ジェイ・ソーティー 自衛隊、異世界へ 任務は「冒険」、派遣先は幻想的なファンタジー世界! 作:えぴっくにごつ
「……な……!」
ディーロは驚愕に目を見開き、その姿を見つめていた。
突如として踏み込み現れ。悪逆の体現のような傭兵頭のガイサを、しかし容易いまでに退け沈め。
堂々立ち構えるシルエット、須藤の姿を。
「!」
しかしディーロたちは続いて、さらに別の気配にシルエットに気づく。
まず加納が、聖堂内に視線とIARの銃口を走らせて残敵の有無を確認しながら。後ろに下がりつつの形でディーロと老人子供たちに寄り添い庇う形で近づき。
続いて薩摩が、同じ動きで住民たちを背に正面をカバーするように、M240Gを構え向けながら立ち構え配置。
「皆さん、大丈夫ですかッ?」
次には内の加納が振り向き、住民たちに安否を尋ねる声を向けた。
「!……気を付けてっ、まだ上に居る!」
その言葉に今の光景から、彼等が敵ではないことを察したディーロは。だが次には慌て、警告の言葉を発し伝えた。
「ッ!」
「チッ」
伝えられたそれと同時、二人はすぐに聖堂内が半二階構造であることに気づき。
同時に、二人からは真上に位置する半二階に気配と殺気を感じる。
そしてそれは向こうで立ち構える須藤も同じ。
直後、その半二階から「銃口」が突き出されるのが見え。そして「銃撃」が降り注ぎ襲い始めた。
「ッ」
「下がれッ」
「隠れて!」
しかし一瞬早く察知した気配から、銃撃が襲うと同時かそれよりも早く。
須藤は聖堂内の座席を飛び越え飛び込み、すぐさま遮蔽。
幸い半二階構造の真下、死角に位置していた加納に薩摩は。ディーロに老人子供たちに発し促し、より念入りに奥へと退避させる。
「――ッ」
そして同時進行で、向こうで須藤は座席の遮蔽から10.9mm拳銃を突き出し向け。
上の半二階の敵傭兵たちに銃撃を撃ち込む。
しかし位置関係が悪く、銃弾は構造に阻まれ。
そして次には半二階からまた二つ程の銃口が突き出され見え、おぼつかない色が見えながらも銃撃が寄越される。
「上にアサルトライフル二つッ」
座席遮蔽にまた遮蔽し、須藤はその「銃」の種類を推測し伝える声を張り上げる。
また半二階の奥からは、今も外部へ機関銃銃火が向けられているであろう重い発砲音も届き聞こえる。
「マジかよッ」
須藤から聞かされたそれに、薩摩が悪態を吐く。
「皆さん、教えてくださいッ。上にも捕まっている人がいますかッ?」
同時に加納がディーロ始め住民たちに、上の半二階にまた拘束されている住民の存在があるかを聞き尋ねる。
「いや、教会内はここで皆だ、上には傭兵だけだ!」
その質問に、ディーロは「彼等」が何の情報を欲しているかを察し。すぐにそう回答を返す。
「ありがとうッ――隊長!教会内の住民はこの場で全員、上にはいませんッ!」
それを受け次には、加納はその旨を須藤に向けて張り上げ伝える。
「了解――武蔵10から尾張03、教会に突入し拘束住民を確保保護。しかし上階に篭る敵と対峙中、火力支援を要請するッ」
それをまた受けた須藤は、次にはヘッドセットにて通信に声を、要請を張り上げ始める。
「下階にはこちらと住民が居る、上階の敵火点だけに投射しろ。繰り返す、下は撃つなッ」
続け、念を押す言葉を須藤は捲し立て通信に張り上げた。
須藤の要請は外の御邸始め普通科小隊に伝わり共有され。そぐにそれは行動となって反映される。
動き始めたのは、普通科小隊の第2小銃小隊、第3小銃小隊にそれぞれ一輛づつ配備されている計二両の24式装輪装甲戦闘車(24ICV)。
「――下には隊長等と住民が居る、決して撃たないでッ。上の窓の敵火点だけを狙ってッ」
教会正面先の交差路の角、そこで遮蔽しつつ該当隊への指示を張り上げている御邸。
そんな場へ到着、側方通りより来て現れたのが24ICVの一両が。御邸等にその姿を見せながら交差路を曲がり、教会正面の通りに堂々鎮座する。
また教会側方からはもう一両の24ICVが別途現れ。正面の24CVのバックアップのために配置する。
「尾張23より武蔵10、こちらは位置に着いた、間もなく照準完了。そちらは退避よろしいか?」
その正面の24ICVの砲塔内部。車長の陸曹が通信にて内部の須藤に呼びかけ、こちらの進行状況と向こうの状態を伝えそして尋ねる。
《武蔵10は退避ヨシ、完了次第撃てッ》
その呼びかけた須藤からは、その背後に銃撃が交わされる交戦の音を聞かせながら、返答の言葉が寄越される。
「照準ヨシ」
それを聞きつつ、砲手の手により同時進行で進んでいた照準行動が、砲塔砲身の旋回射角調整の動きが今完了し。
その照準器越しの砲手の目とそして30mm機関砲の砲口が、今も機関銃火を吐き降ろし、24ICVの装甲を掠め叩く敵火点の教会上階窓を照準。
「了――撃ッ」
次には車長が命じ、砲手がトリガーに力を込め。
30mm機関砲が唸りを上げた――
「――完了次第撃てッ――来るぞ、身構えろッ」
教会内、10.9mm拳銃を頭上に撃ち向け、銃撃を敵と交わしながらも通信に張り上げた須藤は。
次には住民たちに付いて見ている加納と薩摩に指示の声を張り上げる。
「身構えろッ」
「屈んで、頭を低くッ」
次には加納と薩摩はディーロたちに訴え。
それを受けたディーロたちは、ディーロと老人たちが言われるがままに子供たちを抱き抱えて身構え。
さらに加納と薩摩がそれをできる限り囲い庇う。
「ッ――」
それを確認すると同時、薩摩はチャンバーに残る銃弾をダメ押しというように頭上敵に全て撃ち放つと。
自身も座席に身を深く沈めカバー。
――直後。
連続的な衝撃が、教会上階を主に全体を襲った――。
24ICVの機関砲が唸り撃ち、そして連続的に叩き込まれた機関砲火は。
教会の上階に設けられた傭兵たちの火点を、そこに置かれた機関銃に、そして籠る傭兵たちを。
まさに千切り弾く様相で襲い吹っ飛ばした。
叩き込まれた瞬間の機関砲弾が、ある傭兵の体を真っ二つにし。
着弾からの機関砲弾の炸裂がまた傭兵たちを襲い、その暴力にてボロ切れの様に千切り散らかす。
そして据えられたRPK機関銃、他の火器も。教会の上階構造ともども拉げ弾け、恐怖のそれからガラクタへと変わった。
およそ10秒にも満たない程の、僅か時間のみ行われた凶悪な火力の撃ち込みにより。
傭兵たちが当初の懐疑から一転、形勢逆転の「力」と頼り縋った機関銃火点は。
しかし、容易いまでに弾き消し飛ばされ、沈黙したのであった。
《――尾張23より武蔵10。こちらからは火点の停止を観測、そちらは無事ですか?状況を》
立て続けの衝撃が収まり、しかし今の聖堂内の天井から塵や埃がパラパラと振って来る中。
須藤等のヘッドセットに、外の24ICVからの状況と安否を尋ねる通信が届く。
「――皆、無事かッ」
それを聞き、しかし返す前に。
須藤は座席遮蔽から顔を出し、向こうの加納や薩摩に向けて尋ねる声を飛ばす。
「――皆、負傷ナシッ」
「チぃト、埃で汚れましたがねェッ」
次には、加納が囲い庇う住民たちに負傷異常が無いことを確認し、返答を寄越し。
ついでと言うように薩摩が皮肉を混ぜたそんな言葉を寄越す。
「了」
その回答を受け、次に須藤が頭上の半二階に視線を向ければ。
そこには、ギリギリ半二階としての構造機能を保っているが、穴だらけになり酷く損壊している上階のその場と。
そして息絶えたのだろう、倒れぶら下がる一人の傭兵の上体の一部が見えた。
そして半二階からの気配は、銃火の音は消え去り。
ここまでの脅威であった敵火点が、その全てが無力化されたことを伝えていた。
「尾張23及び各隊、武蔵10及び住民に損傷損害ナシ。併せて建物上階の敵火点は無力化と思慮」
その一連を確認した須藤は、座席での遮蔽を解いて立ち上がりながら。
外の24ICV他各隊に向けて、こちらの無事及び火点排除完了の旨を通信にて伝える。
その通信を送った後に目を向こうに向ければ。
加納と薩摩に庇われていたディーロ始め住人たちが、おぼろげに己たちが助けられたことは理解している様子ながらも。まだ困惑に疑念の部分が多い色で、庇い身構える形を解いて、周りの様子や加納に薩摩を見渡している。
「あなた方は……」
そんな中から、代表する形でディーロが各員に向けて、微かな驚き混じりに尋ねる声を紡ぐ。
「私たちは、日本国の陸上自衛隊。あなた方を助けに来ました」
それに、須藤はまた代表者としてその住民たちへ歩み近づきながら。まずはシンプルに名乗り、そして自分等が敵では無いと言う大事な点を伝える。
「加納、念のためもう一度皆さんの体を」
「了解――皆さん、疑問は数々あると思いますが、まずは今は皆さんにお怪我がないか確認させてください」
そして次には須藤は加納に促し。
加納は住民たちの心情を組んだ前置きをまずは紡ぎ。そしてしかし今は優先して、住民たちに負傷他が無いかを確認させて欲しい旨を伝える。
その初動の対応を加納に任せた後。
須藤と、そして相対した位置にいる薩摩は。足元に落ちる「あるもの」に視線を落とす。
「しかし隊長、こりゃァ――ッ」
「あぁ」
そして「それ」を降ろす視線で促しつつ、その存在に、大変に歓迎し難い苦い声を零して見せた薩摩に。
須藤は反した尖る険しい顔色と声で、しかし同意の一声を返す。
足元に落ちてあったのは、今先まで傭兵の一人が扱い撃ち向けて来ていた「銃」。
「AK-47 カラシニコフ自動小銃」と呼ばれるものであった――