1991年ー1992年 鳥人戦隊ジェットマン、次元戦団バイラムと戦う。
3年後ー1995年 天堂竜と鹿鳴館香、結婚。結城凱、死す。
更に3年後ー1998年 竜と香の息子「凱」誕生。
2026年 凱28歳。
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鹿鳴館凱は、軍人の父と鹿鳴館財閥の1人娘である母との間の1人息子として誕生した。
母が財閥の1人娘である為に母方の後継者として教育されたが、守るべきものの為になら戦える父と、そんな父と結ばれた母に慈しまれて成長した。
当然の様に、そんな父母に憧れていた。
鹿鳴館財閥というバックボーンを持つ凱には縁談も接近してくる女性も降る様に在ったが、憧れる父母の様に生涯の伴侶に恵まれたい、と思っていた。
そんな凱が、遂に生涯の伴侶に選んだ女性と結ばれる日を前にして、何故が悪夢に悩まされる様に成っていた。
夢に”怪人”としか形容のしようが無い怪人物が現れ、
「貴様などが幸福に成るなど許さん。俺の魂は裏次元から永遠に貴様たちを呪い続けるだろう!」
等と呪いのセリフをかけるのだ。
だがしかし、同時に凱を叱咤し、激励する様な声も聞こえた。
「お前自身の力で勝て。もう1人の凱」
何故か、凱には此の夢から逃げてはいけない、という気がした。
だがしかし、父母に尋ねるのが躊躇われた。
「凱」と言う名が、父母の親友の名だとは教えられていた。
又、農家の大石雷太と、当時はアイドルだった早坂アコという、もう2人の父母の親友にも祝福されて自分が誕生したことも。
只、父は兎も角(ともかく)箱入り娘だった母と、どうやって3人が親友に成ったのかは不思議だったが。
何れにせよ、こうした人々は普段は凱を慈しんでいてくれたが、何故か「もう1人の凱」に触れる時には遠回しな態度に成った。
悩んだ末に凱は、とある人物に相談することに決意した。
父の尊敬する上官だった小田切綾という退役軍人の女性である………。
……。
…凱の訪問を受けた小田切は、真剣な態度に成った。
「そうね。知るべき時が来たのね。貴方は知るべきだわ」
小田切は語った。
鳥人戦隊ジェットマンのこと、次元戦団バイラムとの戦いのこと、父母と結城凱、藍リエとの間に何が起こったかということ。
「忘れないで。貴方は鳥人戦隊の戦友たち全てに祝福されて誕生したの」
鹿鳴館凱は、全てを知った………。
……。
…その日。鹿鳴館凱は結城凱と藍リエの墓を初めて訪問した。
もしかしたら父はリエと、母は結城凱と結ばれていたかも知れない。
その場合、自分は誕生していただろうか。
もしかすると、どんな両親の元に生まれて、どんな人生を歩んでいただろうか。
だがしかし、自分は天堂竜と鹿鳴館香の1人息子として生まれ、鹿鳴館財閥の後継者として育てられた。
その人生を、自分から否定する積もりは無い。
それに、父も母も、そして父母の”2人”の戦友も、自分を祝福してくれた。
それを否定することは、傲慢ですらあった。
そして、これらの墓に眠る”2人”も父母を、自分を祝福してくれただろう。
それらの愛に応えるためにも、自分は自分の人生を全うすべきだ。
「そう、それで好い」
そんな励ます幻影が見えた気がした………。
……。
…その夜。凱の夢に、又もあの怪人が現れた。
「俺は負けない。俺は鳥人戦隊ジェットマンの熱い血潮を受け継ぐ鹿鳴館凱だ。
裏次元の亡霊などに負けるものか」
「そうだ、自分の力で勝て。凱」
そう励ます声が聞こえた。
「負けないで。竜を受け継ぐ子」
「マリア、やはり我が物と成らぬか」
「裏次元伯爵は愛を知らない。
私の愛した人と、其の人が選んだ人に慈しまれた子に勝てる筈が無い」
呪詛と敗北を認めたがらない未練の声を残して、次元戦団の亡霊は凱の夢から消えて行った。
目覚めた凱は、もう過去に囚われては居なかった。
過去を否定するのでは無い。
自分には、受け継ぐべきものが在る。
それに恥じない未来を生きる人生が在る。
その人生を共にする伴侶が、凱を待っていた。
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