その後、思い直して執筆しましたが、もしかするとストーリー的に『原作』が破綻している様に感じられる方も居(お)られるかも知れません。
しかしながら、あくまでもアンチ・ヘイトでは無い事だけは、強調しておきます。
私には前世の記憶がある。
別に若くして死んだとか、特別な事があった訳でも無い。
平凡に、それなりに満足した人生を送って、寿命が尽きた。
だから来世と言うものが在るなら、何事もなく行けると思いながら、意識を薄れさせた。
ところが………。
……。
…意識を取り戻すと、赤ん坊だった。
そして「今世」の家族らしい人たちが話す会話が日本語らしいことに安堵した。
ところが……成長するにつれ、違和感を覚えた。
先ずは、時代的に「現代」では無さそうだった。
どうやら、単なる「転生」では無く「逆行」だったらしい。
更に学校教育を受ける様に成ると、違和感は増した。
何と、年号が「明治」では無く「明冶」だと教えられたのだ。
そして、決定的だったのは日露戦争で活躍した英雄たちの1人として「米田一基」の名前が出た時だった。
”それ”は「前世」での晩年、気持ちだけでも若作りしようと手を出した、若い人たちの間で人気の美少女ゲームに登場する人名だった。
”ここ”は「太正」時代につながる世界だった………。
……。
…気づいた後、心中で密かに決意を決めた私は、陸軍士官学校に志願した。
そして「降魔戦争」が近付く頃には「帝国陸軍対降魔部隊」を陸軍側から支援する立ち位置に就いていた。
私には霊力は無い。
だが学んだ知識と経験、そして何よりも『原作』知識を駆使して”この”戦争を、少しでもマシな結果に導こうと努力した………。
……。
…降魔戦争のクライマックス、巨大降魔との決戦。
「二剣二刀」を其々(それぞれ)の「両手」に構えた山崎真之介と藤枝あやめが、巨大降魔の隙を伺う。
愛刀を託した米田隊長と真宮寺一馬は、神崎財閥がアメリカから導入し、山崎が改良した人型蒸気に搭乗して、巨大降魔を牽制し「二剣二刀」の為の時間を稼ごうとしていた。
4人が其々に愛刀を用いるよりも、想いを交わし合った男女が2人で行う方が「二剣二刀」の成功の可能性が在る。
その可能性を示唆されて、実験の結果もあっての戦術であり、布陣だった。
最初に誰が助言したかは、もう問題では無かった。
少しでも勝利の可能性がある戦術に賭けたのだ。
そして……。
尊い犠牲を払うこと無く、対降魔部隊の4人は勝利した。
その後、新たな降魔の脅威に備えて、新たな降魔迎撃部隊「帝国華撃団」結成の為に活動し始めた………。
……。
…大神一郎少尉を「花組」隊長に迎えた帝国華撃団は「黒之巣会」の暗躍から帝都を守り抜いた。
もっとも「黒き叉丹」とやらが居ないのだから其れだけ脅威が下がっていたし”天才”山崎真之介と”破邪の血統”真宮寺一馬が健在で控えていたのだ。
そして新たな敵「黒鬼会」との戦いが始まって間もなく。
米田中将は陸軍省での要件を済ませ、辞去しようとしていた。
その時……1人の女が華撃団「月組」の数人に取り囲まれていた。
「そこまでだ、影山サキ。いや、五行衆水狐。米田司令への狙撃は許さん」
「何故?何故分かったの」
私は冷然と答えた。
「さてな。霊力とか妖力とかある世界だ。こんなのもありじゃないかな」
「・・・」
「逃がしたか」
だが"あの方"こと京極慶吾が黒鬼会の黒幕である事は、賢人機関に通告済みだ。
そのため陸軍大臣の権限を濫用しての財界への圧力についても、賢人機関が干渉を始めている。
更には「太正維新軍」などと名乗る陸軍内部の京極派に対しては、既(すで)に京極派では無い憲兵隊の密かな監視下だ。
何処かの小説のセリフではないが、クーデターというものは
「発生すれば、鎮圧するのに大兵力と時間を必要とするし、傷も残る。
だが、未然に防げば、憲兵の1個中隊で、事は済む」
というものだ。
そして、黒鬼会が設置した偽鳥居の除去も手配済みだ。
どうして、こう先手、先手と手を打たれるのか、黒之巣会もそうだったが黒鬼会も見当が付かないだろう。
ところで……私だけが、内心で気が付いた。
米田中将が入院しなかったのだから、大神が見舞いに行くというイベントも起きなく成っていなかったか。
そう成ると犬一匹の事とはいえ、ムザムザ車に轢(ひ)かれるというのも、後味が悪く成りそうだ。
そこで、暇を見つけては陸軍病院の前をうろついてみた。
案の定、道路に飛び出そうとしていた子犬を、ヒョイと抱え上げていた。
結局この白い子犬は、花組による名付け合戦の末、大帝国劇場の中庭で飼われた………。
……。
…黒鬼会との決戦の時が来た。
大神隊長を先頭に、花組の霊子甲冑「光武・改」9機が降魔兵器を打ち倒して進む。
その後方に控えるのは「神威」こと「王武」に搭乗する「元」対降魔部隊の「米田隊長」を除いた3人。
万全の布陣だ。
最後に残る京極との「ラスボス戦」も、もう近い。