短小編集(小ネタあれこれ)   作:高島智明

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故郷は地球(原作:ウルトラマンメビウス)

その日。

CREW GUYS JAPANでは、アーカイブドキュメントの確認が行われていた。

次なる怪獣の出現に備えて、あるいはマケット怪獣開発の参考に寄与する為である。

 

「あれ?」

検索中の隊員の中から声が上がった。

「どうした?」

「ドキュメントSSSPの中にアクセス制限の掛けられた怪獣が居ます」

「どういうことだ?」

「分かりません。隊長以上の資格を持つ者にのみ閲覧が許可される、とあります」

 

逆に好奇心を刺激された隊員たちが、集まって来た。

「ドキュメントSSSP、レジストコード棲星(せいせい)怪獣ジャミラ」

「国際平和会議会場を襲撃したが初代ウルトラマンのウルトラ水流に倒された、としか在りません。

それ以上の情報は、アクセス制限が掛けられています」

 

その時、ヒビノ・ミライ実はウルトラマンメビウスが発言した。

「マン兄さんから聞いたことが在ります。

悲しい怪獣だったと。

いいえ、本当は地球の人間だったと」

「何だと」

それは、かつて初代ウルトラマンと科学特捜隊が地球を防衛していた時代。

 

東京で行われる国際平和会議に出席する各国の代表者が乗った飛行機や船が、謎の攻撃に因って次々と破壊される事件が発生していた。

調査に乗り出した科特隊は、イデ隊員の発明によって見えない宇宙船を見つけ出し撃墜したが、その宇宙船から現れた怪獣を前に、科特隊パリ本部から派遣されたアラン隊員は愕然とする。

 

そして、姿を消した怪獣を追い求める科特隊に、驚愕の真実が明かされた。

ジャミラは怪獣では無い。地球人なのだ。

某国の打ち上げた宇宙船に乗っていた宇宙飛行士だった。

事故の為、過酷な環境の星に流れ付き、その星に適応した為に怪獣化したのだ。

そして、自分を救助に来ず見捨てた祖国に復讐する為に地球に帰って来たのだと。

 

その上で、科特隊にパリ本部からの命令を通告した。

「ジャミラを葬り去れ。

その正体を明かすこと無く、宇宙から飛来した只1体の怪獣として葬り去れ。

それが、国際平和会議を成功させる只1つの道だ」

 

「俺、止(や)めた」

イデ隊員は、見えない宇宙船を撃墜する為の装備を発明したことを後悔すらしている様だった。

「ジャミラは俺たちの先輩じゃ無いか。

俺たちだって何時ジャミラと同じことに成るか分からないじゃ無いか」

そんなイデ隊員をムラマツキャップは、もうジャミラは人類の敵に成った、と諭した。

 

翌日。

会議場近くの村にジャミラが出現した。

自分を見捨てた祖国の指導者とは無関係な筈の村を焼き払うジャミラに、イデ隊員は絶叫する。

「ジャミラてめぇ!人間らしい心はもう無くなっちまったのかよー!」

その声を聴いたのか、ジャミラの眼の光が瞬いた。

唇は、何かの言葉を発した様にも思えた。

 

そして、ウルトラマンが登場した。

水の無い星の環境に適応していたジャミラは、ウルトラ水流に耐えらえれず、会議場前の参加国国旗を薙ぎ倒しながら、赤ん坊の泣き声の様な断末魔をあげて絶命した。

「そんな…」

ミライから聞かされたジャミラの真実に、GUYS隊員たちは絶句した。

「マン兄さんは言っていました。

『我々ウルトラマンは、決して神では無い。

どんなに頑張ろうと救えない命も在れば、届かない想いも在る』と」

その言葉の重みを、それぞれがそれぞれに噛み締めていた。

 

「マン兄さんがハヤタ隊員として聞いたイデ隊員の言葉も、僕には重かったです。

防衛チームの1員と1人の人間との立場に挟まれて…

今のCREW GUYSの1員としての僕にも忘れてはいけない気もします」

ミライは、そう言い終えた………。

 

……。

 

…それから数日の後。

かつての国際平和会議会場の跡地の傍らにひっそりと存在する墓碑の前にGUYS隊員たちが、立っていた。

墓碑銘は、こう刻まれていた。

「人類の夢と科学の発展の為に死んだ戦士の魂、ここに眠る」

その墓碑銘は、只、美しかった。




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