杖と呪文の組み合わせ! 〜呪文が400もあるんだってさ〜 作:クッミタス
これに水の軌跡と電撃チャージの呪文を使い、ステージを丸ごと水没させながら感電させるのが楽しい
気がつくと、俺は洞窟の前に立っていた。
腰には二本の杖と一本のポーション。
目の前には木の立て札がある。
「帰りたくばクリアせよ」
……あれ? 俺、爆発で死んだはずでは……?
いや、そうか。死んだからこそ、スタート地点に戻ったって事か。
なるほどなー。そういう設計なのか。なるほどなるほど。
いやしかし、ビビったなあ。まさか敵の弾で爆発するなんてなあ。次からは爆発しそうなものの側には寄らないようにしとこ。
杖1
呪文:バウンドバースト
シャッフル:なし
同時詠唱数:1
詠唱遅延:0.22秒
再装填時間:0.38秒
マナ最大値:94
マナ回復速度:30
呪文スロット数:3
拡散:0度
杖2
呪文:TNT(16)
シャッフル:あり
同時詠唱数:1
詠唱遅延:0.07秒
再装填時間:0.15秒
マナ最大値:9
マナ回復速度:20
呪文スロット数:1
拡散:0度
呪文名:バウンドバースト
タイプ:放射
マナ消費:5
ダメージ:3
スピード:700
詠唱遅延:-0.03秒
拡散:-1度
呪文名:TNT
タイプ:放射
残数:16
マナ消費:50
爆破ダメージ:62
爆破範囲:28
スピード:800
詠唱遅延:0.83
拡散:6度
あ、杖のデータも中の呪文も違うな。
「レビチアムポーション」
持ってるポーションも違う。
レビチアム……なんだろ? レビテーションするポーションか?
これってやり直すたびに違うのになるのか?
ってことは……やり直し前提の「死にゲー」ってやつか?
うーん……死ぬ時に痛みはなかったし、精神的にはいくらでもやり直しても良いけど。やり直し回数は無限なのか、それとも有限なのかで変わってくるからなあ。一応自殺やら捨てゲーはしないようにするか。
さて、今度の呪文はどんな呪文だ? 早速俺は撃ってみる。
シュッ。
空気を裂くような鋭い音がして緑の光が飛んでいく。緑光は壁に当たると勢いを減じながら二、三度はね返って消えた。
名前から予想していたが、やはりバウンドする魔法だったか。狭い空間で使えば有用かもしれない。
ついでに、今回はTNTの魔法も使ってみた。前回は残弾3だったから取っておいたが、今回は16回も使えるから試し撃ちしようと思ったのだ。
ボッ……ボゥン!
いかにもダイナマイト、といった形の赤い棒状の筒が出現し、少しの時間をおいて爆発した。土の壁が少し消滅している。
なるほど。爆弾系の呪文はこういう感じか。行き止まりの時に使うんだろうな。
さて、試し打ちは十分だ。
また敵を倒しながら奥へ進むとしよう。俺は洞窟の中へと進んでいった。
前回と同じく、洞窟の天井には鍾乳石があり、そこから水が滴っている。地面には石畳が敷いてあり、進路には水たまりだらけだ。
足を濡らしながら少し進めば下へと向かう斜めの道になり、やがて深い穴が見えてくる。
俺は飛びながら穴の中へダイブした。
〜第一層 鉱山〜
地面に着くと同時に違和感があった。
壊れた木の支柱や、トロッコの線路、つるはし……前回でもあったそれらが、記憶と違う場所にある。道も遠くまで続いていたはずが、今回はすぐに曲がり道になっている。
これは……死ぬたびにランダム生成されるダンジョンか? とすると敵やアイテムの配置は「死に覚え」ができないのか。
うーん、夢から覚めるまでにクリアできるかな……?
地面に降り立って早々、杖の気配がした。周りはあまり見えないのに、今回も杖だけは方向が分かる。これ、壁の向こうだな。……うーん、ゲーム的な感覚が慣れないな。だが受け入れないと。
警戒しながらも杖のある方へ行こうとうろうろしていると、敵がいた。前回でも現れたヘイッコフルッタだ。とはいえ距離があるので危なげなく倒せた。バウンドバーストは緑の光が綺麗だな。
金塊を拾おうと近づいたところで、今度はハミスを見つけた。フフン。気づいていればまさにザコ。これも撃ち倒す。
このゲーム、油断が最大の敵だな。
その後も何匹か倒しながらも進んでいくと、新しい杖にたどり着いた。
杖3
呪文:スパークボルト×2
シャッフル:あり
同時詠唱数:1
詠唱遅延:0.1秒
再装填時間:0.07秒
マナ最大値:210
マナ回復速度:52
呪文スロット数:5
拡散:6度
えっ、なにこれ。強くない?
杖1と比べるために試し打ちしてみると、杖1がピシュ、ピシュ、ピシュ、くらいの速さに対し、杖3はパシパシパシパシパシュッ、くらいあるぞ。速すぎて音が連なって聞こえるほどだ。
はえー。最初の呪文でも、杖が違うとこんなに差が出るのか。
これなら楽勝……と言いたいが、前回もそうやって油断してすぐ死んだんだよな……。まったく、厳しいゲームだぜ。
慎重に先に進む。……先に進むと言ったが、正確にはどんどん下へと降りていった。どこに向かうのかがわからない以上、今回はまず下に行ってみようと思ったからだ。
道中、五回ほど敵を見かけたが、新しい杖のおかげで比較的安全に戦えた。ステンダリというヒト型の火の精霊? みたいなヤツと戦った時に焦ったくらいだな。ダメージを与えると体から血の代わりに溶岩が出ててどうしようかと思った。倒した後は金塊を3つも落としたのに、そのせいで近づけなかった。水のポーションがあれば溶岩も平気だったのだろうか……?
〜 聖なる山 〜
さて底にたどり着くと、土や石で出来た地面ではなく、人工的に敷き詰められたレンガの床があった。
広い窪地になった底の上に、何やら紫色の渦を巻いた空間が発生している。なるほど、いかにも転移ポイントといった感じだな。
窪地を登り、近くの場所はどうなっているのかと確認すると、これまた同じように窪地と転移ポイントっぽい紫色の渦があった。
どうやらこのゲームは上から下に降りて行って、底の転移ポイントを目指す仕組みのようだ。不思議なダンジョンを降りる商人のオッサンのゲームはやり込んだからな。俺はこの手のゲームに詳しいんだ。
となれば……俺はヒョイッと紫色の渦に飛び込んだ。
浮遊感が一瞬あったかと思うと、やはり転移したようで景色がガラッと変わっていた。レンガで囲まれ、奥に長く続いている通路のようだ。
見渡せばまず目の前に高さ何メートルもある台が目に入り、台の上には赤い光を放つハートと、緑の光を放つ正八面体が浮いている。
台の周りには池があり、魚が泳いでいるのが見える。
後ろは少し行くと行き止まりとなっており、その手前には重厚感のある石像が置いてある。
空を飛んで台の上に上がり、まずはハートに触れてみた。手を触れるとハートは溶けるように消えていき、体に活力が満ちる感覚があった。
体力を確認するとHPが110になっている。どうやらHPを回復させるとともに、上限を10上げる効果があるのだろう。
続いて緑の正八面体の方にも触れるとこちらも消えていき、呪文の回数が最大値になっていた。
なるほど、階層を越える毎にリフレッシュできるということか。助かる。
台から飛んで降りて先を見ると、今度は杖が5本も浮かんでいた。なんとまあ豪勢な事だ。ここから次の階層に持っていく4本を選べるってことか。
しかし、試しに一番手前の杖を取ろうと掴んだが、「ブブーッ」という音が鳴った。……どれだけ引いてもビクともしない。
よくよく杖の周りを見てみると、$120と書いてある。俺の手持ちは$60。
そうか……最速で階層を降りると金が足りずに杖が買えないのか。そして次の階層を進むのに苦労する……という仕組みか。よく出来てるな……。
杖を諦めて更に先へ進むと、下り坂になっていた。そのまま進むと、綺麗に飾られた祭壇があった。祭壇の中心には3つのシンボルのようなものが浮かんでいる。それぞれ金塊、盾に緑の泡、杖のマークだ。
ふむ……ここは安全地帯のようだし、罠という事はないだろう。となれば、この中から1つ選べるとか?
そうなると、どれが良いだろう? ……とりあえず金塊のマークを触ってみると、[貪欲。一つの金塊につき、2倍のゴールドを獲得する]と出た。ほー。残りの二つは[毒に対する免疫。猛毒ヘドロとその他の有毒なものからダメージを受けることがなくなります][どこでも杖を編集する。神の祝福により、どこにいても杖を改良することができるようになる]とあった。
……この中なら、ゴールド2倍が当たりに思える。金があれば杖は買えるし、敵と戦う回数も減らせるわけだしな。
触っただけでは取得するできなかったので、「これを選択する」と声に出してみた。するとシンボルは全て消え、[貪欲]だけが自分に身についたことがわかる。やっぱりか。
……そういえば[どこでも杖を編集する]というシンボルがあったな。つまり普段は編集できないが、特定の場所なら編集できる。そういうルールを[どこでも杖を編集できる]というルールに書き換えるわけだよな?
俺は杖に意識を向けてみた。……思った通り、杖の中の呪文が入れ替えできる。
どうやら杖の中の呪文を自分の中にストックし、そのストックを好きな杖に入れられるらしい。
俺は改めて杖3を見返した。
杖3
呪文:スパークボルト×2
シャッフル:あり
同時詠唱数:1
詠唱遅延:0.1秒
再装填時間:0.07秒
マナ最大値:210
マナ回復速度:52
呪文スロット数:5
拡散:6度
杖1はこう。
杖1
呪文:バウンドバースト
シャッフル:なし
同時詠唱数:1
詠唱遅延:0.22秒
再装填時間:0.38秒
マナ最大値:94
マナ回復速度:30
呪文スロット数:3
拡散:0度
杖1からバウンドバーストを抜き出し、杖3に移してみた。すると今までスパークボルトしか出なかった杖3から、バウンドバーストが発射されるようになる。なるほどなあ。
杖は4本まで、か。探索で杖を見つけて、その中の呪文を最強の杖にまとめる。それがこのゲームの肝ってわけか。
ようやくこのゲームの楽しみ方がわかった気がする。
つまり「俺の考える最強の杖」を作り、敵を倒して進むゲームってことだな。
見つけてやるよ、俺の杖を。
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黒い太陽