短小編集(小ネタあれこれ)   作:高島智明

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この短編は『海の恐怖!グラ・バルカス帝国海軍vs原子力潜水艦』(作者:通常弾頭)(原作:日本国召喚)よりインスパイアを受けました。
したがって、3次創作と成ります。
通常弾頭様よりは、温かい御許しを頂いております。
真に勝手ながら、通常弾頭様には応援のエールを送らせて頂きます。


1st Contact(原作:日本国召喚)

その日。

クワ・トイネ公国軍第6飛龍隊に所属する竜騎士マールパティマは、母国北東の海上を、相棒のワイバーンと共に哨戒していた。

隣国、大陸統一と亜人殲滅を唱えるロウリア王国の迂回奇襲を警戒してだった。

 

その時、竜騎士は何かを見付けた。

遠目には、白い鳥かワイバーンにも見えたが、見る見る接近してきた其れは、まるで見覚えの無いモノだった。

 

真っ直ぐ広がった翼は羽ばたいていない。

その翼と胴体には、赤い丸の紋章らしきものを付けていた。

更には、胴体には読み取れない文字らしきものが書かれていた。

(”海上自衛隊”などとは知る由(よし)も無い)

 

竜騎士は、何とか接近して魔信で呼びかけようとしたが、応答が無い。

ならばと、迎撃しようとしたが、怪鳥は其れまで広げていた翼を後退させると、たちまち速度を上げ、ワイバーンを振り切って行った。

母国の本土、経済都市マイハークの方向へ。

 

マールパティマの警告を受けた飛龍隊は、全力を挙げて迎撃しようとした。

だがしかし、避けられない筈のワイバーン編隊の1斉攻撃に対し、白い怪鳥は翼を三角の様に後退させ、両の翼の付け根に下げていた4つの樽のような形のモノからオレンジ色の炎を吐くと、見る見る上昇して行った。

ワイバーンの上昇限度を遥かに超えた高空へと。

そして、何かの衝撃を伴った轟音を残して、在り得ない高速で飛び去って行った。

クワ・トイネの誰もが知る由も無い其の正体は、異世界転移して来た日本国に所属する”可変翼”の哨戒機P-1だった。

 

日本国が原子力潜水艦を開発し始めるとともに、対応する対潜装備として開発された。

対潜哨戒の為の長時間の低空低速の飛行能力と、突如として出現した潜水艦に対し迅速に駆け付けるための音速飛行を両立させる為に、可変翼という選択がされた。

 

クワ・トイネの者たちが感じた、衝撃を伴った轟音とは、音速に到達した飛行物体から生じるソニックブームだったのだ。

 

開発に当たっては、元の世界の1970年代に流行し開発され、P-1の開発当時には次世代機に其の座を譲りつつあったアメリカ海軍のF-14やヨーロッパのトーネード等の、可変翼の戦闘機等をサンプルとして少数購入し研究した結果、実現した。

完成したP-1は、アメリカ空軍のB-1爆撃機にも似た、白い怪鳥だった。

数日後、今度は海上から、日本国の使者が現れた。

彼らは領空侵犯を謝罪し、転移国家を名乗り、国交を求めた。

 

その時、密かに静かな海中から見守る者が在った。

<そうりゅう>型原子力潜水艦<はくりゅう>

実用化された日本国の原潜である。

 

砲艦外交などする積もりも無い日本国の側は表向き、外交官を乗せるためにチャーターしたクルーズ客船と、護衛に付けた海上保安庁の巡視船だけで送り出した。

それでも、万に1つの場合に備えて<はくりゅう>を”密かに”送ったのである。

 

「スクリュー音無し。やはり、全て帆船の様です」

ソナー員から艦長に報告が上がる。

「やはり哨戒機の報告通り、中世の文明レベルの様ですね」

副長の意見に艦長は頷きながらも緊張は解かなかった。

「我々の任務は、万に1つに備える事と、将来の為の情報収集だ」

しかし、乗組員の中からは、こんな意見も出た。

「音速のP-1で無くとも、旧式機でも好かったかも知れませんね」

「P-1にワイバーンとやらが追い付けなかったのは結果論だ。

ここは何が起こるか分からない異世界だ。

油断せず、我々は我々の任務を果たそう。

沈黙の中にな」

 

海中の”沈黙の護衛”にも気付くことなく、日本国とクワ・トイネ公国の国交は結ばれた………。

 

……。

 

…しかし"この"世界は平和では無かった。

日本国は、先ずロウリア王国、次いでパーパルディア皇国という侵略国家との戦争を経験した。

 

これらの戦争、特に皇国との戦争に於けるアルタラス王国の基地から飛び立っての空爆に於いて、爆撃機型に改装された「白い怪鳥」は活躍した。

首都近郊の陸軍基地を、戦力の再建に不可欠な工業都市の工廠を、可変翼を翻(ひるがえ)して叩いた。

 

片や”沈黙の艦隊”こと、原潜部隊の活躍は目立たない。

彼女たちが、その存在を轟(とどろ)かせるのは、グラ・バルカス帝国との戦争に於いてである。




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