あの出来事から次の日の朝。私は目を覚まして出掛ける準備を始める。ちなみに携帯を触ってみたが何も起きなかった。やはり昨日のは夢だったのだろうか。そんな事を思いながら準備を終えて待ち合わせ場所へと向かう
「佑唯、こっちよ」
「お待たせしました」
待ち合わせ場所へと到着すると先に来ていた友達が私を見つけ手を振ってくる。私は目の前まで行き友達を見て少し驚く
「何?私の顔に何か付いてる?」
「もしかして絵を描いてました?」
「ちょっと朝早く起きちゃったから描いてた。でも、なんで?」
「頬に付いてます」
「頬?」
私は持っていた手鏡を友達に渡して、友達は頬を見るなり急に顔が真っ赤になりその場で隠した。そして、私の後ろに隠れる
「なんで私の後ろに隠れるんです?」
「う、うるさい」
「一応、除菌シートならありますけど」
「か、貸して!」
「はい」
果たして除菌シートを顔に使うのはどうなのだろうか?と言う疑問を抱えながらも私は友達に除菌シートを渡す。そして、友達は手鏡で頬に付いた絵の具を必死に落としていた。肌が荒れないといいんだけど
ちなみに必死に絵の具を落としている友達の名前は東雲絵名。有名な画家であり、数々の賞とかも受賞している実力の持ち主でもある。そんな人が必死に絵の具を落としているなんて
「何よ。私が馬鹿だって言いたい訳?そうよ、馬鹿だけど何か?」
「まだ、何も言ってないんですけど」
「あんたの顔が言ってるのよ」
「理不尽すぎませんかね」
まだ何も言っていないのになぜか怒られてしまう私。これに関しては私は悪くない
「ちなみに今日はどこに行くんですか?美術館とかに行くのなら私は合わないので」
「安心して。今日は美術館では無いわ」
「今日は。という部分に引っ掛かりを覚えますけど。では、どこへ?」
「今日、新しくパンケーキ屋さんがオープンするのよ。そのお店に一緒に行って欲しいのよ。ほら、佑唯パンケーキ好きでしょ?」
「いえ、パンケーキよりも………なんでもないです。あと、まだ付いてます」
「もういい。これもファッションよ」
「ファッションに謝った方がいいかと」
「うるさい。ほら、行くわよ!」
絵名はそう言うとそのパンケーキ屋へと向かって歩き出す。私も絵名の後ろをついて行く。パンケーキ、久しぶりに食べるかもしれない
そして、私達はパンケーキ屋へ到着。まだ開店前だと言うのに沢山の人が並んでいて、私達は結構後ろの方へと並ぶ事に
「このお店人気なんですか?」
「そうよ。このお店は有名なパンケーキ屋さんの2号店なのよ」
「2号店なら別に1号店でも良かったのでは?」
「まぁ、普通ならそう思うけど」
そう言うと絵名は携帯を操作してあるホームページを見せてくる。そのホームページには2号店の期間限定、幻のパンケーキ発売!と書かれてあった。画像は載っていないのでどんなパンケーキかは分からないが幻と付いているのできっと凄いパンケーキなんだと思う
「これを目当てでみんな来ているのよ。もちろん、それだけじゃないわよ?1号店だけじゃ人気過ぎて入れない人も居るから新しく2号店が出来たのよ。だから、限定だけじゃないから安心して」
「まぁ、確かに人気ですよねこの店」
私達が並んでいるパンケーキ屋さんは確かに人気のお店で、予約をしないと当日行っても入れない程に人気のお店。私も気にはなっていたがそこまでしてパンケーキを食べる程の好きでは無い為スルーしていた
「2号店って予約するんですか?」
「もちろん。ちゃんと予約してるから安心して。幻のパンケーキも食べれるわよ」
「もしかして幻のパンケーキも予約制なんですか?」
「そうよ。でも、まさかここまで人が多いなんてびっくり。これでも私結構早めに予約したつもりだったんだけど」
「皆さん限定って言葉に弱いんですね」
「あんただって弱いじゃない」
「私は別に」
「愛莉の限定プロマイドの時凄かったじゃない」
「あれは私じゃないです。瑞希がその日仕事でどうしても手に入れてきて欲しいと言われたから仕方なく行っただけです。別に愛莉が好きで行った訳では無いです。それに愛莉だけじゃなくて他にも3人のプロマイドもでしたから。興味が無いのに行くのは申し訳ないんですけどね」
「あんた、それ絶対愛莉達の前では言わないで。多分泣くから」
瑞希と言うのは暁山瑞希。絵名が所属している活動グループの一人で、今はファッションデザイナーとして活躍している。ちなみに服も作れるのでファッションデザイナーだけではなく幅広く活躍している。瑞希に服について聞いたら恐らく地獄を見る事になるだろう
そして、愛莉と言うのは桃井愛莉。有名なアイドルグループの一人で、それはもう有名なアイドル。ライブは当然満席だし、握手会だって倍率が高いのでなかなか行けない。極めつけはグッズなんてすぐに完売。私からしたら雲の上の存在と言っても過言では無い。ちなみに私はアイドルがそこまで好きではないのであまり興味は無い
「そういえば、今度愛莉達のライブに行くんでしょ?」
「そうですね。愛莉からチケットを貰ってしまったので」
「貰ってしまったって。言い方他に無いの?」
「ポストに手紙と一緒にチケットが入っていたら、貰ってしまったって言うのはあながち間違っていないのでは?」
「なかなか凄いわね」
「まぁ、貰ったからには行くつもりですが。ペンライトとか持ってないんですよね。買った方がいいですかね?」
「知らないわよ。瑞希に聞いたら?」
「そうですね」
そんな困難でたわいもない会話をしているとお店が開店。次々に並んでいた人達がお店へと入っていき、私達もお店へ入店する。席に着いた私達はそれぞれ何を注文するかを話す
「さて、私はこの幻のパンケーキにするけど佑唯はどうする?」
「私も幻のパンケーキ」
「それだと意味無いじゃない」
「と言いますと?」
「佑唯と来たのは違うパンケーキを1口貰う為なの。だから、佑唯は違うの頼んで」
「と言われてもですね。絵名が食べたいパンケーキでいいですよ?何がいいんですか」
「うーん。私的にはこのふわふわパンケーキか3段パンケーキのどっちかが気になってるんだけど。佑唯は?」
「絵名が」
「2つ頼む事になるわよ?」
「それでもいいですけど」
「太るわよ?」
果たしてパンケーキ屋さんの中にて言う言葉では無いと思うのは私だけだろうか。そんな太る事を気にしているのであればパンケーキ屋さんに来る自体が間違っていると思う
さすがに2つは多いのでふわふわパンケーキと幻のパンケーキを注文する事に。3段パンケーキに関してはまた今度でいいと言うことになった。また来ることになるとは
「そう言えば、最近ナイトコードに顔出してないけど何かあったの?」
「と言いますと?」
「仕事とか忙しいのかなって」
「いつも通りですよ。ただ深夜に集まるのは社会人には難しいです」
「それを言ったら、まふゆと瑞希はどうなるのよ」
「まふゆに関しては超人ですし、瑞希に関しては根性だと思います」
「2人の扱いが雑」
ナイトコードと言うのは絵名が所属しているグループで使う連絡ツールで、作業とかをする時に集まる場所でもある。だいたい深夜に集まっているので私は参加が出来ないことが多い。しかし、仕事が休みの時は顔を出しているので全く参加してない訳では無い
「何か言ってましたか?」
「奏が最近話してないからって心配してたし、まふゆも心配してたわよ」
「まぁ、メールとかでも心配されてましたからね。返事返してますし、連絡も取ってるので大丈夫です」
「ならいいけど。あと、瑞希にも連絡してあげて」
「気が向いたらしますよ」
「それしない人の言い方よ」
それから私達はパンケーキが届くまで話をしていると、ついに待ちに待ったパンケーキが運ばれてくる。普通ならいただきますをして食べるのだが
「待って。触らないで」
「そんなガチで言わなくても。ちなみになんでです?」
「写真を撮るからよ。せっかく来たんだから思い出に残しておきたいのよ。周りの人達もしてるようにね」
確かに周りを見ると絵名と同じようにパンケーキを撮っている人達が居た。よく料理を撮ったりする人達を見かけたりするが、私としては思い出だとしても写真は撮ったりはしない。まぁ、その行動に関しては否定はしないけど食べようとしている人を止めてまでする事だろうか
私はとりあえず絵名が写真を撮り終えるのを待ち、パンケーキを1口
「美味しいですね。まぁ、ふわふわですね」
「なにこれ!凄く美味しい!」
目の前にはパンケーキを食べて幸せそうにする絵名の姿。その姿を見るだけでこちらまで幸せになるのでは?と言うくらいに幸せそうな顔だった
「ねぇねぇ、佑唯のも頂戴!」
「分かりましたからフォークをこちらに向けないでください」
「うん!こっちも美味しい!来てよかった!」
「それなら良かったです」
パンケーキ1つでここまで人は元気になるものなんて。それからも絵名は幸せそうに美味しそうにしながらパンケーキを完食。私もパンケーキを完食したが、半分は絵名に食べられてるので実質半分しか食べれてないがパンケーキにこだわりは無いから絵名に食べてもらった方がいい
「いやぁ。来てよかった。さすが2号店。次も来るわよ」
「私ではなくまふゆ達を呼んでは?」
「佑唯が無理な時に呼ぶようにするわ」
「答えになってないんですけど」
食べ終えた私達はお店から出て次の目的地にへと向かって歩きながら話をしていると、絵名の携帯が鳴り始める。そして、絵名が電話に出ると何やら用事が急に出来たらしくここでお別れとなった
「ごめん!この埋め合わせは必ずするから!」
「いえ、もう結構です」
「は?」
「ありがとうございます」
「そうよね。とりあえず、また後で電話するからまたね!」
「はい。メールでお願いします」
私がそう言う前に絵名は走り去っていってしまう。電話来たら無視しようと心に決めて、私も家に帰る事にした