ホロライブラバーズ トロフィー「3馬鹿1人三役」取得チャレンジ   作:片割れコンセント

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35話で一旦更新を休むかもしれません……
「あぁ……あのアンケートそういう事だったんですね?唐突ですけど一体何があったんすか?」
いや、リアルの方が立て込んでて……それに、受験シーズンに出しても見てくれる人少ないかなぁって……
「元々少ないんですから、これ以上は下がらないと思いますけど……」
まぁ、35話まではあるからね!



だ〜れ〜もみ〜な〜さ〜まよいな〜がら〜こ〜た〜えを〜さ〜がし〜て〜
で〜れれで〜れれで〜れれで〜れれで〜れれでれれれ〜ん〜
「歌わないでくれます?」
あっ、すんません……


第31話 moment

ゲームオーバーに怯えながらゲームを起動しなければならないRTA始まるよ〜

RTAのはずなのにあまりにも驚愕に展開すぎて電源を一旦落としてしまった……これゲームオーバーだったりする?再走確定だったりしませんか?……確認していきましょっか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの戦いは終わり、辺りはあの激闘はどこえやら、風の音すら聞こえないほど静まり返っていた。皆は戦いの残した傷跡の対処に勤しみ、避難民達もぞろぞろとアークエンジェルから出て行った。そうして、最後に僕達が残った。

アークエンジェルの医務室。つい先程までは人が絶えず行き来していたが、今は自分達と、代表さん。それと、フラガ大佐さんって言う人が残っていた。いろはちゃんはなぜだか見当たらなかった。アークエンジェルの人達にも聞いてみたけど、見つからなかったらしい。代表さんの顔は、初めて会った時とは違って、とても真剣で、悲しそうな顔だった。その真剣な顔に、全員ベッドから起き上がり、代表さんの言葉を固唾を飲んで待っていた。

「皆さん、まずはお礼をさせてもらうわ。貴女達の助力もあって、何とか今回の襲撃を退けることができました。本当に、ありがとう……」

「えぇっ!?いやいや、僕達何も力になれなかったですよ……キラくん達が頑張ってくれたからで、僕達は……」

「「っ……」」

キラ。その名前が出た途端に、二人の顔色が変わった。そういうことに疎い僕でもわかったんだ、おそらくみんなも感じたんだろう。だからこそ、声に出せなかった。口に出すのが怖かった。答えを聞きたくなかった。

「あの、キラ君は……どうしたんですか?」

静寂を払うようにフブキ先輩が声を上げた。その顔には覚悟が浮かんでいたが、どこか祈っているようにも見えた。

「キラ、君は……その……」

代表さんは言いづらそうに言葉を詰まらせて、僕達から目を逸らした。フラガさんはそれを見ると頭を掻きむしりながらため息をとともに答える。

「行方不明だ、戦闘中行方不明。今も捜索中だが、まだ見つかってない」

「ちょっと、ムウ……!」

「今俺たちが言わなくても、後から知らざるを得なくなるだろ。それなら、早いうちに知っとくべきだ……」

全員言葉が出なかった。自分達を逃すために一人であれに立ち向かっていったキラ君が行方不明。しかも、戦闘中にそのまま。まだ結果が決まったわけじゃない。でも、その言葉がたいてい何を意味するかは、自分にもわかった。

「まぁ、そういう事だ……今回の騒動の始末やキラの捜索は俺達で行う。君達はもう帰っていい」

「嘘だ……そんなのおかしいよ!だってキラ君は……キラ君は……!」

「かなたちゃん、もういいよ……もううち達にはどうしようもないことなんだよ……」

医務室から飛び出そうとするかなたを、ミオが諌める。その途端、かなたは壁を思いっきり殴り、俯きながらに嘆いた。

「じゃあどうしろって言うの!?何にもできずにキラ君に助けられてばっかで、まだありがとうともごめんなさいとも言えてないのに、大人しく帰れって、キラ君の事は諦めろって言うの!?」

「っ……いや、それは……」

その場にいた誰も、かなたに言い返せなかった。かなたの言うことは確かに真実だった。自分達は守られてばかりで、それなのにキラを助ける事はできず、今現在彼は行方不明。その現実が部屋全体に重くのしかかっていた。

「みんなが来てくれなくてもいい。僕一人でもキラ君を探して、必ず助ける」

そういってかなたはアークエンジェルから飛び出していった。それに続いて、他の皆も医務室から出ていく。そこには会話も、少し前まであったはずの暖かな雰囲気もすでに無くなっていた。

「ちいっ……くっそおぉぉっ!!」

「キラ君……」

人のいなくなったアークエンジェルで、ムウの叫びがこだまする。皆辛いに決まっている、友人を、後輩を、家族を亡くして辛くない人なんていない。明空キラという存在は、良くも悪くも皆の中で大きな存在になってしまっていたのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

それと時を同じくして、別の場所でも戦いの残した傷跡に苦しみ、苛まれている人達がいた。

「っうぅ……キラ、殿……ごめんなさい……ごめんなさい……」

誰もいない暗闇の部屋の中で、謝罪と自責の言葉だけが虚しく反響する。あの後、目を覚ましたいろははそのまま無我夢中で家まで逃げ帰り、布団の中に潜り込んだ。最低最悪な自分を無数の目が見つめているような気がした、自分を責める声があちこちから聞こえた気がした。外界と自分を切り離すことが、せめてもの自衛手段だった。

落ちこぼれだと言われ続け、自分の嫌なことからずっと逃げてきたいろはに、人を殺した責任というのはあまりにも重い物だった。見ず知らずの物を手にかけた事はなかったわけじゃない。ただ、悪と言われ、証拠を見せられ、殺されて然るべしと思っていたからこそ、いろはは耐えられていた。だが、いろはにとってキラは優しくて、自分を守ってくれて、落ちこぼれの自分に拾ってくれた仲間達以外で初めてできた、自分を普通の人間だといってくれる存在。殺されるいわれなんてこれっぽっちもないような存在だった。でも、自分はキラを手にかけた。命の選択の重みを、身をもって知った。何で自分が、どうして自分がと神様を恨みたくもなった。だが、不意にふと疑問が浮かんだ。命に優劣をつけているわけでも、軽視しているわけでもない。それでも、キラを殺してしまったときは、いつもより遥かに苦しかった。なぜキラの時だけ、あんな気持ちになったのか。

今までも、知り合いを殺す事は何回かあった。その上、気が合ったり、仲良くなった人も中にはいた。別に、その人たちを殺めるのが辛くなかったわけじゃない。でも、みんなでそういう人を殺してしまった時も、ここまで苦しみを感じることはなかった。自分の心を何度疑っても理由は全くわからなかった。なぜここまで辛いのか、キラに何か特別なものがあったのか。頭の中でキラの事を思い返す。穏やかで優しそうで、でもどこか芯のあるあの顔。初めて会った時も、嫌な顔ひとつせず自分を助けてくれた事、バトルロワイヤルでも、今回の戦いでも、自分のために自らの命をも顧みずに守ってくれていた事。キラの事を思えば思うほど胸がキツく締め付けられていくのを感じた。そして、いろはは自分で一つの答えに辿り着いてしまった。

(風真、キラ殿の事、好きだったんだろうなぁ……きっと)

自分でもその言葉が出てきたことに驚きだったが、あいにくそれ以外に自分のこの気持ちに適した言葉を自分は持っていなかった。そして、その答えがよりいろはの心を苦しめていく。

(何で今になって、風真はそんな事思っちゃったんだろ……もう、キラ殿は風真が……風真が……)

もっと早くに気づいていたら、まだ何かできたかもしれない。思いを告げる事も、諦めをつける事も。元々、違和感に気づいていなかったわけじゃなかった。でも、その違和感に答えを出す事を後回しにしてしまっていた。そのツケが、今になって自分に回ってきたのだ。問題は先送りにしていると碌なことがない。大事な物なら尚更だった。

(もうキラ殿は、いないのに風真は……うぅっ……キラ殿ぉ……)

好きだった人を裏切って殺して、そうしてでも助けようとした仲間達は行方不明のまま。その行き先を知っていた人物からも、何の連絡もない。残ったのは、キラを殺した罪だけ。これが大切な人を裏切った罰だとするなら、あまりにもそれだけでは不釣り合いだとわかっていながらも、自分の刀に手をつけることはできず、いろははただ枕を濡らし続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、アークエンジェルから離れたとあるマンションの一室にて、一人の男が目を覚ます。

「っ……ここは?」

目が覚め、辺りを見渡せば知らない天井だ。右手には包帯が巻かれていて、寝かされていた体は下手に動かそうしなくとも激痛が走る。包帯は俺が言えた事ではないが中々に荒い巻き方であり、少なくともここは病院じゃないしこれを巻いてくれた人物は医者ではないのは確かだろう。

アスランがそんなことを考えていると、目の前にあった扉がゆっくり開き、その隙間から金色の耳がゆっくりと入ってくる。一瞬でアスランの脳内は答えを弾き出した。アスランが間違えるはずがない。あの時、自分が命に替えてでも守ろうとした人物

「ポルカの家。お前が怪我して倒れてたから、ここに運び込んだ」

「ポルカ!よかった、無事だったん……」

尾丸ポルカが、部屋へと入ってきたのだ。ポルカの顔はひどく安堵していたが、何かを必死で押し殺しているような違和感をアスランは感じ取っていた。それを感じたからこそ歓喜の声はいつのまにか止んでいった。

「で、今の俺になんのようだ……」

「聞きたいことがある。と言うより、確認かもしれないけど……あの時、あの森でアスハと戦って……それでアスハをやったの、お前だな」

思考が止まる。その場の空気が一瞬にして変わった。何で、どうして、そんな疑問が渦巻き、痛みも感じないほど全身の感覚がなくなったような感覚に襲われる。思考より先に自然と声が出る。

「……見てた、のか」

「見てたよ。二人のすぐ目の前で……」

あの光景が再び鮮明に浮かび上がってくる。思い返してみれば、あのときポルカのような声が聞こえていたような気もした。あの時、あの場にポルカも居合わせていたのなら……

「あぁ、俺が殺した。俺が、イージスで組みついて自爆した」

ポルカの表情はどんどん怪訝なものになっていき、その手は血が滲むほど強く握られていた。

「アスハはどうなったんだよ……あの後あそこにはアスハもいなかったし、痕跡一つ見つからなかった!お前なら知ってるんだろ!?アスハが……何とか言えよ!」

ポルカにはその先が言えなかった。その可能性を払拭したかったから、信じたかったから。その当人から否定されれば、まだ微かな希望でも持てるはずだと思ったから。だが、アスランが返した答えは、ポルカがもっとも求めていなかった答えだった。

「俺にもわからない……でも、あの爆発に巻き込まれて、生き残っているとは思えない……それしか、もう手がなかったんだ。あの時のアスハを、殺すには……」

「っ……」

既に心のどこかではわかっていたことだった。だが、ポルカはそれを受け入れる事も、認める事もしたくなかった。なのに……

アスランもそれを口にしたとき、他の事は感じないのに、何かが頬を伝っていく感覚はなぜだか鮮明に感じた。なぜ俺が泣いているんだろうか、俺は命を奪った側だというのに……

「でも、何で俺は生きてるんだろう……あの時、脱出しちゃったからかな……」

変に脱力したアスランの言葉が溢れた。そのままアスランは俯いていた顔をポルカの方、いや、ポルカが背後に隠し持っていた拳銃に向く。

「それとも、お前が俺を討つからか……アスハの仇の、俺を……」

「っ……お前ぇぇ!!」

ポルカの心の中に怒りと憎悪が込み上げてくる。もうアスランとはあまり関わらないようにしようとか、アスランの怪我とか、そんなものはわきあがる感情によって頭から吹き飛んでいた。アスランをベッドに押し倒し、隠し持っていた拳銃を突きつける。今まで見えなかったアスランの表情は泣いていた。

「……なんで、お前が泣いてるんだよ……アスハはずっと一人で孤独に生きてきて、やっとポルカやお前みたいに一緒にいてくれる人ができて、ようやく孤独から解放されて生きられるはずだったのに……アスハは化物なんかじゃない!アスハはポルカのショーを見て笑ってくれたし、怖がりで人見知りなだけの、ただの女の子だったんだぞ!それがなんで殺されなきゃならないんだよ!それも、よりにもよってお前に!アスハはお前にあんなに懐いてたのに、なんでお前がアスハを殺すんだよ!」

銃を持つ手は震えていた。怒り、憎悪、後悔、それらがポルカの中で叫び続ける。仇を討て、こいつをやれと。だが、同時にポルカは分かっていた。今アスランを殺しても、何の意味もない。それでアスハが帰ってくるわけでもない。もう何をしても、取り戻せない。視界がひどく滲んでいた。溢れた涙がアスランの手にぽたぽたと落ちていく。

「わからない……わからないさ俺にも!!あぁ、俺だって知ってるさ!お前の言う通りアスハが星を見て綺麗と思えたり、珍しいものを見て笑ったりできる、普通の少女だってことぐらい!でもあの時、アスハをお前に託して俺はアスハと別れた!別れて、次会ったときには敵だったんだ!」

「っ………」

「こんなことはもうやめろと!お前を殺したくなんてないと何度も言った!あいつは俺の戦いには何も関係ないただの一人の少女だ!戦いなんて無縁の世界で過ごすべき存在だ!アーガイルの意のままにエクステンデッドとして利用されている方がおかしい!」

「アス、ラン……」

ポルカは何も言えなかった。アスランだって、嬉々としてアスハを殺したわけじゃないとはわかっていたから。だけど、アスハの苦痛を自分と同じように理解し、助けようとしていたアスランがアスハを殺した事が、孤独とは無縁になるはずだったアスハの未来を奪ったことが、どうしても許せなかった。

「なのにあいつは聞かなかくて……アークエンジェルを襲おうとして、俺達と戦って、仲間を傷つけて……ニコルを殺した!」

「だから、アスハを殺したのか……」

「敵だったんだ!あの時のあいつは!あのままにしておけば、いずれアークエンジェルの人たちを、避難民もろとも皆殺しにしていた!アスハに人を殺させたくなんてなかったんだ!特にアスハがお前を手にかけてしまうのは、絶対にそんなこと、起こしてはいけなかった!俺が止めなきゃならなかったんだ!なら、倒すしかないじゃないか!」

自分の命も顧みずアスハを自爆してまで殺す。なぜそうまでしてアスハを殺さなければならなかったのか。敵だから、言う事を聞かないから、仲間を殺したから、だから仕方のない事だったと。アスランの言い訳にポルカはアスランの胸ぐらを掴み、真っ向から怒鳴り返す。

「バカヤローッ!!なんで……なんでそうなる!なんでお前が、そんなことしなくちゃならない!そんな物、何でお前一人が背負わなきゃならない!!」

「じゃあどうすればよかったんだ!?俺だって戦いたくなんてなかったさ!でも、俺にはたとえこの手をどれだけの血で染めることになっても!どれだけ恨まれ、その先で俺がどうなろうと!俺は絶対にこの戦いと、憎しみの連鎖を止めなきゃならない!そういう責任が、俺にはあるんだ!」

「っ……!?」

「それに、あいつはニコルを殺した!ピアノが好きで、まだ十五で!あいつだって、アスハと同じ巻き込まれた側の人間だ!なのに、俺を助けるためだって言ってアークエンジェルで必死で戦っていたあいつを!」

アスランは既に知っていた。大切な人を殺され、その怒りと恨みで、多くの人の大切な人の命を奪い、自らの大切な人さえ手にかけてしまった者達を。だからこそ、アスランはそれを止めたいと、そう願い、戦った。

だがそれこそが、アスランの言う憎しみの連鎖じゃないのか。アスランの止めたいと願う物ではないのか。アスランがそれを止めようと行っていること自体が、新たな戦いと被害者を産んでしまっているのではないか。今だってそうだ。アスランはアスハに大切な友達を殺され、アスハを殺した。そして今、アスハを殺された自分自身がアスランに銃を突きつけている。ならアスランは、自らが止めようとする限り永遠に終わらない、無くならないもののために自分の全てを使うのか。アスランを憎んでも意味はない。アスランを殺しても生まれるものは何もない。引き金からいつの間にか指が外れていた。どうやら自分は、こいつを恨めないし、殺すこともできないらしい。

「……アスハだって、殺したくて殺したわけじゃないだろ!なのに、何で……何でお前に殺されなきゃならないんだよ!それがお前の言ってた憎しみの連鎖じゃないのか!?お前が止めようとしてる物じゃないのかよ!!」

「っ!?……うぅっ……」

「そうやって殺されたから殺して……殺したから殺されて……それで最後は本当にお前の言う戦いとか、憎しみの連鎖とかが終わって、こんなことはもう起きなくなるのかよ!……お前は、いつになったら救われるんだよ…………うぅ……」

アスランは答えられなかった。どうやったら終わらせられる?どうしたらそれを無くせる?それまでアスランが持っていた答えは間違いだったと、今こうして突きつけられている。今までアスハのような被害者を何回も見てきた。そんな人を無くせるようにと戦ってきた。だが、ただ誰かがそれによって奪われる恐怖を排除するだけでは戦いは終わらない。ポルカがアスハを思うように、今まで自らが倒してきた敵にも大事に思う人がいる。一つの悲しみや憎しみのために敵を殺せば、それはまた新しい一つの悲しみや憎しみを生むだけ。それは何の意味もなく、ただ守るため、仇を討つためと正義という皮をかぶった正義でも何でもない人殺しだ。憎まれていた方が楽だった。なのに、今のポルカは恨んではくれない。ニコルやアスハの死という現実が、二人の心に大きな穴を開けたことには変わらない。討った者が悪い、憎いと思えれば、その穴をそういった気持ちで埋められたかもしれない。でも、それを恨めない、恨まないのならその穴はずっと空いたまま。それは何よりも辛く苦しいことだ。相手を憎んでいた方が、ずっとずっと楽だから。二人の間に空いた大きな穴に、苦しみを、恨みを捨てる事もできず、ただ二人の涙だけが溜まっていくのだった……

 

 

 

それから幾分かの時間が経った。あれからアスランとポルカの間に会話はなく、かと言ってポルカがアスランの側から離れる事は一回たりともなかった。さっきまでの会話から、そのまま放っておけば、アスランは一人で死んでしまいそうだったから。すると、突然アスランがベッドから起き上がる。

「俺は行かなくちゃ……」

しかし、起き上がったアスランは明らかに重症で、どこか上の空だし歩く前からすでにふらついていた。

「行くってどこにだよ。大丈夫?そんな体で……」

(大丈夫かって、さっきまでベッドに押し倒したり胸ぐら掴んだりしてきたのに今になって大丈夫?とか言うのか……というかそもそも、何でポルカは俺を心配してくれるんだろうな……)

内心そう思いながらも、アスランはふらつく体を抑えてベッドから立ち上がる。

「わからない……でも、この終わらない戦いを止めなきゃならない。アスハみたいな人を少しでも減らさなきゃならないんだ……」

今のアスランにとっての先決は何なのか、本人もわかっていなかった。どうやれば終わらせられるのか、今までの自分のやり方が間違っていたとするなら,正しい行いとは何なのか。それを知るため、考えるためには、ここでずっと立ち止まっているわけにもいかなかった。そんなことを考えていると、ポルカが心配そうに語りかける。

「……腹の傷、具合はどう?それの治療、すごい大変だったんだぞ。慣れない力で慣れないことさせやがって……」

そう言いながらポルカがアスランの服を少し捲ると、そこには不格好ながらしっかりと処置がされていた腹部の刺し傷があった。なぜそこまで自分にしてくれるのか、やっぱりわからない。

「やっぱり変な奴だな、お前は……ありがとうでいいのかな。今はよくわからないが……」

自分でも、何に対しての感謝だったのか、救助してくれた事?心配してくれたこと?なぜだかわからなかった。どうにも頭がぼーっとして、考えが定まらない。でも、今はポルカのおかげで、少し気分が晴れた気がする。まぁ、それすらも俺にはなぜだかわからないが……

「……あっ、ちょっと待って!これ、お前が前着てた服。お前の治療につきっきりで洗濯できてなくて、色々血とかついちゃってるけど、一応返しておく。あとは……あれ?どこにおいたっけ……あっ、あったあった…これ、お前に渡しとく」

そのまま部屋を後にしようとしていたアスランを、ポルカが呼び止める。ポルカは部屋の中を少し漁ると、目的の物を見つけたのか、それをそのままアスランの首にそれをかける。

「これは?」

首にかかっていたのは、神社とかで見るような小さなお守り袋だった。手に取ってみて色々見てみるも、特に変な物ではないようだった。

「ポルカの知り合いにそういうの専門の人がいてさ、その人に教えてもらって、友達に作ってたお守り。ちょっと失敗しちゃった余り物だし、ポルカは別にその人と違って巫女さんでもないけど、お前危なっかしいし、持っておきなよ。なんかそのままだと、どっかで倒れちゃいそうだし……」

やっぱり、何でこいつはここまで俺を気遣ってくれるんだろうか。だって俺は……

「……アスハを殺したのに、か?」

自嘲気味に言うアスランに、ポルカの表情が一瞬曇るも、すぐにキッパリと告げる。

「もう、誰にも死んでほしくない。少なくとも、ポルカの知ってる人には、絶対……」

ポルカの中でも、色々と考えの変化が起きていた。あの自爆の後、必死になって探していたら、急に光と共にアスランが土の中から現れて、そのまま家に連れ帰った。アスハを殺した事に喜んでいたら、自分は間違いなくアスランを殺していた。でも、こいつはむしろアスハを殺したことを後悔していた。アスランのあの涙や嘆き、挙げ句の果てには何で自分は生きているのか。とか言い出して、それを聞いて、演技だとか、嘘だとか、そう怪しむ事も、恨む事もできなかった。もう、自分の知っている人がこんな風に死ぬのは経験したくない。それはとても辛いことだったから……

「………そうか。じゃあな、また会う事があるかは、わからないが」

そう言いながらアスランは立ち去っていった。アスランの中でも、ポルカの存在は揺れていた。ポルカがどう思っているかはわからないが、アスハを殺してよく思っているわけはない。自分も、それに対して負い目を感じていないわけがなかった。それに、自分と関わっていれば、またこんな戦いに巻き込まれる。それを繰り返させたくはなかった。自分を叱ってくれていたポルカは、自分より辛そうに見えたから。

(できる限りもう関わらないようにしよう。それが、あいつにとっても一番なはずだ……)

そう言いながら自宅への帰路を進む。つい先程までの戦いの傷が消えない森を歩き続けて数分。

「うっ……!」

突然アスランが地面に倒れ込む。当然だった。あんな熾烈な戦いの後、脱出したとはいえ自爆に巻き込まれておいて、むしろ精神ががよく持った方だった。アスランの意識が沈んでいく。そして、倒れていた体が立ち上がる。

「ここは……どこだろ。いつのまにか夜になってるし、周りに家も見えないや……」

あの時腹を突き刺されてから意識が途絶えていたキラが、体を起こし、辺りを見回す。しかし、その動きにはどこか生気がないように見えた。

「とりあえず、ここにいてもどうにもならないよね……歩かないと……」

ちょうど満月の夜だったことが幸いして、ずっと同じところをぐるぐると迷子になるなんてことはなく、てくてくと歩いていく。そうしてしばらく歩いていると……

「あれ?ここって……イージスの保管庫?」

キラはアスランのイージスが保管されていた保管庫にいつの間にやらたどり着いていた。

そのまま中に入っていくと、かつてイージスが収容されていたところにはがらんとした空間が広がっているだけだった。しかし、キラはそんな空間の奥から光が差し込んでいる隙間を見つけた。

「あれ、何だろう……奥に何か、あるのかな……」

開きっぱなしに隠し扉を潜ると、そこにはテレビで見るようなスペースシャトルのようなものが鎮座していた。アスランはいつの間にこんな物を置いていたんだろうと、興味に駆られてシャトルの中に入って、そのまま操縦席に向かう。計器を立ち上げて、モニターを起動すると、様々な表記が浮かび上がる。

「目的地がもう設定されてる……ここどこなんだろ?少なくとも、宇宙だろうけど……宇宙ステーションにでも行けるのかな……」

そこには、少し前にアスランが設定していた目的地と、そこへ向かうための航路が設定されていた。どうやら変更はできないらしい。

「どうせなら、ここに行ってみようかな。もう、学校にはあんまり行きたくないし……」

そういって操縦桿を握り、発進しようとする。しかし……

「エネルギー不足?」

いくら押したり引いたりしても、シャトルは動かず、モニターには、エネルギー不足の表記が赤く点滅していた。しかし、キラはその表記の少し下にあった表記を見つける。

「現在エネルギー96%……必要待機時間35分?自動でエネルギーをチャージしてる?一体どこから……」

どうやらその表記によると、シャトルに必要なエネルギーは現在も自動で回復していっているようで、今もそのタイマーが一秒一秒動いていた。

「まぁ、充電できるまでは外にいようかな……」

行けることはわかったが、そうなるとやることがなくなってしまったキラは保管庫を上がって、夜の森をふらふらと彷徨う。一応方向は覚えてきたので、迷子になることはないだろう。

(僕は、どうすれば良かったのかな……みんなを守るためには……)

そんな事を考えながら歩いていると……

「うわっ……!?」

「ふぇっ!?」

そのまま誰かにぶつかった。起き上がって相手を見ようとするも、夜の暗さのせいかあまりよく見えない。

「すいません、僕の不注意で……えっ?」

「いやいや!僕が前見て無かっただけ…だ、か……」

近づいて見えたその顔は、キラにとっても見覚えのある顔だった。あの時、エクステンデッドからいろはと同じように守ろうとした人の一人。

「かなた?どうしてここに……?」

「キラ君こそ!何でこんなところにいるの!?」

天音かなた、その人であった。




戦闘シーンがないのに文章が過去一長いだと!?
「一万字の大台に乗りましたね……いや、あんたが最後あたりに色々書きすぎなんだと思いますよ?」
いや、だってねぇ……ここ大事なところなんだよ!?ここを上手く書けるか不安だったんだから、色々詰め込んじゃうよ!
「そうやってごった返してる時点でそれが下手なところだってわからないのかよ!アンタは!」



次回予告!
それぞれに抱えた傷。癒しを求めて彷徨う心は、いつしかそれを求めることすら忘れていく。願った物は何か。辿りついた先に希望はなく、行き場をなくすキラの心に、天使の与える希望とは。新たな闇が迫りしとき、世界はまた揺らぎ始める。
次回!3馬鹿チャレンジ『月夜の約束』!



魔物の設定がちょっと特殊なんですよねこの作品。だからアスランは責任を背負い続けてるしキラ君も本当は魔物を殺したりしたくないんですよね〜
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