東京喰種:八   作:平和希

3 / 16
ヒデとの絡みが意外と楽しい。


第二話

「....そもそもだ....私達人間というものは....」

 

奉仕部で集まったあの日から数日。俺は大学の授業を、ぼ〜っと聞き流していた。近頃はずっとそうだ。今日は特に、授業に身が入らない。

俺がなぜこんなにぼ~っとしているのか、話はあの日の夜へと遡る。あの陽乃さんと出くわした夜へと…。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「久しぶり〜比企谷君。」

 

「お久しぶりです…陽乃さん。」

 

雪乃と結衣を見送り、駅の自転車置き場へと向かう途中、俺へ話しかけてきたのは陽乃さんだった。まさか、こんなところでこの人に出くわすとは…

 

「こんな所で陽乃さんと出くわすなんて....。なーんて、考えてるでしょ?」

 

「相変わらずですね....。陽乃さん。」

 

なんでわかんだよ…。ほんと姉妹揃って、ナチュラルに人の思考よむのやめてくれませんかねえ。

 

「あー!図星だったんだぁ!わっかりやすいなぁ、八幡は〜。」

 

そう言い、陽乃さんは、うりうり~と、肘で脇をついてくる。…相変わらず近い…動く度に香るいい匂いと妹とは違って自己主張の激しいあれが俺に悪い影響しか与えないのでほんとにやめてほしい。

 

「やめてください...。てか、なんで陽乃さんが東京にいるんですか?」

 

俺は陽乃さんから身を離し、ふと気になった事を尋ねる。

 

「なんでって....、そりゃあ、私の大学は東京にあるからねぇ。」

 

「え、陽乃さんの大学って、東京なんですか?」

 

「うん、そうだよ〜。あのねぇ、八幡。私程の存在が通う大学なんて、日本には一つしかないでしょ?」

 

「ああ....、なるほど....。」

 

その一言でわかってしまう。確かにそのとおりだ。陽乃さんがそこら辺の大学に通うわけがないのだから。

「そーいうこと!それにぃ〜....」

 

そう言うと、陽乃さんはぐいっと俺の顔を覗き込み....

 

「ちょーっと、八幡の顔が見たくて…来ちゃった♪」

と、てへっと舌をだす陽乃さん。それは普通の男なら一発で惚れてしまう程に魅力的なしぐさだったが、…生憎おれは普通の男ではない。

 

「そうですか、じゃあもう俺の顔も見れたんで帰っていいですよね……ぐぇっ!?」

 

俺はそっけなくそう言いその場を後にしようとするが、陽乃さんに首根っこを掴まれる。

 

「相変わらずつれないなー、八幡は。まあお姉さんはそういう所も好きだけど、他の女の子とかはどう思うのかなー。」

 

そういいやれやれと首を振る陽乃さん、その手はガッチリと俺の腕を掴んでいる。…くそ、これじゃ逃げられねえ。

 

「余計なお世話ですよ…。てか、なんか用事があるならとっとと済ませちゃってくださいよ。」

 

「うわっ、八幡冷たいなー。大好きな八幡にそんな態度とられたら私泣いちゃうよ~。」

 

陽乃さんは泣きまねをしつつそう言う。…正直めんどくさい。このまま無理矢理振り払って帰ってもいいが…そんな事をすれば後が怖いからな。そういうわけにもいかない。

 

「いい加減にしてください。そんな茶番をするためにわざわざ会いに来たわけではないんでしょう?」

 

俺が少し強くそう言うと、陽乃さんは手を離し俺と向き合う。

 

「ん…まあね。ちょっと八幡とお話がしたくてねー。ね、八幡今度暇な時ある?」

 

「いや、最近ちょっと忙しくて…。」

 

陽乃さんのお誘いに俺はそう即答する。俺の第六感が警鐘をならしている、何がなんでもこのお誘いにだけはのるな、と。

 

「へぇ…そうなんだ。じゃー、デートしようか。」

 

陽乃さんのその物言いに俺は絶句する。なんてこった…無理を通して道理を蹴っ飛ばしてきやがった…あなたそんな兄貴肌でしたっけ!?

 

「いや、だから俺忙し…」

 

「デートしよっか。」

 

「いや...」

 

「デートしよっか。」

 

「はい…。」

 

俺は陽乃さんの圧倒的な圧力に屈してしまった....。てか、疑問系できかれてる筈なのに、なんでこんなに強制力感じるの?怖すぎて断れねぇよ…。

 

「じゃ、詳しい事は連絡するから!」

 

そう言い満足そうに笑うと陽乃さんはさっていく。

 

「なんだったんだ....一体....。」

 

嵐の様に去っていった陽乃さんの背中を見つつもれた、俺のつぶやきは夜の街に消えていくのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして、今日がその....デートの日なのである。

正直めんどくさい。というか、あの人の目的がわからない分、対策も立てづらく、正直行くのが怖いまである。

はぁ....。なんとかできねぇかな....。

机につっぷし、そんな事を考えていた時だった、俺の肩を誰かがゆする。

 

「なあ、比企谷起きろよ。」

 

顔をあげてみれば、俺の肩を揺すっていたのは永近 英良ーーー大学内で俺と話すことのある僅かな人間の一人だーーーだった。

 

「なんだよ、永近。」

 

俺はぶすっとした様子で永近の方をむく。正直今は誰かの相手をするような気分ではない。

 

「なあ、お前今の教授の話しどう思う?」

 

「どう思うってなんだよ。」

 

「人間の進化の話しだよ!聞いてなかったのかよ。」

 

そういい、永近は俺をジト目でみてくる。うるせえな、こっちは今それどころじゃねえんだよ。

 

「うるせえ。てか、それがどうしたんだよ。」

 

「いやー、人間の話し聞いてて思ったんだけどさ、喰種っていんじゃん?あいつらはどうなのってさ。てか、ほんとに喰種っていんの?」

 

そういい、顎に手をやり考える格好をとる永近。お前それだせえからやめた方がいいぞ。…てか、なんかこの前の結衣みてえな疑問だな。あの時みたいに俺が自分の考えを言ってやってもいいが…今はその道のプロが目の前にいるんだ。教授にまかせよう。

 

「知らねえよ。教授に聞いてみればいいだろ?」

 

「そっか…それもそうだな。」

 

「....というわけだ。何か質問があるものは?」

 

そこでタイミングを計らったかのようにきた教授の言葉に永近は、はいっ!と手を挙げる

 

「せんせーい。俺、"喰種"に興味があるんですけど、実際に見たことがなくて、ほんとにいるんすか?"喰種"って。」

 

その質問に教授はふむ…と腕を組む。

 

「"喰種"か....。まず質問に答えよう。彼らが存在しているかどうかだが....。答えはyesだ。彼らは確実に存在している。それは、ニュースや、喰種捜査局などの、この社会のシステムが証明している。」

 

先生のその返答に生徒がざわめく。

何人かは特に驚いてない様子だが....、まあ俺と同じように独自にその答えに行き着いたか....あるいは彼らが"喰種"なのか....。なんて、流石に考え過ぎか。

 

「ok、それでは軽く彼らについて講義をしよう。まず"喰種"という呼び名だが....彼らがそう呼ばれるのは、彼らが人肉、つまり人間の肉を主食としているからだ。そもそも彼らは人肉以外から栄養を摂取できない。これは彼らの持つ特殊な酵素の影響と言われているね。」

 

そんな話しに永近やほとんどの人間がうへぇ....という、表情を浮かべる。俺も表情に出すことはないが、聞いていていい気分はしなかった。

人肉を食べるねぇ....どんな気分なんだろうか。俺はゴメンだな。そんな気分知りたくもない。まあ、一生知ることなんてないだろうが。

 

「ここからは、真偽の程は定かではないのだが....面白い話があってね....。彼ら、舌の作りが我々と違うから....食べ物がめちゃくちゃ不味く感じるらしい。サラダは青っぽく、肉や魚も生臭く感じるらしいね。人前では我慢して食べるかもしれないが....食べた後は強い吐き気に襲われるだろうね。」

 

まじかよ....じゃあほんとに、"喰種"にはなりたくねえな。当たり前のことだが。

 

「まあ、おぐちゃんがいっていたことだから、ほんとかどうかわからないんだけどね。」ハハハ....

 

先生がそう付け足すと、終業をしらせるチャイムがなる。

 

「じゃあ、今日の授業はここまで。"喰種"についてこれよりも詳しい事が知りたい人は喰種捜査局にでもいってみてくれ。」

先生が出ていくと、生徒がまばらに帰り始める。

 

....俺も陽乃さんのところへ向かうか....。

めんどいけど。

 

気だるげに立ち上がる俺。しかし、そんな俺に永近が話しかけてくる。

 

「なあ!比企谷、このあと暇か?」

 

「あー、悪いな。この後用事がある。」

 

「お前こんまえもそういって、結局用事とかなかったじゃん!結衣ちゃんにきいたんだぜ?」

 

俺は永近と話しつつ重い足取りでキャンパスへと出る。

 

「いや、ほんとに今日は用事があるんだよ。」

 

「嘘つけって。」

 

「いや今回ばっかしはほんとだ。神に誓ってもいい。」

 

「じゃあ、俺が納得出来るだけの証拠を出せたら引き下がってやるよ。」

 

「証拠ってお前…。」

 

証拠をみせろってほどフラグ臭のする台詞はないと思う。そう言う奴は大概小学生か、真犯人のどちらかだ。その言葉を口にした途端結末が見えてチャンネルを変えるまである。まあ、今の状況は少し違っているが。証拠、証拠ねぇ…。どっかに落ちてねえかなー。

「あ、八幡だ。やっはろー。」

 

いたよ証拠…。なんでいんだよ………!

俺が永近を連れて歩いているとふいに声をかけられる。その声の主は言うまでもなく陽乃さんだった。

 

「へ?あの美人、今八幡って…?え?なんで?」

 

「………はい、証拠。」

 

俺は、陽乃さんの姿と俺の姿を交互にみて固まっている永近を放置し、陽乃さんの元へと歩いていく。

 

「なんでここにいるんですか…陽乃さん。」

 

俺は楽しそうにニコニコと笑っている陽乃さんに、不機嫌気味に話しかける。めっちゃ注目浴びてるし…勘弁してくれ、こんなのもはやテロだぞ。テロ。

 

「ん〜、大学が早く終わったから....、せっかくだし八幡の学校見てみようと思って…ダメだった?」

 

そう言い陽乃さんは上目遣いで首を傾げる。そのあまりに可愛らしい仕草に思わず、そんなことないです!なんで言ってしまいそうになるが…だが断る。この比企谷八幡が最も好きな事のひとつは自分で可愛いと思っているやつに「NO」と断ってやる事だ…。

 

「ダメです。」

 

俺が岸辺露伴に習った信念に基づきそう即答するが、陽乃さんはニコニコとその表情を崩さない。まだ何か言うつもりだな…。だが、俺は、俺のプライドにかけて屈したりはしない………!

 

「マッカン、一ケース買ってあげるから許して?」

 

「許します。」

 

え?プライド?なにそれくえんの?

 

「てか、そろそろ行きませんか?正直これ以上注目を集めたくないんですけど…。」

 

そう、これ以上めだつとあいつが....。

 

「はちまーん!」

 

結衣が....きちゃった........。

 

「やっはろー!はちまん!....と、陽乃さん?!」

 

「よ、よう。」

 

「やっはろー、久しぶり!がはまちゃん。」

 

「お、お久しぶりです....。」

 

結衣は陽乃さんに挨拶すると、俺の首ねっこを掴み小声で尋ねる。

 

「ちょっと!はちまん!なんで、陽乃さんがここにいるの?!」

 

「いや、なんでって....そりゃ....」

 

「おい、比企谷!俺も聞きてえぞ!あの美人一体誰だよ!?お前とどういう関係なんだ!?」

 

そして、結衣とは反対側に硬直状態から回復した永近が出現する。いつの間に回復したんだよ…永近。

 

「比企谷君はこれから私とデートなんだよ。」

 

答えあぐねている俺へ陽乃さんが助け船を....いや違う!この人爆弾投下しやがった!

 

「え....?」

 

「な、なななななななななな!?」

 

案の定、結衣はその場でかたまり、永近は壊れたロボットのように痙攣し、周りの野次馬からはドヨヨっとざわめきが起きる。てか、いつまでいんだお前ら!見世物じゃねーんだぞ!

 

「「ちょ、ちょっと(お、おい)!はちまん(比企谷)どういうこと(だよ)?!」」

 

硬直から息を吹き返した結衣と永近が声を揃えて俺に詰め寄る。仲いいなお前ら。いつの間にそんなにシンクロ率高めたの?1週間同じ部屋で暮らしてダンスの練習でもしてたの?

 

「落ち着けって...、デートなんかじゃねぇから…。」

 

「でも、比企谷君、私がデートしよっていったら、はい、って言ってくれたよね?」

 

俺が必死に弁明を試みるが、その試みは陽乃さんの追撃に見事に砕かれる。ちょっとぉ?!もうやめてくれませんか!

 

「いや、あれは…!」

 

「はーちーまーんー?」

 

ひいぃ!結衣さんの背後に般若がみえる!おこってらっしゃいます?!なぜ?!ホワァイ?!

 

「じゃ、そう言う事だから、比企谷君かりてくねー?」

 

「いや、ちょっ!?」

 

「あ、ちょっと、はちまん!」

そう言い陽乃さんは、俺に事態を収集する間も与えずに、俺をグイグイと引っ張っていく。

 

「もう!今度ゆきのんと詳しく教えてもらうんからねー!」

 

「比企谷…裏切りもノ………。」

 

そんな結衣の叫び声がキャンパス内にこだまする。そして、その横でどす黒いオーラを立ち上らせる永近。いや、裏切りものってなんだよ!てか、最後なんかやばい雰囲気かもしだしてたぞ!?チラッと陽乃さんの顔を伺うと、それはまあ、いい表情をしてらっしゃる。

 

「違ううんだぁぁぁぁぁ…。」

 

俺の魂の叫びが大学内にこだまする。

 

こうして、俺は改めてこう思うのだった....。やっぱり....俺はこの人が苦手だ....。

 




2話でした!
今回はヒデこんな感じでいいよね!とか、だが断るの使い方間違ってないよね!とか、心配事ばかりです…。

大丈夫ですよね…。多分。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。