短小編集(小ネタあれこれ)   作:高島智明

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Re:ゼロの使い魔(その3)(原作:ゼロの使い魔)

トリステイン王国の王都トリスタニアの王城。

アルビオンでの使命を終えて帰還したルイズは、王女に復命していた。

 

「姫様。こちらがウェールズ殿下から御預かりした御手紙です」

「…確かに、私がウェールズ様に差し上げた手紙です」

「それから姫様…ジェームズ陛下は、最後まで王としての名誉を全うされましたが、殿下は再起を期して、イーグル号で脱出されました。

何処へと落ち延びられたまでは、見届けることが出来ませんでした。申し訳御座いません」

「好いのですよ。有り難う、ルイズ。きっとウェールズ様は御無事ですわ」

 

今度は、王女の側にもルイズに告げることが在った。

「ワルド「元」子爵ですが…」

ルイズの告発を得た王女の直接命令で、宰相であるマザリーニ枢機卿直々に尋問された。

最初は何故か自信満々だったが「真実」を暴露し告発したのがルイズであることを知らされると、突然哄笑し、やけくその様な風魔法を放って逃走した。

「これでは、自白したのも同然です。

子爵位は剥奪。魔法衛士隊からも追放。

ルイズ、貴女との婚約も破談と公爵家にも言い渡します」

「当然です」

(遅かれ早かれ、こういう結果だったのよね)

 

それから王女は、新たな「お願い」を切り出した。

「重ね重ね御願いするのは厚かましいのですが…ウェールズ様への想いがどうであれ、私はトリステイン王族としての役目を果たさなければ成りません。

ゲルマニア皇帝との縁談は進めざるを得ません。

そこでですが…」

王女は結婚式での「巫女」の役割を依頼し、白紙の本を手渡した。

「謹んで御受け致します、姫様」

アルビオンへの使いの際に預けられた指輪と合わせて、これで「虚無」のルーンを”思い出す”為に必要なアイテムは揃った。

 

室外に控えていた才人とも合流し、学院に帰ってきたルイズは、次なる「イベント」に密かに思いをはせていた。

才人を追い出すことなど在り得ない。

したがって、才人がキュルケたちから誘われて、宝探しに出かけることも無いだろう。

そもそも、発見する宝である「竜の羽衣」実はゼロ戦は、もう学院に在る。

 

(そう成ると…)

自分には無用の惚れ薬騒ぎなど、先手を打った方が好いだろう。

それにラグドリアン湖周囲の住民の迷惑を考えたら、早い方が好い。

只、今回は自分と才人の2人だけで行動するわけにもいかない。

少なくともモンモランシーは動かさないといけない。

(…やはりもう1度、姫様に御会いする必要がありそうね)

早速、行動に移すことにした………。

 

……。

 

…トリステインとガリアの国境に位置するラグドリアン湖の岸辺。

ルイズと才人、モンモランシーとやはりくっ付いてきたギーシュ、何処で嗅ぎつけたかタバサまで誘ってついてきたキュルケとゾロゾロとやってきた1同の前には、すっかり水量の増えた湖が広がっていた。

「うわ、やばいじゃねえ、あの村」

初めて訪れる才人にすら、そう言わせる程に水位が上がっていた。

「本当に水の精霊を怒らせたのね。うちの家に代わった交渉役は何をやっていたのよ」

精霊を呼び出すのはモンモランシーである。

交渉の困難さに、ガックリとしていて、ギーシュに励まされていた。

更にキュルケには分かる程、タバサが動揺していた。

聞けば、湖のガリア側はタバサの実家だという。

当然”今”のルイズは知っている。

 

兎も角(ともかく)1同は水辺に進んで、モンモランシーが精霊を呼び出した。

最初は、そっけない態度の精霊だったが、モンモランシーの後ろから進み出たルイズの足元が水に触れると、何かに関心を示した。

「ほう、そなたは他の単なる者とは、何かが違う様だ。

だが、我を偽る心が、そなたの中の水の流れには感じられない」

動揺を同行者に気付かれない様に、しかしあくまでも精霊には誠実に、ルイズは「真実」を告げる。

アルビオンでオリヴァー・クロムウェルが実現している「奇蹟」のこと。

それを「虚無」の魔法だと言い振らしていること。

だが”それ”は、水の精霊が守ってきた「アンドバリの指輪」を使えば可能と思われること。

 

「確かに、われから秘宝を盗んだ単なる者は、仲間からクロムウェルと呼ばれていた。

だがしかし、そなたの告げることが真実ならば、われが水を増やしても徒労だと言うのか」

暫く、精霊は何かを考え込む様な仕草を見せると、ルイズ達に告げた。

「好かろう。

そなたたちの命の内に秘宝を取り戻してくれるならば、その間は水を増やさないでいてやろう」

礼を述べ、杖に賭けて誓うと、精霊は湖に戻っていった。

 

学院に帰ってくると、才人にはゼロ戦の整備と訓練に精進させ、ルイズ自身は「始祖の祈祷書」を読み進めていった。

彼女だけに読めるルーン文字が連なっている。

(これさえあれば”次”の戦いは勝てるわ)

タルブの戦いの結果を変えるつもりは無い。

むしろ、問題は「戦後」だった………。

 

……。

 

…タルブの戦いの大勝利にトリステインは沸き立っていた。

 

近く新女王に就くであろうアンリエッタ・ド・トリステインを称える声が広がる。

どうやら、ゲルマニアとの縁組も無用と成りそうだった。

 

そんな沸き立つ国内のひと隅、魔法学院。

アルビオン空軍からの戦利品を才人が購入してきた水兵服に、ルイズが袖を通していた。

そうして才人を喜ばしておいて、さてモンモランシーの自室へ行くと、騒ぎの元と成る「惚れ薬」を没収した。

「これは禁忌よ」

「僕の薔薇よ。こんなもの無くったって、僕は君のものだよ」

連れてきたギーシュといちゃつきだすのは放っておいた。

(バカップル)

自分たちのこと、例えば今の自分の格好の事など、何処かの高い棚に上げて”日本での後半生”に覚えた感想を抱いていた。




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