ジェイ・ソーティ 自衛隊異世界任務記録   作:えぴっくにごつ

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Part10:「暴虐に――叩き込む一撃」

 場所は、火の手が上がるリェエンの村へ。

 上がる火の手の数々は、燃える村の家々がその元。

 そしてそれは、村を襲撃した野盗たちの放火によるものだ。

 

 リェエンの村より離れた所にある、打ち捨てられた古代の遺跡施設を占拠し、根城にしていた野盗の小集団。

 昨日に、エルフの少年たちのパーティーが討伐に向かったはずのそれ。

 

 しかし今日になり、そのエルフの少年たちは帰らず。代わりに訪れたのは、隊伍を成した野盗たちの襲撃であった。

 

 明かせば、エルフの少年たちはしかし野盗たちに挫かれ。そしてパーティーが討伐に送り込まれた事は、悪い事に野盗たちの逆上を招いた。

 そして野盗たちはその「仕返し」として。これまでにも行われていた小さな嫌がらせのような物とは違う、村への本腰を入れた襲撃へと乗り出したのだ。

 

 そして今。その野盗たちの襲撃を受けたリェエンの村の中央。

 開けたその場には。野盗たちに捕まえられた、人数多くは無い村人たちが集められていた。

 

「――このっ!」

「うぐっ!」

 

 ちょうどその場で巻き起こるは。

 その村人たちの前に、せめて庇うように立っていた若い男性が。しかし陸竜に跨る野盗の男に、騎上から蹴り飛ばされる暴力の光景。

 

「糞が、忌々しい真似を色々してくれやがって!」

 

 男性を蹴り飛ばして、忌々し気に声を荒げて吐いたのは。屈強を絵に描いたような大男。

 その男こそ、明かせば野盗の頭目。

 

 頭目を始め野盗たちは、村人たちが己たちの討伐を企てて、パーティーを送り込んで来た事に始まり。

 さらには襲撃の最中で、しかし大人たちの手により何人かの子供が逃がされた事など。

 己たちに逆らい手を煩わせる村人たちの行為に、大変に腹を立てていた。

 

 そして今にその腹いせの一端として。村人を庇うように前に出ていた男性が、暴力に晒されることとなったのだ。

 

「グインさん!」

「っ……大丈夫……」

 

 蹴飛ばされ、地面に崩れた男性に。慌て縋り寄るは村の女村長。

 

「木っ端村の連中如きが、生意気にも逆らってくれやがって!」

 

 そんな男性と女村長を。頭目の大男は陸竜の上からまた、煩わしい物でも見る目で見下ろしながら、荒げた言葉を吐く。

 

「こいつは、ちょいと『お仕置き』が必要か?――おい!」

「へいっ」

 

 そして次には頭目は、近くにいた配下の野盗に顎でしゃくって何かを促し。

 それを受けた野盗は、陸竜を操って村人たちを割って退け始める。その先に居たのは、身を寄せ合って怯える幼い子供たちだ。

 

「!、よせ!――ぐぁ!」

「ちょっと、やめとくれ!――あぅ!」

「うるせぇ!」

 

 野盗の企みに気づいた村の老人たちが、慌て野盗の動きを阻もうとしたが。儚くもそれは陸竜の図体に、容易く乱暴に退けられる。

 

「!――ゃっ、いやっ!」

「お姉ちゃん!」

「ねえちゃん!」

 

 そして陸竜が子供たちの前へと迫り立つと。次には野盗の男は騎上より、何の容赦も無い乱暴な動きで。

 子供たちの内から一番年長の女の子を、その首根っこを掴んで捕まえ上げたのだ。

 

「ケケっ!お姉ちゃんをちょっと拝借するぜ、ガキども!」

 

 女の子を捕まえたその野盗は、下卑た笑いで子供たちを嘲りながら、陸竜を操ってまた頭目の隣へと戻り。

 まさに晒して見せるそれで。捕また女の子を、吊るすようにして村人達の前に示す。

 

「やぁぁ……っ!」

「やめて!子供たちに罪はありません!どうか!何が望みです!?」

 

 女の子の恐怖に怯える姿に、居ても立っても居られず。女村長は慌て、必死の様相で野盗たちに訴え上げる。

 

「ゲケ、そうだなぁ……俺たちへの粗相のケジメを取ってもらわないとなぁ?」

 

 そんな女村長の訴える姿を、しかし頭目は面白がるような視線で見下ろしながら。そんな言葉を降ろして来る。

 

「それじゃあまずは、騎士団への討伐の要請を取り下げてもらおうかぁ?」

「!」

「それから、この村にはこれから俺たちに、『貢物』を献上してもらうぜ?」

 

 そして次に頭目が宣って来たのは、そんな下卑た要求の数々だ。

 その腹積もりはあからさま。野盗たちはこのリェエンの村を、己たちの「糧」として利用するつもりなのだ。

 

「そんな……」

「あぁん?言う事を聞かねぇってんなら……」

 

 しかしあまりの過ぎた要求に、女村長はたじろぐ。だがそれを見た頭目は、また配下の男に顎をしゃくって促す。

 そして女の子を捕まえる野盗は、その女の子の身に剣をチラつかせる脅しの色を見せた。

 

「っ!やめて!……わ、わかりました……っ」

 

 それを前に見せつけられ、子供の身には代えられないと。女村長がまた慌て発し上げたのは、野盗たちの要求を承諾する言葉であった。

 

「村長……っ」

「く……っ」

 

 それに、やはり子供の身には代えられない事は分かっていながらも。悔しくて仕方が無いその決定に、村人たちは苦しい悲観の顔で言葉を作る。

 

「ガハハっ、賢い判断じゃねぇかっつ。それじゃあ決まった所で……早速その貢物を頂いちまうかぁ!」

 

 その女村長や村人たちの姿に、気を良くしたらしい頭目の男は下品な声で笑い上げ。

 そしてしかし次に見せたのは、そんな暴虐の宣言の言葉。

 

「!!、きゃぅぁぁ……!!」

 

 そして次にはそれを合図と待っていたかのように。隣の野盗が女の子の衣服を乱暴に剥ぎ、そして羽交い絞めにして手に掛けたのだ。

 

「な!?そんな!!」

「貢いでもらうっ言ったろ!?それに、粗相を許したとは言ってねぇよな!?逆らったらどうなるのか、身をもって思い知れ!!」

 

 それに驚き抗議の声を上げた女村長に。しかし頭目は当然と言うように、怒鳴り声でそんな事を吐き浴びせる。

 

「おら!おめぇら!全部好きに頂いちまえぇっ!!」

 

 そして頭目のその合図に。野盗たちは村人達を押し飛ばし退け、数少ない女子供たちに迫り、捕まえる手を伸ばし始める。

 村人達の狼狽に悲鳴が見え上がり始め。しかしそれを掻き消すように、野盗たちの怒声に下卑た笑い声が響く。

 

「やぁ!いやぁぁ……!!」

 

 野盗に捕まえらる女の子は、泣き上げて死に物狂いの身悶えするが。

 しかし野盗の腕に羽交い絞めされてほとんど成す術はなく、衣服を剥ぎ取られてその柔肌を晒される。

 

 悲鳴に、叫び声に怒声。

 最早このリェエンの村は。暴虐に染められ穢される運命しか許されない……

 ――かに思われた。

 

 

 ――ドゥンッ。

 

 

「ぱりぇっ!?」

 

 鈍く、しかし劈く音声が。まるで場を射貫くまでに、突然に届いて響き。

 同時に、何か奇妙な悲鳴と音が上る。

 

「きゃぅ……っ!」

 

 次には、なぜか女の子を羽交い絞めに拘束する腕が解け。支えを失った彼女は、地面に尻もちを着く形で落ちた。

 

「――は?」

 

 ほぼ同時に、呆けた声に色を一様に上げて見せたのは。頭目始め、付近にいた野盗たち。

 

「え……な……う、うわぁぁぁぁぁっ!?」

 

 そして次には。野盗の内の誰かから、あからさまな狼狽の悲鳴が上る。

 

 その野盗たちの視線の先、足元の地面。

 そこに、今先に女の子に暴虐を働こうとした野盗が。しかし地面に手足を放り出して、倒れ沈み。

 そして――まるで叩きつけ砕いた果実のように。

 その頭部を盛大に砕き。血に脳症を、綺麗なまでにぶちまけた光景があった――

 

 

「――入った」

 

 その、延長線上にある村の家屋の上階。

 そこに、銃口よりうっすらと硝煙の上がる7.62mm狙撃銃 HK417を。突き出して支え構える狙撃姿勢で。

 そして端的にそう一声を零す、越生の姿があった。

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