ARIA星人イアちゃんと出会った結月ゆかりの青春模様   作:へるしぃーぼでぃ

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作中想定曲『働かずに食う』
凛『サヨナラチェーンソー』
穏『Sillage』(作曲コードなし)

※結月ゆかりの双子の弟概念が出現します。名前は『結月えにし』で。


ARIA姉妹、結月姉弟に会う

 

その事件はアパート『ふぁ〜すとぷれいす』のエントランスにて、買い物帰りのイアが衝撃を受けるところから始まった。

 

「働かずに食〜う♪ya!……ん?」

 

マイバッグをぶら下げ鼻歌を歌いながら帰ってきたイアは、アパートの前に立つ見慣れたその背中を見つけた。

紫の髪にパーカーを羽織った出で立ち、あれは頼れる隣人の結月ゆかりだ。

彼女は何故かアパートに入らず建物を見上げたまま動かないが、会えて嬉しくなったイアはとててと小走りになって駆け寄り、その背中に声を掛けた。

 

「ゆかりさん、ただいま。中に入らないんですか?……ッ!?」

 

「え!?」

 

振り返った結月ゆかりが、何故か目をまん丸にして過剰に驚く。まるで知らない人に急に話し掛けられたみたいなリアクションだ。

対してイアも、振り向いたゆかりを見て衝撃を受けていた。アホ毛がピンと天を貫く。その理由は──……

 

「ゆかりさんのっ、もみあげがない……ッ!?」

 

そう、結月ゆかりのトレードマークとも言うべき両もみあげが、綺麗サッパリ跡形もなく消えていたのだ!!

突然のショートヘアゆかりにイアが固まっていると、ショートゆかりが恐る恐ると話しかけてきた。心做しかその頬は少し赤い。

 

「あの、もしかして姉の……、結月ゆかりの友だちですか?」

 

「え?あね……?」

 

話し掛けられ、イアは再び固まる。

『姉』という予想外のワードと共に、目の前のゆかりから発せられた声がひどく低い事に気付いたのだ。そういえば身長も頭ひとつ分ほどデカい。

情報量の多さに、とうとうイアの脳内処理が限界を迎えてプスプスと頭から煙が立ち上った。

 

「あ、あのー?」

ショートゆかりが心配そうにショートしたイアの顔色を窺う。

しかしイアは「もみあげを吸収して身体が成長……?」などと独自の見解を見出す始末で、一向に現実に向き合ってくれない。

そんな混沌とした場に、アパートの管理人である弱音ハクがたまたま通りかかった。

 

「…あら、えにし君じゃないですか。…お姉さんなら丁度部屋に居ますよ」

 

「あ、ハクさん。お久しぶりです。……姉はその後、どうですか?」

 

「……元気ですよ。……貴方の目の前にいる方のおかげで」

 

ハクが手のひらでイアを指し示すと、えにしと呼ばれたショートゆかりがハッとなって改めてイアに向き直った。

 

「じゃあ貴女がイアさんですか!?最近姉がメールでウザいほど惚気けてくる、あの…!」

 

「うん?そうです、私はイアです」

 

まだ頭がショートしているイアが反射で自己紹介する。

そんな2人の様子を見て色々察したハクが、仲介して互いを紹介した。

 

「…イアさん、彼は結月ゆかりの双子の弟の結月えにし君です。…えにし君、彼女は最近貴方のお姉さんがご執心している、噂のイアさんです」

 

紹介され、えにしが「姉がお世話になってます」と深々と頭を下げる。それに対してイアも「こ、こちらこそ、私もゆかりさんにはお世話になりっぱなしで…」とワタワタ話す。

そんないつまでも話の進まない腰の低い2人を傍観していたハクが、ボソリと呟いた。

 

「……立ち話もなんですし、とりあえず件のゆかりさんの部屋にでも移動しましょうか。……イアさんにいつまでも荷物を持たせたままでは悪いですし」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

昼間にも関わらず厚いカーテンが閉められ、テレビから溢れる光のみを光源としたその部屋にて。

エナジードリンクの空き缶がそこらに転がり、テーブルの上にはポテチやチョコ菓子の袋が散乱している。食べかけの中身たちが、この部屋の主たる2人の少女を静かに覗いていた。

その2人はコントローラーをガチャガチャと激しく操作しながら、食い入るように画面に向かって悪態をつきあっていた。

 

「おらおらァ!どうしましたオネちゃん!?甘いんですよ攻撃がァ!」

 

「くっ、初心者にも容赦ない……ッ!?けど動きはもう……、見切った!!」

 

「ほう?もう私の動きについてきますか。……ならもう一段ギアを上げますよォ!!」

 

「くっ!?負けて……ったまるかァァ!!」

 

その時、パチンと音が鳴って部屋の電気が点いた。

男勝りな叫び声を上げていたゆかりとオネが驚いて背後に振り返ると、そこには頭を抱えるえにしが居た。

 

「姉ェ、相変わらずゲームばっかしてんのな……」

 

「なんだ、弟ですか」

 

姉の醜態を目にして顔を覆ってため息をつくえにし。

見知った顔にすぐ平静を取り戻すゆかり。

予期せぬ来訪者に固まるオネ。

そしてえにしの背後から、イアがひょっこりと部屋を覗いた。

 

「オネちゃん、楽しそうだね。ゆかりさんとはやっぱり仲良しみたいで、私は嬉しいな」

 

そこでようやく再起動を果たしたオネが飛び上がって叫んだ。

 

「おねぇっ!?ね、姉さん!?だ、誰がこんな奴と仲良くなんてッ、……わ、私はあくまでこの星の文化についてよく調べる為に、実際に体験するのが早いと思ったから……」

 

「スキありィ!!」

 

オネが早口でごにょごにょと捲し立てる、その隙に。

ゆかりがオネの操作するキャラを場外へとスマッシュで吹き飛ばし、画面がリザルト画面へと移った。

オネは信じられないものを見たように、ドヤるゆかりの顔を凝視した。

そんな愚姉(ぐし)のしょうもない一部始終を前に、えにしは再度ため息をついて呟いた。

 

「姉、せめて仲良くゲームをやってくれ……」

 

 

☆☆☆

 

 

机の上が片付けられ、代わりに4つのコップが各自の目の前に置かれる。注がれた温かいお茶から、ふんわりと湯気が立ち上っていた。

その内のひとつを持ち上げ乾いた喉を潤わせたえにしが、申し訳なさそうに口を開いた。

 

「改めまして、ゆかりの双子の弟のえにしです。バカ姉がお世話になってるようで……」

 

「ちょっと、姉に向かってバカとはなんですか、弟」

 

深々と頭を下げるえにしに、ゆかりがジロリとそのつむじを睨む。頭を上げたえにしも半眼で睨み返した。その顔は双子と言うだけあってソックリだ。

そんな2人の前で、イアとオネがえにしの事を物珍しそうに見ていた。

 

「えにし君は、本当にゆかりさんに似ているね」

 

「もみあげの有無くらいしか違いが分からない…。本当に弟?女顔過ぎじゃない?」

 

見られている事に気付いたえにしが、少し居心地が悪そうに頬をかいて苦笑した。

少女2人から興味津々といった視線を浴びて、思春期真っ盛りな少年は内心ドギマギしていたのだ。

それに気付いたゆかりがニヤリと笑みを浮かべて煽る。

 

「あらあらー?えにし君、美少女に見つめられて顔が赤くなってますよぉ?惚れた?惚れちゃいました???」

 

「ちょっ!?姉うるせえ!!しょうがないだろ、マジで2人とも美人なんだから……っ」

 

最後の方はごにょごにょと小さくなっていったが、狭い室内でその声は十分すぎた。

顔を真っ赤にして素直なカミングアウトをする弟に、逆にゆかりの頬が熱くなる。こういう甘酸っぱい感じの空気は苦手なのだ。

対して、褒められたイアは「ありがとう」とお礼を言い、ニッコリと微笑んだ。イアは普段からゆかりに「綺麗」だとか「美しい」とか言われ過ぎていて、容姿が褒められることにスッカリ慣れていた。

 

「ほら、オネちゃんもお礼を……、オネちゃん?」

 

しかし、オネは違った。

オネにもお礼を言う様に促したイアだったが、そこには耳まで真っ赤になって俯いているオネの姿が。

ゆかりとゲームをよくする仲にはなったオネだが、専ら対戦ゲームしかしない2人はお互い罵詈雑言でしか会話をしていなかったのだ(仲が悪いワケではない。ゲーマーの性である)。

そんな中、突如現れたゆかりの弟だというえにしに美人と言われ、褒められ耐性のないオネはすっかり茹でダコ状態となっていた。ちょろい。

そんなオネを見たえにしが更に頬を赤くし、ゆかりが「な、何なんですかこの空気ッ!?」と狼狽する。

テレテレと妙なピンク色の空気になる中、微笑ましそうに見守っていたイアがふと、何かに気付いた様子でえにしに向き直った。

 

「えにし君は、今日はお姉さんに用があって来たんだよね?私たち、お邪魔かな?」

 

「い、いえいえ!全然そんなことないです!お構いなく!!姉が引き篭ってないか様子を見に来ただけで、ついでに荷物を持ってきただけですからっ」

 

「ちょっと、なんで引き篭ってる前提なんですか?……ていうか荷物って、私なにか頼みましたっけ?」

 

ゆかりが足でゲシゲシと軽く蹴りながら、えにしの言葉に疑問を口にする。

えにしは溜息をつきながら足攻撃から距離を取ると、背負っていたバックを下ろした。

そして中から布の塊をふたつ、取り出した。どうやら服の類のようだ。

 

「先週メールで頼んできただろ。そんな忘れる程度なら、持ってこなきゃよかった……」

 

「あ、それは……っ!」

 

落胆するえにしを余所に、その服を渡されたゆかりは合点がいったように声を弾ませた。

その二着の服は、ゆかりが音楽にドハマりし始めた頃によく使っていた、パーカーの『穏』と『凛』だった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

結月ゆかりは、何かと形から入る気質だった。

音楽を志した時も、まず始めに起こした行動はメチャクチャ高いギターを買うことだった。

 

それでも圧倒的センスとその声質で周りからチヤホヤされてきたゆかりだったが、欠点がいくつかあった。

 

その内のひとつとして、歌ってテンションが上がると、演奏と歌声の質がワンランクダウンしてしまうという、しょうもないものであった。テンションが上がり過ぎて、勢いこそ良くなるが肝心のパフォーマンスが落ちてしまうのだ。

ライブなどで盛り上がっている内はいいが、後になって思い返すと……、遠目から見てると……、など、落ち着いてみるとゆかりの音楽は結果的に大したことないという意見に収束してしまう。特にネット越しだとそれが顕著だった。

それを打破したのが、この穏と凛の二種のパーカーである。

 

「ふっふっふ!実は私は変身を二回残していたんですよ!」

 

パーカー二着を両手に持って立ち上がったゆかりが、得意げにそう叫ぶ。

えにしとオネはどうでもよさそうに無反応で、イアだけが「わー」とパチパチ拍手してくれていた。

イアの反応に気を良くしたのか、誰も求めてないのに勝手に解説を始めるゆかり。

 

「『穏』は穏やかで包容力のある私を、『凛』は泰然とした知的な私という魅力を引き出してくれる、云わば私専用の強化アイテムです!まぁ元から魅力全開の私ですけど、コレを着るとさらに魅力が増すんですよ!」

 

薄い胸を張ってドヤるゆかりに、照れ状態から復活したオネがジト目を向けて「魅力ぅ?」と鼻で笑った。

 

「いやいや、アンタにはゲーマーヒキニートっていうイメージしかないんだけど?それが言うに事欠いて、包容力に知的だって?冗談も程々にした方がいいよ」

 

「ふふん、言ってくれますねオネちゃん。本気出した私の魅力にあてられても知りませんよ!」

 

オネの辛辣な評価に、しかしゆかりは鼻を鳴らしてそう言い放った。

オネとゆかりの交流はまだ数日であるが、2人の仲はゲームを通して急速に縮まっていた。

ただ、対戦ゲーばかりやっている影響か、互いの口調はややケンカ腰である。……仲が悪いワケではない、これが彼女(ゲーマー)たちのコミュニケーションなのだ。

そうして「着替えてきます!首洗って待ってなさいオネちゃん!」とパーカーを持って部屋を出ていくゆかりに、オネは「フン!」と鼻息ひとつ、その後ろ姿を見送った。

バタンと扉が閉まる。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

ゆかりが出ていき、残された3人はしばらく無言だった。

しかし視線はえにし1人に集中しており、気まずさからえにしはお茶をひと口啜った。

そしてコップがコトンと置かれると、イアが待ってましたと言わんばかりに喋りかけてきた。

 

「えにし君は、お姉ちゃん想いなんだね」

 

「え……、いやぁ、ズボラな姉なんで目が離せないだけですよ。歌手を目指すって言った時も、誰にも相談せず1人で突っ走っちゃって……」

 

頭の後ろを掻きながら、懐かしむように遠くを見るえにし。

昔の出来事を昨日の事のように思い出しながら、ふと改まってイアに向き直った。

 

「そういえば、ハクさんから聞きましたよ。イアさん、ウチの姉とユニットを組むらしいじゃないですか。……あんな姉でいいんですか?」

 

えにしの不安げな表情とは裏腹に、イアはにっこりと満面の笑みで答えた。

 

「うん、大丈夫。ゆかりさんは、とっても頼りになるよ」

 

「……私は反対」

 

ポソリ、とオネの呟きが部屋に木霊した。

イアとえにしがパッと振り向けば、据わった目をしたオネがイアを射抜いた。予期せぬ表情に2人がたじろぐ。

そんな2人を余所に、オネがくどくどと言葉を連ねた。

 

「姉さんがあんなちゃらんぽらんとユニットを組む必要は無い。毎日毎日ゲーム三昧のゆかりなんかに、姉さんの隣はとても務まらないよ」

 

最近、何かとゆかりと交流(ゲーム)していたオネはこう思っていた。

「あれ、コイツゲームしかしてなくね?」と。

ゲームをやろうと誘ってくるのも専らゆかりからであるし、オネの中でゆかりの印象はゲーマーヒキニートというイメージで固まっていた。

そんな人間が、敬愛する姉とユニットを組むというのだ。反対したくなるのも無理もなかった。

だがそこで、そのヒキニートから待ったが掛かった。

 

「それは聞き捨てならないですねオネちゃん!」

 

バァン!と扉を勢いよく開いて登場したのは、『凛』パーカーを着たゆかりだ。

肩にはエレキギターをぶら下げ、ジャンジャーンと弦が適当に弾かれる。

 

「私が本当にぽんこつかどうか、その目で確かめるといいですよ!」

 

そして唐突に演奏を始めるゆかり。

その忙しなさにオネは呆れ顔を向けたが、しかしそんな勢いとは裏腹に演奏自体はとても素晴らしいものだった。

荒々しくも心を揺さぶるようなギターソロに、脳に直接響いてくるような力強いボイス。

心做しか顔もイケメン度が増していて、キリッとしたその視線がオネを射抜いた。

その視線を受けて、不覚にもオネの胸がドキリと高鳴る。普段とは違う凛とした雰囲気に、本当に不覚にも見惚れたのだ。

 

「ふっ、ちょろいですねオネちゃん」

 

と視線で語ってくるゆかりに、オネがハッとなって顔を赤くし、ぐぬぬと歯軋りする。

その脇では、イアがギターの音にノッて楽しそうに体を揺らしていた。

そんな中、えにしがポツリと呟いた。

 

「姉、スランプから脱したんだな……」

 

えにしが最後にゆかりを見たのは、数多のオーデションに落ちて自信を喪失していた時だ。

当時、落ち込む姉になんて声をかけたらいいか分からず放置してしまっていたが、そんな姉が無事に自信を取り戻した様子に、密かに安堵していたえにしだった。

そんな弟の想いなど露知らず、楽しそうにギターを奏でるゆかりがオネと何か言い合っている。

 

「た、確かに実力は認めるけど、イアの隣に立つならもっと上品でお淑やかじゃないと……っ」

 

「ほう、なかなか強情ですね。なら今度は『穏』モードを見せてあげましょう!」

 

ゆかりを認めたくない一心のオネがそう言うが、自信に溢れるゆかりが「ふふん」と鼻を鳴らすと再び部屋を後にする。

そして直ぐに戻ってくると、そこには白い『穏』パーカーを着た、柔和な笑みを浮かべるゆかりが居た。今度はアコースティックギターを構えている。

ボロロン、と1回ストロークすると、甘く柔らかな歌声が奏でられた。

さっきとは180°違う演奏に、これには流石のオネも言葉を失った。

そんなオネを見たゆかりが、まるで我が子を見守る母親のような柔和な微笑みを浮かべて近付く。

 

「どうでしょうオネちゃん。これでも、イアちゃんの隣に立てませんか?」

 

キスしそうなほどの至近距離に迫られ、オネの顔が真っ赤になる。

ゆかりは心の中で「してやったり」とほくそ笑んだ。

 

「姉、そこら辺でやめとけ。悪い顔してるぞ。せっかくツラだけは良いのに台無しだ」

 

「ツラだけとは何ですか!?演奏もよかったでしょう!?ねぇ、オネちゃん?」

 

弟に止められてもなお詰め寄ってくるゆかりに、オネが赤くなった顔を逸らしながら呟いた。

 

「た、確かに演奏は良かった……、っけど!お姉ちゃんとユニットを組むのを、私は許したワケじゃないから!!行こう、お姉ちゃん!」

 

オネがイアの手を引き、颯爽と部屋を出ていこうとする。

イアは慌てて結月姉弟に振り返って挨拶した。

 

「っあ、待ってオネちゃん!ゆかりさん、えにし君、お邪魔しました。……待ってーオネちゃん」

 

アリア姉妹が出ていき、残された結月姉弟がぽつんと取り残される。

そんな中、えにしがため息をついて姉を見上げた。

 

「あっちの妹さんと、ズイブン仲がいいみたいだな」

 

「ええ、オネちゃんはツンデレちゃんなんで、とっても可愛いんですよ。どこかの可愛くない弟とは違って」

 

「へいへい」とえにしが適当に相槌を打つ。

一拍置いて、彼は真面目な口調で話し始めた。

 

「……ユニットを組むからには、前みたいに半端な気持ちじゃ辞められないぜ、姉」

 

「……分かってますよ。今度こそ、私は本当に本気で歌手を目指します。だから『穏』と『凛』を持ってきてもらったんじゃないですか」

 

過去、結果が出ずに不貞腐れていたゆかりを一番近くで見ていたえにしが心配するが、それは杞憂の様だった。

今、ゆかりの顔は清々しいほど自信で満ち溢れており、迷いのない真っ直ぐな眼差しを未来に向けていた。

いつものズボラな姉を知るえにしは、その姿だけでもひどく安心できた。

 

「それに、イアちゃんともとっても仲が良いんですから!なんとビックリ、同衾した仲ですよ?」

 

それを聞いたえにしが「ブフォア!?」と吹き出す。

 

「はぁ!?ちょっまさか姉、手ぇ出して……」

 

「ちょっと、何エッチな妄想してるんですか。変態。……まぁ、イアちゃんは激しかった*1、とだけ言っときましょう」

 

「え?マジ?あんなぽわぽわした雰囲気で?ちょ、姉!?姉ーー!!?」

 

どこか遠い目をする姉の爆弾発言に、えにしはその後1週間は悶々と過ごすハメになったのだった。

 

 

*1
エナドリ事件





結月ゆかりの双子の弟概念、バリエーション
・少年(ノーマル)
・ショタ(まぁ顔が可愛いからね)
・男の娘(同上)
・女装(同上)
・女体化(←!?、それってただの結月ゆかりじゃん?なんだァ?テメェ……)


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