短小編集(小ネタあれこれ)   作:高島智明

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Re:ゼロの使い魔(その4)(原作:ゼロの使い魔)

ルイズは思い悩んでいた。

 

トリステイン王国軍を含めた連合軍が、アルビオンに進攻する其の時が近付いていた。

”その”結果、才人が死線を彷徨うことに成ること、その為ルイズとの絆が1度は途切れてしまうことを”今”のルイズは知っていた。

そんなのはいやだ!

 

だがしかし、なまじ貴族であるために”その様な”我儘が通る訳がないことも分かっている。

それに既に「虚無」と「神の左手」は戦力に組み込まれているのだ。

 

そして”今”のルイズは、何故才人が瀕死に陥るかを知っている。

その前提に成る、レコン・キスタが何をするかも知っている。

その先手を何とか撃てないか。

それに水の精霊との約束もあった。

アンドバリの指輪は取り返さなければ成らなかった。

それも”あんな”ことに使われる前に。

 

さんざん考えに考え”前回”の知識も総動員した結果、ある作戦を思い付いた。

正統な軍人には突飛に思えるかも知れない。

だがルイズは、全力で女王を説得する決意を固めた………。

 

……。

 

…ラグドリアン湖。

ルイズが足元を水に触れさせると、精霊が現れた。

「奇妙な単なる者よ。約束を果たしに来たのか」

「そのことについて、お尋ねと御願いがあって参りました」

精霊はルイズの「提案」に関心を示した様子だった………。

 

……。

 

…レコン・キスタ軍が「虚無」の魔法に作り出された「幻影」の大船団に惑わされている隙に、連合軍は港町ロサイスを占領した。

 

だが此の時「幻影」の大船団を操っていた1隻だけ本物の戦艦が、首都ロンディニウムを貫流する川の下流に密かに着水していたことには、レコン・キスタ軍の誰もが気付かなかった。

出征前、ラグドリアン湖に着水して”何か”を搭載していたことも。

 

その船から、まるで意志を持っているかのように水が盛り上がり川に注ぎ落ちると、その地点から川が逆流し始めた。

海に繋がっていないアルビオンでは、満潮に原因する川の逆流などは起こらない。

そして、そんなことでは説明のつかない程の大逆流が起き、そしてロンディニウムの都心まで到達すると、水が大きく盛り上がり、かつての王城,現在の皇帝公邸に襲い掛かった。

しかも、水は声を発し、宣告したのである。

 

単なる者よ。

この者は、われの守りし秘宝を奪った。

その秘宝の力で、死者にかりそめの命を与え、心を奪い、マヤカシを見せたであろう。

そのマヤカシは終わる。

そして、秘宝を守りしわれに手を掛けた報復を受けるのだ。

 

やがて、水は再び川に戻り、下流へと流れると河口そして浮遊大陸の端からハルケギニアの大地に降り注いだ。

そして後には、神聖なる皇帝のミイラが残されていた。

その指に嵌っていた、そして「虚無の奇跡」を授けていた時には光り輝いていた、その指輪が無くなっていた。

 

神聖アルビオン共和国はパニックに放り込まれていた。

「始祖」に見捨てられた王家に代わって祝福を受けた筈の皇帝が、しかも「始祖」から受け継いだ「虚無」によって死者すらも蘇(よみが)えらせていた筈の皇帝が“ミイラ”と化したのである。

それも「始祖」の祝福を与える筈の貴族連合の目前で。

貴族たちにしてみれば、王への忠誠すら超えていた筈の「正義」が、足元で崩れるのを目撃させられたのも同然だった。

 

結果、神聖アルビオン共和国は混乱迷走の状態に陥った。

貴族連合が「杖に懸けて忠誠を誓った」筈の王に叛逆出来たのも、彼らなりの「正義」が存在していたからだった。

それが、彼らの目の前で崩壊したのだ。

今回の「水の精霊」による「天誅」をロマリアの教皇は認めた。

そして、彼らが唱えていた「聖戦」をマヤカシと断定し、その上で貴族連合に対し改めて「破門」を宣告したのである。

 

貴族連合は殆ど自滅の様に崩壊し、潜伏していたウェールズ王子が連合軍の支持を得て、王政復古を成し遂げた。

 

ちなみに、中立を装いながら介入の機をうかがっていたガリア王国は、結局は其の機を掴めなかった。

アルビオンで起こった全ての事が「無能王」の仮面を被った策謀家の”マッチポンプ”だったとは、ルイズだけが知っていた………。

 

……。

 

…その頃、多くの男子学生や教師が従軍して留守の魔法学院を襲撃する者がいた。

 

支配階級の娘である学院の女子学生たちを人質にとろうとする、レコン・キスタに雇われた傭兵メイジたちでる。

しかし、その襲撃は待ち構えられていた。

 

出征する前、ルイズが警告していたのである。

その結果、学院長以下の留守教師たち、更には女子学生ながら戦闘力を有するタバサやキュルケたちが待ち構える中に飛び込む結果に成った。

 

「話が違うぞ!」

傭兵の誰かが、そう言った通り、学院に残っていたメイジ全員が杖を手離さずベッドに入っており、更に侵入者を探知出来るマジックアイテムが張り巡らされていた。

また魔法の使えない使用人たちは、警報を聞くなりシェルターに駆け込んだ。

こうして奇襲の筈が、正面衝突と成ったのである。

 

中でも奮戦したのは、かつては「炎蛇」と呼ばれたジャン・コルベールだった。

「ダングルテールの虐殺」という過去から封印していた「炎蛇」の戦闘力を、愛する教え子たちを護る為に解き放ち、傭兵たちを打ち倒した。

傭兵たちを率いる「白炎」も、かつての隊長と1騎討ちの末に倒れた。

 

この時の活躍と、封印してきた過去を知った「微熱」が「愛しのジャン」と呼んで恋に落ちるのは、ルイスにしてみれば”予定調和”だった。

しかし、かつての「炎蛇」が平穏を得るためには「ダングルテール」の生き残りである銃士隊長との因縁を乗り越えなければ成らなかった………。

 

……。

 

…アルビオンから凱旋してきたルイズと無事だった才人、従軍していた男子学生たち。

 

その中でルイズは、密かに感慨を覚えていた。

才人が無事だった結果は嬉しい。

また「森の妖精」との出会いにも、変化があったことにも感慨を覚えていた。

 

だがしかし、自分と生涯の伴侶の冒険と試練は終わっていないことも知っていた。

ガリアに、ロウリアに、サハラに、聖地に試練は待っている。

そして最後に乗り越えなければ成らない「大災厄」も。

 

そして、全ての冒険の後に待っている才人との後半生。

ルイズの”やり直し”人生は、まだまだ続く。

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