短小編集(小ネタあれこれ)   作:高島智明

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この短編は、以前に投稿しました『ひと時の帰郷』の続きに成ります。
尚『Web版に続きがあったなら』とは、直接の関係はありません。


ひと時の帰郷(その3)(原作:理想のヒモ生活)

「旧姓」山井善次郎、現在はカープァ王国の王配ゼンジロウ・カープァが、異世界の母国日本へのひと時の帰郷から持ち帰った土産物の中には、何冊かの書物もあった。

これらもカープァ王家の何人かには、大きな意味を持つものだった。

例えば「簿記」に関する本である。

 

善治郎が異世界から持ち込んだ「婿入り道具」の中には、善治郎本人の思惑を越えた影響をカープァ王国に与えたものも在った。

例えば、PCと其の中にインストールされていた表計算ソフトである。

 

王国内の貴族領から王国政府に収められる税の決算書は、善治郎が王配と成って以降、善治郎によって表計算ソフトで再計算されていた。

その結果、不正の摘発がより容易に成り、大いに抑止力として働く様に成っていたのである。

 

当然に女王アウラは、善治郎の次代にも此のシステムを受け継がせたいと考えた。

幸いというべきか、PCにも機械としての寿命があるとは言え、カープァ王家の血統魔法である時空魔法には「時間遡行」という奥の手かある。

寿命の来たPCの時間を巻き戻すことが可能なのだ。

 

残る問題は其れを使いこなす「人」である。

時空魔法が使え、国家と王家の重大事に関わることの出来る信頼できる存在。

それはやはり、王族ということに成る。

そして、その候補も既に存在した。

善治郎とアウラの第2子にしてカープァ王家の第1王女、フアナ・善乃・カープァである。

 

先の条件を満たすだけではなく、女児である為に5歳を越えても後宮の主である善治郎の元で育てることが出来る。

成人まで善治郎の手から教育を受ければ、異世界の道具や其れを用いた業務も習得できるであろうと期待されていた。

 

この計画を妻から言い含められていた善治郎は、単に会社員としてPCや表計算ソフトを使ってきた自分のスキルを越えた期待を感じた。

そこで今回の帰郷からは、本格的な簿記の入門書や解説書を持ち帰ってきた。

自分自身が此れらの本で学習するとともに、当然ながら善乃とともにも学ぶのである。

 

更には「言霊」の助けを借りて、善治郎が読み上げる内容を此の世界の協力者に書き取ってもらい、将来に残すことも考えていた。

 

既に善治郎に習ったアラビア数字を王家に忠実な財務官僚たちが使いこなす様に成っており、その威力は実証すみであった。

ここに更なる財務管理のスキルを伝授すると成れば、その恩恵は計り知れないだろう。

 

そこまで善治郎が考えたかどうか。

とりあえずは父親として、将来大きな責任を負うことが決まっている娘に、少しでも其の荷物を軽くするスキルを身に付けさせてやりたいという、親心から全て出発していた。




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