透き通る青の世界の中で、私は今日も真っ赤っか   作:名匿

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もう止まれない、止まらない

「ふぁ……」

 

 驚くほど何も起きないまま4日が過ぎた、あれぇ?

 私の気が逸ってるのかな、ゲヘナからじゃあんまり確かな情報は手に入れられなかったけどね。

 

「というか早々に誘拐された所為でそもそも集まってないんだったね、どうしよ」

 

 困ったもんだね美食研究会!

 おかげさまでヒナさんの言葉しか頼れるものがない。

 

「まぁ、何かしら起きる、絶対に」

 

 先生とか関係なく、何かは起きるでしょう。

 何たってこのキヴォトス、平穏という言葉に嫌われているからねぇ。

 

「カヤさんのとこ調べたくても、流石に潜入はなぁー……」

 

 無理だよね。

 驚異的なハッキング技術がなければ、連邦生徒会に籍も……まぁ、私は置いてない。

 先生に関わるなり各学園のトップになるなりしないと縁はない生き物だからね、連邦生徒会って。

 

「あほあほ生徒会長様がいなくなっちゃった所為でそういうのも厳しそう、あと単純にめんどくさい」

 

 手間暇と得られるものが釣り合ってるとは思えないよあのブラック組織。

 代行の人ループして時が進む度に疲れるというか、やつれてる様に見えるからね?入れたとしても入りたくなんてありません。

 

 これ以外手がない!ってなったら頑張るかも。

 

「超人だなんて呼ばれたって、居ないんなら無能と変わらないよそんなもの」

 

 だからあの人あんまり好きじゃないなぁ。

 ……ま、あの人が居ようが居まいが私が死ぬのは変わらないんだけどね!

 

「残るはカイザーの方、かな……?」

 

 まあ無理。

 使えるものは使う主義だけどどうにもならないよあそこは。

 

「下っ端がどうこうできる場所じゃないよねぇ」

 

 事実、アビドスの時に何回か潜入を試したけどほとんど何もできなかった。

 難しいね、選択肢って。

 

「間違えた瞬間私の死だもん、やってらんなーい」

 

 やるしかないけど。

 

「ん    ?」

 

 背後、誰か見てる。

 ぞわっとしないけど、嫌な感じ。

 

「こんな夜更けに、どちら様?」

 

「……ふふ、お久しぶりですね」

 

「げ」

 

 この声。

 でたな女狐。

 

「前回まではよくもありがとう、不知火さん」

 

「私怨が隠しきれていませんがどういたしまして、ヒメカさん」

 

 知ーらない。

 

「何しに来たの?」

 

「ただの世間話ですよ」

 

「周りに物騒な人達連れて来てるのに?」

 

「……ふふ」

 

 十中八九私のこと潰しに来てるんじゃん白々しい。

 

「一応、何で私のこと狙ってるのか聞いてもいい?」

 

「あなたに興味があるからです」

 

 えぇ個人的な理由ですか、やめてよ戯れでメタってくるの。

 大変なんだよね乗り越えるのが。

 

「超人には程遠くとも人望があるあなたと、()()()()()()超人に近しいけれど人望がない私」

 

「己を使い潰して目的を達成するあなたと、目的のためにどこまでも他者を使って失敗している私」

 

「……」

 

「面白いとは思いませんか?まるで狙ったかの様に鏡合わせなんですよ、立場がね」

 

「興味ないかなぁ、というか偶然でしょ」

 

 どこに面白さを感じてるんだか。

 超人なんかになろうとする変人様は、視点まで変なんだね。

 

「どちらが正しいのか、私は興味が湧いたんですよ」

 

「超人なき今のキヴォトスで、最後の最後で理想を掴める正しさを持つのは、あなたか私か」

 

「……」

 

 うるっさ。

 嫌味かな?

 

「その理想の為にぼこぼこにされてるんだけど私」

 

「おや、奇遇ですね私もです。今まで散々蔑ろに扱われて来ましたとも」

 

「意味が違うでしょ、腹黒女」

 

「結果は同じでしょう、能天気なあなた」

 

「……」

 

 うーん。

 やっぱ嫌いだなぁこの人、見透かされてる感じが好きになれない。

 

「あなたにも散々ぼこぼこにされたんだけど?」

 

「ライバルですから、蹴落とさないとですよ」

 

「勝手にライバルにしないでよ」

 

「かくいう私もあなたに何度も貶されて来ましたよ」

 

「障害物は壊さなきゃでしょ」

 

「私は物ではありませんし、私の目的にあなたは邪魔です」

 

「……」

 

「……」

 

 噛み合わなーい、どうしよこの人。

 外にいるのは……FOX小隊かな、不知火さんに従ってるし。

 

「カヤで構いません、敵にまで丁寧に接する必要はないでしょう?」

 

「何でかなー、意地でも名前で読んであげたくないんだよねー」

 

「おや、それはとても悲しいことですね」

 

 嘘吐き、全っ然悲しそうじゃないじゃんその声。

 それはそれとして、逃げる算段を……。

 

「逃げられると思っているのであれば、それは間違いです」

 

 そう言って、カヤさんは物騒なものを構えた。

 もちろん、私に向けて。

 

「……そんな物騒なものは代行の人にでも向けといてよ」

 

「おや、あなたもその手に握っているじゃありませんか」

 

 うわ。

 何でバレてんのさ気持ち悪っ。

 2手3手先を潰して行くのは私のやり方なんですけどー?死に戻り唯一のアドバンテージなんですけどー???

 

「超人を目指すのであれば、この程度はこなさないとお話になりませんよ」

 

「……超人だったなら、私を止められるとでも?」

 

「ええ」

 

「実際、あなたが決死の思いで達成した今までは、連邦生徒会長が用意した先生がこなして見せましたからね」

 

「一々鼻につく言い方しないでよ、今更だけど」

 

 私無しでここまで来れたなら私要らないじゃん?ってのは本当にそう。

 いつだって遠回りで、余計なやり方でしか成し遂げられないんだから私ってのは。

 

「あなただって結局裏切られて潰えてるんじゃないの」

 

「そうですね。ですが今回こそは成し遂げますよ」

 

「ループにおける初めての変化、ですからね?」




主人公の敵として覚醒したタイプのスーパーカヤちゃん。
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