謎の強キャラムーブがしたい少年は願望機に愛される 作:上位存在愛されもの好き
ちょっとシリアスっぽい雰囲気も入ってきますがご安心ください
全てヤンデレ化の布石です
うーん、俺はこれまで敵に見せかけて主人公君たちの成長を内密に図る系ムーブをしてきたが……
「同じようなことばっかやってると飽きるな」
そう、飽きた。
いや、楽しいことは楽しいんだよ?ただその方向性が同じ本を読み返した時のものに変わってきてるだけで。
俺が求めているのは新しい本を読んだときの何が起きるかわからないドキドキ感なのだ。
「じゃあなんか起こそうか?」
いやそれも違う。それにマッチポンプなんかしなくてもあいつらなら自ら事件に首を突っ込むだろう。
となるとやっぱ待ち、か?
じゃあ愛読書たるラノベでも読むか。
「ねえ、ボクも一緒に読んでいい?」
「別にいいが……読みづらくないか?」
「ううん、ボクは創と一緒に読みたいよ?」
ならいいか。
そうして俺は本の世界に意識を向けた。
真たちの敵であるカオスメイカーの本拠地にて、彼らは窮地に立たされていた。
「ふむ……これなら余が出るまでもなかったか?」
地に伏せる彼らを見下ろすように玉座に座る大柄な男。その体には確かな傷がつけられているものの、大した支障にはなっていないようだ。
「余の力の前には
未だに立ち上がろうともがく彼らを見たその男は理解できない者を見るような目で言った。
「決まってる……諦めなければ、まだ負けじゃないからだ……!」
「その考えが理解できぬと言っている。貴様らはもう負けているのだぞ?」
「まだだ!まだ……俺は諦めちゃいない!」
これを不屈の闘志と呼ぶのだろうと見ているものに思わせる気迫で言葉を返す真。
「そうか……では、貴様の仲間を殺せば負けを認めるか?”弾”」
彼の操るエネルギー弾が迫る。
「”超防御”!」
障壁がそれを抑える。しかし、ボロボロの身で作り上げたそれが長くは持たないことは、誰の目から見ても明らかだった。
「まだ足掻くか、愚かな者よ。所詮貴様は余の目的のための道具に過ぎないというのに」
そんな決めつけるような言葉に何かを返す余裕は今の彼にはない。ただ戯れに放たれた一撃を防ぎ切るのに精一杯だった。
「俺は……まだ…………!」
「愚かを通り越して哀れなる者よ。貴様に引導を渡してやろう。”多弾”」
一発防ぐのが限界だったものが複数打ち出される。その威力に障壁がバキバキと崩れる音が聞こえる。それでも。
「ぜったいに……負けない!」
「否、貴様の負けだ」
「いや、彼らの勝ちだよ」
真たちを穿たんとしていたエネルギー弾が突然消失した。
それを成したのは他でもない、黒尽くめの男だった。
「……貴様か、正体のわからぬ男よ。何をしに来た」
「もちろん、彼らを助けにさ、ラスボス君」
それを聞いてラスボス君、改めジュールは嘲笑う。
「ははは、貴様が余を倒すだと?なるほど、貴様もまた愚か者か」
「この時点で力量差がわからない君のほうが愚かだと思うけどね」
「ほう、余を侮辱するか。その代償は高く付くぞ?」
その問答の隙に彼は真に念話を送る。
『さあ、今のうちに逃げるといい。なに、私の心配はいらないとも』
不安もあるが、今選べる選択肢はそれしかなかった。
「喰らうがいい、”大源弾”!」
「今だ!”堅牢防御”」
巨大なエネルギー同士が衝突する。
その隙を見て、真たちは逃げ出すことに成功した。
「あの者共よりはできるようだな」
「さあ君はどれくらい余裕が持つかな?」
今ここに最上位層同士の戦いが始まろうとしていた。
あっぶねー!主人公君たちやられるとこだったじゃん。
まさか俺が部屋でラノベを読んでる間に事態がこんなに動いてたとは。
エキナが言ってくれなきゃ気づけなかったぜ。
まあ間に合ったしよしとするか。
「”多弾””多砲”」
ガトリングとレーザーか。
じゃあこっちも迎え撃つか。
「”多弾””多砲”」
全く同じ攻撃が激突し全てを打ち消し合う。
「……なるほど、それが貴様のカラクリか」
何言ってんだ?いやまさかエキナに気付いてる?
『彼はエネルギーを感知できるからね。多分気づかれたんじゃない?』
まあばれたところで問題は……
「ならばこうすれば良い。”集中砲火”」
さっきと同じ攻撃……いや、これの狙いは……!
「その本を消せば貴様は何もできまい」
エキナか!くそっ!
『創⁉』
耳元で聞こえる爆発音がうるさい。だが、エキナは庇いきった。
『なんで⁉ボクはそんなの効かないんだよ⁉』
んなことわかってるよ。
「やはりそれが大事か。よほど使える道具のようだな」
「ああ、そうだな……だから、俺のもんに手ぇ出した報いは受けてもらうぜ……!」
エキナ、いくぞ。ちょっとギア上げるわ。
『う、うん。わかったよ』
じゃあ……
「てめぇには一発ぶち込んでやるよ。”
その言葉を皮切りに、俺から発せられる気配が変わる。
闘志はより濃密に、威圧感はより圧倒的に。そして何より……その肉体はよりパワフルに。
エキナを懐にしまい込んで拳を構える。といっても正式な構え方なんて知らないから適当にだが。
「……貴様、なんだその力は」
「さあ?なんだろうな。その身で……試してみるか⁉」
超常的な速度で奴の懐に入り込み、腹に一撃を入れる。
「……っ、かはっ⁉」
「効いただろ?まだ終わんないがなぁ!」
何度もパンチを繰り返す。一発一発ごとに威力が増していくのがわかる。
「……はあぁ!」
あいつがこっちを抱き殺すように腕を振るうのを高速で後ろに飛び回避する。
「まだだ……まだ余の力はこんなものではない!」
相手の気配が増していく。それでも俺には遠く及ばないが。
「来いよ、負け確野郎」
「貴様ぁ!」
怒りに駆られつつも冷静さを失わずにこちらに飛び掛かってくる。
俺はその勢いに合わせるように思いっきり飛び蹴りを喰らわせる。
「ぐうぅ!」
「歯ぁ折れたか?まあその程度で止めてやんないけどな!」
空中で頭に向かってパンチ。その次は腕に、肩に、頬に、胸に。ただひたすら殴打を繰り返し、その反動で体を空中に維持する。
「オラオラオラァ!」
パンチの回数が三桁に達した頃、俺は最後に重い一撃を入れて距離を取る。
「はぁ……はぁ……き、きさま……」
「もうボロッボロじゃねぇかよお前。残念だったなぁ俺に勝てなくて」
「余は……こんな奴に……!」
「どう考えてもお前の負けだよ。その証拠に……もうお前諦めてるだろ?」
ラスボス君の血に濡れた拳は小刻みに震えている。
あれじゃあもう俺に立ち向かうのは無理だろ。できたら褒めてやりたいぐらいだ。
「それがお前と主人公君の違いだよ。あいつはきっと諦めないからな」
だから主人公ポジにいてもいい、というかいられるんだろう。それに相応しい精神性を持っているが故に。
「さて……報いを受けさせるって言ったよな」
「ま、待て!余はもう……」
「うるせぇよ、黙って喰らいやがれ、”
放たれるのは純粋な力の奔流。それがさながら獣の唸り声のような音を立てて抵抗も出来ない奴を飲み込む。
「じゃあな」
「あー帰ってきたなぁ」
今日は思いっきり悪人ぶん殴れたからな。それなりに楽しかったし、なによりスッキリした。
「ねえ……なんでボクを庇ったの?」
それは……
「なんかそうしたくなった、でいいか?」
なんでかはあえてぼかす。実際自分でもよくわかってないし、まあいいだろ。
「そっか……でも、嬉しかったな」
エキナはそう言うと本棚の方へ戻っていった。さっきの続きを読みに行ったのだろう。
俺はただ、さっきのあいつの言葉が耳に残っていた。
『やはりそれが大事か。よほど使える道具のようだな』
否定はしづらい。エキナ自身がそういうことを言っていたし、大事といってもその理由が役に立つからだと言われればそうだと答えるしかないだろう。
それに俺は、エキナにあることを隠している。それこそが彼女を道具扱いしている証拠になってしまうんじゃないのか?
でもどこかでそれは違うと叫ぶ自分がいる。エキナは大事な仲間だと主張している。
しかし、俺にそんなことを思う資格があるのかとも思う。エキナとはあくまで短期契約をしているに過ぎない。俺が死んだらそのままさよならだ。エキナの記録に残っても記憶に残るかはわからない。これはただの一方通行な思いなんじゃないのか?
そうではないと証明する方法はある。だがそれは俺の非日常の終わりを告げるかもしれない。
それはいやだ。
そう思ってしまえば、行動なんてできない。
ははっ、あいつを笑えないな。結局俺も恐怖に囚われてるんだし。
あいつなら……真ならどうするんだろうな。……決まってるか。あいつならきっと100%エキナのために動くだろう。
俺に謎の強キャラはできても主人公はできない。分不相応だと知っているから。嘘でもあんなに勇気のいることはできない。俺はそういう人間だ。
……あれならどうだ?
1ついい案を思いついた。
それなら勇気が出るかもしれない。ならそうしてみようか。
その時はエキナの判断を尊重しよう。例え、俺のもとからいなくなるとしても。
それが、想像するだけで嫌な気分になるものだったとしても。
創
自分でも理解不能の感情に気づく
エキナに向ける感情の正体は果たして?
エキナ
庇ってくれたことが嬉しいが自分を犠牲にすることはやめてほしい
今回のリザルト:湿度ポイント+5 ヤンデレポイント+8
異能力バトルもの編が一区切りついたら覚醒する想定でやっております
なので爆発するまでもう少しお待ちください
それはそうと高評価・感想いつでも待ってます