ARIA星人イアちゃんと出会った結月ゆかりの青春模様 作:へるしぃーぼでぃ
作中BGM『Conqueror』
初めて見た時聞いた時は衝撃でしたね。ぽわぽわなイアちゃんがバッチリなスーツ型衣装着てゴリゴリの洋楽を歌って踊るの。
「ゆかりさん。何を飲んでるの?」
それは、イアの何気ない疑問から始まった。
それはイアと一緒にディナーからの帰宅時。
食べてそのまま解散……だと少々物足りなさを感じていたゆかりは、自宅に来てこのままゲームをしないかとお誘いし、イアはこれを了承していた。
そんなわけでゆかり宅にお邪魔したイアは、帰ってきて早々独特なデザインの355ml缶を取り出したゆかりにそんな質問をぶつけた所だった。
プルタブを開けて口を付けようとしていたゆかりはピタリと止まって、その質問に答えた。
「コレですか?コレは『クリーチャーエナジー』っていうエナジードリンクです」
「えなじー?」
こてん、と首を傾げるイアに「んン゛!!」と悶えるゆかり。
しかしコホン、と咳払いして気を取り直すと、得意げに説明し始めた。
その顔はどこか悪いモノを勧める悪人のツラをしていた。
「はい。飲むと
まるで怪しいクスリでも勧めるかのようにエナドリを差し出すゆかり。
そんなゆかりに対してイアは一切の疑念なく興味津々といった様子で両手で受け取ると、「じゃあ、一口もらいます」と律儀に一言断ってから飲んだ。
イアの細い喉がこくり、と動く。
その瞬間!
カッ!!とイアの体が七色に発光した。
「ッんな!?なんですかぁ!?」
ゆかりが素っ頓狂な声を上げて尻もちをつけば、空になったエナドリ缶がカンッ!と机に置かれた。
その持ち主をゆかりは見上げると、そこには黒い衣装に身を包んだ、どこか雰囲気の変わったイアが佇んでいた。
露出する絶対領域がいやに
「い、イアちゃん……?」
困惑するゆかりを、仁王立ちしたイアが軍帽のような帽子の隙間からジロリと睨んで見下ろしてくる。
その鋭い眼光に睨まれたゆかりは小動物のように動けなくなり、イアがその口をゆっくりと開いた。
その声音は背筋がゾッとするほど低かった。
「ゆかり」
「は、ひゃい!?」
普段とは違うイアの声に上擦った返事を上げるゆかり。
そんな硬直したゆかりに、イアの白い手がガッ!と襲いかかった。
ゆかりの両もみあげ。
それを片手で両方とも鷲掴みにし、さながら兎の耳を掴んで持ち上げる図のような暴挙を行ったのだ。
突然の凶行に、緊張と不安で見開かれる紫色の瞳。
対するは値踏みするように細められた碧眼が獣のように
「あなたは、私のモノ」
そう言って、イアはゆかりに口付けした。
ゆかりの目がさらに驚きで見開かれる。
「っぷは!い、いあちゃ!?」
突然の接吻に反射的に体を離そうとしたゆかりだが、もみあげを掴まれているせいで逃げられない。
あわあわともがくゆかりに再度、その柔らかい唇が落とされた。互いのまつ毛の先が触れ合う。
「むぐ!?むー!!…むむ……っ、んぅ……」
「…ん、ちゅう…はむっ」
しばらく抵抗していたゆかりだが、次第にグッタリとしてされるがままになっていった。目がとろんと蕩け、四肢の先がビクビクと小刻みに痙攣している。
その後もしばらくキス状態が続き、唇が離されたのはそれからたっぷり5分は経過した頃だった。
銀の架け橋がトロリと垂れ、ゆかりは腰砕けになってその場に座り込んだ。
掴まれていたもみあげがハラリと床に垂れる。
「っはァ、はァ……、ィ、ィアちゃ…」
「ゆかり、立って」
息を荒らげるゆかりに対して、イアは舌なめずりをしながら淡々と冷たい指示を出す。
普段のぽわぽわしたイアからは考えられないその物言いに、ゆかりの背筋にゾワゾワと良くない感覚が駆け上がる。状況が飲み込めず、動けない。
イアの命令に対して、ただ口をパクパク開閉するだけのゆかり。
「?、っあ……?ぅあ……??」
「……」
いつまで経っても立ち上がらないゆかりにイアは業を煮やしたのか、自身が屈んだ。
そしてゆかりの首の後ろと両膝の裏側に腕を差し込むと、一気に立ち上がった。いわゆるお姫様抱っこだ。
「ちょわぁ!?イ、イアちゃん!?」
叫ぶゆかりを無視しそのまま寝室まで移動すると、困惑するゆかりはベッドの上にソッと寝かされた。
お姫様抱っこから解放されたゆかりがホッとする──……のも束の間。
「ゆかり」
「ひゃわぁあ!?」
その上からイアが四つん這いで覆い被さってきた。
色素の薄い長い髪が、逃がさないとばかりにゆかりの身体の上を流れる。
「ゆかり」
「はっ、はい!」
再度冷たく名前を呼ばれ、ゆかりは緊張した面持ちで声が裏返りながらも返事をした。
情熱的なキスをされ、ベッドにまで運ばれた。
この状況は覚悟をキメるには充分過ぎた。お姫様抱っこで運ばれてる間に、状況に頭が追いついてきたのだ。
普段奥手なイアがここまで積極的になるのは珍しい。そもそも初めて……──というかありえない。
つまり普段から煩悩全開なゆかり的にはやぶさかではない状況なので、蕩けた脳みそながらも続きを期待した。
「一緒に、寝ましょう?」
「ッ、は、はいぃ…!」
イアの言葉にゆかりの鼻息が荒くなる。
そして2人の身体が重なると、貪るように互いの四肢が絡められた。
☆ ☆ ☆
チュンチュンと鳥のさえずりが外から聞こえてくる。
厚いカーテン越しに太陽の眩い光が差し込んできていて、外は晴天のようだ。
「……朝ですか」
ゆかりは微動だに出来ない身体で、隣で微睡む天使を見た。
すーすーと可愛らしい寝息が、ゆかりの首筋をくすぐってくる。
そんな気持ちよさそうに眠るイアに、ゆかりは意を決して声を掛けた。もうそろそろ起きてもらわないと困るのだ。
「……イアちゃん、朝ですよ」
なるべく優しい口調で問い掛ける。
すると長いまつ毛がピクンと震え、細い喉から「ん、んぅ〜…」と可愛らしい返事が返ってきた。
そして薄らと瞼が開かれ、その綺麗な碧眼がゆかりをとろんと見つめた。
「ぉはよー、ゆかりさん……。…………あれ?なんでゆかりさんが私のお布団に……?」
「イアちゃん、ここは私の部屋ですよ。一緒に寝ちゃったの、覚えてないですか?」
ゆかりの言葉にイアは上体を起こして部屋をキョロキョロする。寝ぼけているのかその目は半分しか開いていない。
しかし次第に目が覚めてきたのか、段々とその白い頬に赤みが差してくると、恥ずかしいのか両手で顔を覆った。
「あ、あの、ゆかりさん。私、なんで……」
どうやらイアには昨日の記憶がないようで、同衾している事に非常に混乱しているようだった。
それを察したゆかりは、ベッドに横たえたままフッ、と優しく微笑えみ、しかしどこか遠くを見る目で語った。
「大丈夫ですよイアちゃん。私はなんにもしてません。ただ一緒に、ただ一緒に寝ただけですよ。……本当に」
「?」
きょとんとするイアに、ゆかりは昨夜の、というか夜通しの出来事を思い出してさらに遠い目をした──……
……──イアが四肢を絡めてきた直後、ゆかりは来たる快感に備えて目を瞑り、身構えた。
「………………あれ?イアちゃん?」
しかし待てども待てどもイアに動く様子はない。ゆかりの身体に抱きついてきたものの、そこからパタリと動きがないのだ。
ゆかりは恐る恐る目を開けると、そこにはすーすーと可愛らしい寝息を立てる、いつもの服装の、いつものあどけない顔のイアが気持ちよさそうに眠っていた。
ゆかりを抱き枕にし、首筋に鼻の頭を埋めて寝ている。
どうやらエナドリの効力が切れ、反動で眠ってしまったらしい。
そうしてそのまま一晩中、ゆかりはムラムラしながらイアの抱き枕と化して、一睡もせず一夜を過ごしたのであった。──……
──……そんな感じで間違いは何ひとつ起こらなかったのだが、イアに昨夜の『攻め状態』の記憶がないのには困りものだった。
首を傾げてコチラを伺ってくる(可愛い)イアに、ゆかりは変わらず横になったままキリッと言った。
「イアちゃん。今後は私以外の前でクリーチャーエナジーを飲まないようにして下さい」
「え?うん、分かった、よ……?」
イアは釈然としないながらも頷き、使命を全うしたゆかりは安心して目を閉じた。
抱き枕状態から解放されて、緊張の糸が途切れたのだ。抱き着かれて血流が止まっていたから体が痺れて動けないのもある。
しかし高圧・積極的なイアという、まさに夢のような出来事のお陰で、イイ夢が見れそうなゆかりだった。
体力の限界が来たゆかりは、そのまま深い眠りに落ちていくのだった。
──その後、今日セッションの約束をしていたマキが部屋に訪れてすぐに起こされることになるのだが、寝不足なゆかりはミスを連発。
それを見かねたマキが、見学していたイアにお遣いを頼んだ。
「イアちゃん!これでレッドプル買ってきて!もちろんイアちゃんの分もいいよ!!」
いあゆか