短小編集(小ネタあれこれ)   作:高島智明

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Re:ゼロの使い魔(原作:ゼロの使い魔)

サイト……また…会えるわね。

 

天寿を全うする瞬間、彼女、旧姓ールイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは思い浮かべた。

生涯を共にした伴侶、彼女の使い魔であり、騎士であり、そして誰よりも傍にいた彼、平賀才人のことを。

そのまま、彼女は意識を失った。

数年前に先立った生涯の伴侶に再会出来ることを信じて、永遠の眠りについた………。

 

……。

 

…筈だった。

 

彼女は目覚めた。

「ここは?!」

1瞬、混乱したが、しかし其の場所には見覚えがある。

トリステイン魔法学院。

「彼」や仲間たちとの青春の日々を過ごした、あの学院の女子寮の自室だった。

 

「夢だったの?でも、こんな夢なんて」

次第に混乱が収まり、記憶の整合が取れて来ると、今度は心に決意が浮かんでくる。

”あの”頃の自分は、どんなに未熟で、多くの失敗をし、回り道をしたのか。

でも、あらかじめ”全て”を知っている”今度”は同じ失敗はしない。

いや”前回”の自分が不幸だったわけでは無い。

それでも、やり直しが出来るならば、そうしたいことは幾らでも在った。

特に、未熟だった頃の自分が「彼」にしてしまったことに関しては。

 

「始祖よ。感謝します」

先ずは、現状確認だった。

 

確認したところでは”現在”あの運命の日まで、あと数日。

外出可能な虚無の曜日を含めて、1週間程しかない。

それでも、この数日が貴重だった。

出来る限りの準備を整えよう………。

 

……。

 

…そして”その”時が来た。

 

彼女は呪文を唱える。

忘れえない「彼」を心に強く思い浮かべながら。

 

宇宙の果ての何処かに居る、私の僕(しもべ)よ……

神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ……

私は心より求め訴えるわ。わが導きに答えなさい!

 

爆発…そして、煙が散った後には出現していた、懐かしい「彼」が。

 

彼女は感動を押し殺しつつ、彼を抱き締め、口付けした。

そして、彼女と彼の絆の証が、彼の左手に刻まれた………。

 

……。

 

…魔法学院の彼女の自室。

 

最初に困惑し、次いで憤慨する才人を宥めつつ、ルイズは誠心誠意、説得しようとしていた。

そのうち、才人も気付いた。

相手の態度が、只、自分を使役しようとする対象として丸め込もうとすることばかりではないことを。

まるで、奥手の才人にすら感じ取られる様な、何かの感情を込めているかも知れないことを。

つい、その疑問を口に出すと

「あの契約の呪文には、お互いに好意を抱(いだ)かせる効果があるの」

嘘では無い。しかし、それだけでは無い。

共に人生を過ごした其の想いが在った。

その想いを込めて、彼女は彼を抱き締めた。

(以下自粛。R18作品ではありません)

 

その後、才人を厨房に連れていくと、学院の使用人筆頭であるマルトーに食事その他の待遇について、くれぐれも頼んだ。

その時の使用人たちの微妙な態度、特にある1人のメイドの反応には、心中密かに喝采を覚えていた。

 

そして自室に戻ると

「今日は使い魔と親睦を深める様に」

と学院から言い渡されていることをいいことに、2人だけの時間を過ごした………。

 

……。

 

…翌日。

 

「諸君。決闘だ!」

ああ「やはり」この騒ぎか。

しかし”今回”は準備していた。

貴重な1日だけの休日、城下町に出かけて用意して置いたものが有った。

 

錬金された青銅の戦乙女に仰天している才人に”それ”を差し出す。

受け取った左手が光り輝いた。

「おどれぇた。お前、使い手か」

「剣がしゃべった?流石ファンタジー」

「あなた自身を信じて、サイト」

 

「おや、剣を持ったね。だったら僕も手加減はしないよ」

「そんなことよりもギーシュ。あなた今のうちにモンモランシーに謝っておいた方が好いわよ」

このルイズの台詞を煽(あお)りと受け取ったか、薔薇のメイジは青銅の戦乙女をけしかけようとするが、その瞬間の内に切り伏せられていた。

しかも、その場に崩れ落ちることも無く、綺麗さっぱり消失していた。

 

狼狽しながらも、次々にゴーレムを錬金していくが、その端から、まるで伝説の勇者の様な早業と身のこなしで切り伏せ消失させていく。

何故か1体消失させる度に、錆だらけだった刀身が、刃金本来の輝きを取り戻していった。

 

遂に、最後の1体を消失させると、すっかり輝きを取り戻した刀身の其の切っ先を突き付け宣言する。

「まだやるか」

根は気の好い青銅のメイジは、潔(いさぎよ)く杖を手離すと、空いた利き手を差し出した。

才人が傷つくこと無く、この世界での最初の友人を手に入れられたらしいことに、ルイズは安堵していた。

 

「そんな!信じないぞ。ゼロのルイズの使い魔がなんて」

そんなヤジを飛ばすヤジウマもいたが、彼女は黙殺した。

 

「ゼロの使い魔」

その呼ばれ方が、どれ程の輝かしい称号と成るか、彼女だけが知っていた。

そう、未だに彼女だけが。




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