ジェイ・ソーティー 自衛隊異世界任務記録 指令は「冒険」、派遣先は幻想的なファンタジー世界!   作:えぴっくにごつ

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Part33:「終結後、由々しき問題」

 遭遇戦から発展したフレンクィの町の救助、攻略戦は。自衛隊 第101前進観測隊の勝利に終わった。

 

 戦力数からのカバーの限界から、傭兵団の一部は町からの逃走を許すこととなってしまったが。

 傭兵団の主力のおおよそは町から掃討され、一部は前進観測隊に投降した。

 

 現在は前進観測隊からの報告、要請を受け。即応のために編成されている一個中隊戦闘群が支援部隊を付随してこちらに向かっている。

 町の完全な安全化と、からの各種支援の開始にはそう掛からないと見られた。

 

 ただ、それとは別に発覚した一つの問題があった。

 

 

「――」

 

 引き続き場所は教会。

 保護されたディーロ始め老人子供たちに、町の捜索調査から発見に至った生存者の住民たちは。

 損傷の無かった別の施設建物に集まり移ってもらい、そこで手当てや状況説明などを受けてもらっている。

 

 今は教会の聖堂内では、数名の隊員が簡単な作業他のために居るのみの中。

 そのど真ん中に立つ須藤、御邸、そしてお守り他の担当のために一緒に居る加納、薩摩、越生の三名は。

 並べられた「それ等」をそれぞれ雑な立ち位置で囲い、それぞれのやや険しい顔で見降ろしていた。

 

 床に並べ置かれていたのは、銃火器。正しくは多くはその鉄片破片。

 傭兵たちが所有し、そして前進観測隊に攻撃の手として使用して来たいくつかのそれだ。

 教会に叩き込まれた機関砲火力の影響でそのほとんどはスクラップとなり果て。教会とは別家屋に配置されていた一つのみが原型を保っていたが。

 いずれも、それが何かは容易に判別が付いた。

 

「AK-47にRPK、それにPKM――冗ォ談ならドン底採点だぜ」

 

 並べられたそれ等を見降ろす各員の内から、薩摩がそれぞれの銃火器の名称を紡ぐと併せて悪態を吐く。

 

 前進観測隊が押収した銃火器は。

 AK-47 自動小銃が二丁。

 RPK 軽機関銃が一丁。

 PKM 機関銃が一機。

 

 遭遇交戦した傭兵団の部隊規模と単純に比較すれば、それは装備数としては少数のものと言えるが。

 問題は、ロシア・旧ソ連で作られた日本国自衛隊の装備では無いそれらが。

 この異世界に存在し、そしてこの異世界の組織・住民である傭兵団が所有し。あまつさえそれを扱い攻撃を仕掛けて来たということだ。

 

「ご丁寧にキリル文字の刻印まであるとはな」

 

 薩摩が悪態を吐いたのに続けて、越生が呆れた色で零す。

 押収された火器には地球のロシア地方の言葉、キリル文字での刻印記述などが見られ。その火器のいずれもがロシアの地で作られた物であることをまた明かしていた。

 

「何より、傭兵たちが「ロシア」の名を口にした」

「……」

 

 その二名の言葉に続けて、須藤がそんな旨の言葉を零し。その隣で御邸も難しく歓迎し難い顔を作る。

 

 すでに投降から拘束した一部の傭兵たちに、簡易ではあるが聴取が行われており。

 その最中で須藤等が傭兵たちの所有して来た銃火器の入手経路を尋ねたところ、傭兵たちは口を揃えてこう答えた。

 

『「ろしあ」とかいう連中が現れて、これを寄越した』、と。

 

 その名称を聞いたことで、須藤等は当然だが少なからず驚き。そしてより詳細な所を傭兵たちから聞き出そうとした。

 

 しかし聞くに、その「ロシア」の名を名乗った者たちは。

 傭兵団が帝国から先遣隊の役目の仕事を引き受け、帝国の勢力圏内で準備を整えていた際に突然現れ。

 『贈り物だ、試して欲しい』などと言って銃火器を押し付け、最低限の扱い方だけを教えると。

 他の己たちに関わることはほとんど話さず、その名称だけをまるで匂わせ揶揄うように残して去って行ったらしい。

 

 だが、その経緯と併せて傭兵たちは。

 その者たちは、色合いに細かい所こそ異なるが。服装や装備の傾向が、自衛隊に似てる気がすると口にした。

 

「一体なんだって……」

 

 須藤の言葉からそんな経緯背景を思い出しつつ、今度は御邸が零す。

 此度の「異世界派遣」にロシアは、いや所謂「東側」、「共産圏」の国々は公式に参加していない。

 

「ロシアでも「接続」が開いて、独自に送り込んで来た?」

「そんな余裕が今の向こう国内にあるのかねェ?」

 

 次に加納が口にした推察に、しかし薩摩が皮肉気に疑問を返す。

 それは、地球ロシアの現在の情勢事情に触れるものだ。

 

 

 「東欧戦争」。

 

 数年前にロシアが開始した軍事侵攻を発端に、それが拡大して東欧の広い範囲、国々を巻き込み舞台とする戦争が起こった。

 結果、ロシアはその侵略のための戦争に失敗――事実上敗北。

 それに伴いロシア国内では政府に対する不満が爆発。軍の各軍団の群雄跋扈、国民の暴動などが相次ぎ。その最中に政府の首脳要人は多くが倒れ、あるいは行方不明となり。

 それから現在まで、ロシアの政府中枢はほとんど機能停止状態に陥っていた。

 また、ロシアに与した「共産圏」各国も軒並み、そのあおりを受けて多大な混乱に見舞われ、深刻な情勢不安定に陥っていた。

 

 

 そんな地球側の事情から。

 ロシアの国内近隣もしくは共産圏の国家のいずれかに、地球と異世界を繋ぐ「接続」が発生し。ロシア軍部隊がそれを通り異世界にやってきた可能性は否定できなかったが。

 しかし現実的な所を考えれば、少なくともそれが国家ぐるみの行動である可能性は低いものであった。

 

「どうあれその「気配」と、証明のものがあるのは事実だ」

 

 そんな事情背景から薩摩が発した懐疑の言葉に、しかし須藤はそう返す。

 言葉の通り、ここにロシア製の武器が存在し、そして傭兵たちはその存在を明かし口にした。

 そのことから、この異世界にロシア軍が居る可能性は高いと見るしかなかった。

 

「考えうる可能性は他にもいくらでも出てきますが……総隊からはなんと?」

 

 次には零すのと併せて、御邸が須藤に尋ねる。

 事の重要性から、前進観測隊は上級部隊にこの事実をすぐさま上げ。そしてさらに早急な回答要請がそこから陸上総隊に上げられていた。

 当然そこから政府、防衛省などにも早急に上がったことだろう。

 

「上も大層驚いたようだ、とりあえずの目先の対応指示だけが降りて来た――応援の戦闘群を待ち合流、見分を引き継いだ後。補給し十分な装備体制を整え、厳重な警戒の元前進を再開せよと」

 

 須藤から伝えられた上からの指示に、各員は「まぁそんなトコだろう」と言うような反応を、若干の倦怠を混ぜながら見せた。

 

「空自の無人偵察機が、ここからさらに東に大きな勢力の存在を捉えた。こちら(西)に移動を行っている様子から、帝国軍の主力の一部と司令部は高確度で見ている」

「それにぶつかるまで前進しろってか」

 

 続けて須藤がさらなる敵の存在の可能性を伝え。先の前進再開指示とそれで併せて理解し、薩摩がいつもの不躾な言葉で解釈を発する。

 

「調査行動の阻害となるだけでなく、ここより後方の我々の各展開拠点に、さらにはこの世界の土地に国々をも脅かすものだ。不穏な要因が数多だが、どうあれまずはこの目先の脅威に対応する必要がある」

 

 そんな薩摩の言葉に返してやるように、須藤は任務行動の理由意図を並べて伝える。

 

「明日、0600から行動を再開する。よく装備を整えろ、増加防弾具の類は迷うなら装着しろ。そして可能な限り休むように」

 

 それから須藤は明日よりの行動再開時刻を告げ、併せて指示事項を各員に紡ぐ。

 

「御邸、普通科各隊にもこの指示を。本部他各隊には自分から伝える」

「は」

「今の要項と他細部は、共有にもデータでアップするから各員の端末で確認してくれ。他に不明点があれば聞くように――解散」

 

 それから各情報について、それに関わる共有伝達についてを説明し交わした後。

 須藤はその場の各員に解散を告げ。

 

 陸士三名は「は」と加納、「ヘェヘェ」と薩摩。そして越生は静かな会釈でそれぞれ了解の旨を返し。

 指示された点、他それぞれの物ごとに取り掛かるべく。場を離れて行き。

 須藤と御邸もそれぞれの長としての仕事に移って行った。

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