透き通る青の世界の中で、私は今日も真っ赤っか   作:名匿

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レッド・リターン

 突然だけど、テロって怖いよね。

 私も以前までに何回かやる側とやられる側で関わったことがあるんだけど、どっちにしろええ……ってなった覚えがある。

 考える人はトんでるんだよね、どうあれ頭が。

 

「どこまで行くのー?」

 

「ふふ、ふふふふふふ!どこまでも、ですわ!」

 

 はい、ということで拉致られました美食研究会の方々に。

 フウカさん攫うのが君達なんじゃないの??

 

「え、私食べられちゃう?」

 

「食べないわよ!」

 

「……それも良いですね〜♥︎」

 

「え"」

 

「美味しそう!」

 

「ちょっと待って?」

 

 お、美味しく食べられるッ!?

 流石にカニバられるのは経験してないかなぁ!

 

「流石に冗談よね?ねえ、ちょっと!?」

 

 良かった赤い人はまともだ、名前忘れたけど。

 というかハルナさん以外覚えてないよこの人達。

 

「……は?」

 

「ん、何でもないよ〜!」

 

 やばい口に出てた赤い人怖い可愛い。

 こんな時でも可愛いって感情が出てくるのは死に過ぎた恩恵なのか、はたまた弊害なのか。

 

「というかよく分かったね」

 

「そう言うあんたは緊張感ないわねっ!」

 

「まぁ、経験は豊富だからね私ってば」

 

「……」

 

 あっやばまた赤い人の目が死んだ。

 うーむ失言が多い、まあ初回だし次から次から。

 

「君可愛いね?」

 

「……はぁっ!?いきなり何言ってんの齧るわよ!」

 

「ナンデモナイデス」

 

 嫌だよ食べられる感触覚えるの。

 

「……来ましたわね!」

 

「へ?」

 

 何のことかと周囲を見渡してみれば。

 ……黄色い人大きいね、視点がいつもより高いや。

 

「あれって    」

 

 ……そうやって認識した時には、もう遅くて。

 こちらに向いた砲身から轟音が鳴り響いたのでした。

 

 

 

꒰ঌ(⸝⸝ↀᯅↀ⸝⸝)໒꒱

 

 

 

「……いっっ……たぁ〜……」

 

 一瞬寝てた?

 ……戦車に撃たれるなんていつぶりかなぁ、全身が軋んでる。

 美食の人達は……気絶してるだけみたい。

 

「虎丸くん……じゃあ、ないよね?」

 

 確信はできないけど、多分違う。

 じゃあ誰なんだって話なんだけど、それはまぁ知らない。

 

「……とりあえず、この場を離れよっか」

 

 軋む身体でふらふらと歩く。

 ちょっと、騒ぎ過ぎた。

 誰が悪いとかじゃないと思うんだけど、ゲヘナは間違いだったかもね、楽しかったは楽しかったんだけど。

 

「次は、もう少し騒動に近い場所」

 

 今回は急展開が多過ぎなんだよねぇほんっと。

 何かな、記憶有り→軟禁→誘拐→砲撃って、濃過ぎて飽き飽きしそうな味付けみたい。

 後できれば、できればミカさんに見つからない様にかなぁ……無理そう。

 あれ多分私が戻ってすぐ探してた感じだよ、やばいね。

 

「ただループしてただけなのに障害増えてない?何これハードコア?」

 

 や、ハードコアは死んでやり直しとかできないっけ。

 じゃあ逆スペランカー?言語化むずかし。

 死にゲーの醍醐味は1個ずつ1個ずつ間違いを潰して行くことであって死ぬことじゃないんだけどね。

 

「っ……まぁ、ここならすぐは見つからないよね」

 

 思った以上にぎこちない。

 んー、私に直撃した訳じゃないんだけど。

 

 なんだかんだ優しい人達だね、美食研究会。

 

 パシャリ

 

「ん」

 

「……これも、良い写真、なんですかね」

 

「あはは、そこは大丈夫、からじゃなーい?」

 

「チアキさん」

 

 ちょくちょく響いてた高めの音は、カメラのシャッター音で。

 風紀委員会に私のこと知らせた新聞も、チアキさんだ。

 

「なんとなく、勘付いてはいたよ」

 

「あ、バレてました?」

 

「そりゃあ、ね?」

 

 写真と新聞とゲヘナなんてチアキさんしかいないでしょ。

 上手いライターさんのミスリードかってくらい証拠が揃ってた。

 

「あなたも、私のこと守る?」

 

「……」

 

「まぁ、もう遅いんだけどね」

 

「……みたいですね」

 

 私の姿を見て、何となく理解しちゃったらしい。

 死ぬ時の私ってばわかりやすいのかな?

 

「ヒメカさん」

 

「なぁに」

 

「    いえ、止めません」

 

「え……?」

 

 あれ意外、送り出されるんだ。

 

「その目をしてるヒメカさんは、私が止めたって止まりません」

 

「あは、私のことよく知ってるねぇ」

 

「もちろんですっ!」

 

 ビシッと敬礼のポーズをするチアキさん。

 良い子だね、から元気だなんて。

 

「無理しなくて良いよ、震えてるじゃん」

 

「無理させて下さい、私の意地ですから」

 

「そっか」

 

 この子なりの覚悟って訳かな。

 ……私の所為なら、ちょっと申し訳なくなるかも。

 

「ヒメカさんは、ヒメカさんがいなくなった後のことって考えたことありますか?」

 

「……あんまりないかなぁ。すぐ後のことは考えるけど、その先はない。どうあれ死んじゃったからねぇ」

 

「そうですか。まあヒメカさんはそれで良いんですけど」

 

「とにかく、その後にも続くものがある訳なんです」

 

「そうだね」

 

 それはそう。

 直前だって、先生は生きてる世界だからね。

 

「だから、その為に遺せるものを遺します」

 

「ほえ?」

 

「ヒメカさんがいなくなっても、ヒメカさんのこと忘れたくないのでっ!私の為に、写真にしてたんです」

 

「……そっかぁ」

 

「    良いね、その心意気好きだよ。私の頑張りが無駄にならないから」

 

 そう言われてなんか、案外喜んでる私がいる。

 ……そっか、今まで関係を築いても死んだらまたゼロからだったもんね。

 覚えようとしてくれるのは、そりゃあ嬉しい。

 

「今回はずっと楽しそうでしたよ?」

 

「まぁ、そうかも。皆が覚えてるなんて初めてだったから、案外?」

 

「あははっ、自分はぼっちだ〜って言ってましたもんね」

 

「うげ、忘れてよもう」

 

 そうだチアキさんってば人の信頼を得るのが上手いんだった。

 チアキさん的には、新聞のネタの集め方って言うのかな?

 

 その時に色々話しちゃった気がする。

 

「次の時、私達が覚えているかは分かりません」

 

「覚えてそうだけどねぇ」

 

「分かりませんよ?だって、ヒメカさんにとって初めてなんですよね?この体験は」

 

「油断は大敵です」

 

「……諭されちゃった?」

 

 わぁ調子狂う、初めてかもまともにループのことを心配されたの。

 死なない様にってのは、見ての通りいっぱいだったけど。

 

「チアキさんには調子狂わされてばっかだ、ほんと急展開って怖いなぁ」

 

「ふふ」

 

 ……泣きそうになりながらも、いつもの調子で、軽快に話すチアキさん。

 やめてよ、引き金を引く手が鈍っちゃう。

 

「よければ」

 

「?」

 

「さん付け無しで呼んで頂けませんか?……私は、その方が嬉しいのでっ!」

 

「……」

 

「チアキちゃん?」

 

「できれば呼び捨てでっ!」

 

「んー恥ずかし……じゃあ一回だけ」

 

「チアキ?」

 

「……!はいっ」

 

「行ってきます」

 

「……あと、ありがとね」

 

 お礼を言って引き金に力を込める。

 

「    いってらっしゃい、ですっ。ヒメカさん」




後で超泣くタイプのチアキちゃん
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