ジェイ・ソーティ 自衛隊異世界任務記録 指令は「冒険」、派遣先は幻想的なファンタジー世界! 作:えぴっくにごつ
前進横断の最中に、突如襲い来た「機関銃」の銃火。
「――ッ!?」
不幸中の幸いか、その狙いは機関銃火のそれにしても荒く、隊員に命中弾は無かったが。
しかし想定外のそれに。隊員は次には受け身も二の次にして踏み切り、その先の建物の壁に身をぶつける形で飛び込んだ。
そして。間一髪、隊員の遮蔽が間に合った直後。
次には、苛烈な殺意の雨が。機関銃銃火が通りの上にばら撒かれ始めた。
「ッ!?――はァッ!?」
突如として出現し、巻き起こり降り注ぎ始めた想定外のそれに。
伊国等の側では陸士が驚きの声を上げ。そしてすぐには理解が追い付かないまま、ただ本能で危険を感じて建物の影に念入りに身を潜める。
「――嘘だろ」
その背後では伊国も、驚愕に目を剥きながら思わずの一声を零す。
「機関銃だーーッ!!」
その次には向こうに横断した隊員等の一名から。向こうも困惑の最中にありながらも、とにかくの様相で伝える張り上げ声が寄越された。
「正面教会ッ、上階の窓に配置が見えたッ!」
続けて向こうから、「機関銃」の配置される位置を伝える張り上げ声が来る。
「ありえねェ!なんだって……ッ!?」
「考えるのは後だッ。栖来、不和、無事かァッ!?」
それを聞く伊国等の側では、陸士が驚愕から声を荒げるが。
伊国はそれを落ち着かせる意味も含めてまず発し。併せて向こうの二名の安否を確認するための声を飛ばす。
「負傷はナシ!」
それに幸い、二名に現状負傷は無い旨がまずは返され寄越される。
「ッ!――正面だけじゃないッ、右側路地の向こう家屋にも……ッ、一機……ッ!」
だが事態はさらに喜ばしくない事実で、各員に驚愕を与える。
響く銃火の音が、少し音質の違うそれが次にはもう一つ増えて響き始めたのだ。
伊国等の位置からは直接は見えないが、向こうの二名からの知らせで。向こうの交差路を曲がった先にも、もう一機の機関銃がある事が知らされる。
そして二種二つの、それぞれの間合いで鳴る機関銃火の音から。
向こうの交差路に十字砲火を可能とする形で、二機の機関銃が配置されていることが判明した。
「おそらく重機と軽機……!この交差路は、抑えられてる……ッ!」
「そこを動くなッ。身を出すな、じっとしてろッ!」
向こう隊員の内の片方一名が、危険を承知で建物の角から視線を覗かせ、状況を掌握して知らせようと努めていたが。
伊国は張り上げ声を飛ばしてそれを止めさせ、遮蔽を維持して自分の身を守るよう命じる。
《武蔵10より尾張11。どうした、不測自体かッ?》
そんな所へ、伊国の身に着けるヘッドセットに尋ねる声が入る。それは須藤のもの。
おそらく観測のドローンが現場の異常を見止め、本部班経由で須藤に知らせが行ったのだろう。
「機関銃、機関銃ですッ!敵、傭兵組織が機関銃を持ってるッ!」
それに伊国は、状況の重要度を知らせる意味でも。張り上げ捲し立ててまずその事実を伝える。
《何――確かか、状況は?》
「町の中心部、教会のある区画ッ。現場交差路に十字砲火を可能とする形で配置されてるッ。前進途中の隊員二名が交差路で釘付けにされ孤立ッ!」
伝えられた事態、その存在に須藤の声は微かに驚いた気配を見せたが。次にはまた端的に状況を尋ねる声を返す。
それに伊国はまた捲し立て張り上げ、現場の状況を伝える。
《了解、共有する。小隊主力がまもなくそちらに追い付く、各装甲車輛もそう掛からない。孤立した二名はそれまで遮蔽維持できそうか?》
「合流状況は了解ッ。孤立の二名は敵機関銃が射角を変えれば保証はありませんッ、救出を試みますッ」
《了解、頼む。こちらも早急に合流する》
情報の共有とこれよりの行動を伝え、通信を終えた伊国は現場状況に意識を戻す。
伊国等の位置から交差路を通って教会まで繋がる通りは、直線では無く若干曲がっている。
その関係で教会の機関銃の火線射角は、一部が建物に阻まれ死角となっている。孤立した二名は丁度そこに位置していて、遮蔽し機関銃火を凌いでいる状況だ。
しかし敵が機関銃の配置を変えれば、それはいつまでも約束はされない。二名を十字砲火の元から早急に脱出させる必要があった。
「聞いたな?二人を脱出させる、スモークを用意ッ」
「了ッ」
伊国は背後で控える分隊員に、スモーク・発煙弾の用意を命じる。
「15、句住ッ。そっちはどうだッ?」
その準備の間に伊国は、先に回り込ませた隊員等に通信にて呼びかける。
視点は、一旦のその迂回に向かった隊員等へ。
「――15、句住ですッ。教会からワンブロック離れた側方に今着ッ」
今の言葉の通り、迂回の隊員等は教会の側方、一ブロック程離れた地点に回り込み到着。
建物の影から先を除き、教会周りの状況を確かめるべく掛かっていた。
「機関銃の元、雑だが防御が固められて――ッ゛」
だが、おおよその状況だけを視認したしかしその次には。敵は目ざとく隊員等に気づき見つけ、そして教会に配置された機関銃がこちらに向けられ。
直後には彼等に銃火火線が襲い、そのすぐ側を掠め抜けた。
「こっちに気づきやがったッ!」
慌て建物に引き込み、敵銃火を凌ぐ隊員等。
《――尾張11、こちらは尾張21、31も一緒に行動中。そちらの北西から進入展開中だ、状況知らせ》
そんな所へ、通信音声が割り込む。それは普通科小隊の第2、第3小銃分隊からのもの。
隊員等の地点から背後、知らされた該当方位に伸びる通りの向こうに。その普通科小隊の内だろう、数名の隊員が駆け抜け横断する姿が見える。
だが今度は、敵傭兵はまた目ざとくそれを見つけたか。教会の機関銃は次にはまた射角を変えてそちらへ機関銃火を撃ち向け。
向こうに飛んだ火線がその隊員等を掠める、危うい光景を見せた。
「21ッ!その周りも敵機関銃の射角範囲だッ!」
その様を目撃し、隊員は慌て通信にて警告を張り上げ向けながら。
同時に荒々しいジェスチャーを同時に向こうに向け、危険を訴える。
《ッ、了解!回り込む、回避経路を見つけるッ》
同時に向こうでは、慌て、そしておそらく剣幕を作っているであろう様相で。通りを駆け抜け建物遮蔽に飛び込む数名の姿が見え。
併せて向こうの指揮官から了解の返答が来る。
「ヤロッ!」
それを聞きつつ隊員等は。少しでも援護の足しにすべく、向こうに小銃を突き出し向けて撒いた。
視点は伊国等の側へ戻る。
「――装填ッ!」
建物の角から突き出し向けていた小銃を、立て続けに撃ち響かせた後。陸士は建物遮蔽に一度引き込み、弾切れを知らせながら再装填行動に入る。
「ッ゛!」
方や、傭兵たちは機関銃の効果でこちらの行動が鈍くなったことを見て、士気をいくらか取り戻したか。
機関銃火に混じり、矢撃の類も活発になり。今には小型投石器からの火石までが飛び来て襲い。
向こうで釘付けになり孤立する二名の、その遮蔽する建物の真上付近に直撃して脅かす。
「――射撃が機関銃だとしても乱雑だ、扱い慣れてないな」
そんな、こちらにとって好ましくない形で状況が動く中。しかし伊国は観察できた事柄を零す。
敵の機関銃の狙いは、機関銃火という銃種の特性を考えに入れても荒く雑であり。先からあっちにこっちに、手当たり次第に見た「敵」に見境なく向けられ。
あまり「上手く」扱えていないように見えた。
「分隊長、スモーク準備ヨシ」
そんな考察を零していた伊国に。次には背後に控えていた隊員から、その手に握り持った発煙弾を示しながら、「準備」が完了した旨が伝えられる。
「ヨシ――栖来、不和、スモークを展開した後に援護射撃するッ。その隙にそこから脱出後退しろッ」
準備が整った旨を受けて返し。次には伊国は、向こうで孤立する二名に指示の声を飛ばす。
それに、向こうの二名からは今もまた掠めた機関銃火を凌ぎながらも。了解を示すジェスチャーが返される。
「よし、準備――投てきッ」
そして間を見計らい、敵の機関銃火の音が途切れたのを聞いた瞬間。伊国は張り上げ命じ。
次にはスタンバイしていた隊員の一人目が、建物の影を必要最低限だけ飛び出し。そして控えていた発煙弾を向こうの交差路に投げ放った。
「次ッ」
伊国の続く指示と併せて。一人目が引き隠れると入れ替わりに、続く二人目の隊員が同様の行動で発煙弾を投てき。
順に向こうの交差路へと投げ入れられた二つの発煙弾は、地面に落ちると同時に白煙を噴き上げ始める。
「ヨシ、援護射撃ィッ!」
煙幕が向こうの交差路に漂い始めるのと同時。
伊国と陸士は立ち、あるいは屈み、位置を違える形で遮蔽から小銃を突き出し。次には我武者羅の様相で、向こうの教会に射撃をばら撒き撃ち向け始めた。。
「今だッ、下がれェッ!」
充満し始めた煙幕と、援護射撃に驚き戸惑ったか。教会からの機関銃火は若干の勢いの衰えを見せる。
それを感じ取り。伊国は援護射撃のための引き金を引き続けながら。向こうの二名に向けて張り上げた。
それを聞き留めるとほぼ同時。
向こうの二名もまた手順を取り決めていたか。一名が残り援護射撃をばら撒く姿を見せ、そして同時にもう一名が遮蔽死角を飛び出し。
通りを斜行する形で横断後退。そしてこちらに至り建物の影へと飛び込み戻った。
「次だッ!」
ちょうど弾倉が空になった伊国に代わり、今に戻ったその隊員が装備火器であるMINIMI軽機を突き出し、「相方」のための援護射撃を始め。
伊国はそれに任せながらもまた向こうへ張り上げる。
次には残る一名が向こうの遮蔽を飛び出し、こちらに戻るべく駆ける。
その間に、衰えを見せながらも続く機関銃火がその隊員の傍を掠め、当人も他各員も肝を冷やしたが。
間一髪、隊員は通りを横断を伴い駆け抜け切り。こちらの建物の影に突っ込む勢いで飛び込み、合流を果たした。
「尾張11より各隊ッ、孤立した二名は救助、救助回収したッ。尚、敵の各火点は未だ健在ッ」
救助回収の成功を、伊国は次には無線通信に張り上げ各隊に共有。
《武蔵12より11了解、救助回収了解。よくやった、間もなくそちらに各装甲車輛が迂回から追い付く》
それに本部班から評する声が寄越され、併せて各装甲車輛の合流進捗が伝えられる。
《これと合流し、調整し引き続き当たれるか?》
「了解、支障ナシ。戦闘行動を継続するッ」
続けての指示と併せた尋ねる言葉に、伊国は当然と行程で答える。
「――ったく、二度とゴメンだなッ」
そんな伊国の背後では、最後に戻った栖頼という名の隊員が。
自身の身と装備を整え直しながら、先までの肝を冷やす状況に対しての、若干の皮肉を込めたそんな声を零す。
「来たぞッ」
そんな声の直後には、誰かが知らせの声を上げ。
次には分隊各員の背後へ伸びる通りの向こうから、回り込んで来た共通軽装甲車が現れ近づいて来る姿が見えた。