喰種…人の肉を喰らい生きる存在。彼らは人間と変わらない見た目をしていながら、その身体能力は人間をはるかに凌駕している。また、彼らは彼らにしかない、特殊な身体的特徴がある。その最もたるものが赫子、と呼ばれるものだ。一重に赫子と言ってもそれには大きく分け羽赫、甲赫、鱗赫、尾赫と4種類があり、また同じ部類に分けられる赫子だとしても個体によってその形状は異なっている。
この4つの赫子にはそれぞれ特徴があり、相性の優劣のようなものも存在する。
まず羽赫、肩あたりに出現し、軽量で赫子による高速戦闘が得意。近距離・長距離どちらの戦闘も得意だが、赫子を常にガス状に放出しているため持久力に欠ける。
次に甲赫、金属質な赫子で肩甲骨下辺りに出現。赫子の中で随一の頑丈さを誇る。重量があるため、スピードに劣り扱いにくい欠点がある。
鱗赫、鱗の触手を彷彿とさせ、腰あたりに出現。強力な再生力があり、独特な表面からくるパワーが強み。ただし、再生力を生むRC細胞の結合のしやすさは、同時に結合力の弱さでもあるため、他の赫子より脆い。
尾赫、名のとおり尻尾のような見た目をしており、尾てい骨辺りに出現。中距離で最も力を発揮するバランス型。弱点らしい弱点はない。
また彼らがこれらの特殊能力を使う際に眼球を赤く変化させた状態の呼称を赫眼とよび、通常両眼が変化するが中には片眼だけを赤く変化させた隻眼の喰種とよばれる存在もいるようだ。
「………と、まあこんなもんか。」
俺は先程までノートの上をはしらせていたペンを置き、ぐっと体を伸ばす。
これは俺がこの一週間の間に集めた喰種の情報をまとめたものだ。店長やあんていくの店員に聞いたものや、またネットで調べたものなど、それらの中でも信頼できる情報をまとめてある。…しかし、喰種の事って意外にもネットに結構あるんだな。まあ、中には眉唾物のようなものもあったが…。
しかし、こうしてまとめた情報を改めて見るとまるでゲームや漫画の世界の話しのように思えてしまう。特に赫子とかな。普通なら半ば半信半疑になる所だが…既に俺は何度のその現象を目の当たりにしているし、俺自身喰種になって赫子を出現させた事があるのだ。…もっともその時の記憶は殆ど残っていないが。
と、なれば信じる他ないだろう。こういった情報は知っているか知っていないかで大きく俺の生存率を左右する。力でかなわないのなら、少しでも情報を集め対策を練るしかない。
そして、今は懸念すべき事項がもう一つある。それはCCG…つまり喰種対策局の事だ。
ここに所属している、所謂喰種捜査官とよばれる者たちは、喰種を捜索し見つけしだい始末する。という使命のもと働いている。いわば、こいつらは喰種を狩るプロであり、人間だからといってなめていては俺など一瞬でやられてしまう事だろう。…一応クインケと呼ばれる喰種の赫子を元とした武器を使い戦うことは分かっているのだが、逆にいえばそれしか分かっていない。やはり、CCGに関しては得られる情報は少なく、現実こちらに対策を立てられるほどの情報は揃っていない状況だった。
「………喰種よりも喰種捜査官の情報の方が少ないなんてな。」
喰種、喰種捜査官、半喰種である俺はそのどちらにも警戒しなければならない。…まあ、それは普通の喰種も同じかもしれないが。…ともかく今は少しでも情報を集めなければ。…そして。
「稽古…か。」
まったく、めんどくせぇ。
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「…ぐぁっ!」
稽古開始2秒。俺は構えをとる間もなく、霧島の蹴りによって数メートルふっ飛ばされる。
あんていくの地下ーーー、そこにあった巨大な空間で俺は霧島に戦闘の稽古を受けている。そして、そこの空間のあまりの広さに俺があっけにとられていると、霧島がいきなり俺を蹴り飛ばした。
「ぐっ………!てめぇ………いきなり…!」
「あんたが構えもとってないのが悪い。てか、隙だらけだったらけるでしょ。ふつー。」
知らねえよ!てめえらのふつーをこの前まで一般人だった俺にふっかけてくんな!…ってかその理論もなり横暴すぎない?仮面ライダーに出てくる怪人ですら変身するの待ってくれるよ?
「考え事?随分余裕だ…ねっ!」
「…くっ!」
アホな事を考えている俺に、再び繰り出された霧島の蹴りを俺は咄嗟にバク転の要領で回避する。すると、さっきまで俺のいた場所をブオォォォンと蹴りが通過する。…いや威力おかしくない?これ当たってたら死んでたんじゃないの?俺?
「………へぇ?少しはやるじゃん。」
「まぁ、基本高スペックなんでな。」
霧島のその言葉に俺はそう答えるが内心ではかなり焦っていた。正直、喰種の身体能力がここまでとは思ってなかった、生身の人間だったらもうとっくに死んでるだろう。
「ふーん、じゃあ本気出しても大丈夫そうだね?」
「…へ?」
え…?なに本気って!?まさか体に重りつけて戦ってたとかじゃないよね?君たちほんとに戦闘民族か何かなの?!
「覚悟しなよ…こっから気を抜いたら冗談ぬきで………。」
そう言いながら俺を見る霧島の目は、真っ赤に染まっていた。
「死ぬから。」
霧島がそう言ったと同時に、霧島の背中からドオォォォとガス状に何かが放出される。おいおい、本気ってこのことかよ!
「…赫子………羽赫か!」
「へぇ…ちゃんと勉強してきたんだ。なら…」
霧島がそう言った次の瞬間だった、1つ瞬きをした間に俺の目の前に霧島が迫っていた。
「………なっ?!」
「ちょっとは粘りなよ。」
俺の目が視界の端に霧島の振り上げた足を捉える。
やべぇ………っ!
そう思った俺は咄嗟に腕をクロスし、衝撃に備える。
「ぐぁっ!」
しかし、俺のガードは霧島の蹴りの勢いを消すことはできず、そのまま吹っ飛ばされてしまう。2、3度バウンドした俺は柱にぶつかりようやく止まる。
「………っ!?」
が、俺は体制を整える間もなく、そ横に跳びその場から逃げる。すると、俺を追うように霧島の追撃が柱に当たり、そして柱を破壊する。
………おいおい、嘘だろ?コンクリ製だぞその柱…っ!!
「本気で殺す気かよお前?!」
「何甘いこといってんの?当たり前じゃん。」
俺の必死の講義に、霧島は何言ってんのこいつ?みたいな感じで首を傾げる。いやいやいや!なんで稽古にそこまで本気なんだよ!
「………くそっ!」
俺は悪態を着くと霧島に向かい、構えをとる。………羽赫は持ち前の軽量さを活かした高速戦闘が得意、しかしそれ故に攻撃は決定打に欠け、さらに持久力はない。なら、ここは背を向けて逃げるずに、しっかりと霧島の動きに集中して、スタミナ切れをおこすまで耐えきる!
「………へぇ?ちょっとはマシな顔になったじゃん。腹くくったってわけ?」
「………まぁな。でもいいのか?こうしておしゃべりしている間にもお前の赫子はスタミナを消費しているようだが?」
「ふん、いってな!」
そう言い霧島はその場を跳びだす。しかし、目が慣れたのか、さっきまでほどの勢いは感じない。よし、よく考えろ…さっきから霧島は左足の蹴りばかりを使ってきている。おそらく、次も左足の蹴りのはずだ。しかし、左や後ろによけたところでリーチの長い蹴りからはにげきれない。なら、俺は………!
左によける!
俺は既に目の前に迫っている霧島の左側に、前転の様に転がりつつ飛び込む。
「…チッ!」
すると、案の定霧島が繰り出してきた左足の蹴りが俺の上を通過する。ってか、舌打ちって…ほんとに俺の事殺したいわけじゃないよね?!
「………ふっ!」
俺は前転の勢いのまま立ち上がると、がら空きになった霧島の左胴にアッパーを繰り出す。
「………甘い!」
しかし、霧島は左足の蹴りの勢いのまま一回転し、身を沈め俺のアッパーを回避すると、俺の足をはらう。
「………やばっ!」
足をはらわれた俺は重力に従い、そのまま背中から倒れ込む。背中から伝わる衝撃に顔を歪ませつつ、必死に目を開けると、そこには俺に止めをさすべく足を振り上げた霧島の姿があった。
「………っ!」
その霧島の攻撃を回避する術はもう俺にはない。………殺される!そう思ったときだった。
『手をかしてあげる。』
そんな声が俺の頭の中に響く。そして腰の辺りに感じる違和感。俺の意思に反して体は勝手に動き、俺は…。
「………。」
俺の腰から出現した赫子で、霧島の攻撃を防いでいた。
「………これが俺の…?」
困惑する俺に霧島はハァとため息をつくと、自身の赫子を引っ込める。
「…そ、それがあんたの赫子。………ぐずぐずしてるからほんとに殺しちゃうとこだったじゃん。」
そういい、やれやれと身を竦める霧島。…嘘をつけ止めをさそうとする時のお前の目はガチだったぞ。
「鱗赫…か。」
「そうみたいね。まぁ、オリジナルから比べたらは大分貧相だけど。」
「オリジナル…?」
それって陽乃さんの事か…?俺はまじまじと自分の赫子を見つめる。確かにこれはあの夜に陽乃さんの出していた赫子と同じものだ。…だけど、これからは。
「………陽乃さんを感じない。」
「………。」
そんな俺の言葉に霧島はスッと目を細める。が、どうやら答える気はないようだ。俺はさっき赫子を出す前に頭に響いた声を思い出す。知らない女性の声…。
陽乃さんではないないなら、俺の中にいるのは一体。
誰なんだ。
と、いうわけで第十二話でした。
原作と流れが少し違いますが、そこはお気になさらずお願いします。
そしてそして!ついにお気に入りが150件突破いたしました…!
ここまで長かった!ちょっとした達成感を感じますね。笑
感想をくれてる方々ありがとうございます。
そしてなかなかでない評価平均値…。あと一人なんですけどね…。
みなさん、どうか東京喰種×俺ガイルに清き一票を!