機動戦士ガンダムGHOST   作:朱色の空☁️

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グロ注意です

卒研を作っていたので、1か月お休みしてました。
ヴンダーの方もある程度仕上がり次第出そうかと思います


第14話

 パプアニューギニア

 

 

 そこには、もう人がいなかった。

 辛うじて生活の跡は残っているが、血痕と引きずられた臓物が真っ赤なラインを作り、残酷な足跡としてその場に残している。

 

 

 そこにいたのは、銀色の「何か」だった。

 

 

 見たところ4足歩行の獣型だが、頭部には機銃らしきものが生えている。

 

 

 その脚部は獣のようにしなやかに見えるが、やはり機械というべきか装甲を示す鈍い輝きを持ち、照らされる月明かりが装甲に反射していた。

 かすかに聞こえるモーターの音、草花を潰して歩くカサカサという音、ズルズルと引き摺られる音、その獣は静かに歩いていく。

 

 

「ッ……」

 

 時折その人間が声にならない声を発するが、獣は止まらない。

 何も聞こえていないかのように、ただ淡々と歩いていく。

 

 

 

 

 そして、獣はとある場所に辿り着いた。

 その獣より一回りも二回りも大きな獣に人間を差し出すと、人間は食われた。

 

 いや、機械が人間を食らうのは違うかもしれないが、今はそう例えるしかない。

 

 

 

 

 東南アジアの一角、パプアニューギニア。

 この日、その地から人が消えた。

 

 

 

 ___________

 

 

 

『「「ガンダムシルフ、行きます! (takeoff)」」』

 

 哨戒として飛ぶ事となったので、私は発艦して上空からの索敵を開始しました。

 敵はいない方がいいけどね、実際私達はホノルルまでのお客さんだけど、お仕事はしっかりしないといけません。

 

 それに、シルフがアバターを持ってからの初飛行だから期待にどうかかわるのかがまだ試せていなんだ。

 ガンダムはシルフの身体で、シルフはガンダムの心(シルフは相変わらず曖昧に否定してるけど、心あると思うな)だから、テストは必要だ。

 

 

 [凄いですね、機体のセンサー情報が私に流れ込んでくるので、微妙な加速度を体で感じています。ただ、スラスターの操作は今の私では無理そうです]

 

「身体優先って事?」

 

 [恐らくそのようです。……今だから感じる事が出来ますが、纏の操縦はやや粗いですね]

 

「言ったな~」

 

 [これは私の身体ですので、慎重に動かしてください。それに、私という存在が影響して実感が薄れているかもしれませんが、ガンダムは立派なMSですよ? ]

 

 ……正直実感は薄れて来てる。

 MSというより、ガンダムというより、友達だからね。

 それに、普通はMSは喋らないし、可愛い女の子のアバター姿を持たないし、整備員の人に推しとして崇められる事も無いし、夢を見る事も無い。

 

 うん、シルフがとんでもない存在ってだけだね。

 昨日なんてすごかったよ?

 タッチパネル越しに撫でられて幸せそうな顔してるんだから、指痛くなるまで撫でてたよ?

 途中からシルフが困惑し始めてたけど、それはシルフが可愛いのが悪いんだ。

 

「シルフ、一応確認しておきたいんだが……ガンダムが損傷したらアバターの方はどうなるんだ?」

 

 [仮に腕部、脚部が損傷しても、アバターである私には欠損等は起こりません。お2人には相談しにくい話でしたので、松原さんに相談をしました]

 

 うん、正直いってシルフが怪我してたらちょっとパニックになる自信がある。

 アバターの怪我ってあんまり想像しにくいけど、痛そうにしてたら……悲しくなる。

 

 [ガンダムは私の身体であり、この体はインタフェースですので、「肉体の損傷をアバターに反映させるのは双方の心理的ダメージが大きい」と判断できます。破損した事は感知できますが、それを痛みや欠損として処理しないように調整してあります]

 

「……うん、それ聞いてほんと安心した。ありがと、シルフ」

 

 [どういたしまして。纏に“余計な心配”をさせないよう調整するのも、私の役目ですから]

 

 シルフがそう言った瞬間、座席の振動がわずかに変わった。

 彼女の“感覚”がガンダムに直結しているせいか、

 動きの品質が前よりも滑らかになってる気がする。

 

「シルフ、なんか……操縦しやすい?」

 

 [纏の操作を“予測フィードバック”しています。粗さの6割は補正しました]

 

「やっぱり言ったな!? 粗いって!」

 

 [事実ですので。でも、纏の操縦は嫌いじゃありませんよ。多少乱暴でも、あなたの意志がはっきり伝わりますので。志条の場合は、まだサンプルが少ないですが丁寧に力強く飛んでいました。シュワブでの戦闘ですが、覚えていますか? ]

 

「あの時ね……。シルフ、撃とうとしてたでしょ」

 

 [ハッキリ言いますと、そこが分岐点だと思います。纏の「私は生きている」という文章で、私は戦闘モードを終了する事が出来ました。事実上初の戦闘で警戒が振り切れていたのかもしれません。現在はそのような事はありませんのでご安心を]

 

「ホント頼むぞ……生身に撃つとか考えられないからな」

 

 そうそう怖かったから……

 自衛隊の人にMSサイズのライフル突きつけた時なんて心臓止まるかと思ったから、もう2度としないで。

 

 海は本当に静かで、操縦桿もやや軽い。

 シルフの補正が入っているのもあるけど、結構滑らかに飛べていると思う。

 次は志条にも操縦桿渡してみようかな。

 

 

 海は相変わらず穏やかで、空気も澄んでいて、どこまでも青いはずだった。

 

 それが──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一瞬で殺気に染まった。

 

「ッ!?」

 

 私はスラスターで無理矢理機体を振って反転させた。

 自分でも驚くほど身体が勝手に動いた。

 まるで背中を刃物の切っ先でなぞられたみたいで、呼吸が勝手に浅くなる。

 

 見えないのに、確信だけが先に来た。

 

「いたのか!? 赤外線切り替える!」

 

 [解像度調整開始、MAモドキの熱反応を調査します。志条、サポートお願いします]

 

 気持ち悪い感覚だ。

 前のアイツとは少し違う、でも人の殺意や害意だ。

 でもこれは……ッ!

 

 [上空及び海中の反応なし]

 

「確かにいるんだよ!?」

 

「いったん地上に降りよう。近隣の島は?」

 

 [クック諸島付近に無人島を多数確認しています。MS程度であれば着陸可能です。艦隊には連絡を入れておきますので、操縦と管制に集中してください]

 

「分かった!」

 

 _____________

 

 その 30秒後、私たちは島からの機銃掃射から必死に逃げていた。

 

「次のマガジン!」

 

 サブアームがマガジンを掴み、ガシャン、と電磁小銃に押し込む。

 私は迷いなく引き金を引いた。

 金属が裂けるような連射音と、跳弾が灌木を弾け飛ばす。

 

 撃っても撃っても湧き出てくる。

 

 島の中心部の暗がりから、銀色の“何か”が無限に吐き出されるように現れる。

 

 その量、密度、動きはまるで、地面そのものが銀色にうごめいているようだった。

 

 [纏、志条。やはり“同類”です。この陸上型もMAモドキ、もしくは派生体とみて間違いありません]

 

「不可視化してないだけマシだけど……いやマシじゃない!!」

 

 志条が悲鳴に近い声を上げる。

 こいつらは飛び立つ気配すらないけど、ただ地表を這い、獣のような機動で迫ってくる。

 人間の殺意だけを模して進化した“機械の獣”。

 そんな表現がしっくり来る。

 

 もう装甲には被弾痕がいくつも刻まれていた。

 対人機銃だから深刻ではないけれど、この数は……これだけは別だ。

 

「通信は!?」

 

「ジャミングが強すぎる! ッ!? レーダーに反応! 真っ白になってく!」

 

「はぁ!? なにそれ!?」

 

 私は反転する。

 島の中心──そこから何かが飛び出した。

 

 空へ。

 まっすぐ。

 その瞬間、青空がみるみるうちに黒く塗りつぶされていく。

 

 鳥?

 虫?

 

 違う、全然違う。

 あれは──“雲の形をした”機械の群れ。

 

 シルフが解析映像を表示する。

 そこには、蝶の羽ばたきに似た形状の小型ドローンの群れが映っていた。

 

 ただし、“生き物の気配”が一欠片も無い。

 均一で、冷たい、工業的な羽ばたき。

 

 [超小型MAモドキを確認。群体による分散制御。総数およそ10万。電波阻害能力を保有──レーダー、スキャナー、通常回線が順次ダウンしています]

 

「10万!? 無理無理無理!!」

 

 常識外の物量に私の声が裏返る。

 

 本当に空が黒くなっていた。

 黒い粒が、風とは関係なく“意志を持って渦を巻き”始めていた。

 

 そして──

 

 [纏、志条。……嫌悪、という言い方が適切ではありませんが、“あれは非常にまずい”です。私のシナプス演算が拒絶反応を起こしています。]

 

 シルフの声が、初めて震えた。

 

 それは恐怖に似ていた。

 でも違う。

 

 もっと──本能的な、機械としての“拒絶”だった。

 

 [あれは生き物ではありません。しかし“生き物を模した悪意”です。]

 

「やば……やばいってこれ……!」

 

 空から落ちてくる影。

 地面を埋め尽くす銀色の獣。

 

 島全体が、

 まるごとMAモドキの巣だった。

 

「アドミニストレータを使う! 範囲は半径1km圏内!」

 

 [了解、出し惜しみはしません。発動後は一時的に機能障害が出る可能性がありますが、纏と志条を信頼し”ドカンと”やります。発動後は速やかに反転し、全速力で退避を。発動後は操縦補正も効きません]

 

「構わない! 信じて!!」

 

「僕も付いているから大丈夫だ!」

 

 [了解、発動まで30秒。対象は半径1km圏内の全MAモドキと指定。アルゴリズム解析に全リソースを投入。操縦支援停止。志条、マニュアル操縦に切り替えますので纏の操縦の支援をお願いします]

 

「分かった! 高度120m、速力30、弾数120、プラズマジェット問題無し!」

 

「切って良いよ!」

 

 [マニュアル操縦に切り替えます]

 

 ガクンと操縦桿が重くなって、シルフの支援が消えたことが分かった。

 単方向性半自動思考操縦システムの半分が消えて、自分で動作を考えて動かないといけなくなった。

 シルフがいつも私のイメージから120フレームで動作を組み立ててくれていたけど、そのシルフがアドミニストレータを発動させるときはフレームで動作を組み立てる事が出来ない。

 

 だから、私が1から動作を考えないといけない。

 

 後ろで志条が補正を続けてくれてるけど、シルフ支援ありとなしじゃ動きから繊細さが失われたような気がする。

 

 

 [残り20秒]

 

 

 声から抑揚が消えている。

 人間らしくある為のリソースも投入して全力で演算しているのが分かる。

 

 ガンダムが重い。

 シルフの支援が消えただけで、こんなにも“生身の鉄の塊”なのかと思い知らされた。

 

 敵は増え続ける。

 蜂の巣をつついたように際限なく沸いてくる。

 

 

「正面ッ!!」

 

「っ!?」

 

 その瞬間何かがきらりと光り、凄まじい寒気がした私は操縦桿を捻り転がるように左に機体を動かした。

 そしてそれは思っていたよりもずっと正しく、「そこにいたら死んでいた」事がよく分かった。

 

 

 

 

 眩い閃光が、そこを疾走していったからだ。

 

 

 

 

「何……あれ……」

 

「信じられないエネルギー量だ、これは機銃とか砲塔からの射撃なんかじゃない……ッ!」

 

「レールガン!?」

 

「そんな玩具じゃない! 大気がプラズマ化して電磁障害まで起こってるんだぞ!?」

 

 それって……ッ!

 まさか……ッ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「荷電粒子砲、ビーム砲撃だ」

 

 志条の声がかすれた。

 あまりの非現実に、現実が追いついてこない。

 

 空気が焼けるというか、“根こそぎゴッソリ消える”と言った方が正しいかも。

 光の線が通った後、空間がビリビリと震えて、遅れて耳を裂く衝撃波。

 

 シルフの姿勢制御がぐらつくほどの圧だ。

 

「あれ、どこから!?」

 

「とにかく島の中心から! イオンを並べて加速させてぶっ放したんだ!」

 

 よく分からないけど、確かに荷電粒子砲だった。

 一昔前のアニメが半分現実になった22世紀でも、ビーム兵器という物は出来ていない。

 

 いや、志条が防衛省の試作兵器とか何とかでビームぶっ放してる動画は見させられたけど、こんな噴火みたいな勢いで飛んでくような物じゃない。

 

 いや、これはそもそも人間が生み出した兵器なの?

 

 

 [残り5秒]

 

 

 とにかく動け、脚を止めれば対人機銃がバチバチ当たって来る。

 幾らシルフとはいえここまでバチバチに打たれたら何処か不具合を起こすかもしれない。

 プラズマジェットの吸気口はシールドかけてるけど、穴が開いたらエンジンが火を吹くかもしれない。

 

 

 [3、2、1、発動]

 

 

 世界丸ごと飲み込むような電子の大津波が湧き上がって、MAモドキを島ごと飲み込んだ。

 まるで衝撃波を受けたようにシルフが硬直して操作が一瞬遅れたけど、何とか姿勢を立て直した。

 

 

 

 そこで、予想だにしない光景を見た。

 

 

 

「何あれ!?」

 

「伝播してるのか……!?」

 

 [解析できません。ただ分かるのは、超小型MAモドキが媒介になってアドミニストレータが拡大しているという事です。半径3kmが影響圏内となっています]

 

 見えないはずのアドミニストレータの波がうっすら見えていたんだ。

 青白い粒子の大波、と言っていいのかな、兎に角広がっていき、蝶型が中継器になってどんどん広がっていってる。

 

 

【……シテ】

 

 [全周波数帯で通信を確……ッ?! 纏、志条、開いてはいけません!! ]

 

「シルフ?!」

 

 [これは……ッ! 発信位置は該当島中心部……ッ荷電粒子砲発射地点です! ]

 

【コロ……】

 

「シルフ! 何が聞こえたの?! 言って!」

 

 シルフが全力で拒絶してる位にヤバいのはわかってる。

 でも、分かるんだ。

 

 

 このままにしたら、何れどこかで後悔するって。

 

 

 [……音声通信でした。超小型MAモドキの隙間を縫って放たれたもので、ヒトの声でした]

 

「人?! 何て言ってるの?!」

 

 

 

【コロシテ……】

 

 

 

 [……自身の死を……嘆願する言葉でした]

 

「纏ヤバい!! 第2射くるぞ!!」

 

 志条が出したウィンドウに、島中心部に高エネルギー反応の観測情報が出ていた。

 

 ヤバい、食らったら1発アウトだ!!

 

 さっきと同じように期待を転がすように横に回避するけど、当たってないのにシルフの装甲が焦げてしまった……!

 

「ごめん!!」

 

 [四肢はまだまだ動きます。気にしないで下さい! ]

 

「恐らく拡散した荷電粒子によるものだ。わざと収束を落としたのか……!」

 

 火傷みたいに焦げ付いた装甲が痛々しく見えて咄嗟に謝ったけどシルフはそれどころじゃないみたいで、志条がそれを察してレイフを分離した。

 遠隔操作で飛び出したレイフが島の中心部に向かって疾走していって、電子攻撃で敵の砲台を止めにかかったけど、徹底的に電子妨害しているみたいで上手く効かない。

 

 苦し紛れにミサイルを撃ってもより強力な対空攻撃で撃ち落とされて、1発しか命中しなかった。

 

 その1発も小破させるだけに留まったけど、ギリギリまで近づいたから敵の姿が分かった。

 

 

「まるで鳥だ……」

 

 大きな翼と、三本の脚、鳥のような頭部と、蝶型が寄り集まって出来てるような翼のような物。

 

 推定全高30m、推定全幅100m超。

 荷電粒子砲を単機でぶっ放せて、それを供給できる動力を持っているバケモノ級MA。

 

 その形状は日本神話に出てくる、八咫烏だ。

 

 白黒にしか見えない私の視界に、八咫烏から迸る「希死観念」みたいな人間が持って良い感情じゃない何かの色が満たされていた。

 

 志条はさっさとレイフを退避させてシルフに合体させると、私は全速力で撤退に入った。

 

 あんなバケモノを3人で倒すなんてバカげてる。

 アレはMSが相手していいヤツじゃない。

 

 そして、アイツの中には人のOSのコピーが使われいて、残滓が残っている。

 

 クソったれだ、誰が、何があんな物を作ったんだ。

 

 

 フットペダルを押し込み、艦体の待つ海域へと飛んだ。

 

 

 

 

 _________________

 

 

 

 

『着艦確認、応急ハンガーに移せ!』

 

『パイロット、コパイロットの身体状態はグリーン』

 

『俺の推しがぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!』

 

『通信で叫ぶな変態!!』

 

『右脚部、右腕部装甲が溶けているのか……何をしたらこうなるんだ?』

 

 [荷電粒子砲です。ワザと収束を甘くした粒子砲から広域散乱した粒子により、一部が融解しました。駆動に影響はありませんが、取り換えが必要かと]

 

 その一言で、ハンガーが静まり返った。

 

 油の焼ける匂いと、蒸気の白い靄が漂う中、整備員たちが肩を固まらせたまま焦げ跡を見上げる。

 

 ──荷電粒子砲。

 

 火薬銃から電磁投射砲へ、それが21世紀以降の進化だ。

 しかし22世紀になっても、荷電粒子砲は実験中の兵器で止まっているはずだった。

 実戦配備なんて笑い話で、艦砲やMS兵器として現実に載せられるものじゃない。

 

 [使用されている元素は恐らく水素でしょう。空気中か海水から取得した水素原子を電磁加速させ、強烈な磁場で収束、そのまま発射したと思われます。原理的には可能ですが、これを受ければこの空母もただでは済まないかと]

 

 シルフの冷静な言葉。

 でも頬パーツが忙しなく点滅している──“動揺している証拠”。

 

 それがハンガーにいる全員の背筋を凍らせた。

 

『……おい。今の聞いたか?』

 

『水素を空気から……イオン化して……収束……? そんな加速装置、船に積めるわけねぇ……』

 

『いや、だからMAなんだろ。人間のスケールで考えちゃいけねぇってことだよ』

 

『……アレを一発食らったら、空母の上半分が蒸発するってことか?』

 

『蒸発どころじゃねぇ。機関部に入ったら、熱と磁場で中身全部吹き飛ぶぞ』

 

 艦橋のオペレーターからも声が飛ぶ。

 

『艦長、今の解析、冗談ではないですね?』

 

『シルフが言うのなら……冗談で済む話ではないな』

 

『……あのMA、戦略兵器じゃないですか』

 

『いや……兵器というより災害だ』

 

 誰も笑わないし、誰も言葉を探せない。

 そのくらい、右腕と右脚の“溶けた装甲”が示すものは異常だった。

 

 _____________

 

 

「報告は受けた。現在あのMA、仮称ヤタガラスをどうすべきか会議が行われている。そして、深浦、志条、シルフ。君達が受け取った通信をこちらでも聞かせてもらったが……正直我々も動揺している」

 

「人間の意識をコピーしてOSにする。それよりもっと酷いかもしれません」

 

「それと……ヤタガラスの中の人は……」

 

 [死を望んでいた、と今は表現します]

 

 そう、死にたがっていた。

 何て言うか、その……死こそ祝福とか言うそういう狂信的アレじゃなくて、本当に心の底から死にたがっているような……

 

 こんな物に押し込められてしまって、このまま生き地獄なら誰かの手で、終わらせて欲しいという嘆願にも聞こえた。

 

 あの時、シルフが強い口調で開かないように言ったのも分かった。

 

 




ハシュマルではありません、誓ってハシュマルやシャンブロウではありません。
でも、「ジオンVS連邦」的なアレじゃなくて、こういう物もアリなんですよ
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