自衛隊異世界任務記録 指令は「冒険」、派遣先は幻想的なファンタジー世界! 作:えぴっくにごつ
一方、教会側。機関銃が据えられる傭兵たちの「火点」側。
「煙幕を炊きやがった!お、おいもっとやれよ、放てよっ!」
「落ち着け!『鏃』の数には限りがあるんだ、ちゃんと見えてからだ!」
状況に焦りこちらを急かす片割れに。機関銃、PKMに着いて扱う傭兵は落ち着かせる言葉を返している。
(しかし……これは本当に……!)
そんな中でしかし同時に、その傭兵の男は思い感じていた。
今、己の手で扱う得物の恐ろしさを。確か「キカンジュウ」と名を聞いたそれの、戦場の状況、そして常識覆すまでの凶悪さを。
「っ」
そんな考えを浮かべていた傭兵は、しかし次には眼下向こうの交差路に立ち込めていた煙幕が、薄れ晴れていく様子を見る。
そして、再び「攻撃」の手を「敵」に向けるべく。「キカンジュウ」に取り付き直して、その引き金に指をかけようとした。
「?――」
しかし、その晴れ始めた煙幕の向こうに。傭兵は一瞬だが、何かが瞬き光ったのを見る。
その直後。
己たちの扱う「キカンジュウ」とは別の、何か乾いた破裂音を聞いた気がした、しかし瞬間。
「――ゴァっ……!?」
傭兵は、その脳天を「何か」に打たれ貫かれ。
歪な悲鳴を上げ、そして面白いまでの勢いで背後にもんどり打った。
「……え?……は?……」
横で吹っ飛んだ相棒の姿に。しかし何が起こったかを最初理解できず、片割れの傭兵は呆けた色を漏らしながら振り向く。
「!、うわあぁぁぁ……っ!?」
そして次には、そこに見えた「もの」に叫び声を上げた。
その片割れの傭兵の、扱い手を失ったPKMの背後には。
その脳天に「孔」を空けられて血を撒き散らし。仰向けで倒れ沈んで果てた、傭兵の身体があった。
「――入った」
傭兵たちの火点、PKMの配置された教会の窓からを、やや斜めに辿った延長線上。そこは伊国等が位置する場所の背後にある家屋建物。
その屋根の上に、他ならぬ越生の姿が。
屋根の傾斜を利用して遮蔽し、そしてHK417突き出し構える姿を見せる彼の身体があった。
HK417に装着されるスコープを覗きながら、確かとする声を零す越生。
今に、教会に配置されるPKMの射手である傭兵を、撃ち抜き排除したのは越生であった。
「狙撃班、武蔵93より周辺各隊。正面教会の火点射手を排除」
次には一度スコープから目を外しながら。身に着けるヘッドセットに声を紡ぎ、その知らせを各隊に伝える。
《排除了解。これより尾張13が押し上げる、継続し援護願う》
「了」
次には返信が返され届くと同時に、屋根から見降ろせる足元横の通りの向こうエンジン音が聞こえ。
また次には、回り込み到着した第1分隊の共通軽装甲車が通過。通りを押し上げ始める様子が見えた。
《尾張11、分隊長へ。13はこれより押し上げる》
伊国等の位置していた交差路を、そのど真ん中を。共通軽装甲車が搭載のMINIMI軽機を唸らせて向こう教会に撃ち込みながら、同時に伊国等に知らせを寄越しながら通過。
「了解、こちらもこれより随伴する――行くぞッ」
これで今度は、強固な遮蔽の恩恵を受けながら前進移動が可能だ。
その通過を見ると同時に、伊国は張り上げて分隊員に伝え。
そして次には第1分隊各員は順に建物の影を飛び出し、共通軽装甲車に追い付きその背後に取り付き、随伴にての前進を開始した。
押し上げて来る共通軽装甲車に驚き臆したか。教会からは慌てた色で矢撃や火石が飛ばされ来て、共通軽装甲車の装甲を叩いて嫌な音を立てるが。
しかしそれらは装甲の塗装を微かに傷つけ焦がすのみで、行動に支障を与えることは無い。
「!、教会窓に動きッ」
しかし共通軽装甲車が前進から向こう次の交差路に至ろうとしたタイミングで、ターレットに着く隊員が張り上げ知らせを寄越す。
その直後。一旦は沈黙した敵火点、教会の窓の機関銃が、再び唸りを上げてこちらに銃火を叩き降ろし始めた。
「ッ゛――敵銃座、再稼働ッ!」
「あぁ、ヤロッ!」
ターレットの隊員が再び張り上げ、同時に随伴各員の内の誰かが悪態を吐く。
幸い今度は、共通軽装甲車の装甲やターレットの防盾に守られ。ドライバーから射手、そして随伴する伊国等は降り注ぐ銃火を難は無く凌ぐが。
しかし装甲を叩き、あるいはすぐ横を掠める銃弾の雨は不愉快で、そして都合の良い物ではない。
「尾張11より武蔵93ッ。火点に別の射手に着かれた、もう一度やれるかッ」
《了解、排除する》
次には伊国が背後建物の屋根の狙撃員、越生に向けて再びの狙撃を要請する通信を張り上げ送り。
すぐに越生からは淡々とした言葉で、了解の声が返る。
そして直後、背後から周辺にHK417が唸った乾いた射撃音が響き。
ほぼ同時に、教会の窓から唸り吐き出されていた銃火が、プツリと糸を切ったように収まった。
再び撃ち込まれた狙撃が、また見事に機関銃の射手を無力化した証拠。
だが。
「ッ!」
一拍の間、様子を伺っていた共通軽装甲車と伊国等へ。次にはまたしても別の射手が配置したか、三度火点が復活してまたも銃火が降り注ぎ始めた。
「ッ、びびらねェかッ」
「もしくは臆してるが故に血眼になってるか。何にせよ、射手を潰すだけじゃキリがない」
その降り注ぐ銃火をまた凌ぎつつ、随伴する分隊員の内の誰かが悪態混じりに発し。
それを聞いた伊国はそんな考察で返し、併せて現状状態を口に零す。
《――尾張11、伊国一曹聞こえる、取れる? 》
「ん?」
《尾張03御邸、31と一緒にそちらの背後に到着》
そんな所へ、通信にまた新たな声が割り込む。その無線識別が示すは、普通科小隊の小隊長及び本部、そして第3小銃分隊。
今に伝えられたままに伊国が背後を見れば、今先に自分等が飛び出した交差路の建物の影から。
無線識別が示した通り、普通科小隊小隊長の御邸が、伊国等の直接の上官である彼女が。最低限姿を見せて、こちらに向こうの存在を知らせる合図を送っている姿が見えた。
「11です取れます、併せて伝えます。正面教会の火点の射手を、狙撃で二度ほど潰してもらいましたが完全無力化には至らず。キリがありません、火点ごと潰す必要があります」
御邸の存在を認識した伊国は、次には通信にて返答すると併せて、今の現場状況を伝える。
《了解。でも教会他の周辺建物には住民が拘束されている可能性がある。現段階で、強火力の使用は許可できない」
御邸からは伝えられた状況を了解し。しかし併せて、まず取りたい所である強火力使用の手は現状使えない旨が返される。
「でしょうね。ではチト強引になりますが、押し込み踏み込んで制圧するしかありません」
「焦らないで、それはすでに別の各隊が動いているわ」
もちろんその件も掌握しており、ならばと伊国は取るべき行動手段をまた返すが。御邸からはその伊国を落ち着け、併せて伝える言葉が寄越される。
そして今の旨を証明するように御邸の背後、建物の影からは。同行していた第3小銃分隊の隊員等が、回り込む為だろう、隙をついて順に交差路を横断していく姿が見えた。
《そちらは正面火点の注意を引き付けて、牽制を続けられる?》
「了解、問題ありません」
《無理はしないで、危険と感じたら下がって。動きが進展した際にはまた伝えるわ》
そんな動きを向こうに見つつ、伊国は御邸からの行動要請を聞き。そしてそれに了解で答える。
終わりに御邸からは念押しの言葉が添えられ、やり取りはそこで一区切り。。
「だそうだ。この場で騒いで時間稼ぎだ、辛抱しろ」
「やれやれだな」
次には伊国が分隊各員に伝え指示。それを受けた各員の内から陸士が、倦怠感のある声でボヤきを零した。
隊員一名一名や班・分隊毎の動きを細かく書きたがるから話の進みが悪くなる。