機動戦士ガンダムGHOST   作:朱色の空☁️

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戦闘回です


第7話

「電磁カタパルト、発艦規定電圧に到達」

 

「発艦はじめ」

 

「発艦はじめ!!」

 

 電磁カタパルトに下半身を固定したムラクモ二式が瞬時に加速され、全身が押しつぶされる加速Gを押しのけてあかぎの甲板からはじき出された。

 核融合炉搭載艦であるこの船は「原子爆弾になり得ないから」という事で非核三原則のギリギリを通り抜けて生まれ、電磁カタパルトを実装するに至った。

 

 はじき出されたムラクモは背部に取り付けられたフロートユニットを展開してプラズマジェットを吹かした。

 まるで航空機に背中を押してもらうように加速していくムラクモ二式の中で、伊坂は張り詰めたような空気を押し返す様に前を向いていた。

 

「敵MSはどこから?」

 

『台湾方面からです。ですが機体が人民解放軍で採用されていた機体なので恐らく、台湾沖に空母がいる筈です』

 

「何処の軍閥か勢力かは知らないけど、あかぎをやらせるわけにはいかない。各機警告射撃を開始。俺が良いというまで命中させるな。それと、最大遠で通信飛ばせ。敵意を見せるような行動をしたら、容赦するな」

 

『小隊長! 台湾上空に既知のプラズマ紋確認! この波形は……ガンダムです! ガンダム確認!』

 

「ガンダム……! この騒ぎの元凶はアイツなのか? UAVの情報ももっと回せ!! ガンダムの動きを確認させろ!」

 

『了解!』

 

(ガンダムのパイロット……お前もそこにいるのか?)

 

 自衛隊員を撃ちそうになったガンダム、それが人の意思かAIの意思かは伊坂が知る術はないが、銃口を向けられた隊員はこう語っていた。

 

 銃口が小刻みに震えていたと。

 まるで人間の葛藤の様だ。

 

 パイロットに良心が残っているなら、この騒ぎの元凶はガンダムではなく、中華の連中だと伊坂は確信していた。

 そして、それはUAVからの観測画像で裏付けられた。

 シルフが、殲兵-5と交戦して防衛戦の真似事をしていたのだ。

 

「アルファリーダーより各機に通達。通信が効くうちに作戦を説明する。ガンダムの事は今は横に置いておけ。殲兵の方を叩く」

 

『しかし小隊長、ガンダムを野放しにしていいんですか!?』

 

「いい。少なくとも今は殲兵を撃っている。味方じゃなくても敵じゃない」

 

 シルフ由来の電子機器妨害でいつ切れるとも知れぬ通信網だからこそ、一瞬で部隊全体を動かす明快な言葉が必要だった。

 シルフが敵でも味方でもないなら、今は動きやすい。

 

「司令部に上げろ! これより外洋での対MS戦闘を開始する。EEZ至近での潜在的脅威の排除を目的とした防衛行動を該当させろ!」

 

 

 ___________

 

 

 

 燃え広がり、瓦礫が散乱する台湾は、凄惨だ。

 シルフの操縦支援で飛び回って機体を爆散させずに何とか銃撃して行動不能にしているけど、心に何かが突き刺さるような異様な雰囲気を感じた。

 

 敵意、害意、殺意、それが槍みたいで、矢みたいで撃つ前からこっちに突き刺さるように感じる。

 

 だからなのだろうか、撃たれる一歩手前で回避できている。

 でも、突き刺さる度に泣きそうになってくる。

 

 志条がレイフの管制をして敵MSの動きを麻痺させて、撃つ、麻痺させて、撃つ。

 数が多い、敵のライフルを奪って撃ち続けているけど、それも限界が出てくる。

 

「纏! ムラクモが迫って来る! 数8!」

 

「こんな時に……!」

 

 敵が増えた。

 多分私達を追って来た日本艦隊の機体だ。

 1体多数で苦しい状況なのに、さらに増えたら私達は……!

 

 アドミニストレータなら一斉に叩き落せるのに今落としたら下の町は……ッ!

 

[Question(疑問):What hostility does Murakumo(ムラクモから当機) have towards this machine? (への敵意反応は?)]

 

 敵意反応って……まだ遠いって。

 でも、目の前の敵からはチリチリと感じるけど、後ろのムラクモからは……もっと別の意思を感じる。

 

「シルフ! 操縦を任せる!」

 

[Switch(切替):Switch to autonomous combat mode.(自立戦闘モードに切り替え) Begin non-lethal combat.(非殺傷戦闘開始)]

[Roger that, I have control(操縦権移譲確認)]

 

 操縦桿から手を放してシルフと志条に全てを任せると、自身の内側に目を向けた。

 飛び交っている敵意、害意、殺意の色、どれもこれもどす黒くて見たくもない色だ。

 でも今は目を背けるな……世界の現実がこれなんだ。

 そして、後ろの気配の色は……「止める」という色だった。

 

 

「志条! シルフ! ムラクモへの攻撃は一旦無し!」

 

「大丈夫なんだな!?」

 

「こっちを攻撃する意思はまだ無い!」

 

 ブレの少ない統制された灰色は、後方から吹き抜ける風のように私を通り抜けた。

 私に刺さるんじゃなくて、素通り。

 ならシルフを落とすつもりは()()()()

 

「操縦返して! 今は殲兵に集中する!」

 

「シルフ、ムラクモの動きにも目を光らせて欲しい。デフォの電子妨害はムラクモにちょっかいかけない奴にするんだ」

 

[Electronic jamming adjustments have begun.(電子妨害機能調整開始)]

[Murakumo's avionics have been desig(ムラクモのアビオニクスを)nated as exempt from jamming.(妨害対象外に指定します)]

[Matoi,You have control(纏、操縦を返します)]

 

 流石志条、シルフ、切替早い!

 その私達をムラクモ部隊が素通りして即時展開、殲兵に向かって小銃を撃ち始めた。

 ……容赦がない、日々訓練をしていると思うけど確実に落とせる攻撃を叩きこんでいる。

 

 でもここは日本の外側だ。

 いまや日本の主張領海は過去のEEZと同じくらいにぐいぐい広げてたけど、まさか領海の外でも戦闘行動が出来るなんて……

 

「前!」

 

「ッ!」

 

 プラズマジェットで飛び掛かって来た殲兵に短刀を突き立てて右腕を肩からごっそり斬り落とすと殲兵はバランスを崩して木の葉のように落ちていった。

 小規模な爆発が起こり大地から黒煙が上がった。

 

 殺してしまってはいないだろうか、殲兵は頑丈って言ってたけど中の人は生きているだろうか……

 もう世界が悪いのか人が悪いのか分からなくなりそうだ。

 でも、それを吐き出すのは後にしないと……

 

 

 

 ──殲兵のコクピットに灯る薄い点滅は、まだ消えていない。

 生きているのか、そうでないのか、色だけでは断定できない。

 

 

 

「1機速いのがいる。ムラクモの方に向かっている」

 

 志条がレイフを飛ばして敵機の電子機器を麻痺させようとするが、その機体は複雑な機動で躱した。

 嘘!? レイフの電磁波は見えないんだよ!?

 どうやって避けているの? 私みたいに色が見えても電磁波は見えないんだよ!?

 

「速い!」

 

 エース機はマチェットを引き抜き、ムラクモに突き立てるように吶喊した。

 ムラクモは対抗して短刀で受け止める。瞬間、耳の奥を痺れさせるような超高振動の金属音がコックピットを震わせた。

 

 しかし相手の技量は圧倒的だった。刃が押し返され、ムラクモの頭部が抉り取られ、続けざまに腕部までもが切り落とされていく。

 それはただの力任せじゃない、意志と技術の塊──“狩り慣れた動き”だ。

 

 狩られたムラクモが制御を失い落ちていく……! 間に合う!

 

「こっちにまだ向いていない!」

 

[Plasma jet engine, maximum output(プラズマジェットエンジン、最大出力)]

 

 今ならまだ間に合う!

 地面に激突する前に残ってる方の手を掴めば……ッ!

 ムラクモも気づいて手を伸ばしている! いいぞ間に合う!

 

 

 もう少し……! 掴んだ!!

 

「全力噴射!」

 

 全力でシルフが踏ん張って落下するムラクモを吊り上げていく。

 助かった、という色がムラクモに見える。

 

 これで他のムラクモに預ければ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間──繋いでくれた手は宙を舞った。

 次の刹那、閃光と爆炎が夜を裂き、ムラクモは断末魔のように爆散した。

 

 ___________

 

 

 

 赤城型MS搭載型大型護衛艦 あかぎ CIC

 

「アルファ4、ロスト!」

 

「な、何が起こっている!? UAVの情報はどうした!」

 

「シルフ由来の電子妨害が強く、不鮮明です。……解析まで、あと10秒!」

 

 鎖国体制後、初めての戦死報告。

 一瞬、CICの空気が凍り付いた。だが無法の海で立ち止まれば全滅だ。

 震える声を押し殺し、各員は必死に持ち場へ動き出す。

 

「機体情報判明! 元・大韓民国国軍所属、米国製……FMS-15!」

 

「イーグルトルーパー……!」

 

 その名を聞いた瞬間、艦橋に緊張が走った。

 かつて戦場を支配した機体──機械の猛禽が現れた。

 

 だが、ムラクモの方がカタログスペックで上だ。

 米軍による3度の作戦を退けたあのムラクモを圧倒し、瞬殺した事には何かタネがあるはずだ。

 そして、それには心当たりがあった。

 

「過負荷駆動……G軽減も効かないくらいっていうのか!?」

 

「最も至近にいる機体は?!」

 

「ガンダムです。エンジン停止状態のアルファ4を空中で牽引しようとしていました」

 

「ガンダムが我々の機体を助けようとした……ガンダムは我々に敵意を向けていない……アルファチームとの通信は?」

 

「圧縮データ通信、まだいけます」

 

「アルファチームに一斉に飛ばせ。イーグルトルーパーを撃破しろ」

 

 ___________

 

 

 シルフのコックピットに残ったのは、爆炎の残響だった。

 視界の隅で、黒い破片が散り、夜空に舞う。わずかに遅れて金属が焼ける匂いが入り込み、胸の奥をきしませる。

 

「……助けられなかった」

 

 私の喉から漏れた声は、かすれて自分のものじゃないみたいだった。

 

 胸の奥に広がる色は、どす黒い波紋。敵意でも、殺意でもない。

 ただの“喪失”。

 それは冷たい水みたいに広がり、指先まで力を抜いていった。

 

 隣で惟人が歯を食いしばる音が聞こえた。

 彼はシートに前のめりになり、操作モニターを睨みつけている。

 

「あのイーグルトルーパーの動き……AIじゃない。人間だ」

 

 声は低く、押し殺しているのに震えていた。

 

「狩り慣れてる……。あれは、ただの兵士じゃない。あんな動きが、まだどこかに残ってるなんて……」

 

 シルフが淡々と介入してきた。冷ややかな電子音が会話を切り裂く。

 モニターに、無機質な英文が浮かび上がる。

 

[Warning(警告): Unknown pilot skill level(未知のパイロット技能) exceeds database reference(既存データベースを超過)]

 

 機械の言葉は感情を伴わない。それでも、背筋が冷たくなる。

「既存を超過」──つまり、今までのどの戦闘データにも該当しない。

 世界のどこにも記録されていない「異物」が、目の前でムラクモを狩ったのだ。

 

 私は膝の上でこぶしを握った。色の洪水に慣れたはずの目が、今は震えて焦点を結ばない。

 “恐怖”という色が、無数の矢になってこちらに向かってくる。

 けれど、同時に──胸の奥に、かすかな炎のようなものも生まれていた。

 

「志条……あいつを放っておいたら、誰も助からない」

 

 私の声に、彼は一瞬だけ驚いた表情を見せ、それから深く息を吸い込んだ。

「……分かってる。でも、まとい」

 惟人はコックピットの照明に照らされ、油に染まった指を強く握り直した。

「無謀に突っ込んだら、俺たちもムラクモの二の舞だ」

 

[Recommendation(推奨): Defensive maneuver.(防御行動)]

 

 シルフが淡々と提案を続ける。

 人間の動揺と、機械の冷徹さ。

 その狭間で、私の心臓だけが、耳鳴りみたいに騒いでいた。

 

 

 

 

 

 

 

「シルフ……貴方の全てを見せて」

 

[Removes all restrictions on electronic attack systems.(電子攻撃システムの全制限を解除) Inertia reduction system at maximum.(慣性軽減システム最大) Entering overload maneuver.(過負荷機動に入ります)]

 

 表示が瞬き、低い振動が胴体を這い上がる。慣性軽減が仕事を始め、胸の圧迫が一瞬だけ和らぐ──その背後で、もっと強いGが待ち構えていることを私は知っている。

 呼吸は浅く、鼓動は高鳴る。

 視界は微かに引き伸ばされ、音は遠ざかる。

 体は「これから来るもの」に備え、無言の準備を整えていく。

 

「助ければよかった、って後悔したくない。止めていればよかった、って後悔だけは残したくないんだ……!」

 

 私の声が、狭いコックピットに震える。

 言葉の端に、守りたいという切実さが滲んでいる。

 彼の手がシートの縁を強く掴む、そんな音と、確固とした色が私に触れてくる。

 

「纏……地獄でお前の心を護れるのはお前と、僕だ。あの機体を止めるんだな」

 

 私は一度だけ目を閉じ、吐き出すように笑った。

 

「もし後悔しか選べないなら、痛みの残る後悔を選ぶよ。何も出来なかった後悔よりずっといい」

 

 私は、操縦桿を押し込んだ。

 

 

 _______

 

 

 

「アルファ4……」

 

 初めて僚機を失った。

 部下を初めて失った。

 酒が好きで、非番の時は飲みに付き合ってやったりもしたやつが、死んだ。

 

 部下であって友人でもあったやつが死に、伊坂は戦場でありながら呆然としてしまった。

 

『隊長ッ!!』

 

「ッ!!」

 

 助かった。

 部下に必死に呼びかけられて何とか避ける事が出来たが、その声が無ければ自分もアルファ4と同じ向こう側に行ってしまっていた。

 

 そうだ、ここは戦場だ。

 日本が目を背けてきた世界の現状の、ほんの一片だ。

 

『隊長! 2時方向、ガンダムが!!』

 

 部下に示された方向に目をやると、異常な状態となったシルフが目に見えた。

 各部装甲が展開し、凄まじい熱を放出し始め陽炎が見えている。

 明け始めた夜の隙間から日の光がシルフを照らし、肩部、脛部から展開した放熱板が小さな羽のように広がった。

 熱で揺らめく空気が放熱板を包み、まるで妖精が羽ばたいている様にも見える。

 

 

 伊坂は息を呑んだ。

 ──あれが、人を殺すための兵器だというのか。

 それとも、護るための“何か”なのか。

 

 

 その妖精の目は青い宝石のように爛々と光っていた。

 

 

 

 

 __________________

 

 

 

 

「グッ……! うぁぁぁぁあああああ!!」

 

 慣性軽減マックス。

 だというのに、殺し切れないなんて——身体が潰されそうだ……ッ!

 

(二秒で敵MSにタックルして台湾島から押し出す力があるなんて、シルフ……これが貴方の全力なのね……!)

 

「纏……ッ! 大丈夫か……ッ!」

 

「目の前が少し赤い……ッシルフ!」

 

[We have begun predicting the likely maneuvers of (敵MSの想定される機動を予測開)enemy mobile suits. Shijo, we'll need your help.(始。志条、貴方の力を借ります)]

 

「イーグルよりこっちの方が進んでいるんだ! 旧式機は大人しく引退しろ!!」

 

 そうだ。イーグルトルーパーより強いんだ。米軍が作ったガンダムを、私が見つけて二人で直して、自衛隊を振り切ってここまで飛んできたんだ。ここで落とされるわけにはいかない。

 

 私はムラクモの腕にマウントされていた短刀を固く握り、軋み始めた身体にさらに力を入れた。落ちる前に捕まえたはずのムラクモは、腕を狙撃されて落ちていった後も、シルフの手を握ったままだった。

 

 念の塊でも、マニピュレータのロックでも構わない。名も知らないパイロットのためでもない。──ただ、「あの時ああしておけばよかった」と後悔しないために。だから、貴方の力を借ります、名も知らないパイロットさん……!

 

「纏、狙点は推進ノズルの結合部だ。僕がレイフで視界を潰す。お前は回り込んで接触してくれ。残りは翼を断つ」

 

 惟人の声は落ち着いている。戦場のうねりの中で、彼だけが平常を保っているように聞こえた。こんな時でも、彼の声は「一人じゃない」と伝えてくれる。──ありがとう。

 

「行くよ」

 

 惟人が指を叩くと、レイフがシルフから分離して一斉に飛び出した。5メートルにも満たない“従者”たちが、見えないはずの攻撃を撒き散らして敵のセンサーを掻き回す。混乱の瞬間に私は角度を鋭く取り、イーグルトルーパーの側面へ並走する。

 

 攪乱のための急加速と不規則な機動で、口の中に鉄の味が広がる。嚙んだかもしれない唇を飲み込み、私は「どう飛びたいか」をさらにシルフに伝え、スロットルを調整する。

 

 シルフはそれを受け取り、速度を上げる。コックピットのモニターに赤い警告文がちらつき始めた。シルフも無理をしてくれている──すぐ終わらせるから。

 

 短刀を打ち付け合うが、相手は的確に防御を続ける。こちらは二本、相手は一本。だというのに、捌きは圧倒的だ。何か、意表を突くことを起こさなければ。

 

[Analysis of optical communication from Murakumo completed(ムラクモからの光通信解析完了): 当たるなよ? ]

 

 その瞬間、イーグルトルーパーの頭部に大きな剣が突き刺さった。短刀では届かない角度から、全く別の武装が飛んできたのだ。

 

「纏! それだ!!」

 

「分かってる!!」

 

 頭部に突き刺さった剣を強引に引き抜くと、状態も確認せずに相手の右腕を肩から一気に切り飛ばした。

 鋭い切れ味──短刀とはまるで違う重さと刃筋だ。

 

「なら!」

 

 ムラクモに日本刀のような長剣を構えさせる奇異な感覚に、私は一瞬面食らった。副カメラで体勢を立て直そうとするイーグルだが、片腕を失っている傷は深い。短刀を格納し、私はその長剣を構えた。

 

 こういう剣振りなんて、体育の剣道の授業以来だ。

「合法的にメッタ打ちにしてストレス解消できる」とかで頑張ったあの頃の自分に、心の中で一瞬だけ礼を言った。

 

 振り降ろし、押し込む。

 空中に足場は無いから踏み込みは出来ない。

 だから思い切りプラズマジェットを吹かして押し込み空中に足を踏み出す。

 

「超伝導場最大!」

 

 シルフを浮かす力の1つ、超伝導場。

 普通は浮遊層でしかないけど、これを物凄いパワーで動かすなら……!

 

[Superconducting field maximum output(超伝導場最大出力).]

[Cooling mechanism operating at maximum capacity(冷却機構最大稼働).]

 

ズダァンッ!! 

 

「た、立った!?」

 

 すぐに壊れてしまうけど、数秒程度なら立てる!!

 さらに踏み込んで……ッ凄い加速……ッ!

 視界が一瞬赤く染まってしまい、白黒の世界を塗りつぶしてくるけど、これで虚を突けた!

 

「頭と胴はマズい! 達磨にして無力化するしかない!」

 

「分かった!!」

 

 鼻から垂れる血を無視して空を走る。

 1歩だけ支えれる足場は目に見えるくらいにバチバチ言ってて、踏み込む度にヘルメット越しでも分かるくらいの爆音がしてる。

 

 イーグルの方はMSではありえない動きに精細さが一気に抜けてしまい防御に入ろうとしている。

 感じる色が、灰色からとても暗い青色になった。

 イーグルのパイロットは、恐れているんだ。

 

「振り抜けッ!!」

 

[Arm plasma jet maximum. Spray angle adjustment.(腕部プラズマジェット最大。噴射角度調整)]

 

 肩の力を抜いて腕のジェットを使って一気に振り抜く。

 イーグルのマチェットを叩き折り、肩を捉え、大小さまざまな破片を撒き散らしながらイーグルトルーパーの腕を叩き切った。

 

 さらに吹かす。

 ジェットで体を振り回し姿勢を一気に低くすると、内臓が浮き上がるようなGが襲い視界の赤が濃くなる。

 

 構うな、イーグルの足を払い、姿勢を崩して両足も叩き切った。

 

[Emergency cooling begins. (緊急冷却開始。各アク)Each actuator starts operating in safe mode.(チュエータをセーフモードで稼働開始)]

 

 シルフも限界だ……放熱板が真っ赤になったままで無理をさせてしまった……

 私も……口の中が鉄臭くて肩で息するのがやっとだ……

 

「体痛い……な。僕は何とか持っているけど……纏……大丈夫か?」

 

「結構……痛いかも」

 

 墜落していくイーグルの手を何とかつかみ慎重に降ろすと、シルフも一時的に機能を停止した。

 ごめんね……疲れたよね。

 どこか整備出来そうなとこまで移動するから、もう少しだけお願い。

 

 




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