透き通る青の世界の中で、私は今日も真っ赤っか   作:名匿

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星の数程の赤溜まり

「へえ、あの人結局また手を借りてるんだね」

 

「そうらしい。一度裏切られたのに良くやると思う」

 

「ほんとだねぇ」

 

 能力は相応にあると思うんだけど、認識が甘いというかなんというか。

 物好きだよね。

 

「ゲヘナでこれなのに」

 

「まあ、相応の理由があるんでしょ」

 

 案の定、ヒナさん達風紀委員会は例の一件以外の記憶は持っていないみたいで、私もその記憶だけ持っていると考えているらしい。

 実際はその1000倍くらいは死んでるんだけどね、多分。

 

 と言ってもその認識は他の人と出会って、情報を擦り合わせるまでの儚い妄想なんだけどね、んーどうしよう。

 私にとって都合がいい部分と言えば、ゲヘナの組織は横のつながりがあまりよろしくないという点か。

 

万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)とは相変わらずなの?」

 

「……ええ」

 

「そっかぁ」

 

 代表例はヒナさんとマコトさんのとこ。

 この2つはとんでもないくらい相性が悪い、余程のことじゃないと協力とかしないんじゃない?

 

 マコトさん側は情報隠蔽とかもやってるし……ね?

 

「……あいつら、何度も何度も……」

 

「?」

 

「……何でもない、ヒメカには関係ないことだから」

 

「そう」

 

 何かあったみたいだね。

 ……どうなるかな。

 

 パシャリ

 

「……」

 

 

 

 

 

 

「ヒメカッ!」

 

「こんにちは、イオリさん」

 

 部屋に入って来た私を見るや否や、血相を変えて駆け寄って来たイオリさん。

 そんな慌てなくても、今は無事だよ。

 

「ヒメカさん、お元気そうで何よりです……!」

 

「チナツさんもありがとね」

 

 そんな大袈裟な反応しないでよ、今の私別に意識不明の重病人とかじゃないからね?

 やっぱりめんどくさいな、この状況。

 

 ドンガッシャンッ!!

 

「!?」

 

「あ……」

 

 えっものすっごい音したんだけど。

 ……奥の方で資料の山が出来てるね、何か埋まってる。

 

「っ〜〜!!」

 

「もしかして……」

 

「はぁ」

 

 察しが付いたらしいイオリさんが溜息してる。

 そうだね、残りのメンバーとなると1人しかいないよね。

 

「何やってるの、アコ」

 

「っ……いえっ!何でもありません足が引っかかってしまっただけです!」

 

「アコさん大丈夫?」

 

「それはこちらのセリフです!」

 

 ん、元気そうで何よりです、えっちぃ服のアコさん。

 涼しそうだけどやっぱりえっちぃよね、他にはセイアさんとかも似た様な服だけど……アコさんのスタイルでこの服着てるのはちょっとやばいよね。

 

「……」

 

「何ですか?」

 

「いや、何でもない。元気そうだなーって」

 

「……先程の光景は忘れてください!」

 

 いやいや忘れられないでしょインパクトあるし。

 今もアコさんの後ろで跳ね除けた資料の残骸が宙を舞ってるよ。

 

「1番忙しなかったですからね」

 

「ああ、ちょっとうるさいくらいだった」

 

「あなたたちっ!?ちがっ、そんなつもりじゃないですからね!?」

 

「はいはい、分かってまーす」

 

 この人ツンの部分強い。

 

「……というか、何で私呼ばれたのかな、風紀委員へのお誘い?」

 

「それもアリだけど……今回は別件」

 

 別件とな。

 んー、何の用事かな。

 

「これ」

 

「ん?」

 

 ヒナさんが不意に何かを手渡して来た。

 渡されたのは……紙切れ?これが一体なんだって言うのさ。

 

「読んでみて」

 

「はいはい……ん?」

 

 書かれていたのは……。

 

『ヒメカさん』

 

「……これだけ?」

 

「そう」

 

「新聞の切り抜きで作ってるみたいだけど、心当たりはあるか?」

 

「いや流石にないかなぁ」

 

 私の名前が書かれた、新聞の切り抜きメッセージだった。

 謎すぎるね。

 

「これと一緒に写真が、風紀委員会のデスクに置かれていたんです」

 

「それで私を……ってことだよね」

 

 こくりと頷くヒナさん、聞いてた通りだ。

 

「こう言うのに心当たりはないし、実害もなさそうだから放っといていいと思うんだけど。写真に撮られても平気だし」

 

「……ヒメカさん本人がそう言うのであれば、私達も特に詮索はしませんが」

 

「例に漏れずアコちゃんが怒ってたからな」

 

「怒ってなんていません!」

 

 ええ。

 まあツンツンアコさんは放っとくとしても、まぁ気にしない。

 取り返しのつかないことになったらなったで対処するだけだ。

 

「……あ、そうだ。最近は変なこととか起きてない?」

 

「変なこと、ですか?」

 

「うん。どうにも連邦生徒会近辺は最近騒がしいみたいだからさ。こっちも何か変なことないかなって」

 

「特にはない。いつも通りうるさい奴らはうるさいからな」

 

「そっか」

 

 毎度のことだけど、その時その時の当事者近辺じゃないと良い情報は集まらない。

 カイザー辺りをまた探ってみる?

 ……だめか、前の時は顔が割れてなかったからいいところまで行けたけど、今回はそうも行かない。

 

 というか風紀委員会はヒナさんがいる分情報の集まりは良い方かもね、単体スペック高過ぎでしょ。

 他の人達も私からしたら凄い方なんだけど、ヒナさんはずば抜けている。

 

「んー」

 

「どうかされました?」

 

「……やー、何でもないよ。ちょっとした考え事だから」

 

 運とか試行錯誤とか繰り返して、色々な組織を試したことはあるけど。

 ここまで上が強過ぎる組織はそうなかったなぁってね。

 

 

 

 

 

 

「ヒメカさん、ただいま戻りました」

 

「はいはいおかえりー」

 

 あの後風紀委員会と話し込んじゃったんだけど、なんとか期限までに帰ってくることに成功した。

 うーん、フウカさんの笑顔が眩しいね。

 

「お疲れみたいだね」

 

「そうでもありませんよ?今日は楽な方でしたから」

 

「ふーん」

 

 明らか疲れが見えてるのにねぇ。

 ところでさ。

 

「フウカさん」

 

「何ですか?」

 

「その両の手に抱え込んでる子はどうしたの?」

 

「……」

 

 その抱えてるイブキちゃんを度外視すればねぇ!?

 どっから連れて来た。

 

「連れて来ちゃいました?」

 

「今すぐ返して来なさいっ!」

 

 その子居なくなったりしたら万魔殿カンカンなんだけど。

 何、私を軟禁したことで倫理観緩くなっちゃった?

 

「いえ、この子が来たがっていたので」

 

「え」

 

「その後、私が料理している間に寝ちゃったんです」

 

「ええ……」

 

 ねえ保護者達なんでこの子放逐してんの、喧嘩でもした?

 マコトさんはともかく……イロハさん?がそんなミスをするとも思えないんだけど。

 

「どうして来たがってたのさ」

 

「それが、何となくって言ってまして……」

 

「んーそっかぁ」

 

 すやすやと眠るイブキちゃんはとても可愛らしい、抱きしめたくなる。

 でも下手に手ぇ出すと万魔殿敵に回すからねぇ。

 脅威とまでは思わないけど、ゲヘナに滞在している現状だとめんどくさい。

 

「……ふあぁ……」

 

「あ、起きた」

 

「……?」

 

 眠そうにきょろきょろと周りを見渡している。

 ……何か嫌な予感するからまた眠ってて欲しいなー、なんて。

 

「……!ヒメカ先輩!」

 

「ん、こんにちはイブキちゃん」

 

 わ、露骨に笑顔。

 んーやっぱり可愛い。

 

「可愛い……」

 

「あはは、将来は魔性の女の子だねぇほんと」

 

「?」

 

「何でもないよ」

 

 フウカさんもぼんやりと呟いている、可愛いよねイブキちゃん。

 

「まあ、何事もないならこのまま万魔殿に……」

 

「ヒメカ先輩!」

 

「ん、どうしたの?」

 

「ぎゅーっ!」

 

「はーい、ぎゅー」

 

 ……万魔殿を利用しようと考えた時は、イブキちゃんの懐柔から始めたんだっけ?

 結果的にこんな子を利用するのは……ってなって辞めたんだけど。

 

「えへへ……♡」

 

 ぱしゃ

 

「……」

 

「?」

 

 ……何か、一瞬で背筋がぞわってし始めたんだけど。

 何、誰か全力で殺意でも向けてるの?殺り合った時以来だよこんな感覚。




イブキちゃんに異変が……
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