仮面ライダーアニエス   作:瓜生史郎

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1話 出会い

「最近欲しいドールが高すぎて手が出ないのよねぇ…」

 

 私、花園萌香はテーブル席で、いつもの常連客の女性に愚痴を零す。メイド喫茶でバイトしている間、こうして世間話をするのが密かな楽しみでもある。もちろん、大好きな人形収集についても熱く語る。部屋の棚にずらりと並ぶ人形たちを思い浮かべながら話すと、自然に声が弾むんだよね。

 

「そんなに好きなら、ドールオークションに参加すれば?」

「うーん、参加したいんだけど、私のバイト代じゃ手が届かないんだよねー」

 

 その時、厨房から店長の声が飛んだ。

 

「萌香! そっちのテーブル片付けて、次のお客さんに料理出して!」

「は、はいっ!」

 

 私は慌てて席を立つ。

 

 

 厨房へ駆け込むと、店長である桜田百合さんが手を組んで待っていた。

 

「次の注文だよ、さっさと運んで! それとお客さんとおしゃべりはほどほどにしてよ?」

「わ、わかってますよ……!」

 

 料理を受け取り、テーブルまで走りながら、百合さんの横顔を見る。

 

 黒く長いストレートヘアー、眉目秀麗な顔立ち。本当に日本人形みたい。

 

 このお店を選んだのも、店長の容姿が良いって言うのもあるんだよね。

 

 店長、日本人形だったら、良いのに……。私はそんな妄想を頭の中でいつまでも膨らませていた。

 

 

 

 

 夜。バイトが終わり、私服に着替えた私は店を出る。

 

「お疲れさまでしたー!」

 

 

 鼻歌を歌いながら、駅へ向かって歩く。

 

 もうすぐ給料日だ。次はどんな人形を買おうかなー?やっぱ、今、私の中のブームである日本人形かな?うーんでも、前見つけたフランス人形もいいなぁ……。と考えながら歩いていると、ふと見慣れない人形店が目に入った。

 

「え、こんな場所に人形屋さん…?」

 

 こんな所に人形屋さんなんてあったけ?前来た時はなかったような気がしたんだけど……。

 

 まぁいいや、目の前に人形屋さんがあるなら迷わず入るのみ!私は好奇心に引き込まれるように、中へ入った。

 

 ガラスの扉を開けると、香るのはほのかな蜜の香りと、木製人形の匂い。店内にはさまざまな国の人形が、まるで生きているかのように並んでいた。

 

「わぁ…!」

 

 思わず声を上げてしまう。目の前には、木目の美しいドールや、陶器のような繊細な表情を持つ人形たち。どれもこれも、手に取ると物語が始まりそうな雰囲気があった。

 

 

「いらっしゃいませ」

 

 その声に振り向くと、店主らしき女性が立っていた。背はすらりとしていて、銀色の髪が光を受けて柔らかく揺れる。目は透き通るような青で、まるで人形の瞳そのものだ。

 

 

「え、あ、こんにちは」

「初めてですか?」

「はい、たまたま通りかかって…」

「私の名前はアイシア。この国に来たばかりでね。人形屋を開くためにやって来たの」

「外国から!? すごっ」

 

 いきなりオシャレなプロフィールを披露されて、私は思わず声を張ってしまった。

 

「あなた、人形は好き?」

「好きです!」

 

 即答。即射。反射神経で答えていた。

 

「それはよかった。どんな風に?」

「えっとですね、私、人形が大好きで……」

 

 気がつけば早口になっていた。今まで集めてきたドールの話、部屋の棚を占領している球体関節人形の話、衣装を自作していること――語り始めると止まらない。

 

「なるほど、なるほど……」

 

 アイシアさんは最初、にこやかに頷いていたけど、そのうち目を丸くして、まるで珍しい動物でも見るかのような顔になった。

 

「あ、す、すみません! つい語っちゃって……」

「気にしないで。むしろ、驚いてしまったのはこちらだから」

 

 彼女は口元に手を当てて笑った。

 

「今の時代にね、人形を真剣に愛している若い女の子がいるなんて。少なくとも、私の国ではもう珍しいの」

「え……そうなんですか?」

「ええ。だから余計に、あなたの情熱が新鮮に映るの」

 

 そう言われると、なんだか照れる。けれど私は負けじと、自分の気持ちを伝えた。

 

「私、人形って言葉で表せない魅力があると思うんです。目を合わせるとね、何か語りかけてくるみたいで……だから、ちゃんと全部、大切にしてるんですよ」

 

 そう言いながらスマホを取り出し、カメラロールを開いた。そこには、私が撮りためた人形たちの写真が並んでいる。ドレス姿のドール、和服の市松人形、どれも私の宝物だ。

 

「ほら、見てください! 一体一体にちゃんと名前をつけて、可愛いところを記録してるんです」

「……」

 

 アイシアさんはしばらく画面を眺めていたが、小さく息を呑むように囁いた。

 

「……この娘なら」

「え? 今、なんて……?」

「いえ、何でもないわ」

 

 私が不思議そうに首をかしげると、彼女はすぐに微笑んだ。

 

「――そんなあなたに、とっておきの物があるの。少し奥まで来てくださる?」

「とっておき……?」

 

 まるで秘密を打ち明けるような声だった。好奇心に逆らえず、私は頷いた。

 

「……こちらよ」

 

 アイシアさんに導かれて、私は店の奥へ足を踏み入れた。

 正直、ちょっと怖い。人形屋の奥なんて、ホラー映画なら絶対ヤバい展開になるやつだし。

 でも――それ以上に、胸のドキドキが止まらなかった。

 

「わ、わぁ……!」

 

 電気が点くと、そこには作りかけの人形が整然と並んでいた。

 まだ目の入っていない顔、縫いかけのドレス、組み立て途中の関節。

 普通なら不気味に感じるのかもしれない。でも私には、命を吹き込まれる前の“予感”に満ちた姿に見えて、逆にワクワクした。

 

「すごい……! アイシアさん、自分で作ってるんですか!?」

「ええ。まぁね……」

「へぇ……」

 

 私が目を輝かせていると、アイシアさんはさらに奥へ歩いていく。

 

 そして、白い布に包まれた何かを抱えて戻ってきた。

 

「これは……?」

 

 布が外されると、現れたのは――ピンク色の衣装をまとった、小さなフランス人形。

 

 金髪のカールがふわりと揺れ、ガラスの瞳が光を反射して私を見つめてくる。

 

「わぁ……!」

 

 息を呑んだ。

 

 完璧だった。ドレスの質感も、肌の白磁のような滑らかさも、本物の貴族の少女そのもの。

 

「触ってみていいですか?」

「もちろん」

 

 そっと指で撫でると、衣装のフリルは細部まで繊細に縫い込まれていて、肌はひんやりとした陶器の感触を残した。

 心の中で叫んでいた。これ欲しい。どうしても欲しい。けど――。

 

「……あっ」

 

 現実が頭をよぎった。

 

 今は給料日前。財布の中身は空っぽに近い。

 

「すごく素敵なんですけど……いくらなんですか? 私、たぶん払えないかも……」

 

 恐る恐る聞くと、アイシアさんは首を横に振った。

 

「お金はいらないわ」

「えっ……?」

 

 思わず素っ頓狂な声が出た。

 

 いやいや、そんなわけないでしょ!? 絶対あとで『払え』って怖いお兄さんが来るやつ! 私知ってるもん!

 

「あの……流石にそれは……」

「人形を心から愛しているあなたに、ぜひ受け取ってほしいの」

 

 アイシアさんは私の目をまっすぐに見た。

 

 その瞳は透き通っていて、嘘の影がまるで見えない。

 

「これは売り物じゃないの。あなたに持っていてほしいから、渡すのよ」

 

 アイシアさんの声は、まるで命令でも祈りでもない、不思議な響きを帯びていた。

 

 だけど私は、すぐには頷けなかった。

 

「で、でも……こんなに完成度の高いフランス人形ですよ!? 私、まだ学生のバイト代しかないですし……絶対高いものなんじゃ……」

「値段の話ではないわ」

「でも……でも……」

 

  口に出してみて、自分でも疑り深いなと思う。だけど、現実ってそういうものでしょ。世の中タダより高いものはないって散々聞いてきたし。

 

「あなたは人形のことを語るとき、目が輝いていた。愛でるだけじゃなく、一体一体に魂を見ている。そんな子は滅多にいない」

「……」

「だから、この子もあなたを待っていたのよ」

 

 この子。

 

 アイシアさんはまるで目の前の人形が生きているかのように言った。

 

 私は思わず金髪の人形を見下ろす。ガラスの瞳が、暗がりの中でほんの一瞬だけ瞬いたような気がした。

 

「……っ」

 

 背筋がぞわりとした。

 

 怖い。でも、それ以上に――心臓が高鳴っていた。

 

「わ、私なんかが……本当にいいんですか?」

「あなたじゃなければ、駄目なの」

 

 アイシアさんの真剣な青い瞳に射抜かれ、私はもう抵抗できなかった。

 

 胸の奥で、何かを託されたような感覚が広がる。

 

「……わかりました。そこまで言うなら……大事にします。この子を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 マンションの自室。玄関を開けた瞬間から、私はもうソワソワしていた。

 

 だって、両手に抱えたこの箱。中には今日、アイシアさんからもらったフランス人形がいるのだ。

 

「ただいまー……って、返事するのは人形たちしかいないんだけどね」

 

 部屋に入ると、棚にずらりと並ぶコレクションの人形たちが出迎えてくれる。照明の光を浴びて、皆それぞれに微笑んでいるように見える。

 

 靴を脱いで部屋に上がり、私は待ちきれずに箱を開けた。

 

「わぁ……」

 

 そこにいたのは、淡いピンクの衣装を纏った金髪のフランス人形。改めて見ると、瞳のガラス玉がきらめいて、まるで呼吸しているかのようだった。

 

「可愛い……やっぱり連れて帰ってきて正解だよね」

 

 私は両手でそっと抱きしめる。

 

 その瞬間。

 

「……く……苦しい……」

 

 女の子の声がした。

 

「えっ?」

 

 慌てて周囲を見渡す。カーテンの隙間、ベランダ、テレビの裏、部屋の隅。

 

 でも誰もいない。ただ、静かな私の部屋。

 

「……空耳?」

 

 心臓が跳ねたけれど、私は強引にそう結論づけた。だって、怖がるなんて人形コレクター失格だし。

 

「よし、とりあえずご飯作ろ」

 

 私は人形を机の上に置き、キッチンへ向かった。

 

 料理は私のもう一つの趣味だ。包丁を握れば無心になれるし、人形たちに見せる食卓を想像すると、ちょっとした舞台を演出している気分にもなる。

 

「今日は簡単にオムライスかなぁ~……」

 

 卵を割ろうとしたそのとき。視界の端に、黒い影が映った。

 

 黒髪の人形が、リビングの机の上にちょこんと座っていた。

 

「え? こんな子、私持ってたっけ……?」

 

 私は首をひねりながら近づこうとした。

 

 すると。

 

「アハ……アハハハ……」

 

 人形が笑った。

 

 次の瞬間、その長い黒髪の間から、銀色に光るナイフのようなものが、ひゅ、と私の頬をかすめて飛んでいった。

 

「っ!?」

 

 息が止まる。脚から力が抜けて、その場に座り込んでしまった。

 

 震える指先が床を掻き、喉の奥がカラカラに乾く。

 

 さっきまで「すごーい!」って言おうとしてた私の口は、開いたまま言葉を失っていた。

 

 怖い。怖い。怖い。

 

 でも、目を逸らせない。

 

 黒髪の人形は、再び笑った。

 

 ふわりと宙に浮かび、床にストンと着地する。

 

 コツ、コツと小さな足音を響かせながら

 

 一歩、一歩、私の方へと近づいてきた。

 

「すぐに楽にしてあげる」

 

 女の子の声が部屋に響いた。……いや、違う。これ、目の前の人形からだ。

 

「しゃ、喋った!? 怖すぎるんですけど!?」

 

 人形は冷たい笑みを浮かべ、私の前へ歩み寄ってきた。ぎこちない、でも確かに人間の動き。

 

 そして、腰に妙な機械を取り付けて――。

 

「変身」

 

 カシャカシャカシャッと金属のパーツが組み合わさり、アーマーが身体を覆っていく。

 

 人形は、もはやロボ人間。目の奥で不気味な光がギラリと光った。

 

「な……何……。こ……怖い……」

 

 あまりの恐怖に立てなくなってしまった。本当に目の前の人形が私を殺そうとしていることが分かったからだ。

 

 迫って来る人形から逃げるように後ずさる。そして気が付けば、壁に背を押し付けられる。逃げ道はゼロ。心臓が破裂しそうだった。

 

「た、助けて……!」

 

 叫んでも、人形は笑うだけ。

 

「無駄。あなたが一人暮らしだと知っている。助けなんて来やしない。だから、思う存分いたぶれる」

 

 絶望。

 

 その時だった。

 

「はぁ!」

 

 ひゅん、と杖が風を切る音。直後、ロボ人形の体が壁際へ吹っ飛ばされた。

 

 視界に飛び込んできたのは、金髪にフリルをまとった……フランス人形。

 

「な……に……? 仲間……!?」

 

 私は混乱して、声が裏返る。

 

「落ち着きなさい。私は敵じゃない」

 

 フランス人形の声は如何にもなお嬢様のような口調で、妙に現実感のある上品さだ。

 

 

 そうしている間にも、ロボ人形が起き上がり、ギラリとナイフを構える。

 

「早く逃げなさい」

 

 フランス人形が振り返りもせずに告げる。

 

「で、でも……貴方を置いていくなんて!」

「おバカ! 死にたいの!?」

 

 冷ややかに言い放ち、迫ってきたナイフを杖で受け止める。火花が散った。

 

「は、はわわ……」

 

 私は震える足で何とか立ち上がって、一目散に部屋の外へ出ようとする。

 

 早く逃げなきゃ。そう思ったのに、足が玄関を越えたところで止まってしまった。

 

 いや、でも……でも……! 置いて行けるわけないじゃん!

 

 私は玄関脇に身を潜めて、こっそりリビングを覗く。

 

 ロボ人形とフランス人形が、杖とナイフをぶつけ合い、火花を散らしていた。

 

 けれど。

 

「っ……!」

 

 フランス人形は必死に杖で受け止めているけれど、完全に防戦一方だ。

 

 余裕なんてない。杖の軌跡がどんどん浅くなっていく。

 

 そして。

 

「ふんっ!」

 

 ロボ人形がいきなり跳び上がったかと思うと、そのまま空中から強烈な蹴りを放つ。

 

「きゃあっ!」

 

 フランス人形は杖で受け止めようとした。けれど、力が強すぎる。

 

 防ぎきれず、弾丸のようにこちらへ吹っ飛んできて、私の足元に転がった。

 

「だ、大丈夫!?」

 

 慌てて駆け寄ると、彼女はきつい目をしながら私を睨みつけた。

 

「……まだ逃げてなかったの?」

「しょ、しょうがないでしょ! せっかくもらった人形なんだから……置いていけるわけない!」

「あなた……ほんとにお人好しね……」

 

 呆れたように、けれど少しだけ目を和らげてフランス人形は言った。

 

 その間にも、ロボ人形はゆっくりと歩を進めてくる。ナイフをギラつかせ、不敵な笑みを浮かべてこちらに歩み寄って来る。

 

 フランス人形はロボ人形を睨みつけながら、ふっと笑った。

 

「貴女、気に入った」

 

 ――え? この状況で告白? いや違うよね?

 

「え、気に入るって……何を!?」

「貴女のこと。そこで質問。これからの運命、私に捧げる覚悟はある?」

「な、なななっ……」

 

 唐突すぎて頭がショートしかける。けど、フランス人形の瞳は真剣で、揺るがない。

 

 ロボ人形の刃がギラリと光る。迷ってる時間なんてない。

 

「ど、どういうことか全然分かんないけど……! 貴方を助けられるなら! 私、やる!」

「ふふ……よろしい。では――手を出して」

 

 促されるまま、私はおそるおそる手を差し出す。

 

 すると――。

 

「えっ!?」

 

 中指に、ひんやりとした感触。見ると、指輪が勝手に現れてはめられていた。

 

「ちょ、ちょっと待っ……え、指輪!? これ婚約とかじゃないよね!?」

 

 混乱していると、彼女は一歩近づいてきて――。

 

 そのまま、不意打ちみたいに私の唇へ。

 

「――!?」

 

 何が起きたのか理解できないうちに、指輪が眩く赤く輝き始めた。

 

 同時に、私の手の甲から謎の機械のような装置が生成されていく。

 

「け、契約……完了しましたわ」

 

 フランス人形は涼しい顔でそう告げると、その装置を掴み、堂々と宣言した。

 

「変身」

 

 瞬間、赤い薔薇の花びらが空気を裂くように舞い散った。

 

 花弁は彼女の体を覆い、次々と赤いアーマーへと変わっていく。

 

 数秒後、そこに立っていたのは――目の前にいるロボ人形のような姿の、けれど美しく艶やかな“戦士”だった。

 

「これでようやく、互角に戦えますわ」

 

 目の前の悪のロボ人形が、ギギギと機械音を響かせて後ずさった。

 

「こんなところに……メイデンライダーがいるなんて……聞いてない!」

 

 メイデンライダー? え、今さら新しいワード!? こっちは状況を整理する暇すらないのに!

 

 すると、赤い鎧をまとったフランス人形――いや、今はもう完全に“戦士”の彼女が、勝ち誇ったように笑った。

 

「ふふ……形勢逆転ね」

 

 腰から細身のレイピアを抜く。その仕草すら舞踏会みたいに優雅だった。

 

「ええい、やけくそだああああ!」

 

 でも、その動きはあまりにも大雑把で――。

 

「鈍重……」

 

 フランス人形のレイピアが軽やかに閃く。

 

 ロボ人形の攻撃はことごとくいなされ、逆に鋭い突きに追い詰められていく。

 

「す、すごい……っ!」

 

 私が混乱してるうちに、ロボ人形は壁際にまで追いやられていた。

 

「くっそおお、ならばもう一度! これで終わりにしてあげる!」

 

 そういってロボ人形は飛び上がる。

 

「本当に単純ね」

 

 フランス人形が腰のベルトを軽く操作すると、そして同じように飛び上がり、正面から蹴りを放つ。

 

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

 

 力の差は歴然だった。

 

 二人の脚がぶつかり合った瞬間、爆発的な衝撃音と火花が弾けた。押し負けたロボ人形は「ぐわあああああっ!」と悲鳴をあげながら、まるで砂みたいに崩れ――空気に溶けるように消えていった。

 

 残されたのは、赤い鎧のフランス人形と、ぽかんと口を開けている私だけ。

 

 もしかして、私……、凄い事に巻き込まれちゃった??

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