【魔法美容師(マジカルエステ)】を得た転生者は栄耀栄華の夢を見るか 作:好きな念能力は4次元マンション
「そう。『
「ふぅぅ……。すぅぅ……」
「……がんばれ、緑谷少年」
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戦闘訓練で気絶した放課後、かっちゃんに『OFA』の事を話してしまい注意を受けた後*1。僕はオールマイトに仮眠室へと誘われた。飯田君と麗日さんには用事ができたので一緒には帰れないとメッセージを送信した。
オールマイトはお茶を淹れながら口を開いた。
「怪我は問題ないようだね」
「はい! リカバリーガールのおかげで……」
「いや、緑谷少年。実は修善寺少年にも協力してもらったんだよ。彼は他人の体力回復も行えるんだ。緑谷少年は演習で疲労困憊だったのでリカバリーガールの治癒がかけられなかったからね」
「す、すごい! 傷の治癒に加えて体力回復まで……。それにあの身体強化……」
「緑谷少年、落ち着いて」
「す、すみません、オールマイト!」
いつもの癖で修善寺君の『個性』の分析を始めてしまった。オールマイトの前だっていうのにブツブツとひとり言を……。
恥ずかしさを紛らわせるため、オールマイトに出されたお茶を一口飲む。少しぬるめで胃に優しい感じだ。
「……さて、緑谷少年」
「は、はい!」
オールマイトの雰囲気がぴりっとしたものへと変わった。少し威圧感を感じてしまうほどだ。
「──すまなかった!」
がばっ! と凄い勢いで机におでこが当たってしまう程に頭を下げたオールマイト。
「え、ど、どうしたんですかオールマイト!?」
「実は──」
オールマイトは僕が保健室で気絶している間に起こったことを話してくれた。
僕がOFAを発動する度に大怪我を負う事を疑問に思った修善寺君に、約1年間の修行の中で僕に個性訓練を実施していたか? と問われた結果、オールマイトが直接指導したのはアメリカンドリームプランという名の体づくりだけでOFAをどのように扱うか、といった指導をしていなかった事と、そもそも入試当日に『個性』を譲渡していた事実が発覚してリカバリーガールに叱責されたと。また、補足のように修善寺君が
リカバリーガールがオールマイトの体や個性の秘密を知っていた事には特に驚かないけれど、修善寺君も知っていたのには驚いた。
僕にとって、あの10か月の日々があったからこそ雄英に入学できたと胸を張って言えるのだけれど、修善寺君やリカバリーガールは違うんだ。
……確かに、個性把握テストの時は”調整”ができなくて危うく除籍処分になりかけてしまった。相澤先生の合理的虚偽によって除籍にはならなかったけれど、『1人救けて木偶の坊になるのか』と言われた言葉は今も胸に残っている。
「修善寺少年やリカバリーガールの仰っていた通りだよ。私は君の憧れにかまけて一番大事な『OFA』の訓練を疎かにしてしまった。雄英で教職をするにあたって準備に忙しかったのは確かだが、君は私の後継。弟子の教育を怠っていたのは事実だからね」
「オールマイト……。いいえ、そんなことないです! オールマイトがしてくれた事、僕は覚えてます。あのアメリカンドリームプランの時だって──」
「……ありがとう、緑谷少年」
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「さて、緑谷少年。本題なんだが──」
僕の熱弁は早々に打ち切られ、本題の話になった。
居ずまいを正し、オールマイトの話に集中しようとしたその時、仮眠室のドアが叩かれた。
「修善寺です」
「待っていたよ。修善寺少年」
仮眠室の鍵をオールマイトが開けて入って来たのは修善寺君。入学2日目だけれどまだ慣れない、目が眩むような美人っぷりだ。顔を見るだけで緊張してまともに喋れなくなってしまう。
修善寺君は空いていた丸椅子に腰かけ、「どこまで話進みましたか?」とオールマイトに問いかけた。
「丁度今から緑谷少年に話すところさ。……さて、緑谷少年。君も個性把握テストと対人戦闘訓練を通じて分かっている事だとは思うが、君は『個性』の調整が未だできないでいる」
「……はい」
「……君には申し訳ないが正直、自分の時と同じだろう、と高を括っていたよ。私は先代から譲渡された時、直ぐに『OFA』を100%扱えていたからね」
オールマイトの言葉に、自分の才能の無さを痛感する。僕は一挙手一投足も儘ならない状態だったのに、オールマイトは軽々と『OFA』を扱えていたのだ。
俯く僕に、オールマイトは高らかに言った。
「なので、今週末。君の都合さえ良ければ私が『個性』の訓練を見る!」
「えええ!? 本当ですか、オールマイト! ……あ、でもどこでですか……? 雄英じゃあ、
「それなら大丈夫。僕の家に個性訓練施設があるんだ。私有地だし、リカバリーガールが管理責任者として届け出も出てる。いくらでも『個性』を使えるよ。
……というか、オールマイトの本題っていうのは、正確には『僕の家の個性訓練施設を使って君の修行をする』って事だからね。家族はオールマイトの負傷のことを知っているからずっとトゥルーフォームでいられるし」
『
奇しくも先ほど、かっちゃんに口を滑らせたばかりの僕はこくこくと首を縦に振った。
「で、でも修善寺君。僕なんかになんでここまでしてくれるの……?」
ずっと思っていた疑問が思わず口に出た。修善寺君にとって、僕は偶然一緒のクラスになっただけのただのクラスメイト。知り合って日も浅く、正直そこまで親しくはないと思う。交わした言葉も個性把握テストの時に二言三言だけだ。
「随分異なことを言うね、緑谷くん」
修善寺君は僕の言葉にキョトンとした顔になったかと思えば、大きな目がスッと鋭く、冷たいものになっていく。同時に、ほんわかとした柔和な雰囲気も段々と刺々しくなっていく。
「君が『個性』を振るう度に腕や足を壊して、それを毎度治すのは誰だと思ってる? ……僕や
……悪いけど、自滅なんて破滅的な『個性』の使い方を続けるような奴を治癒したくなんかないね。何度治しても
冷たい目をした修善寺君に言われた言葉は、鉛のような重さで僕の心に沈み込んだ。
修善寺君に言われた通り、僕はすでに
入試も、体力テストも、戦闘訓練でも。『個性』を使う実習の度に『OFA』の調整が出来ない為に100%を使い、その反動で腕や指を壊している。かっちゃんの『爆破』で受けた怪我もあったけど、その殆どは彼が言う所の ”自滅” だ。
「──だから」
「……え?」
「だから、この週末の訓練で少しでも”調整”のコツを掴んでよね、緑谷くん。そもそも、オールマイトが個性の指導を怠ったのが原因だし。さっきは厳しいこと言ったけど、緑谷くんは現状自分ができる事を最大限やっただけなんだから。
それで、もう自滅した怪我の治癒なんてさせないどころか、『個性』を自在に使えるように……全く怪我しなくなって僕らが暇になっちゃうくらいになってよ」
ね? と冷たい氷のような顔から一転。満面の笑顔で小首をかしげながら言う修善寺君に、僕はいつの間にか顔が真っ赤になっている事を自覚した。
ぶんぶんと頭を振って顔の火照りを冷ます。
誰よりも遅れている僕に、彼はわざと厳しい言葉で発破をかけてくれたんだ。オールマイトの弟子として、これ以上皆から遅れを取っていてはオールマイトを超えるヒーローになんてなれない。
「は、はい! 必ず!」
「じゃあ緑谷くん。SNSと……一応携帯の番号も交換しよっか。親御さんに週末の許可いただかないと。何時ごろなら電話して大丈夫?」
「じゃ、じゃあ帰ったらお母さんに聞いて、時間を修善寺君にチャットするよ。夕飯後の19時くらいからなら……。お母さんなら多分大丈夫だって言ってくれると思う」
「おっけー。あ、泊まりだからよろしくね? 土曜日の授業終わったら僕の家集合で」
「と、泊まり!? うわあ、友達の家に泊まるなんて幼稚園の時かっちゃん家に泊まって以来だなあ……!」
「……そういう相手がリアクションに困る事言わない方が良いよ、緑谷くん……」
そう言って呆れ顔の修善寺君はスマホを取り出した。お互いの連絡先を交換した後、「そういえば」と修善寺君は言った。
「オールマイトから聞いたけど、君結構マニアなんでしょ? 僕の家には珍しいオールマイトグッズが沢山あってね。オールマイトから過去に祝い品として貰ったやつ。修行が順調に進んだら直接見せてあげるよ。ちなみにこんな感じ」
「オールマイトから直接!? ……うわあ! 非売品の活動10周年記念タペストリーしかもアメリカ限定バージョン!? さらにサイン入りだ凄い周りのグッズも知る人ぞ知る物あんな物まで凄すぎるここに写っている物だけでご飯3杯は食べられるよ凄い俄然やる気が出てきたぞ」
「君たち、すっかり仲良くなったね……」
若人たちは仲良さげに盛り上がっている様子。すっかり忘れられたオールマイトは弟子の熱弁をBGMに1人淋しくお茶を啜るのだった。
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雄英高校入学初週を乗り越えた週末。ホームルームが終わって帰宅した緑谷は修善寺家へ行く準備を済ませて新幹線に乗り込んだ。念治の自宅が愛知県某市という事で静岡県付近にある緑谷家から距離があるため、名古屋まで新幹線で向かうのだ。名古屋に着いた後は修善寺家から迎えが来る手筈になっている。ちなみに、この新幹線代はオールマイトが出している。
入学初週は戦闘訓練があった以降は特に目立ったイベントはなく、学級委員決めがあったり*2、その昼休みには
「えっと、修善寺君に言われていたロータリーは……南口か」
緑谷はロータリーにたどり着くと、事前に教えて貰っていた特徴の車を探す。
「(黒のセンチュリー……あれだ)」
緑谷が車に近づくとウィンドウが開き、念治が顔を見せた。
「さっきぶり、緑谷くん。僕の隣に座って」
「ありがとう、修善寺君」
運転手に緑谷の大きなリュックはトランクに収納され、緑谷お礼を言って車に乗り込む。
念治は当たり前だが、私服姿だ。皺一つない白のTシャツとワイドデニムパンツにオーバーサイズのテーラードジャケットを合わせ、足元は編み上げの黒ブーツだ。シンプルな装いだが、そのシンプルさが念治の人並外れた美貌を際立たせている。
「あれ、オールマイトは?」
運転手に聞こえないよう、緑谷は小声で念治に話しかける。
「ああ、今必死に残りの仕事を片付けてるよ。迎えに行きたがってたけど、おばあちゃんが黙殺したらしい」
「あはは……そうなんだ」
歴戦のNo.1ヒーロー・オールマイトもリカバリーガールには形無しだ。
念治と緑谷は修善寺家に着くまでの間、たわいもない世間話をして過ごした。
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「まあいらっしゃい! 遠いところからご苦労さま。さあさどうぞ」
念治の母親──治香を見た緑谷の感想は「修善寺君とそっくりだ」であった。異様に高い顔面偏差値。そして15歳の息子がいるとは思えない若々しい見た目。
「お、お世話になります緑谷出久です! こ、これつまらないものですが……」
そう言って赤面しながら緑谷が手渡したのはうなぎパイ。静岡県の名産品だ。
「ご丁寧にありがとう。これはおやつにみんなで食べましょうね」
「さ、中に入って緑谷くん。ゲストルームがあるから、案内するよ」
お邪魔します、と家にあがる緑谷。案内されたゲストルームは和モダンな6畳ほどの部屋だった。壁際には小さな机と座椅子があり、布団は畳んで置かれている。
「旅館みたいだ……」
「荷物置いたら夕食にしよう。いい時間だし、そろそろオールマイトも来るって」
「わかった!」
夕食は豚の生姜焼きにご飯、わかめの味噌汁に加えて山盛りの生野菜サラダだった。
オールマイトの分は彼の胃腸に合わせた分量なので少量だ。両親は普通盛りで、育ち盛りの緑谷、念治が大盛りだ。
「この生姜焼きすごく美味しいです! 甘辛さが丁度いい塩梅ですし、お肉もふわふわで筋張ってなくて────」
「まあ、こだわってる所気づいてくれるのはおばさん嬉しいわ。念ちゃんも普段から言ってくれればいいのに」
「こんな詳細な食レポを? 無理だよお母さん……」
「いっぱい食べてくれよ、緑谷くん、オールマイトも」
「ありがとうございます。纏さん、治香さん」
和気あいあいとした夕食は終わり、食器を下げるなど手伝いをした後、風呂などを済ませて運動着に着替え、念治に指示された部屋の一室の前にいた。
「ここは……?」
「僕の『個性』を使う、施術室ってとこかな」
「施術室……?」
疑問符を浮かべたまま部屋に入ると、中央にはベッドが鎮座していてその周りには様々な機械がセットされていた。ベッドの頭の位置には何やら顔がすっぽり入りそうな穴が開いていた。
「緑谷くんはオールマイトに鍛えてもらったよね。でも、それは無茶ギリギリのスケジュール。期日までに早く体を完成させるって目的のみに邁進していたわけで、
「柔軟とかは毎日やってるけど……」
「もっと根本的なものだよ。さあ、そこのベッドに仰向けで横になって」
「うん」
横たわった緑谷に対し、念治は
「な……なんか体が熱くなってきた」
「短い期間で発達した筋肉がリンパの流れを妨げたり、血管の負担になってたんだよ。今それを正常な状態にしているとこ。体があったかくなってるのはリンパがほぐれている証拠だね」
「な、なるほど」
念治や妙齢美女──クッキィちゃんが自分の体を揉みほぐしている様子を見ているのがなんだか気恥ずかしくなった緑谷は、ぎゅっと目を閉じて時間が過ぎるのを待った──。
「はい、施術完了。お疲れさま」
「体が軽い……」
10分ほどの施術で手足に始まり腹、背中などあらゆる箇所を揉みほぐされた結果、まるで自分の体だと信じられないほどに体が軽くなった緑谷。
「これで準備は万端。施設に案内するよ」
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「訓練場に緑谷少年が来た!」
「オールマイト、よろしくお願いします!」
「じゃあお2人とも。ここは相当に頑丈にできてますけど無茶しないでくださいね」
元気の良い返事を返してきた緑谷とオールマイトを訓練施設に放り込み、俺は隅っこで念修行でもしようと移動する。オールマイトも『個性』の扱い方を教えられなかったのは時間が足りなかったからだろう。『OFA』を譲渡して耐えられる体にするのに10か月かかったと言っていたし、そこからは教師になるための手続きや事務所の仕事の引継ぎなど、手が離せない事ばかりだったろう。
俺は訓練場の隅に立ち、体のあらゆる箇所からオーラを放出して高速移動の訓練を始める。
足や手からのオーラ放出による高速移動はできているが、それ以上に小回りが利くようにしたいのだ。
「さあ、緑谷少年。まずは威力をグッと抑えてレッツSMASHだ! 『OFA』に体が慣れれば慣れるほど良いからね」
「わかりました、オールマイト! ──スマッシュ!」
……小回りが、利くように。
「うがあああ!」
「ああ、緑谷少年の腕が! 修善寺少年、ヘルプ!」
「何してんですか本当に!」
「……で、なんなんですか。あのふざけた指導は」
緑谷の傷を治し、オールマイトに詰め寄る。
「い、いやあ。体で覚えるのが一番かなあ、と……」
「あんな指導でわかるわけないでしょう……。緑谷くんは言わば『個性』初心者なんですよ? なんのお手本もなしにできる訳がない」
「すみません。僕がダメなばっかりに……」
「いや、私こそだよ緑谷少年。私は譲渡されてすぐなんとなくできたもので、こういう指導の勝手がわからなくてね……」
しょぼんとするオールマイトと緑谷。
ここまでオールマイトの指導力がないポンコツだとは思いもしなかった。……面倒だけど仕方ないか。
「オールマイトに任せることができないということが分かりました。僕が指導します」
「修善寺少年……」
「修善寺君……」
この調子でいられると実習の度に緑谷の治癒に時間を取られて自分の時間を確保できなくなってしまう。
「じゃあまず、『OFA』の感覚を掴むところから始めましょうか」
「『OFA』の感覚……?」
「ええ、そうです。緑谷くんのこれまでを見るに、まだ腕や足など一部にしか『OFA』を発揮できない様子。これを全身に張り巡らせることを目標とします」
「全身に……! そうか、必殺技みたいに考えていたけどオールマイトも修善寺君も一部にだけ『個性』を発動していた訳じゃないのか」
「うん、説明するからそのブツブツやめてね緑谷くん」
緑谷のブツブツを聞いてると背筋がぞわぞわしてくるのだ。
一部分を強化して殴り、終わればまた別部位を強化……というやり方では
気を取り直して、俺は放出したオーラを緑谷に覆いかぶせた。
「うわ、なんかすごいブヨブヨしてる」
「今、僕のオーラを緑谷くんに纏わせてる状態。これから僕が全身に身体強化をするから、良く見ててね」
緑谷にわかりやすいように俺はゆっくりと”練”をしてオーラを練り上げ、全身を強化する。そして同時に緑谷に纏わせたオーラを動かし、俺の”練”と同様の動きをさせた。
「どう? 感覚として」
「うーん……全身サポーターを付けたような感覚と言うか、動きの矯正をされている気分と言うか……」
「矯正されているように感じたのは、僕がオーラを動かしたからだね。サポーターの方が感覚として近いかな。体の内側から湧いてくるエネルギーを全身に纏わせて体を補強するイメージ」
「成程……」
「オールマイトの『OFA』もこんなイメージでしょう?」
俺はオールマイトに同意を伺うが、オールマイトはまたしても挙動不審だ。
「最近の私のイメージ的には、プールサイドで腹筋を力み続けている人のようなイメージでした……」
「……」
なんと言うか、どっかずれてるんだよなあ、オールマイト。擬音を用いての指導と言い、こんな感覚派な人間に理論派の緑谷は教えられないはずだ。
「……まあ、それは置いておいて。緑谷くんは『個性』扱う時に何かイメージはある?」
「あ、えっと。卵が電子レンジで割れないイメージ……」
「ず、随分ユニークだね……」
俺は苦笑いを浮かべながら、そんなイメージでやってるからいつまで経っても許容範囲を超過し続けるのでは? と疑問に思った。
「じゃあ、イメージの基本はそのままにしよう。僕がああだこうだ言っても本人にピンとこなければ仕方ないから。だけど、コントロールできる威力にするために
「確実に爆発しない……?」
「どういう事だい、修善寺少年」
俺は2人をリビングに連れて行き、卵、アルミホイル、耐熱コップを用意した。
アルミホイルで卵を包み、水を入れたコップにそれを入れる。
「これを電子レンジで加熱します」
「成程、そういう事か」
オールマイトも緑谷も合点がいったと頷いている。
通常、電子レンジに卵をそのまま入れて加熱すると爆発してしまう。だけどアルミホイルできっちり包み、水を満たした容器に入れて温めると、アルミホイルは電波を遮断する一方でお湯の熱を卵に伝えて
そうこうしているうちに温め終わり、綺麗にゆで卵が完成した。
「緑谷くん、イメージは大丈夫?」
「──うん。大丈夫」
笑顔でゆで卵を見つめる緑谷。彼の脳内では既に新しいイメージが明確にできていることだろう。
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訓練場に戻り、早速緑谷が『OFA』を全身に張り巡らせるための訓練を始めた。
全身強化は”纏”、”練”、”堅”のイメージ修行がそのまま転用できそうだったので、まずは微弱に『OFA』を”纏”のように纏う訓練だ。
緑谷は先ほどのゆで卵を見てイメージを刷新している。”一部にのみ伝わっていた熱が満遍なく伝わるイメージ”というかたちのようだ。
「そう。イメージはなんでもいい。『
「ふぅぅ……。すぅぅ……」
既に直立で動かない状態でなら全身に『OFA』を張り巡らせる事ができている。飲み込みはかなり良い。お手本で”練”を見せたのも良かったようだ。
必死になって全身強化状態──緑谷曰く”フルカウル”──を維持している緑谷とは対照的に、俺の後ろで緑谷成長を喜びつつもほんの少しいじけているオールマイト。
「……弟子の成功を喜んでくださいよ、オールマイト」
「もちろん喜んでるよ!? ……ただ私って、こういう才能ないんだなあって思ってさ」
「人には向き不向きがあります。オールマイトは天才肌というか、感覚派だったでしょうから仕方ありません。
それに、貴方が”平和の象徴”として人々に希望を見せているように。緑谷くんの憧れであるように……。貴方にしかできない事があると思います。……若輩が生意気かと思いますが」
俺の言葉に数瞬考えるような素振りを見せたオールマイト。
「いや……。そうだね。その通りだ」
頭を振ったオールマイトはいつもの笑顔で緑谷に言う。
「さあ、緑谷少年。次はその”フルカウル”を維持したまま私と模擬戦だ! ちゃんと手加減するから大丈夫だからな」
「オールマイトとですか!? それは願ってもない事ですけど、もう結構夜遅いですよ。大丈夫ですか?」
「それは大丈夫。僕のクッキィちゃんには
この泊まりの訓練の意図を完全に理解したか、流石に緑谷でも驚いた顔をしたがすぐにオールマイトに向き直り、返事をした。
「よ、よろしくお願いします!」