前話『 小ネタあれこれ(その4)』の中の『Re:太正浪漫のある世界』の後に入れれば好かったと御思いの方もいらっしゃるかも知れませんが、思い付く順番の結果、この様に成りました。
『思い出の地』
『原作(双恋)』に嵌っていた頃、舞台と成った「双葉町」に関心を持ってWikipediaその他で検索してみたことがありました。
その時には、東北地方に「双葉町」が在って原発が在るまでは知りましたが、まさか”その”後、あのような悲劇に見舞われるとは、思っていもおりませんでした。
Re:Re:太正浪漫のある世界(原作:サクラ大戦シリーズ)
俺は大神一郎。
表向きは大帝国劇場のモギリ、実は秘密部隊、帝国華撃団の迎撃部隊「花組」隊長だ。
ある時、華撃団副司令に付き合わされた。
実の処、司令長官の米田中将の酒飲みは誰もが認めるところだが、副司令の真宮寺一馬大佐に付き合わされるのは珍しい。
まあ元々、大佐まで務めた陸軍軍人が、若い乙女たちに囲まれて表向き劇場の副支配人などしていれば、似たような立場の俺と偶(たま)には酒も飲みたくなるだろう、くらいに思っていたのだが。
「君は、さくらをどう思っているのか?」
「は……好い隊員だと思っています。
女優としては正直まだまだ未熟でしょうが、とても一生懸命で努力家で、そして出撃と成れば、自分やカンナと並んで前線で頼もしく」
「そういう話では無い……」
何かを少し躊躇(ためら)って
「これは、劇場副支配人でも無く、陸軍大佐、副司令でも無い、只の1人の父親としての話だ。
何時もなら、公私混同も依怙贔屓(えこひいき)もしない。
だが、やはり1人の父親としては見ていられない。
君は、あの娘の想いを、どう受け止めているのだ」
流石に返答に困った。
「鬼王」とまで呼ばれた歴戦の大佐が、自分でも言う通り、只の父親に成っていた。
「自分は花組隊長として、そして彼女たちの触媒として為すべきことを為すことしか出来ません。
それでもさくらくんに限らず、全ての隊員に誠実であろうと思います」
「それでも、何時かは君も身を固めるのだろう。その時は、何人を泣かせるつもりだ」
「もしかすると、そう成るかも知れません。それでも後悔しない選択をしたいと思います」
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思い出の地(原作:双恋)
私は故郷「双葉町」を離れ、都会で社会人としての日々を過ごしていた。
そんな、何時もと同じ筈のとある日の午後、何時もの日々の様に過ごしていた。
その時、突如として揺れた。
「地震?!」
咄嗟に安全を図った。
やがて自分は無事だと確認出来ると、情報を求めた……そして知った。
私の居る都会は、まだ被害の中心から外れている。
被害が集中しているのは、東北地方の太平洋側だと。
当然の様に、心中を横切ったのは故郷「双葉町」
そして、今もその町に居る筈の双子の恋人だった。
「あの子たちは、無事なのか?」
都会に離れていたことを、心底後悔した。
やがて画面は、まるで特撮作品の様な津波の惨状を写し始めた。
今すぐにでも、双子の元に駆け付けたかった。
連絡を取ろうにも、通信手段は大混乱だった。
そして遂に、決定的な悪夢が現実と成った。原発爆発。
双葉町の全町避難が伝えられると、もうジッとしてはいられなかった。
私はやっとのことで、何とか帰宅したばかりの職場と連絡を取ると、懐かしい筈の故郷へと向かった。
故郷へ向かう間も、双子との思い出が心を過(よ)ぎった。
楽しかった事。甘い思い出。双子との恋だからこその2人のバランスを取るゲームの様な日々。
そんな中学生時代以来の思い出が、次々に過(よ)ぎる。
「大丈夫だ。大丈夫だ……きっと2人とも無事だ」
そう信じたかった。
私は避難所を訪ね回り、やっとのことで双子を見付け出すと、3人で抱き合って人目も憚(はばか)らず泣いた。
そして、傍に居られなかったことを詫びた。
そんな私を、双子は受け入れてくれた。
それから、まるで埋め合わせをする様に、私は双子の傍を離れず3人で過(す)ごした………。
……。
…あれから又、何年かが過ぎた。
私たち3人を含めた家族は今、帰還が許され出した故郷の復興のために働いている。
久し振りの投稿に成りましたが、これからも思い付くままの不定期投稿を続けたいとは思っています。
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