透き通る青の世界の中で、私は今日も真っ赤っか   作:名匿

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同族嫌悪とランデブー

「目にもの見たか女狐このやろーっ!!」

 

 あのセイアさんより未来予知してやがる化け物女めっ!なんで行く先々であんたと出会うんですかね!

 若干やけくそだよ変なテンションにならざるを得なかったよほんとにね!

 

「何回やり直した?いたた……」

 

 刺さってる何かの破片を抜いて消毒して、穴を清潔な糸と針でちゃちゃっと縫う。

 あっちが『ループされてる前提の計画』で物事を考えるんなら、こっちは『死なない前提の捨て身』で計画ぶっ壊すだけだよ。

 

「あっちはあっちでループしてる……ってことはないみたい」

 

 少なくとも、今回のやり取りにおいてはね。

 その他は知らない、ほんっと厄介。

 

「……これじゃ今までのやり方が全部パーって奴なんだけど?」

 

 私に合わせてあっちが行動変え始めたら死にゲーの大前提こわれる。

 今?

 

「私ごと手榴弾でぶっ飛ばしたから流石に休んでるでしょ」

 

 ストレスフルだからその後の表情も見てスカっとしてやりたかったけど、そんな余裕は微塵もないので仕方ない。

 こんなのが今回相手になるの?

 

「……」

 

 地味にめんどくさいんだからねやり直してからそこまで戻ってくるの。

 こまめにセーブして、好きなセーブ地点からやり直すなんて親切な仕様はないんだからこっちはさ。

 

「確実に詰みって状況に持って行くのが上手だねほんと」

 

 今回にこれ以上はないって状況にされちゃあ戻るしかない。

 しかもその後それに合わせた行動して来るんだからイカれてる。

 

「超人2世を名乗るのも伊達じゃないって感じ」

 

 よーやくあっちの謎未来予知のカラクリも解けたし今後はそうもいかないよ。

 理解はしたけど納得はしてない、あんな理論で攻略される身にもなってみろふざけんな。

 天才の癖にやってることが泥臭いのなんなのさ。

 

「ハメ技とかグリッチで淡々と攻略されてる気分だったね」

 

 する側見る側ならほえーで済むけどされる側だと洒落になんない。

 ……D.U.だとあれと真っ向勝負しなきゃならないの災難が過ぎるでしょ。

 

「かと言って他の場所じゃあお話にならない」

 

 また変なトラウマ抱えた人達に絡まれるのも困るし、そっちにまで不知火さんがやって来たらもう終わりだね。

 先生に死なれるのも困る。

 

「うぐぐ……真っ向勝負してやろうじゃんかぁ……!」

 

 ぞわぞわなんてもんじゃないけど、あの人とやり合うの。

 知恵と根性比べみたいな感じだから、精神がじりじりとすり潰される新感覚だ、知りたくなかったかな!

 

「次は、完膚なきまでに黙らせる」

 

 あいたっ。

 ……変なところ刺しちゃった。

 

 

 

 

 

 

「いたた……ふふ、やはり面白いですね、ヒメカさんとの"知恵比べ"は……!」

 

「絶対安静なんですから今は大人しくしていて下さい」

 

「それではヒメカさんの思い通りになってしまうのですが」

 

「問答無用」

 

「……」

 

 はあ、仕方ありませんね。

 FOX小隊の皆さんにも、今回はあっちこっちへ奔走してもらいましたから、休息は必要でしょう。

 

「ここまでする必要はあったのか」

 

「はい?」

 

「確かに、記憶の中の沙華(しゃばな)ヒメカは……」

 

「皆まで言う必要はありませんよ」

 

 まあ、ぶっちゃけ過剰なのですが。

 とは言え過剰くらいがヒメカさんを相手取るのであれば相応しいとも言えます。

 

「化け物達の考えはわからないな」

 

「おや、化け物"達"ですか」

 

「ああ、死んでも尚繰り返す沙華ヒメカと、それすら計画に組み込む不知火カヤ室長。どちらも化け物じゃないのか」

 

 確かに、側から見ると何をしているのか理解できない化け物達と言うことになりますかね?

 しかし。

 

「……ふふ、心にもないことを言うものではありませんよユキノさん」

 

「……」

 

 本当に誰からも好かれる人ですね。

 敵ですらこうやって絆してしまうのですから、私とは正反対です。

 

「安心してください、私の計画は彼女を殺すことではありませんので」

 

「……ああ、理解している。だからこそ……」

 

「もう下がっても構いませんよ」

 

「……」

 

 今回、私が建てた計画は簡単なものだ。

 まずは完璧にヒメカさんを無力化できる計画αを建てる。

 おそらく最初と、その次も上手くいけばヒメカさんを無力化していた筈だ。

 

 だがダメだった、と言うことですぐに計画βを実行した。

 無論それもヒメカさんの行動を予測して、ヒメカさんを無力化できる計画です。

 

 そしてただ、それを繰り返しただけ。

 βがダメならγを、γがダメならΔを、εを……と言った具合に。

 

 結果的にカラクリを解いたヒメカさんによる自爆テロという奇抜な一手にやられてしまいましたが、そんな強引な手にヒメカさんが出なければならなかったと言う時点でこの手は有効であるという証左でしょう。

 

「後出しジャンケンの上手い人には、後出しジャンケンをぶつけるしか手はありません」

 

 ああ、本当に。

 今回こそはと思っていましたが、中々どうして終わらない。

 ヒメカさんがいる限り、先生を止めることは叶わない。

 ですがそのヒメカさんが諦めてくれないのですから。

 

「ふふ、ふふふ……次こそは終わらせますよ。ヒメカさん」

 

 うっ、笑うと傷が痛みますね……。

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