治験のバイト受けてみた(これアカンやつや) 作:Ciel@1999
「あ~金がねぇ...」
俺の名前は霧多 一輝。最近高校に入った、ピッチピチの1年生だ。所で、俺は人生最大の難所にいる…
そう…金がないのだ!!
なんと家は月のお小遣いは無し!唯一お金を手に入れる機会といえば、お年玉だけ!!こんなに金に対してケチな家庭があっただろうか!?…いや探せばあるかも。
「な〜んて心の中で呟いていたって、金は増えないしなぁ...」
あっ…そうだ!俺にはバイトと言う手があるじゃないか!?なんで思いつかなかったんだ。俺はもう高校生だ、社会に出て働く事が出来る年齢!となれば働くしかない!
「そうと決まれば、バイト探さないとな…」
と思い、本棚から昨日買った求人誌一冊を取り出した。ページを開いて何枚か捲っていると、その中に他と比べて異彩を放つモノがあった。
入院型の治験バイトです。
あなたも人類の未来に貢献してみませんか?
日数は五泊六日。報酬は一泊あたり15万円! 応募人数は先着10名様限定です!
ご応募はお早めに。以下の番号まで!
xxxx−xxxx−4189
と書いてあった。
「こ、これだー!!と思ったけどなんか怪しいな……まぁいっか!バイトってこんな感じなんだろな。先着10名だから、もう埋まってるかもな…!早く電話かけないと!」
スマホを起動して電話のアプリを開き、表記されていた番号に電話をかけた…すると、若そうな女性の声が聞こえた。
「はい、こちら野座間製薬。コールセンターの斎藤が対応いたします、お名前を教えて下さい」
優しい声色だ、いい人を引いたんだろう!これなら話しやすいぞ。
「あ…もしもし、すいません、霧田一輝です。バイトの応募をしたくて…もう定員埋まってたりします?」
一応、募集を開始した時期を見たんだけど…それがなんと丁度求人誌を買った日とあまり変わらないようだ。
「いえ…霧田様、定員はまだ埋まっておりませんがご応募されますか?」
よし!埋まってない!良かった〜…心配する原因は報酬のせいだけだと思ってたけど、先着10名っていうのもそうだよな、こんないい仕事なんて普通の人間だったら見逃すわけにはいかないし。
「はい!応募します。そういえばなんですけど、これってなんの治験なんですか…?」
治験バイト募集中!と求人誌には書いているだけで、肝心な内容が書かれておらず、通常の治験バイトは専用のホームページがあり、そこから応募するのだ。
「すいません…なんの治験かは私には伝わっておらず。当日に担当者がお教えすると思います」
社内で情報が伝わっていない…?まぁ、そんなこともあるか。でも、そうなって来るとさらにバイト内容が気になってくるな…うん。気にしないことにしよう!正直、人類の未来に貢献ってなんなんだろう。
「あの〜そう言えば、募集の所に書いていた人類の未来に貢献するって、なんですか?」
「いえ、すいません。それに関しても私達には何も伝えられておりませんので…理解しかねます。」
理解しかねる…か。本当に何も知らなさそうだ、もしかしてこれって治験バイトに見せ掛けた超極秘のなんかヤベーイ実験とかだったりする!?…なーんて、そんな訳ないよな…多々、怪しい点はあるっちゃああるけど、アニメの世界じゃないんだし。
「そうですか…。まぁ、何がともあれバイト楽しみにしてます!!」
「はい、そう言っていただけてこちらも嬉しい限りです。」
斎藤さんが喜びの言葉を返してくれた。バイト楽しみだなぁ〜ちょっと怖いけど、まぁ、何とかなるでしょ!
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数日後、僕は当選メールが来て。めちゃくちゃ歓喜した、めっちゃ喜んでベットの上で跳ねたりした。
(フツーに母さんに怒られた)
そして、、、
「ここが野座間製薬の本社か!」
俺はバイトの集合場所である野座間製薬本社に来ていた。
来る途中に鷹山さんという人物に出会った。
「やらなくちゃいけない」と呟くと、名前だけ言って、すぐどこかに行ってしまった。どうしたんだろう?
さてと、着いたぞ!
山の中のようで、森に囲まれている。周りを見渡すと、もう俺含めて10名全員が揃っているようだ。数分待っていると…本社の方からスーツを着用している社員と思わしき人物が出てきた。
「本日は皆様、この野座間製薬による治験実験にお集まり頂きありがとうございます。わたくし野座間製薬特殊研究開発部。部長の水澤令華と申します。」
ぶ、部長自ら!?てっきり普通の社員が出てくるのかと思ったが…意外だったな、それより特殊開発研究部って何だ?今までそんな事一度も聞いたことがない。特殊開発…、一体何を開発しているのだろうか?
「今回、私達が新たに開発した特殊なタンパク質をあなた方に摂取して貰います、これが実験の内容です。」
と、水澤さんが説明していた時に、俺以外の参加しているメンバーが手を挙げて言った。
「実験って言ってますけど、これホントにただの治験バイトなんですよね〜?」
と、そいつは見た感じ何もかもへらへらした感じ全開、喋る態度もあまり良くないのか、別のメンバーもそいつに冷ややかな目線を送っていた。それに対して水澤さんは、
「はい、これは唯の治験バイトなので、ご安心ください」
と明確にハッキリと言い切っていて。視線はとても真っ直ぐで迷いが無かった。
「質問はこれだけですか?他の方も、何か聞きたい事や質問したい事はありませんか?」
そう水澤さんが発言するも、数秒沈黙が流れたことで察して、話を再開しだした。
「説明はこれで終了です、実験は直ぐに始まりますので実験室まで案内します」
そう言った水澤さんに着いてく形で、俺達10名は野座間製薬に入っていった。中はとても綺麗で、内装はシンブルでごちゃごちゃしておらず、とてもまとめられている。そうして長い廊下を歩いていると、一室から人の声が聞こえた…「××!×××××!」部屋の防音性能が高いのか、何を言っているのか聞き取れなかった。
俺はあの部屋で何をしているのか気になって、歩きながら、水澤さんに聞いてみた。
「すいません、あの部屋から人の声が聞こえたんですが、あそこで何をしているんですか?」
そう言うと、水澤さんの目線が少し変わったような気がしたが、少し瞬きをすると元に戻っていた。
「すいません、この製薬会社は色々機密が多いものでして、説明するのは難しいです。着きました皆さん、ここです」
そう言って、水澤さんは扉を解錠して開いた。中は広く2つに区切られていて、10個のベットがあり、全てにカーテンがつけられていて、1番奥に窓があった。俺達全員が部屋の中に入ると、白衣を来た作業員が2人来て、「これ着替えてください」と白一色の衣服を渡してきた。数分してそれに着替えて待っていると。
研究者らしき人物が、3人入ってきて、10個のコップのような容器が入った箱を持って来た。
「治験するタンパク質を持ってきました。皆さん、これを一気に飲んでください」
皆、一人一人研究者からコップを受け取る。中には謎の物体が入っており、あまり飲み込みたいとは思わせないルックスだ。
飲み込み…変な味がしたと思った瞬間、体の奥底から湧くような感じがする。涎がダラダラと口から溢れ出す。くっそ…なんなんだ!?この理性そのものが塗り替えられるみたいな感覚は…!
「おい…!皆これはまず」
ブォン!顔の横を何かが高速で横切って、ドォォン!と、壁に大きな亀裂を入れ陥没させた…ポロポロと欠片が落ちる。
「は!?」
驚愕して閉じてしまった目を開けると、正体不明の人型生物と赤いトカゲのような生物が目の前で殴りあっていて、周りには謎の液体?が散乱していた、ってあっぶね!?
バイオレントスラッシュ
「っち!こっちまで攻撃が飛んでくるのかよっ!ぐっ!!」
さっきから、空腹が収まらない…なんなんだよ、この感覚は!これは治験バイトじゃなかった!こんなの…受けなければよかった、そんな事を考える間もないと告げるように、先程から攻撃が激しい。室内では危ないと思い、窓ガラスを割って外に飛び出した。
「っ…!ほんとになんなんだよ!!」
その後俺は無我夢中で森の中を駆け、車道に出ることが出来て、何とか家に帰れた。
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ち、取り逃したか。元本社に向かう途中に出会った坊主…まさかアマゾンになるとはな。前々から探っていたが、やはり噂の高報酬治験バイトは野座間関わりだったか……正直わかりきってたような気もするけどな。
「まぁいい…いずれ会うことになる。またな、坊主」
俺はそのまま森を離れた。
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あの後、家に着いて中に入ると、母さんが心配そうに駆け寄ってきた。「どうしたの!?」って泣きながら言ってる…まぁ当然だよな息子がバイトに行ったと思ったら、夜遅くに全身白い服装を着て汚れまみれで帰ってくるんだから。
「あのバイト、なんか事情があるらしくて中止になったわ」
俺が見た情報を全部話しても、「頭がおかしくなったの?」と言われて病院に連れてかれるのがオチだし。どれだけ細かく説明したところで信じてもらえないだろうしなぁ、世の中には知らなくていいコトもあるってことだ。
「今日はもう飯要らないわ、風呂入って寝る」
あんな光景見たあとに食欲なんか湧くかっつーの!
俺はとっとと風呂に入り、服を着替えて歯を磨いて寝ようとしたのだが、
全然寝れない!!
今日あんな事があったせいで、全く眠気が来ない!寧ろめちゃくちゃ冴えてギンッギンである!これじゃ明日学校遅刻するかもしれねぇじゃん、どうすんだよチキショー!もう最悪だよ…あ、どうせ寝れないなら普段余りしない散歩でもするか…と思って俺は靴下を履き、靴に足を通して外に出た。(もちろん母さんにバレないように、ドアはそっと閉めた)
今はもう深夜に入っていて周りは闇夜であり、ほとんどの家は就寝のため電気は一切付いていない…これでは散歩じゃなくて唯の深夜徘徊である。
ってうるせー!たとえ深夜でもこれは立派な散歩じゃい!と、ひとりでノリツッコミでもしてみる。
「俺ってこんなにテンション高い方だったっけ…まぁ、深夜テンションってやつか」
と、独り言を呟きながら人気の無い夜の道を歩く。深夜な事もあって、明かりが灯っている家は少なく何処も寝静まっている。そう情景に浸りながら歩いていると、小規模な公園に着いた。
「目的地も無しに歩き出したからな…少し休憩するか」
俺はベンチに腰を掛けた。ふと、上を見上げると星空があり、どれも煌々と夜に輝いていた。あの星一つ一つが繋がって1つの星座になるってんだから…凄いな。少し神のセンスにGoodだと思った。と、星座について考えていた時…後ろの草むらから音がした。
「ッ…!?誰だ!」
俺は驚いた動揺を隠すように、素早く後ろへと振り向いた。
「おっと、気付かれてしまいましたか…ですが、問題はありません」
謎の人物の声を聞いたと思っていたら、「プスッ!」と音がして、俺の首に何かが刺されていた。
「だ、誰なんだ…おま…」
俺は正体を聞くことすら儘ならなく、視界がブラックアウトして気を失った。
「今は知らなくて良い事です」