杖と呪文の組み合わせ! 〜呪文が400もあるんだってさ〜 作:クッミタス
次のエリアに進むために祭壇を後にして進む。
通路の先には石像があり、一瞬そこで行き止まりかと思ったが。上から風が吹き付けてきて見上げると、天井の方に横穴がある。そこから先に進めるのだろう。
なんでわざわざ上に一度行くのだろう……そんな疑問は、空を飛んで天井を目指していると解消された。
ガラガラガラガラッ!!
あとにした祭壇の方から、大きな岩が落ちる音がした。なるほど、安全地帯は一度抜けると岩で塞がれてしまうらしい。空を飛ぶとそれを感知する仕組みなのだろう。
まあどうせできる事はもうないからな。次に行こう。
〜 第二層 炭鉱 〜
下に向かう穴を何度か飛んで速度を緩めながら落ちると、第一層で見たような土の通路や壁はなく、石炭や砂利が積み重なって道になっていた。
第一層は大体同じ幅の道だったが、今度は高さも広さもかなり不規則になっている。砂利が積まれて向こうが見えなくなっているところもあれば、十数メートル先まで直線で見やすいところもある。俺は、次のエリアに来たんだなあ、と強く感じた。
そうやって眺めていると、遠くから虫が飛んでくるのが見えた。こっちにだんだんと近づいてきて……いやデカッ! あの虫、1メートル以上あるぞ?!
デカい蛍のようなその虫は、ピックツリカルパネンという名前らしい。
ツリカルパネンは十メートルくらいの距離を置いてホバリングし……尻から火の玉を撃ち出してきた!
うおおおお!
慌てて空を飛んで回避したが、その後も何発も撃ち出してくる。俺は飛んだり降りたりして火の玉をかわしながら杖で狙いをつけた。
パシュパシュピシュパシュパシュピシュッ。
何発か当てるとツリカルパネンからドロっとした体液が流れ出る。グツグツと煮えたぎる溶岩のような血液が……いやあれ本当に溶岩じゃないか?! 触ったらヤバそうだ。
ツリカルパネンは火の玉を撃ちながら移動することはできないようで、落ち着けば案外と簡単に倒す事ができた。
はー。エリアが変わると色々変わるもんだな……。
俺は急激に冷えて固まる溶岩を避けながら金塊を拾った。金塊は溶けないんだな。
なんだか出だしで疲れちまったが、探索を続けよう。
炭鉱の広い道を右に左に飛んだり落ちたりと進んでいく。……壁に近づくと、金が埋まっているのが感じられる。爆弾系の呪文で掘りまくれば、金塊何百個分にもなろう量だ。
でも数が限られているわけだしな……。一通り探索してから爆弾呪文を使うか。
俺はふよふよと空を飛びながら探索を続けた。うーん、一階層に比べて本当に広い。一階層はまさに坑道と言えるトンネルが通路だったのに、この二階層は地下のくせにあちこち露天掘りでもしてるのかと思うほどだ。
しかし広くて視界が開けているのはいいのだが、光が遠くまで届いておらず、不安になる。
まあ条件は敵も同じだろうし、心配いらないか?
カチッ。
そう考えていたのがフラグになってしまったのか、撃鉄を起こす音が聞こえた。
うおおおお?!
慌てて空に浮かび上がると、視界の外からショットガンを撃たれて、俺がいた場所に銃弾が撃ち込まれた。あっぶね〜!
そのまま空を移動して銃弾の方へ向かうと、一階層でも出てきたハウリッコヒーシがいた。こいつら俺の索敵範囲より遠くから狙ってくるのかよ。卑怯だろ……。
落ち着いてハウリッコヒーシに狙いをつけ、攻撃呪文を放つ。倒すまでにまた撃鉄を起こす音が鳴り、ショットガンを撃たれたが、来るとわかっているので落ち着いてまた空を飛び、敵の狙いを外した。やれやれ。
お、杖の光だ。
探索を続けていると壁の向こう側に杖があるのを感じた。回り込もうか少し悩んだが、ここは爆弾を使って強引に突破しよう。
杖を持ち替え、壁に向かって狙いをつけて……撃とうと思ったところで杖の気配が消えた。
え、なんで? さっき確かに杖の気配があったよな? なんで勝手に消えるんだ?
確認のためにも爆弾を何発か放ち、壁の向こうまでの穴を空ける。
覗き込むと、杖を持ったハウリッコヒーシがこちらを向いていた。
ハウリッコヒーシは杖からTNTを放ち、TNTは綺麗な放物線を描いて俺の足元に転がった。
TNTが爆発し、HPの四分の一が持っていかれ、爆風のノックバック効果で後ろに吹き飛ばされる。
なんで?! 敵も杖を使えんの?!?! 聞いてない!
だが距離を取れば、TNTは脅威にならない。他の呪文と違って爆発まで数秒かかるからな。見てから回避余裕です。
ハウリッコヒーシを倒すと金塊と杖が残った。
杖名:杖4
呪文:TNT×4
シャッフル:あり
同時詠唱数:2
詠唱遅延:0.83秒
再装填時間:1.1秒
マナ最大値:220
マナ回復速度:48
呪文スロット数:6
拡散:6度
杖としては大した事のない性能だな。あれだけ苦労してこれかあ……。まあTNTがたくさん使えるのはありがたいか。
俺は探索に戻り、金が埋まっている壁はどんどんTNTで掘り出した。途中でロッタとかいうネズミがいたり、サヒカイスメンニンカイネンとかいうキラキラする爆弾を投げてくるゴブリンみたいのがいたが、どちらも遠くから杖で攻撃すると簡単に倒せた。
いやなんだよサヒカイスメンニンカイネンて。言いにくい。キラキラ爆弾ゴブリンの方が千倍わかりやすいよ。
近場の金を集めると、あっと言う間に300$も手に入った。第一階層で苦労しなくても、第二階層で金を掘れば金持ちになれるな。
さてTNT爆弾の残り回数はまだ残っているし、他の場所で金を掘るか、と思ったところで後ろから動く者の気配がした。
振り返ると目玉の化け物が空を飛んでいる。
ビホル……いや違う、コウモリみたいな羽がついてる。名前を呼んではいけないあの怪物とは違うな。スーレパッコという名前らしい。
目玉コウモリのスーレパッコはパタパタと羽を動かしながら近づき、縮小コピーみたいな小型目玉コウモリのレパッコを召喚して飛ばしてきた。
空を飛んでレパッコを避けたが、レパッコは動き出してこちらを追撃してくる。体当たりをくらってしまった。クソッ。
地面に落とされた俺は杖の狙いをつけようとするが、レパッコはまたも体当たりを仕掛けてくる。体当たりを避けながらだと上手く狙えない。
更にスーレパッコはまたも新しいレパッコを投げつけてきた。2体になったレパッコは交互に体当たりをしてくる。
ガスッ、ガスッ、と体当たりを受けてHPがどんどん減ってくる。俺は狙いをつけるより、とにかく呪文を撃ち出した。当たれっ!
一匹のレパッコにスパークボルトが当たり、レパッコからはドロドロとした体液が流れ出す。この調子で全部倒してやる!
スーレパッコは3体目のレパッコを生み出した。
俺は呪文を当ててなんとか一匹のレパッコを倒したが、スーレパッコを含む残り3体からタコ殴りにされてHPを全て失った。
気がつくと、俺は洞窟の前に立っていた。
腰には二本の杖と一本のポーション。
目の前には木の立て札がある。
「帰りたくばクリアせよ」
……クソゲー!!!