謎の強キャラムーブがしたい少年は願望機に愛される   作:上位存在愛されもの好き

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今更ですがいつも誤字報告をしてくださっている方、ありがとうございます
自分では多分一生気づけません


最近ヤンデレ要素がなくなってるな?と作者が感じているのでそのうちなんかでっかい爆弾でも投下します
今はその準備期間だと思ってください


私/彼女こそが主人公

 

 私は明月先輩にこう聞かれたことがある。

 

「なあ華江、キミがそんなにも慕う”先輩”とは何者なんだい?」

 

 先輩は一言で表すなら優しい人だ。でも、決してそれだけではない。

 あの人はどちらかといえば変人に分類されるような人種だ。当たり前のようにこの世界にフィクションのような非日常がありと信じそれを追い求めている、そんな変わった人だ。

 でも、先輩は主人公になる気はないらしい。何故と聞けば、

 

「俺はそういう器じゃねえんだよ」

 

 と何処か悲しげにそう返された。

 そもそも”主人公”とはなんだろう。

 今現在、この世界には商業非商業問わず無数の物語があり、その数だけ主人公がいる。だから、主人公とはこういう人物である、と決めつけることは無理だろう。

 ならば、先輩がなれないと断じた主人公像とはどんなものだろうか。

 私が考えるに、それは恐らくだが王道的なものだ。

 抽象的に言うならば、誰かを助けることのできる人。それもきっと自分を犠牲にしてでもそれを成し、見返りを求めるようなこともない、そんな人物像に彼は憧れているのだと思う。

 そして、残念ながら先輩は自分はそうではないと思っているようだ。私からすればそんな人はこれまでの十余年の人生の中で先輩くらいしか見たことがないというのに。

 

 

 話がそれた。最初の質問に戻ろう。私はそれにこう返した。

 

「すごくかっこよくて、誰かのことを助けることができて、それなのに自分に自信がない、そんなそれこそ主人公みたいな人ですね」

 

 そう誇らしげに言うと、明月先輩は笑いながら言った。

 

「フフフッ、そうか。ではキミはそんな先輩に似たのだろうな。それは私がキミに抱いている印象そのものだ」

 

 私が……先輩と似てる?そんなことはない。先輩に比べたら私なんて全然だ。

 

「そんなことないと言いたげな顔をしているな。自信がないと言ったのはそういうところだぞ?案外キミの先輩も同じような悩みを抱えていたのかもしれないな」

 

 そんなことを言って、明月先輩は去って行った。……私が悩んでることを察して1人にしてくれたのだろう。そういうところがあるから嫌いになれない。

 それにしても先輩も同じように考えていたかもしれない、か。確かにそうかもしれない。先輩は私なんかより多くの主人公を知っているだろう。ならば、そのキャラクターたちより自分は劣っていると考えていても不思議ではない。

 ……どうしたらその認識を取っ払ってしまえるのだろうか。私が先輩のために出来ることはないのだろうか。

 その答えは結局その日には見つからなかった。

 

 

 

 

 

 

 さて、回想シーンはここまでにしようか。なんて先輩なら言うのだろうか。

 私は今日も魔法の修行に明け暮れていた。

 今しているのは模擬戦闘だ。

 

「……なかなか上達してきたね。じゃあこれはどうかな?サムチェイン」

 

 空間が揺らぎ鎖が飛び出てくる。数が多いっ!

 

「……メニィマジックボール」

 

 選んだのは大量の魔力弾によるごり押し。魔力量が多い私だから遠慮なく選べる択だ。

 

「やはりキミの戦い方は不思議だ。緻密な魔法を編んできたと思ったら今度は力押し。こうも手札が変わる魔法使いは珍しい」

「余裕あるくせによく言いますね!ファイヤボール!」

 

 出るのは火の玉……ではなく雷撃。無詠唱が得意なことを活かしたブラフである。

 

「ほう……っと」

 

 それも防がれては意味がないが。集中力が足りなかったのか威力が低く、簡単に弾かれてしまった。

 そこであらかじめセットしてあったタイマーが鳴る。戦闘終了だ。

 

「今日も駄目でしたか」

「魔法を知ったばかりで私に張り合えるだけでも大したものだと思うが……キミはそれで満足などしないのだろう?」

「当たり前です」

 

 明月先輩を倒せなければあのにっくきエキナを倒すなど夢のまた夢だ。一応切り札となる魔法は完成しつつあるがそれだけでどうにかなる相手でもないだろう。

 あーこのことを考えるとイライラする。

 

「明月先輩、ちょっと外歩いてきます」

「なら私もついていこう。なに、私もそんな気分だったからね」

 

 嘘だろうな。十中八九私の護衛だろう。まあ甘んじて受け入れるが。また襲われないとは限らないし。

 

「ところで、お試しでいいから予行練習ということで恋人つなぎをしてみないかい?」

「嫌です。するなら創先輩とします」

 

 油断も隙もない人だ。諦めの悪い。

 

「キミも容赦がないな。ん?誰かいるな」

「そりゃ人くらいいるでしょう」

「いや、魔法使いだ。数は2人」

 

 本来、魔法使いは相手がそうであると気づかない。何故なら隠蔽が容易だからだ。当然私もそうしている。そのはずなのにわかったということは……

 

「敵ですか」

「まあそうだろうっとと!」

 

 地面が振動する。地震ではない。もっと人為的なものだと直感が言っている。

 

「なんだ……?」

 

 警戒し、いつでも魔法を使えるようにしておく。

 数秒後、そこに現れたのは知った顔だった。

 

「……っ!」

 

 ボロボロの体を必死に動かしてこちらに駆けてくるのは最近やって来た転校生の女子だ。名前は確か静枝さん、だったか。

 

「あははっ☆まってよー」

 

 そのすぐ後ろを追うのはこの前も見た女の子、リリィちゃん。彼女が空中で大槌を振りかぶり、静枝さんに叩きつけようとする。

 

「させるかっ!」

「止まって!」

 

 私と明月先輩の魔法がリリィちゃんの胴に当たる。バランスを崩した彼女はくるっと一回転すると危なげなく地面に着地した。

 

「あれれ?なんでおねーちゃんたちがじゃまするの?そのこはおねーちゃんたちをいじめようとしてたんだよ?」

 

 その言葉に静枝さんの方を向く。彼女は諦めたように首をわずかに縦に動かした。

 

「……だとしても、ここまですることはないだろう」

「なんで?わるいこにはオシオキしなきゃいけないんだよ。だからどいて」

 

 そんなこと急に言われても判断ができない。私たちに静枝さんを見捨てろってこと?

 

「だいじょーぶだよ?えっとなんだっけ……あ、そうだ。いのちのほしょー?はするから。リリィいいこだもん。だからここはバイバイしよ?」

 

 別に見捨てても彼女は死なない。そもそも戦って勝てる保証もない。というか負ける可能性の方が高い。そんなの……

 

「……そうか、ではこの場は引こう」

「……明月先輩」

「刺客をわざわざ守る理由もない。彼女も嘘は吐いていないだろう」

 

 そうだ。それが合理的な選択ってやつだろう。我が身が可愛いなら、いや私が捕まって世界がどうにかなってしまう可能性を考えてもこの場は引くべきだ。

 ……そのはずなのに。

 

『絶対的な二択、なんなら一択を突き付けられた時、第三の選択肢を掴み取れるやつがきっと主人公なんだろうな』

 

 先輩がこの場にいたらどうしていた?醜態を晒して逃げるのか?心にモヤモヤを抱えたままにするのか?違うだろ。

 

『なんでお前の話し相手になったのかって?……そんなもん俺のためだよ。俺があの時何もしなかったら多分家に帰った後もずっと気持ち悪い何かが残った。それが嫌だっただけだよ。だからお前も俺に感謝なんてしなくていいぞ。結局はこんなの自己満だ』

 

 先輩は……それは自己満足だと言いながら、目の前の助けを求めてる人に手を差し伸べられる人だろ!

 見つけた。先輩の自信を取り戻す方法。()()()()()()()()()()。鏡合わせのように先輩に先輩自身を見せつけられたら、きっと先輩の認識も変わるはずだ。

 だったら私が今この場でやるべきことは……

 

「魔力収束、標的捕捉、我が覇道に敵は在らず」

「……華江?」

 

 あの子ぶっ倒して全員助けることだろ!

 

「故に全ては些事なりて、マジックカノン」

 

 放ったのは魔力の激流。わざわざ詠唱までしてやったんだ。そうしたら後は……

 

「ほらっ!捕まって!」

「え?……わたし、は……」

「うだうだ言わない!さっさと逃げるよ!」

「いや待て、今の内に追撃を……」

 

 そんなの意味ない。早く逃げないと。

 

「そっか……みんなわるいこなんだね。じゃあ……」

 

 だってこんな状況……

 

「オシオキ、だね?」

 

 全力で撃った技が効いてないのがお約束でしょうが!

 

 もともとデカいのにさらに巨大化した大槌がフルスイングされる。防御は不可能。なら、

 

「ディメンションテレポート!」

 

 辺りの空間ごと転移する。土壇場だけどできた……!

 

「明月先輩!走ってください!」

「だがどこに!」

「人のいるところです!」

 

 さっきあの子は自分をいい子だと言った。その基準は恐らく他者から与えられたもの。なら多分彼女にとっての違法行為がある。そしてきっとそれが……

 

「あの子は多分一般人に目撃されるのを恐れています。その証拠に今この辺りに人がいません」

「なるほど。ならこの人払いの外に逃げれば勝ちということか!」

 

 呑み込みが早くて助かる。問題はそこまで逃げ切れるかだけど……

 

「伏せろ!」

 

 投擲された大槌が風を切るならぬ風を殴る音を鳴らして頭上を通り過ぎる。明月先輩の警告がなかったら間違えなく吹き飛ばされて死んでいただろう。

 

「おにごっこはおしまいだよ、おねーちゃんたち」

 

 表情は少し拗ねた子供のそれだが、纏う圧が尋常ではない。このままでは逃げるどころではない。さあどうする?

 

「いいよ。じゃあここからは……喧嘩しよっか」

 

 決まっている。前に出るのだ。真正面から壁を打ち壊せ。それ以外の道はない。

 

「いいよ。じゃあしょーぶしよっか!」

 

 

 

 

 

 

 まじかよ正面から来るか普通。

 なんか思ってたより主人公適正あるなあいつ。まあその方が面白いからいいけど。

 さあ、ヒロインを救ってみせろよ後輩。その勇姿が見れるのなら俺は都合のいい障害にでもなってやるよ。




 百合園華江

 決意を固めた主人公と成り得る者
 無意識に先輩エミュしてるところがある






複数ヒロインを持て余さずにきちんと魅力的に書ける人を尊敬します
作者にはだいぶ難しいです
今章の終わりまでにはエキナのやばさと後輩のヒロイン力を表現できるようにしたいですね
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