東京喰種:八   作:平和希

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陽乃さん…お慕い申しておりました…。


第三話

「はあ…。」

 

俺は1つ大きくため息をもらす…。大学での騒動のあと、俺と陽乃さんは20区の路地を2人歩いていた。

 

「ほらほら、いつまで落ち込んでんの!男らしくない!」

 

そう言い陽乃さんはバシバシと俺の背中を叩く。誰のせいですか、誰の。

 

「じゃー、どこ行こっか?」

 

「どこ行こっかって....」

 

きめてないんですか....とは言わなかった。陽乃さんのことだ。わざと俺に行先を聞くような事をして、楽しんでいるのだろう。

 

「....じゃあ、俺がこの前雪乃達といった喫茶店でも行きますか?」

 

「うーん。ほかの女の子の名前を出したのは減点だけど、ミス●とかマッ●とか言わなかっただけ良しとしよう。」

 

陽乃さんは顎に手を当て神妙な顔でそういう。やっぱ、そう言う事だったのね....。

 

「いや、流石にこういう時の事ぐらいはわきまえてますよ…。それに、そんな事したら小町に叱られちゃいますし。」

 

「でた!相変わらず、シスコンなんだね〜。」

 

「千葉の兄妹なら普通です。俺のこれは一生治りませんよ。」

 

なぜなら小町が可愛いからな!

高校に入って段々と大人の色気を身につけてきた小町は近頃天使から女神へとランクアップしつつある。その可愛さと言ったら他の通随を許さない程だ。小町が女神になったことによって俺の天使は戸塚ただ一人になった。が、俺は寂しくない。女神である小町、天使である戸塚この二人への愛が俺を強くする!お前達が俺の翼だ!

 

「ちょっとー、八幡。戻ってきてー。」

 

陽乃さんのその声に俺はハッと意識を取り戻す。いかんいかん、しばらく2人にあってないもんだから禁断症状がでちまったぜ…。

「じゃ、じゃあ、行きましょうか?」

 

若干の恥ずかしさからキョドりつつも俺は陽乃さんと共に歩き出す。

そうして俺は再びあの喫茶店。あんていくへむかうのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「喫茶店って、ここかぁ....」

 

あんていくに着くと、陽乃さんがポツリとそう漏らす。

 

「知っている所でしたか?」

 

「うん、ここの店長父の知り合いだから。」

 

「そう言えば、雪乃もそんな事いってましたね....どうします?場所....かえましょうか?」

 

「ううん。ありがとう、でも大丈夫だから。」

 

そう言い陽乃さんはドアノブに手を掛ける。ドアに付いているベルがカランコランとなると、客がこっちを向き、そして、店内が静まり返った。

え?どういうこと?俺達あんま歓迎されてない....?いや、もしかして....。

陽乃さんの表情を覗き見ると、明らかに苦笑を浮かべていた。

「いらっしゃいませ....。」

 

入口から動けずにーーー陽乃さんが動かずにーーーいた俺達の元へ例の年老いた店長がやってくる。あれ?今日は霧島....トーカさんはいないのか?と、店内を見渡すと、カウンターからこちらの様子を伺っているようだった。....少し警戒している様にもみえる。....考え過ぎか?

 

「お久しぶりです。芳村さん。」

 

「お久しぶり。陽乃ちゃん。」

 

珍しく、陽乃さんがあの飄々とした態度ではなく、礼儀正しく挨拶をする。

それを受け、店長こと芳村さんはニッコリと笑顔を浮かべる。はぁ....やっと、緊張の糸がほぐれた。

 

「それと、そちらにいるのは、この前雪乃ちゃんと一緒にいた....」

 

「あ、どうも。比企谷です。」

 

俺の一応自己紹介をうけ、店長は俺と陽乃さんの顔を見比べ、神妙な面持ちを浮かべる。

 

「陽乃ちゃん....。」

 

「芳村さん。」

 

何かを言おうとした店長に、陽乃さんはピシャリ。と言い放つ。

 

「私のやる事には口をださない。そう言う約束だった筈です。」

 

それを受け店長は一瞬苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべると、

「席へ案内しましょう。」

 

くるり、と、振り返り、俺達を席へ案内する。

 

「いこっか。」

 

そういう陽乃さんの表情は既に、いつも道理の微笑を浮かべているのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ふぅ〜。すっかり遅くなっちゃったね。」

 

あの後、暫くあんていくで過ごした後、俺達は東京の街をぶらぶらとしーーー陽乃さんにふりまわされーーーすっかり暗くなった道を帰っていた。

 

「そうですね....。駅まで送っていきますよ。」

 

「ありがと。お願いするね?....近頃物騒だしねー。」

 

「そうですね。確かこの前喰種の事件があったのもここら辺でしたっけ。」

 

「うん、そう。ここの先のちょっと行ったところ。」

 

「詳しいんですね。」

 

俺がそう言うと陽乃さんはまあね。と笑う。

 

「....ねえ、比企谷君は喰種っていると思う?」

 

「またその質問ですか....。なんか最近聞かれる事多いんですよ。はやってるんですか?」

 

「ははは、そうなんだ〜。まあ、最近喰種関連の事件多いもんね。ここら辺で。」

 

「まあ、そうですね。」

 

そう言えば、テレビでも最近20区で同一犯と思われる喰種による殺人が続いている....とか言っていた気がする。

 

「それで?比企谷君はどう思うの?」

 

「....喰種がいるかどうかなんて、議論するまでもないですよ。彼らの存在はこの社会に存在している様々なシステムが証明しています。」

 

「....はは、比企谷君らしいね。」

 

そう言い陽乃さんは俯く。なんだ....?らしくないな。

 

「....じゃあ、さ。もしも知り合いが喰種だったら....比企谷君はどうする?」

 

そう言い陽乃さんは立ち止まる。その顔は未だ俯いたままだ。

 

「いきなり、どうしたんですか....?なんかおかしい「いいから」....。」

 

「いいから、答えて。」

 

そう言い顔を上げた陽乃さんの顔は、何時になく真面目な表情だった。

 

「....そうですね....。正直な所、そうなってみないとわからない....っていうのが正直な所ですね。」

 

「そっか....。」

「まあ…別にそいつに俺をとって食ってやろうなんて気が無いなら、俺は別にどうともしませんけどね。もちろん快楽の為に人食らっている喰種もいるんでしょうが…全ての喰種がそうとは限らないでしょう。彼等は生きるために人間を喰らう。それは俺たちが牛や鳥を食べるのと何ら変わりのない事です。それなら、俺に喰種を責める資格なんてない。そいつが快楽の為に人食らっているわけでないなら、俺はそいつを軽蔑する事なんてできない。」

 

俺がそう言うと陽乃さんは驚いたような顔をし、そして微笑みをうかべる。

 

「そっか....やっぱり、八幡は変わってるね。」

 

「そうですかね...。」

 

俺は気恥ずかしさにポリポリと頬をかく。

と、次の瞬間だった。

 

「え?」

 

突如、ガバッと陽乃さんが俺に抱きつく。え、え?え、なに、え?

俺はあまりにいきなりのことに対応出来ずにいた。

 

「比企谷君....雪乃ちゃんと友達になってくれてありがとう。」

 

そう言う陽乃さんの声色があまりに儚げで....俺は固まってしまう。

「これからも雪乃ちゃんのことをよろしくね。」

 

陽乃さんがそういった時だった。肩に激痛が走る!

 

「いっ?!」

 

俺は驚き、思わず陽乃さんを突き飛ばした....つもりだったのだが、陽乃さんはびくともせず、逆に俺が倒れ込んでしまう。

 

「な、なん...?!」

 

混乱しつつ陽乃さんの方を見ると、そのには恍惚とした表情を浮かべた陽乃さんの姿があった。

 

「はあぁぁぁぁぁ....おいしい....。やっぱり、私のおもってたとおりね。比企谷君。」

 

そういい、陽乃さんはニコッと笑う。そして次に彼女が目をあけたとき、その目は。

 

「あ....か?」

 

深紅に染まっていた。

 

「快楽の為に人食らっている喰種………。それって私の事じゃない。」

 

クスクスと笑いながらそう言い、陽乃さんは腰から触手のようなものを生やす。

 

「なんだよ...それ…!」

 

命の危機を感じた俺は、微笑みを浮かべ佇む陽乃さんを尻目にその場を駆け出す!くそ、わけがわからねぇ!陽乃さんが喰種?!うそだろ!?

 

「クソ………っ!」

 

とにかく、今は逃げるしかないッ!あれこれ考えるのはそれからだ....!

陽乃さんに、噛まれた....いや、齧られた肩がひどく痛むが今はそんな事かまってられない。俺はそれほどまでに追い込まれていた。

 

「女の子から逃げるなんて....酷いね。八幡。」

 

「ぐあっ!」

 

耳に陽乃さんの声が聞こえたと思うと、俺は何かに足を絡み取られ盛大に転ぶ。足元を見れば陽乃さんの触手が俺の足に絡みついていた。

 

「八幡…、喰種の赫子見るの初めてでしょ…?怖い?でも安心して………八幡は私のお気に入りだったから、楽に逝かせてあげる。」

 

そう言い陽乃さんは触手の先を俺に向ける。やばいこのままじゃ、やられちまう!なにか、なにか…!と、焦る俺の視界にバックから溢れ出たシャーペンがうつる。

 

「くっ……そぉ!」

 

「………!」

 

俺は手を伸ばし、シャーペンを掴むとそれを触手へ突き立てる!すると、足に絡んでいた触手が少し緩んだ。その隙に俺は触手を振り払い逃げ出す!

 

「ハァ!ハァ!」

 

喉が酷く枯れている....。感じるのは強い絶望と"恐怖"だった。騙していたのか…今まで俺を。これまでの言葉も、優しくしたのも全部…っ!

 

「クソっ!」

 

なんで、なんでなんだ!俺の人生はどうしてこんなにも………。

 

ドジュ!

 

「ガ…ぁ………!?」

 

走り続けていた俺の横腹に突如走る激痛。見れば俺の横腹は触手に貫かれていた。そしてそのまま触手は俺を引っ掛けると、壁へと叩きつける。

 

「………ッ!?」

 

俺の体に激痛が走る。しかし、もはや叫び声すら出ない。それどころか俺の意識は朦朧としてくる。

 

「ここまでだね…。これでフィナーレだよ。」

 

そう言いカツ、カツ、と陽乃さんはこちらへ歩いてくる。そして、俺を見ると儚げに笑う。

 

「さよなら…八幡。」

 

ドオオオオオオオォォォオ!

 

陽乃さんがそう言った時だった。

 

陽乃さんの元へ、大量の鉄骨が降り注いだ。

俺は何が起きたか理解できない。必死に様子を伺い見ようとするが上手く身体動いてくれない。しかも....だんだんと意識が遠のいていく.....。

あ....駄目だ....もう........。小町....雪乃....結衣....すまん....俺もう死んじゃうみたいだ。

 

そして薄れゆく意識の中で俺が見たものは、上を向いていた陽乃さんがこちらを向いて、何かを呟いたあと微笑みをうかべる姿だった....。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ピッ…ピッ…

 

何……だ…?

 

あれ………おれは………。

 

『腹部…損…が………臓器…移…が…必…だ………!』

 

何だって?………よく聞こえん。

 

『この子の臓器を…血液型は同じだ………っ』

 

俺は一体どこにいるんだ………?

 

『…御家族とも連絡がつきません!遺族の方の同意なしには…!』

 

声だけが頭に響く…。

 

遺族…?臓器………?一体なんの話を………。

 

『嘉納先生…!』

 

『他に方法などないっ…!見殺しには出来ん!全ての責任は私がとる!』

 

 

 

『彼女の臓器を彼に………!』

 

 

 

『……………ふふ、八幡。』

 

 

ーーー俺は特異な才能があるわけでもない、凄まじいカリスマ性をもっているわけでもない、どこにでもいるただの人間だ。だが、もしも。俺が自伝を書くことがあるとすれば、きっとこの時のことをこう記すだろう。

 

 

 

…ここから悲劇が始まった…と。




うん…超展開…って感じですね。
どうしても俺がいるの原作キャラを喰種にしてしまうと、ズレがでちゃって、違和感が…。
でも、陽乃さんは喰種にしたかったので、そうさせて頂きました。だってしっくりくるもん、アオギリでもピエロでもリゼの位置でも面白そうなんて、完璧過ぎですよね…陽乃さん…。
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