所謂(いわゆる)「1年戦争」に於いて、主力兵器へと駆け上がったがモビルスーツ(MS)だが、それは如何なる生産基盤があって生み出されたか。
特に、戦争序盤でその威力を思い知らされた地球連邦側が、どうして其の数ヶ月後にはジオン公国の「ザク」を超えるモビルスーツを開発成功し、更には量産化できたのか。
ならばとばかりに、ジオン側も次々に新型モビルスーツを投入できたのは、何故なのか。
そこには、どのような基盤が在ったのだろうか。
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元来、モビルスーツの技術的原型と成ったのは、スペースコロニー建設用の大型の人型ロボットだった。
このような巨大な建造物を、しかも宇宙空間という極限的な環境で建設するにあたり、人型であるが故に使い勝手が好く、人の10倍大きくて1000倍の力を持ったロボットは、幾らでも使い道が在っただろう。
コロニーの建設に大いに貢献しただろう。
それゆえに、開発ノウハウが蓄積され、生産基盤が存在した。
西暦20世紀に構想された「パワードスーツ」の延長線上に「モビルスーツ」と名付けられ普及した。
その建設用ロボットの基盤と「ミノフスキー粒子」による電波ジャミングを結び付け、その軍事的価値に気付いたのは、確かにギレン・ザビの天才だった。
その結果「1年戦争」の初戦に於いて、圧倒的な奇襲効果を発揮した。
地球連邦軍にとっても衝撃だっただろう。
だがしかし、連邦側にもコロニー建設用ロボットの開発ノウハウは、当然ながら存在していた。
直ちに、モビルスーツ開発計画「V作戦」は実施されたのである。
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その根拠地と成ったのは、何処だったか。
当然に、今や連邦軍の死守する本拠地であるがゆえに安全ではあり、同時に最大の生産拠点でもあるジャブローしか在り得なかった………。
……。
…ある時、ジャブローから「V作戦」に従って試作されたモビルスーツ母艦ホワイトベースが出航した。
目的地は建設途上で放置されていた、今や連邦軍側に残された唯一のコロニー「サイド7」だった。
「V作戦」によって開発、試作されたモビルスーツが生産されたのは、何処だったのか。
生産拠点であり、おそらくは最も安全の筈だったジャブローでしか無かった筈である。
だがしかし、テストの場所が必要だった。
地球上だけで使用するなら兎も角(ともかく)宇宙都市であるジオンへの反抗の為には、宇宙の戦場を想定したテストが必要だった。
そう成ると、小惑星を改造した宇宙要塞を想定したテストが出来る場所は残された拠点「ルナツー」しか無く、ジオン本国もそうであるスペースコロニーを想定したテストが出来る場所は「サイド7」しか無い。
この為ホワイトベースは、完成した試作モビルスーツを搭載して、ジャブローから出航したのだった。
だがしかし、ジオン本国とは逆方向に向かった筈のホワイトベースは、何者かに追跡されていた。
そして「サイド7」に入港したホワイトベースから、テストの為にモビルスーツ「ガンダム」が降ろされた直後、功を焦った1人のジオン軍兵士が暴走する。
こうして『物語』が始まった………。
……。
…戦争は終わった。
そして再建の時代が始まる。
戦争に依って、急速に開発、生産技術を進歩させたモビルスーツは「本来」の建設用ロボットとしての役割を取り戻した。
今話の短編には『ファーストガンダム』以降の続編を黙殺しているように感じる方も居られるかも知れません。
しかしながら『ファースト』を読み込むうちに、思い付いたことを書かせて頂きました。