以前に投稿しました『Web版に続きがあったなら』の続きです。
あえて善治郎やアウラとは異なる視点で書いてみました。
『存立危機事態』
最近、よく聞く此のワードを使ってみたく成りました。
『原作』が発表され始めた頃に、普及していたワードかどうかは、記憶が定かではありません。
Web版に続きがあったなら(その2)(原作:理想のヒモ生活)
私の父はカープァ王国の王配ゼンジロウ・カープァ、母は側室ルシンダ・ガジールである。
父は女王アウラとの婚姻だけでは無くカープァ王家の血統を引いており、王家の血統魔法である「時空魔法」の使い手と成ったことも相俟(あいま)って王族と認められたため、女王の嫡子では無い私でも王女の身分を持っている。
当然ながら、私も幼い時から時空魔法の教育を受けてきた。
母方の王家の血統が薄い(母も一応カープァ王国の上級貴族であるため、薄いながらも王家の血統は混じっている)私でも、あの父の子であるから時空魔法の素質は持っていた。
それでも、もしも成人しても時空魔法が発現していなければ、何処かの貴族の養女にでも出されていただろうが、そんな末路を迎えることなく、私も時空魔法の1応の使い手に成長した。
そんな私を最近悩ましているのは、双王国のジュゼッペ・シャロワ王からのアプローチだった。
父ゼンジロウが、その昔、シャロワ王家の王女と駆け落ちしたカープァ王家の王子の子孫だということは、もうシャロワ王家も隠していない。
その父の子である私は時空魔法だけでは無く、シャロワ王家の血統魔法である「付与魔法」をも発現しうる可能性がある。
それゆえのアプローチだった。
勿論、兄や姉にもアプローチを掛けていない訳でも無いが、女王の嫡子であり王太子である兄や継承権第2位の姉よりは、側室の子の私の方がアプローチしやすいとでも思っているかの様だった。
それでもかつての大戦の結果、1度は女王1人しか王族が残らなかったという危機を父を迎えることで乗り切ったばかりであるカープァ王国にとっては、私でも貴重な王族らしい。
2つの王家がどちらも何10人もの王族を抱えている双王国とは、事情が違っているらしかった。
その為、女王以下の王国首脳には、とりあえず私を双王国に”売る”積もりは無さそうだった。
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存立危機事態(原作:日本国召喚)
日本国が異世界に転移して、既に数ヶ月が過ぎていた。
この間に、クワ・トイネ公国やクイラ王国といった友好国を得て、食料や資源を確保出来たのは幸運としか言えなかったが、今、危機が訪れていた。
ロデニウス大陸の軍事大国ロウリア王国が亜人殲滅と大陸統一を唱え、クワ・トイネ、クイラ両国への侵略の意志を隠さなく成っていたのである。
ここに於いて日本国の国内でも、この戦争に介入するかどうかの議論が起こっていた。
「これは存立危機事態です」
そう主張するものが居た。
「元の世界の同盟国が攻撃されたどころでは有りません。
クワ・トイネの食料やクイラの資源が無ければ、我が国民は存立出来ません。
本当に、我が国民の存立が脅かされているのです」
これに対して、こう揶揄する者も居た。
「転移して来たのが20年前だったら”存立危機事態”等という便利な言葉も無かったでしょう。
都合の好い言葉ですな」
「言葉尻を捕らえないで頂きたい」
こう成ると、もう議論の為の議論だった。
そうこう議論している間に、遂にロウリアがクワ・トイネを侵略し、ギムの悲劇を引き起こした。
この情報が日本国に伝わるや、たちまち世論も議論も1つの方向へと傾いた。
「海外派兵」だと言い立て反対していた者たちには、まるで虐殺の共犯者であるかの様な非難が浴びせられた。
そう、ロウリアは自分を滅亡させる力を持った者に、そうとも知らずに大義名分を与えてしまったのだ。
日本国は「ロウリア王国を自称する武装勢力」の排除を決断し発表した。
ご意見ご感想をお待ちしております。
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今更ながら、前々話『竜の伝説』に1部分加筆しました。
お目汚しに成れば幸いです。