 

「ほう、中々そそる題材ですね。……実は私も前から、オネちゃんの格好はちょっとエッチ過ぎると思ってました。ソコとかアソコとか」

 

「でしょー?ほら、ゆかりさんの指摘箇所も確認したいから、立って立って」

 

「二人してなんなの……。ちょっと姉さん、この二人止めて」

 

「?」

 

妹から助けを求められた姉──イアは、まだ一人昼食を食べていた。

彼女はその小さな口で、テイクアウトしてきたハンバーガーとずっと格闘しているのだ。

口の周りをソースだらけにしながら──しかし謎のARIAパワーで目を離した次の瞬間にはソースは綺麗サッパリ消えている──、もきゅもきゅと一生懸命に食べていた。

当然、食べるのに集中していたので話は聞いていない。

 

「どうしたの?オネ」

 

しかし、呼ばれればそちらに意識が向く。

妹は再度、姉に助けを求めた。

 

「コイツらが私を虐めてくるんだよ。何か言ってやって姉さん!」

 

「もうオネちゃん、コイツら、なんて言ったらダメだよ。ゆかりさんとあかりちゃん、でしょ?」

 

イアは一拍おいて、その二人に視線を向けた。

そして直ぐにオネへと向き直る。

 

「それに、二人がオネを虐めるなんて無いと思うな。もし虐めてたとしても、オネが本当に嫌がる事は絶対にしないはずだよ」

 

「うっ……、それは……」

 

オネはチラリと件の二人を見る。

二人はうんうんと頷いていた。純粋無垢なイアの言葉に、調子よく完全に乗っかるつもりだ。

オネはギルティ判定を下した。

 

「イア、よく見て。コイツら完全に悪ノリだよ」

 

オネが犬歯を剥き出して訴えるも、その間にゆかりが割って入った。

 

「まあまあイアちゃん、取り敢えず食べちゃいましょう。せっかくのゴハンが冷めちゃいますよ」

 

「うん。オネ、本当に嫌だったら、ちゃんと断るんだよ」

 

姉はそう言い残し、再びハンバーガーとの対決に戻っていった。

オネは愕然とした。

イアのこの言葉は、オネがガチのマジ、100%の拒否反応を示さなければ本当に助けないことを意味している。

つまり1%でも許容していれば……

 

「オネちゃーん?スタンダァーップ?」

 

「オネちゃん。ほら立って」

 

悪い顔をしたゆかりと、本当にエッチな事を証明したいだけのあかりの視線に挟まれる。

 

「う、うぅ……!」

 

そんな二人ににじり寄られ、オネは顔を背けながらとうとう観念した。

 

「っあぁもう!立てばいいんでしょ!?立てば!」

 

すっくと立ち上がるオネ。

それだけで二人から「おー」と謎の歓声が上がった。

 

「……っ」

 

「……ほぅ」

 

「……じー」

 

「……もぐもぐ」

 

一人立つオネ。

それを見つめるゆかり、あかり。

もきゅもきゅ食べるイア。

部屋を謎の沈黙が支配する。

それを破ったのは、沈黙に耐えかねたオネだった。

 

「……ちょっと、黙ってないで何か言ってよ」

 

「あぁ、すみません。あまりにもエッチなので魅入ってしまいました」

 

「オネちゃんって、本当スラーッとしててカッコイイよね!正にスレンダーっていう感じ!」

 

ゆかりのエッチ発言に「むっ」と眉根を寄せたオネだが、続くあかりのカッコイイ発言にちょっとだけドヤ顔になる。ちょろい。

この会話の発端のあかりが舵を切った。

 

「それではゆかりさん。オネちゃんのエッチポイントを具体的に上げていきましょう」

 

「そうですね。この会話のきっかけを作ったあかりさんから、まずはどうぞ」

 

二人して机に両肘を置き、口もとで両手を組むポーズ──いわゆるゲンドウポーズで話が進む。オネはたいへん居心地が悪そうだ。

あかりが息をすぅっと吸い込み、口を開いた。

 

「そうですね。ではまず……片方だけズレた肩紐からいきましょうか」

 

「ほう、最初から攻めますね。これは激しい戦いになりそうです」

 

いつの間にかバトル形式で話が進んでいくが、あかりの解説が続く。

 

「ズレている事で、今にも脱げそうな感じが演出されています。それが想像を掻き立てますよね」

 

「ええ。アレがもしワザとズラしているとしたら、オネちゃんは相当エッチな感性を宿している事になります」

 

「コレはそういうモノなの!」

 

オネは顔を真っ赤にしながら、抗議の声とともに肩紐を直した。しかしスルッと紐が垂れる。

 

「そのスルッと紐が落ちるの、すっごくエッチですよね!」

 

「えぇ、エッチです」

 

「〜〜゛ッ!イア姉!」

 

オネの声に、炭酸飲料を飲んでいたのか、アホ毛をシビビ!と痺れさせながら(>_<)の表情になっていたイアの瞳が開く。

ぷはっ、とストローから口を離して口もとを拭いたあと、ニッコリと笑った。

 

「オネちゃん、楽しそうだね」

 

判定、セーフ。

オネはまだまだ余裕があるようだ。

それを見たゆかりの目がキラリと光る。

 

「では今度は私のターンですね。……そうですね、その御御足(おみあし)……──」

 

「ッ!?」

 

ゆかりの言葉に、オネはバッ!と太ももを手で隠した。

だが、腕の面積では太ももの全てを隠しきれない。わずかに覗く太ももにゆかりの視線が刺さり、オネはゾゾッ、とした。

ゆかりの言葉が続く。

 

「──の、タトゥー。太ももに描かれた、そのタトゥーです」

 

「なるほど。ただでさえ露出した太ももは見られやすいのに、タトゥーが追加されることでさらに注目を集めてますからね!……オネちゃん、そのタトゥーって自分で入れたの?」

 

あかりの疑問に、オネは「これは生まれた時から入ってるヤツだから……」とタトゥーを隠しながら言う。

ゆかりは少しだけバツが悪そうにした。

 

「生来のものでしたか。すみません、不躾でした」

 

「え、あ……別に、ゆかりが悪いってワケじゃ……」

 

「でもエッチですよね」

 

「エッチです」

 

「っあぁもう!?イア姉!!」

 

再びの妹のシャウトに、姉はフライドポテトを一本口に含みながら顔を上げた。

 

「もぐもぐ……っんく。……私もタトゥー、入れてみようかな。そうしたら、オネとお揃いだね?」

 

イアの屈託のない笑顔に、オネは「う、うん……」と満更でもなさそうだ。

まだまだイケる、と二人は思った。

あかりが続ける。

 

「ではまた私のターンですね。ゆかりさんは身体関連なので、私はこのまま服装関連でいきたいと思います」

 

「ほう、『縛り』ですか。ここからが本番というワケですね?」

 

勝手に戦いのボルテージが上がる中、あかりが口を開いた。

 

「では、そのサラシです。サラシがとてもエッチです」

 

「はぁ?」

 

サラシがエッチと言われ、オネは困惑の声を上げた。

確かに、この発言は不可解だ。

サラシとは胸部を押さえつけ、目立たなくさせるモノ。エッチとは正反対に位置するアイテムに思えるのだが……──

ゆかりの視線が鋭くなった。

 

「なるほど。だからこそ敢えて、ですね?」

 

「はい。オネちゃんはそこまで胸が大きくありません。ですが、それを知らない人がサラシを見たら『もしかしたら大きいのかも?』と想像が膨らむハズです」

 

「観測するまで大きさが確定しない……。さしずめ、シュレディンガーの胸……という事ですか」

 

「ちょっと何言ってるのコイツら……」

 

高度な想像力を働かせる二人に、オネは怒りを通り越して呆れを覚えていた。

そして自分のサラシを摘み「これは別にエッチでもなんでもないでしょ」と呟く。

 

「あと単純に、サラシから飛び出た腋が強調されてエッチです」

 

「ええ、サラシを巻いてるからこそ、あの腋はエッチに磨きが掛かりますよね」

 

「えぇ……?腋も別にエッチな箇所じゃないでしょ?」

 

オネは片腕を上げて、自分の腋を見る。

キレイな白い窪みだった。ただ、それだけ。

コレのどこがエッチなのか?と視線で訴えるオネ。

そもそもエッチの価値基準に、オネ─ゆづきず間に大きな隔たりがあるようだった。

オネの発言と行動に、二人の視線がさらに険しくなる。

 

「ほう、無知シチュですか。またレベルが上がりましたね」

 

「オネちゃんのエッチ力がまだ上昇していきます……!」

 

「どういう事なの……イア姉ぇ……」

 

羞恥を通り越して戦々恐々としてきたオネは、声を震わせながらイアに助けを求めた。

イアはそんな妹の頭をよしよしと撫でてやる。

 

「うーん。ゆかりさん、オネが恐がってるよ?」

 

これはギリギリセーフのイエロー判定。ゆかりは即座に謝った。

 

「これはすみません。オネちゃんがあまりにも可愛くて、ちょっとイジワルし過ぎちゃいました」

 

「ゴメンね、オネちゃん」

 

あかりも続いて謝り、みんなしてオネの頭を撫でまくる。

しばらくされるがままのオネだったが、あまりにも撫でられまくるので「も、もういいって!」と立ち上がった。

そしてズビシッ!とゆかりに指を突き立てる。

オネの突然の行動にゆかりが「?」と首を傾げる中、オネは宣告した。

 

「わ、私の腋がエッチだっていうなら、ゆかりだってエッチじゃん!」

 

怒れるオネの、逆襲のターンだ。

 

 

 

 

 

 

オネの指摘に、ゆかりの顔に電撃が走る。

その横であかりが「確かに」と同調した。

 

「ゆかりさん、アナタも実はエッチだったんですね」

 

「ち、違います!私はエッチなんかじゃありませぇん!」

 

必死な弁明とは裏腹に、ゆかりのその顔は少しだけニヤけていた。

この女、この茶番を心底楽しんでいるようである。

茶番は続く。

 

「コホン……。さて、ではオネちゃん、私のどこがエッチだって言うんです?」

 

「え?……だから、腋ってエッチなんでしょ?」

 

開き直るゆかりの逆質問に、オネは狼狽えながらそう答えた。

その言葉にゆかりは「チッチッチ」と人差し指をフリフリする。

 

「オネちゃん、アナタはエッチの何たるかを分かっていないようですね」

 

「な、何が……?」

 

「アナタは腋をエッチだと思ってないんでしょう?それではエッチ判定が反応しませんね。ねぇあかりさん?」

 

「そうですよオネちゃん。まずはゆかりさんの腋に発情しないと」

 

「はつッッ!?」

 

何故か反撃を喰らったオネに、ゆかりが「ほれほれ」と自身の腋をオネの顔の前まで近づけた。何をやっているんだこの女は。

 

「ほぅら、どうですか私の腋は?エッチですかぁ?」

 

「ぇ……うぁ……!?」

 

なぜか勝ち誇った顔のゆかり。

ぐるぐる目で腋を凝視するオネ。

ほけーっと見守るあかり、イア。

オネの口がわなわなと開き、ゆかりの腋に吐息が当たった。

 

「え……エッチ、です……」

 

「……はい。理解(わか)らせ完了です」

 

スッと腋を閉じて所定の位置に座るゆかり。

よく分からないが、どうやら彼女の完全勝利のようだ。

 

「……」

 

だがこの女、澄ました顔をしているが、その顔と耳が少しだけ赤くなっていた。

この女、自分でやってて今さら恥ずかしくなってきたのである。

オネをからかう目的のあまり、ついゼロ距離で腋を見せつけた奇行。

そして面と向かってエッチと言われ、爆速でタイムスリップ現象が引き起こされたのだ。

あかりがそれに気付き、声を上げる。

 

「ゆかりさん、エッチポイント獲得!」

 

「なぁ!?っく、私とした事が!?」

 

「なに?意味分かんないんだけど……」

 

正気に戻ったオネが、今日何度目かの困惑を示す。

だが今が畳み掛けるチャンスという事は分かったので、まだスリップダメージを受けているゆかりに追撃を仕掛けた。

 

「わ、腋もエッチだけど!というかそもそも、ゆかりだってその服装おかしいでしょ!?なに、そのバスタオル巻いただけみたいな服は!?」

 

再度、ゆかりに電撃走る。

あかりが「あ、オネちゃんもやっぱりそう思ってたんだね」と共感する。

オネは続けた。

 

「それに、スカートの部分もなんなの!?その際どい部分のシースルーのヤツ!必要ある?」

 

「あ、ありますよ!オシャレポイントだし可愛いポイントですよ!」

 

ゆかりが心外だとばかりに、そのシースルーの部分をつまんで引っ張った。

確かに、この部分があるか無いかでこの服のバスタオル度が上下するだろう。この服の製作者はそこまで考慮していると思われる。たぶん。

オネの口撃はまだまだ続く。

 

「それと、胸元!私といい勝負の胸のクセして、なんでムダに強調してるの!?その、挟むようにして紐を通してるヤツ!」

 

「んな!?」

 

ゆかりが自分の胸を掻き抱いた。

小さいながらも確かに存在する双丘を、紐が上下から締め付ける事により存在感をアップさせているのだ。ゆかりの涙ぐましい努力である。

 

「いやいや!?これはこういう構造の服なだけですよ!……というかオネちゃん、私をそんな風に思って見てたんですか?」

 

「え!?……だってこれって、エッチな……そういう話なんでしょ?だから、ゆかりの服はエッチだな……って……」

 

「……オネちゃんのスケベ」

 

「オヌァ!?」

 

顔を赤らめるゆかりに、何故か責められる形になったオネが戸惑いの叫びを上げる。

その間にあかりが割って入った。

 

「サラシで隠すオネちゃんに、紐で主張させるゆかりさん……。両者、1エッチポイント!」

 

レフェリーの判定に両者「出た、謎のポイント……」「くっ、またヤられました……!」とうなだれる。なかなか拮抗した勝負のようだ。

あかりがウンウンと頷く。

 

「まぁ、私もゆかりさんの服はどうかと思ってましたけどね。というか一緒に過ごしてると、高確率で下着見えてますし」

 

「ちょっとあかりちゃん!?ナニ見てるんですか!?」

 

「見せられてるんですよコッチは!」

 

顔を赤くしてスカートの裾を抑えるゆかりに、心外だとばかりに叫び返すあかり。

あかりが憤慨しながら立ち上がった。

 

「んもう!冤罪を押し付けられて怒りました!覚悟してください、この歩くわいせつ物たち!」

 

どうやらここからはあかりのターンのようだ。

 

 

 

 

 

 

「というかみんな、服装がラフ過ぎるんですよ!私を見習ってください!」

 

そう言って視線を集めたあかりの格好は、確かにこの中でも重装備だった。

スカートの丈こそ膝上だが、足はタイツで包まれ、肩も腋も露出ゼロ。

ゆかりの妹分とは思えないほどの完全防備である。

オネが神妙に頷いた。

 

「確かに、あかりはまったく肌が露出してないよね。もしかして、恥ずかしいとか?」

 

「うーん、そういうワケじゃないんだけど。強いて言うなら、ゆかりさんを見て育ったからかな……?」

 

「どうして私を見て育つと露出が減るんですか……」

 

ゆかりが不服だとばかりに体育座りになる。

その格好になると眩しいばかりの太ももが完全に露出し、しかも角度によってはその奥の布まで見通せてしまう。というか真正面のオネからだとパンツが丸見えだった。

オネはそれに気付くと、顔を赤くしながら再び神妙に頷いた。

 

「……なるほど。反面教師ってヤツね」

 

「そうなんですよ。しかもこの人無自覚ですから。あ、ゆかりさん、エッチポイント追加で」

 

「なんでですか!?」

 

ゆかりが驚愕するが、オネが「そんなパンツ見せといて何言ってるの……」と言うと、「え?……あ!?」と急いで女の子座りになった。

股部を両手で抑え、「う〜!オネちゃんのスケベ!」と唸る。

 

「今のは不可抗力でしょ……」

 

オネは呆れたように言うが、そこをあかりがツッコんだ。

 

「でもオネちゃん、だいぶしっかり見てたよね?」

 

「…………」

 

沈黙。

そして視線を逸らすオネに、ゆかりの顔がさらに赤くなっていく。

 

「え、あの、オネさん?そんなにガッツリ見てたんですか?」

 

「……み、見せる方が悪いでしょっ」

 

「見せてないです!」

 

恥ずかしさで二人とも互いの顔が見れず、妙な空気が流れる。

間に残されたあかりが「ふぅ」とため息を吐いた。

 

「これで分かりましたか?二人ともエッチだという事が」

 

「わ、私は……、オネはエッチなんかじゃ……」

 

「というか、最初はオネちゃんがエッチだという話だったのに、何故私まで……」

 

打ちひしがれるエッチ認定された二人。

そんな彼女たちの前で、ただ一人立つあかりがドヤ顔で言った。

 

「二人とも、私みたいにタイツ履きましょう。そうすればホラ、たとえスカートが捲れてもノーダメージですよ」

 

そう言って自分のスカートを、両手でペロンとお腹の上まで捲り上げるあかり。

ハンバーガーを四つも食べた後だ。見事なポッコリお腹がご開帳である。

瞬間、バッ!とすごい勢いで二人が顔を上げた。

そしてワナワナと震えた声を絞り出す。

 

「あ……あかり、それはちょっと……っ」

 

「あかりちゃん、アナタ、今自分がしている事を分かっているんですか?」

 

「え?スカート捲ってるだけだけど……、え?パンツ、見えてないですよね?」

 

チラリと自分の秘部を見るが、しっかりとタイツで覆い隠されている。何も問題ないではないか、とあかりはクエスチョンマークを浮かべた。

そんなあかりの様子にオネは「アンタも無自覚なんじゃないの……」と呆れ果てる。

ゆかりとオネは頷き合い、ゆかりが代表して宣言した。

 

「あかりちゃん、100エッチポイント獲得!優勝!!」

 

「でえぇ!?なんでですかぁ!?」

 

オネとゆかりのエッチポイントを軽々と越え、一気に先頭へと躍り出たあかりが素っ頓狂な声を上げた。

まったく納得のいってない表情を浮かべるあかり。

これに追い討ちをかけるのは、元祖ナチュラルエッチな狂犬、オネ。

 

「あかり、アンタはとんでもなくエッチな事をやってしまったんだよ……!スカートを自分から捲るなんて、なんてはしたない……!」

 

「は、はしたなくないもん!下着見えてないじゃん!」

 

オネの言葉に抗議の声を荒らげるあかりだが、その背後から「そういう事じゃないんですよ」とクールな声が。

あかりがその声にハッと振り返る。

 

「ゆ、ゆかりさん!?どういう事ですか!?」

 

そこに居たのは全てを『理解』している女、無自覚クールドジ痴女の結月ゆかりが、背中を壁につけ腕を組んで立っていた。

名前を呼ばれた彼女は静かに口を開く。

 

「あかりちゃん、『見えてない』からこそエッチなんですよ。分かりますか?」

 

ゆかりの問いに、あかりはフルフルと首を振る。

ゆかりはフッと優しく笑った。

 

「オーケーです。では解説していきましょう。まず、スカートとという服の形状をどう思いますか?」

 

「え?えーと、フワフワヒラヒラした可愛いモノですけど……」

 

「ええ。とても可愛らしい装いですよね。……しかし、一歩間違えたら下着が見えてしまう、とてもインモラルな服装……。つまり、スカートの中は通常、不可侵領域なのです」

 

「だ、だからこうしてタイツを穿いて、もし見られても大丈夫なようにしてるんじゃないですか……」

 

再度、ピラリとスカートを捲りあげるあかり。

ゆかりとオネが同時に「だから捲っちゃダメ(です)!」とそのスカートを上から抑えた。

ゆかりが叫ぶ。

 

「それです!タイツだから大丈夫、というその意識が、エッチ度に拍車を掛けてるんですよ!我々の業界ではこう言います、『パンツじゃないから恥ずかしくないもん!』と」

 

「パ、パンツじゃないから恥ずかしくないのは当たり前じゃないですか!?っていうか恥ずかしくないって言ってるじゃないですか!?」

 

「違う。違うんだよあかり。スカートが捲れる事が重要なんだよ」

 

オネがもどかしそうに首を振り、ゆかりが言葉を引き継いだ。

 

「あかりちゃん、例えば初音ミクちゃんのライブに行ったとして、どこを一番注視します?」

 

「え?えーと、踊りとか、表情とか……」

 

「……他には?」

 

「……ふ、太もも、とか……」

 

「そうでしょうそうでしょう。見ちゃいますよねあの絶対領域。アレ絶対狙ってやってますよね」

 

あかりから望む通りの回答を引きずり出したゆかりは、ファン目線で笑いながら、しかし次の瞬間にはニヒルに笑って続けた。

 

「もし、もしですよあかりちゃん。ミクちゃんがあのスカートを、ステージの上で、いきなり捲り上げたとしたらどう思います?もちろんスパッツは穿いてますよ?ミクちゃんが縞パンだけでステージに上がるなんてあるワケないじゃないですか常識的に考えて」

 

ゆかりの怒濤の補足の前で、あかりは想像する。

ライブの途中、汗だくのミクが突如ステージの中央で立ち止まり、スカートをたくし上げてその中身……、スパッツを披露する姿を──……

 

「うわっ、すっっっごいエッチです」

 

想像して顔を赤らめたあかりに、オネが腕を組んで頷く。

 

「あかり、これで分かった?スカートが捲れる、ただそれだけがどれだけエッチな事かって……」

 

「うぅ……私、なんてエッチな事を……!」

 

ガクリと膝をついて己の過ちを認めるあかり。

その肩にポン、とゆかりの手が置かれた。

 

「まぁ私レベルになると、もはや揺らめくスカートだけで……いえ、スカートを穿いているだけでイケますけどね!むしろ中身が見えてしまったら下品まであります。どう足掻いても見えない、かつ秘されているからこそ、エッチ度が爆上がりするのです。タイツを穿いているから安心……と油断していたアナタの負けです、あかりちゃん」

 

「……前半のはただのゆかりさんの感想じゃないですかぁ!?っというか、まだ私の負けだと決まったワケじゃありません!」

 

そう言ってあかりは窓際へと進む。

ゆかりとオネが「む?」「まさかっ!?」と訝しむ中、あかりが爆弾を投下した。

 

「まだこの場には最後の一人……イアちゃんさんが居ます!真にエッチなのを決めるのは、この人を交えてからです!」

 

「うん?」

 

あかりに両肩を掴まれ、食後の日向ぼっこをしていたイアが首を傾げる。

彼女たちの仁義なきエッチポイントバトル、ファイナルラウンドの開幕である。

 

 

 

 

 

 

「どうしたの?みんなしてこっち見て?」

 

満腹と日向ぼっこで普段より二割増でポヤポヤしているイアが、背後のあかり、正面のオネゆかりに挟まれる。

この天然っ娘、三人があれだけ姦しくしていたというのに話を一切聞いていなかったらしい。マイペースが過ぎる。

そんなスーパーのんびり屋なイアを前に、あかりは座り直して改めて彼女を見つめた。

 

「うーん……、こうして見ると、やっぱりイアちゃんもだいぶ薄着ですよね。オネちゃんゆかりさん、どう思います?」

 

話を振られたオネは困ったようにあかりとゆかりを見つめたが、観念したように呟いた。

 

「薄着なのは認めるけど、エッチとかではないんじゃない?ほら、無自覚というか、天然だし」

 

妹からこの言われよう。だが的を射ていた。

少なからず煩悩のあるオネと違い、イアには下心は一切ないのだ。

正真正銘の純粋無垢。ドがつく天然。

あまりにも純真すぎてコチラが心配になるほど──肌が覗いても性欲より庇護欲が上回る感じだ。

あかりが頷く。

 

「そうなんですよねぇ。イアちゃんのエッチ力は神聖すぎて……もはや芸術の域まであります」

 

あかりが自分で標的に選定しておいてなんだが、イアはあまり直接的なエッチパワーを持っていないと感じていた。

見る人によって差はあるだろうが、それでもスカートたくし上げに勝るエッチポイントがあるとは思えなかった。

あかりは項垂れた。

 

「くぅ!このままでは私が一番エッチな子になってしまいます!っかくなる上は、もうオネちゃんを脱がしてサラシ一枚にするしか……!」

 

「っ!?ちょっと何言ってんのあかり!?」

 

両手を上げ指をワキワキ動かすあかりに、突然の暴行宣言を受けたオネが威嚇するように身構えた。

その時。

 

「ふふ、あかりちゃんはともかく、オネちゃんもその程度ですか。イアちゃんの『理解度』は……!」

 

結月ゆかりが、気配もなく二人の間に割って入った。

ゾクリと、オネあかりの背筋に悪寒が走る。

なぜなら、ゆかりの手が二人の胸部をモミモミしていたから。

 

「うわぁあ!?」

 

「きゃあ!?っゆかりさんどこ触ってるんですか!?エッチ!!!」

 

後ろに飛び跳ねるオネに、胸を抱いて背を丸めるあかり。

そんな二人の反応にゆかりは「失礼。一応この部屋の主ですので、暴れられるのは困るんですよ」とエアーモミモミしながら注意する。

二人はゲンナリしながら「ご、ごめんなさい」と座り直した。

オネがあかりとゆかりを警戒しながらも、先ほどのゆかりの発言に疑問を放つ。

 

「それで、なんだって?私のイアへの理解度が低いだって?」

 

「ええそうです。事、エッチ力に関しては二流と言わざるを得ませんねオネちゃん。もっとイアちゃんに対するエッチ眼力を鍛えてください」

 

ゆかりの言葉に「いや姉の前でその妹に何言ってんのコイツ」と半眼で訴えるオネ。

ゆかりは無視してレクチャーする。

 

「イアちゃんは例えるなら、眩く真っ直ぐな光……。しかし過ぎたる光は、我々の身を焦がすのです」

 

ゆかりはまるで神話を語るように、チラリとイアを見た。

ゆかりの視線を受けたイアは柔らかく微笑みながら「?」と可愛く小首を傾げる。

ゆかりもニッコリと微笑んだ。内心は(ンギャワイイイ!!??!!)と叫んでいるが。

コホン、と咳払いする。

 

「さて、ではイアちゃん。ちょっとインナー一枚になってくれませんか?」

 

ゆかりの不躾なお願いに、イアは疑問符を浮かべながらも「うん。分かった」とロゴマークの入っている衣服を脱いだ。

黒インナー一枚になり、ラフすぎる格好となったイア。

誰かの喉がゴクリとなった。美少女が服を脱ぐ姿はそれだけでエロい。

 

「……いや、人の姉を脱がせてどうするつもり?」

 

「ゆかりさん、さすがにストリップはエッチバトルから離れてるんじゃ……」

 

訝しむオネとあかりに、ゆかりはイアから目を離さず答えた。

その目は血眼だ。

 

「オネちゃん、あかりちゃん。見てください。アレを」

 

言われるがまま、ゆかりの視線を追うオネあかり。そしてボッ!と顔を赤くした。

そこには、インナー一枚になり浮かび上がる、二つのポッチがあった。

ゆかりが高々と言い放つ。

 

「そう、イアちゃんはノーブラなんですよ!!!!!!!!!これぞ純粋ゆえの暴挙!!!!!!!!!」

 

「ぼう、きょ?」

 

「オヌェェエエちゃん!?!?服着て服!!」

 

「なんでブラ付けてないんですかイアさん!?ていうか何でゆかりさんはそんな事知ってるんですか!?」

 

「いやー、私も最初はビックリしました。ライブを盛り上げようとROCKな曲を流したら、突然イアちゃんが脱ぎだしてこの格好ですもん。客席からは見えなかったようで事なきを得ましたが……、これで理解しましたか?イアちゃんの恐ろしい潜在エッチ力をっ。お願いだから二人からも、イアちゃんにブラするよう言ってください!」

 

最後は何故かゆかりが懇願する形で、イアのエッチ力の証明が終わった。

オネとあかりは、ただ戦慄してイアを見るしかなかった。

 

「イア姉、これから私たちと」

 

「ランジェリーショップに行きましょう!」

 

「ランジェリー……って、この前ゆかりさんが言ってたブラジャーだよね?別に私は平気……」

 

「よーし!それじゃぁみんなでショッピングに行きましょーう!」

 

ゆかりの号令で立ち上がる各々。

イアだけが「え?え?」と座ったままの中、オネとゆかりに両脇を捕まえられてそのまま服飾屋へと拉致されていった。

第一次エッチポイントバトル、ここに終幕である。

ちなみに結果は全員エッチ超過のドローでお願いします。

 

 





この界隈は露出が激しすぎてエッチポイントバトルにならない…
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