短小編集(小ネタあれこれ)   作:高島智明

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当時、様々の作者が書かれた2次創作の中で『三国志』に限らず『真・恋姫†無双』と言う「美少女ゲーム」が存在している「現実」世界からトリップして来たり転生したりした、と言う設定の作品に良作が目立つように成っていました。
無謀な妄想ながら、そうした様々の良作からインスパイアを受けた何かを書きたい、とは思ってみました。

そんな時に発見したのが、ファミ通文庫から刊行されている『ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!』と言うライトノベルです。
「あなたの世界を変えてみませんか?」等と言うアヤしいメールに応答すると、現実世界がギャルゲーの設定通りに改変されてしまう、と言うトンデモ無いシステムを前提にした、ちょっと切ないLoveStoryでした。


恋姫の世界よ、ようこそ!(原作:真・恋姫†無双 ×ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!)

誰かが起こしには来なかった。そうだろう。

しょせん起こしに来てくれる幼馴染も、潜り込んで来る妹も居ない、筈だった。

(…こんな事を考えるのもアレのせいだな…)

前夜、寝る直前に発見した、悪戯(いたずら)としか考えられないフザケたメール。

「あなたの世界を変えてみませんか?」

 

何の釣りか、それとも詐欺かと思いながら、適当なギャルゲーの適当な2次創作を指定して適当に設定して送信した。

ついでに「バーロー」とでも付け加えてやるか、と思って流石に大人気無いと思った。

その程度のつもりだった。前夜は。

それでも何とか、自力で目を覚ましてみると「お約束」通り(?)知らない天井だった………。

 

……。

 

…内側から見ても、如何にも急ごしらえのプレハブ造りの1室。

しかし、内装は普通の男子高校生の自室に見える。

しばらく寝起きのポケッとした気分でいたが、しかし夢から醒(さ)めて来る気配もしない。

やっと起動した脳の何処かでスマホの事を思い出して、登録してある呼び出し先の1つを呼び出した。

 

「もしもし…叔母さん?朝早くからゴメン」

「どうしたの?」

「ゴメン。寝ボケているらしくて、記憶がハッキリしないんだ」

「ちょっと!もしかして風邪?熱は無いの?身体は痛くない?」

「そんなんじゃないと思う。ただ、頭がボケているだけなんだけど。

それで、確認したいんだけど、俺の両親は仕事で外国に行っているよね?」

電話の向こう側では、まだ心配そうだ。

 

「そして、俺は今、日本で1人暮らしをしている?」

「その通りよ」

「それでなんだけど…」

ここで少し躊躇(ためら)った。

「俺は前の家に1人だけ残った、と言う事は無いよね?」

「何を言っているのよ?やっぱり…」

 

「(少しばかりアワてて)大丈夫だよ。熱なんか無いから。

ええと、叔母さんは「自分」の所で1緒に暮らしても好い、と言ってくれたんだよね?」

「そうよ。やっぱり、そうした方が好かったんじゃ無いの?」

「だから、大丈夫だよ。それで、結局はどういう結論に成ったの?」

 

「前の家は売り払ったわ。

どうせ、ローンが残っている訳でも無いし、何年も向こうにいる事に成るし」

「それで」

「帰ってから、分譲マンションとか買える位は向こうで稼いでくるつもりだったみたいだし、でも、あなたは高校進学の直前だったから」

「そうだったね。それで、俺は日本に残って高校に通う事にしたんだ」

「そうよ。幸い全寮制の高校に受かったから」

「もしかして、その学校って?」

ここで前夜に選択したギャルゲー、その『原作』に思い当たった。

「聖フランチェスカ学園」

 

「そうよ。本当に大丈夫?やっぱり…」

「だから大丈夫だよ。やっと目も覚めて来たから。朝っパラから本当にゴメン」

 

実のところ、登校時間が迫っていた。

急いで制服『恋姫』世界で言う処の「天の衣」に着替え、まだ片付けていなかった寮の食堂で朝食を詰め込んだ。

 

寮の外に飛び出したところで、道順に自信が無い事に気付く。

しかし前方には、まだ何人か自分と同じ学生服姿が居た。

その1人に追いついた時、デジャヴが在った。

「北郷一刀?」

相手が同学年か先輩かすら、覚えていない。

「どうした」

向こうは、こちらの名前を正確に呼び返して来た。

「まだ、目が覚め切らないか?急ごうぜ」

 

北郷と1緒に成って走りながら、果たして前夜はどう設定したかを思い出そうとした。

やっぱり、かなり適当に設定した様だ。

しかし、どうも「主人公」と言う設定はした記憶は無いか。

(…だったらモブキャラはモブらしく、巻き込まれ無い様に大人しくして…)

そう思えたのも、校舎に近付いて其の側の女子寮に近付くまでだった。

女子寮の前で、明らかに北郷を待っている1団の女子生徒を見て、思わずSpeedDownしていた。

 

「北郷、ちょっと好いか?」

自然に声が低くなる。

「何だ?もう余り時間が無いぞ」

「もしかしなくても、あれは桃香ちゃんに華琳ちゃんと雪蓮ちゃんだよな」

「お前?何時そんなに親しくなった(周囲を見回して)春蘭とか愛紗とかが聞いていたら面倒だったぞ」

「す…すまん。兎も角(ともかく)おジャマ虫は先に行くわ」

返事も待たずにSpeedUpしていた。

 

(…ど、どうせ、北郷とは別クラスだよな?男子は1クラス1人の設定の筈…)

もう必死に考える。

(…せ…せめて我がクラスとかだけは、何事も有りません様に…それと、剣道部なんかは死んでも入らんぞ!)




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